すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

外にも楽しみを

J君は自立課題とタブレットが好きな中学部の子どもです。自立課題が好きなのは恐らく「何をしたらいいのかすぐにわかる」という理由でしょう。他の子に用意した自立課題でも自分のものと勘違いして始めることもしばしばあります。

自立課題が終わった後,決まってタブレットを要求します。タブレットではYoutubeで好きな音楽を聴いているのですが,その時に体を大きく揺らしながら「う~~~~!!」と大きな声を出します。

楽しくて気分が良いから体を揺らしたり声も出すのだと思いますが同じ部屋の中には体がぶつかると転倒する子どもや大きな声が苦手な子もいます。「エネルギーが有り余っているのだろう」と思い,戸外での活動を取り入れました。

するとJ君は拒否はしないのですが散歩中職員に抱き着くようにつかまり,引っ張ってもらおうとします。J君は戸外での活動の経験が少なく,不安もあったのかもしれませんが、あまり乗り気ではありませんでした。

J君は焼きそばが大好きなので,他の子に取組んでいるように山登りの休憩時にコッフェルで焼きそばを作って食べることにしました。一度行ってみると他の子のように調理中にのぞき込んだりしないので「あんまり好きじゃなかったかな…」と思ったのですが「出来たよ~」と出すとパクパクと焼きそばを食べ始めました。「食べるのが好きなんか~い!」というオチでしたがJ君にとっては「山登りをしたら焼きそばが食べることが出来た」という経験になったと思います。

室内での活動が好きな子は戸外での活動は最低限しか取り組みません。そして、嫌いな活動には同時に大好きなものを用意することが必要だと思います。そして「まぁやろうかな」と取り組みにも参加し,褒められる経験を積み重ねていけば、好きではないが嫌いではないことが増やせるのではないかと思います。

まだまだ戸外は苦手な様子のJ君ですが,好きな焼きそばやチョコ菓子を持って山登りに向かいたいと思います。向かった先で好きなものが貰えて褒められた,という経験を積んでいく中で散歩も好きになってくれたらな,と思います。

数のたしかさ

放デイじゃんぷでは、おやつタイムは子ども達が自分で50円になるようにお菓子を選びます。いってみれば駄菓子屋方式です。電卓を使ってもOKです。それは、細かな計算は電卓に任せても、『どれとどれを合わせたら、大体いくらになるか』『残りのお金でどのお菓子なら買えるのか』という概数を考える経験には十分だからです。

 
利用を開始したとき、自分の学年も、今日の日付も「知らない」と言ったAくんがいました。宿題ではくりさがり・くりあがりの計算をしています。しかし、5このおはじきのうち2つがコップの外にあるのを見ても、コップの中にあるおはじきの数は答えられません。数の操作は手続き的に理解できるのに、数の感覚や量概念はとても未熟でした。

自立課題では、具体的に数を分けたりまとめたりする、シューボックス課題(シューズボックスタスク=靴の箱を使って課題をセッティングすることを語源にしている)を取り入れました。できるだけ実際的に数を扱う課題を取り入れてみました。もちろん、おやつも50円分選んでもらっています。

A君の自立課題は1つずつかごに分けて入れているので、棚にあるかごの数が、その日のA君の課題の数です。この間、Aくん、数の力がしっかりしてきたなあと感じるやりとりがありました。「今日は勉強する気にならへん。あんなたくさんできひん」と言っていたAくんです。

「今日の勉強、いくつあるか知ってる?」と職員が聞くと「うん。5こやろ」と。「へえ、よく知ってるね」と感心すると「だって数えたもん。」とAくん。「じゃあ、3つにしようか」と言うと「うん」「…3つやったら、べんきょう嫌だけど、する気になる」と言いました。数で交渉ができるようになり、A君も指導者も同じ見通しが持ちやすくなりました。オセロやトランプのような新しい遊びが楽しめるようになったのも、数の理解の力がしっかりとしてきた賜物です。

今日は、コグトレ※教材で『まとめる』シリーズが10枚全部できたので、王冠のついたミニ賞状をゲットしました。一緒に、これまでやったプリントを数え「こんなにがんばった」とふりかえりました。数のたしかさは、子どもの世界を豊かにすると、Aくんに教えられます。

※コグトレ=認知 ○○ トレーニング(Cognitive ○○ Training)の略称で、ここでは主に基礎学力の土台作り(覚える、見つける、写す、数える、想像する)として、認知機能強化トレーニング(Cognitive Enhancement Training)のことを取り上げています。この他に、認知作業トレーニング(Cognitive Occupational Training)、認知ソーシャルトレーニング(Cognitive Social Training)があると言われています。

 

わかりません!

最近1年生のRちゃんが「言うことを聞かない!」と話題になっています。到着時に到着処理の手順を見せても靴を脱ごうとしない,歩いている時に違う方向に向かっている場所とは違う方向に行こうとする等です。

同じようなことが学校でも起こっているようで,お迎えに行くと「Rちゃん言うこと聞かないんです。」と学校の先生も話しているようです。

そんな話を聞いたので一旦Rちゃんの立場になって考えてみました。Rちゃんは機能的言語の見られない子どもです。こちらの言っていることもどの程度理解しているかはわかりません。なので言葉で指示されてもいまいちわからないでしょう。そして文字も読めないので到着処理の手順書を見せられても恐らく理解は出来ません。(一応絵も入っていますが視覚優位の子でも抽象化された絵だけでは100%理解できるものではありません。)なので言葉で指示されればもっと「わかりません!」となるのは当然です。

ではどのように約束するのがいいか考えてみました。まず散歩の時に手を繋いで歩いてほしいのなら,親子が手を繋いでいる写真を見せて「これで歩こうね。」と約束をすれば出来るのではないかと提案しました。結果は成功し,Rちゃんは約束通り手を繋いで歩きました。

到着処理の手順についてはスモールステップで進めようと考えています。Rちゃんは「公園に行きたい!」という思いが強いです。なので「○○が終わったら公園に行けるよ」と交渉をしようと思います。まずRちゃんに「公園に行きたいです。」と公園の写真で要求をさせ,「じゃあ連絡帳を先生に渡して,鞄をロッカーに入れてからね」等,到着処理の一つを指示し,それから公園に行きます。それが出来るようになったら少しずつ手順を増やしていきます。

指示の仕方も鞄を片付けている写真にする等,試行錯誤しながら交渉も取り組もうと思っています。さて,Rちゃんがどのように変化するか楽しみです。

お世話がしたい!

来年3年生になるI君は先輩のお兄さんお姉さん達のことが大好きです。「一緒に○○しよう。」と誘われたらついて行き,先輩たちが荒い口調で話すと真似をして同じように口調が荒くなります。最近は同年代の利用者が増え,同じ年代の友達も出来ています。それも嬉しいようで「一緒にサッカーしよう!」「すてっぷに着いたらマイクラで○○しよう!」と楽しく話している場面が多く見られました。ちなみに同年代の友達は丁寧な口調で話すので,そのグループにいるときはI君も丁寧に話します。

最近,来年度から通う放デイを探すため就学前の子どもが体験に来ています。ここ1~2週間程立て続けに体験,見学の子どもが続けてきました。I君が来る曜日と被るので,体験の際はI君を含めたグループで設定遊びをすることが多いです。

するとI君は「準備は何をしたらいいですか?」と聞いてきました。すてっぷに到着したら真っ先に「パソコンする時間ある?」と言っていたI君が設定遊びの準備を優先したのです。そして体験の子が緊張して入りにくそうにしていると「一緒に遊ぼう」「おいで,ここに座るんだよ」と,お世話をする姿も見られました。

すてっぷには「振り返り」といってその日の行動や感情を言語化する時間があります。その時に「どうして積極的に準備してくれたの?」「誘導してくれて助かったわ,ありがとう!なんで誘導しようと思ったの?」と理由を聞いていましたが,今までは上手く話すことが出来ず「なんでかな~?」と言っていたI君でした。しかし先日理由を聞いた時は「ちっちゃい子だったから…」と少し話してくれました。「小さい子だったから僕がリードしなきゃ!ってことかな?」と返すと「多分そういうこと」と答えてくれました。

年上の先輩たちに引っ張られながら遊んでいたI君が同年代の友達,そして自分より下の友達…と集団が変わるにつれて様々な姿を見せてくれています。ついつい同じ集団で活動を組んでしまいがちですがI君のぐんぐん成長している姿を見て,多様な集団を組んで交流することって大事だな…と反省をしました。I君ありがとう!

生活リズム

G君がパソコンのキーボードを壊しました。理由を聞くとタイピング練習をしている時に公園に行っていた友達がぞろぞろと帰ってきて部屋がうるさくなり,集中できなくてイライラしたから,と話してくれました。

G君は子どもの大きな声が苦手で,イヤーマフを要求することはありましたがそれでイライラし,物に当たるということはありませんでした。

思えばG君は去年の11月辺りから休日のプログラムの時,起きられなくて欠席したり遅刻して来ることが何度かありました。生活リズムが乱れ,それが気持ちにも関係しているのかもしれないと考え,G君と話しをしました。

生活リズムと情緒の関係についてまだよく理解できていない様子でしたが,最近の睡眠時間と気持ちの変化について一緒に記録を取り,G君が自己理解できるよう工夫しながら支援をしたいと思います。また,春先の体調の変化が睡眠を妨げる場合もあるので,ドクターと相談することが大事だと青年期を迎えたG君に話していこうと思います。