すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

僕猫飼ってるんだ

(教えて! : 2021/10/26 )でのA君ですが,最近は友達に自分が飼っている猫の話をしたくてしょうがないそうです。A君が猫を飼い始めたのは半年以上前のことで「今更なんだけど~」から始まるのがお決まりです。

話しかけた友達が「かわいい?」「名前は?」と聞くと嬉しくなり,饒舌になるA君ですが,そこから話を広げることはまだ難しいようです。話しかけた友達が「そうなんだ」と答えるとそこで終わりになり,A君は独り言を話し出して自分の世界に入ります。

しかしA君はそれだけではなく,友達や職員がその話に興味を持って「僕は猫も好きだけど犬も好きだなぁ」「私は犬を飼ってるよ」と話を振ってもあまり興味がないようで最終的に「A君、聞いてる!?」と言われるまでがオチになっています。

他人に聞いてもらえる喜びを感じるようになり,自分から話しかけるようになったA君に新たな課題が見えてきました。まずはナラティブストーリー(ソーシャルストーリー)で「自分の話をしたい時は、相手の話も同じくらい聞いてあげると聞いてもらえることが多い」ことを教えようかな,と考えています。

任せたよ!

仕切る : 01/29でのV君がBさんに「僕,人に教えるの苦手やからBさんが卒業までにW君にマナーを教えてよ」とお願いをしていました。Bさんは「卒業する私よりもV君が教えた方がいいんじゃないの?」と答えました。V君は「みんなそう言うやん~!」と言いつつ「しゃーないかなぁ…」と少し納得している様子でもありました。

前回は職員から「仕切ってほしい」とお願いされると「うーん…」と悩んでいたV君ですが,先輩に言われるとやる気を見せます。職員等,大人からの声掛けも大事ですが,先輩や友達からの声掛けは大きな力を持っています。大好きな6年生の卒業が近づくにつれてこれからの自分の役割について真剣に受け止めているようです。

「やっぱりW君は苦手やなぁ」と言っているV君ですが,先輩達に後押しをしてもらって少しずつやる気が出てきているようです。V君,任せたよ!

 

缶がありません!

職員がK君に「アルミ缶を20本持ってきて缶潰しをしましょう」と作業課題の指示を出しました。するとK君はアルミ缶数本と,ペットボトルを十数本持って来ました。職員が「ペットボトルじゃなくてアルミ缶だよ。」と指示を出してもK君は動こうとしません。

職員がアルミ缶のある倉庫を見に行くとアルミ缶は底をついていて、K君が持ってきた分しかありませんでした。K君は「アルミ缶が少ししかないけど20本って指示されたから足りない分はペットボトルを持っていくか」と判断したのでしょう。

倉庫にアルミ缶を取りに行った時,あるいは「ペットボトルじゃなくて~」と言われた時に「ありませんでした。」「できません。」といったことをK君が職員に伝えることが出来たらすぐに解決できたと思います。

K君は機能的言語のみられない子ですがiPECSを用いてコミュニケーションを取ることが出来ます。しかし,こうした場合に援助を求めることができません。作業課題で欠品を職員に「ありません。」「○○が△個足りません。ください。」といった練習はしているのですが、汎化はしていないようです。機会をとらえて練習が必要だと感じました。

理由を考える

悪くないのに「ごめん」て言うか? : 01/20)でのQ君が,Yさんと職員でドッジボールを楽しんでいました。Yさんは鬼ごっこが好きで,「鬼ごっこしたい!」と提案をしましたがQ君がシュン...と黙ったので「じゃあドッジボールはどう?先生と3人でチームを回しながら遊ぼうよ」と別の提案をしてくれました。

するとQ君は「それなら一緒にやろうかな!」と乗り気になり,楽しく遊ぶことが出来ました。

振り返りの時に「今日は積極的に遊んでいたけど何か理由はあるの?」と聞くと「うーん…」と考え込んで,「前に先生が言ったようにルールのある遊びが好きなんかな,鬼ごっこは嫌やけど色鬼とか高鬼は楽しかったし。」と話してくれました。「やっぱりそう思う?じゃあ次鬼ごっこの提案があった時は『何かルールのある鬼ごっこやったらいいよ!色鬼とか!』って話してみたら?」と職員が提案してみると,「ちょっと考えてみるわ。」とQ君は話してくれました。

以前はすぐに「わからん!」と言っていたQ君が自分で理由を考えようとしていたことに驚きました。Q君はナラティブストーリー(ソーシャルストーリー)に取り組んでから時間を守るようになったり低学年の友達と優しく接してくれるようになりました。まだまだ形式的な他者理解ではあるけれど,この理解に支えられて,友達に断るときの「理由を考えてみたら?」という提案が役に立ったのかもしれません。

引き続きQ君と社交マナーの背景にある他者理解に取り組み,ロールプレイなどにも取組んでいこうと思います。

友達との約束

PちゃんはiPadでゲームをすることが好きな子です。特にピンクのカバーを付けているiPadにはお気に入りのゲームが入っている様で,他の子がそれを使っているのを見ると天井に向かって「ピンクタブレット~~!!!」と大声を出してパニックになってしまいます。その度に適切な要求行動に修正をする「やり直し」をお願いしています。

U君がピンクタブレットを使っている時はPちゃんはパニックになりません。落ち着いて「貸してください」とお願いをしに行きます。ここ半年程,U君にPちゃんがピンクタブレット使いたいと適切に要求してきたら拒否しないで『17時になったら僕と交代してね』と交渉する様に取り組んでもらいました。Pちゃんには交代の練習,U君には交渉の練習と言うことで半年間積み重ねてきました。今は,PちゃんはU君との交渉の意味が分かり,U君が「時間になったから僕に貸して」と言うとPちゃんは「どうぞ,ありがとう」と言って渡すことが出来るようになりました。

すると先日,C君がピンクタブレットを使っているとPちゃんは「ピンクタブレット~!」と叫んだのですが,C君がU君と同じように「この時間になったら交代してね」と交渉をするとPちゃんは時間ぴったりに「どうぞ,ありがとう」と渡したのです。U君と約束をする経験を積んでことが他の友達に対しても出来るようになりました。これにはC君も他の職員も驚いたそうです。適切な行動をした時に褒めればその行動は強化されていきます。ABA(応用行動分析)の成果を目の当たりにした瞬間でした。