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放課後デイサービスは2類型へ厚労省方針
障害児が通う放課後デイサービスは2類型へ厚労省方針
10/26(火) 【福祉新聞】
厚生労働省は10月13日、学齢期の障害児が通う放課後等デイサービスについて、2類型に分ける方針を固めた。現行の運営指針にある創作活動など四つの活動をすべて行う「総合支援型」と、理学療法など専門性の高い支援を提供する「特定プログラム特化型」の二つに整理する。それぞれの機能を明確にすることで、支援内容のバラツキを是正する。
同日の障害児通所支援の在り方に関する検討会(座長=柏女霊峰・淑徳大教授)に報告書案を示し、大筋で了承された。今後、関連する法律や障害報酬に反映する。
親の就労を支えることも重視し、支援時間の長短も報酬上の評価に反映する。学習塾やピアノ教室のような事業所は、障害特性を踏まえた支援になっていないと判断された場合、給付の対象外とする。
放課後デイは6歳から18歳までの学齢期にある障害児が通う事業所。現在は年齢に応じてどのようなサービスを提供するかは事業所に委ねられ、その内容のバラツキがかねて問題視されていた。
インクルージョン(包摂・参加)の観点から、障害児以外の子どもと過ごす時間を増やすことも促す。通う場所を放課後デイから学童保育に移したり、それに向けて併行利用したりすることは現在も行われているが、実績は多くない。
今後、それを増やすため標準的な手法を確立し、障害報酬でも適切に評価する。
都道府県による事業所指定の拒否(総量規制)については、住民の身近な生活圏域ごとのニーズと供給量をみて判断する仕組みに改める。
未就学児が通う児童発達支援事業所についても放課後デイと同様の考え方で2類型に分け、保育所との併行通園なども促す。総量規制の仕組みも同様に改める。
2020年度は放課後デイの事業所数が月平均で1万5408カ所、児童発達支援の事業所数が同様に7722カ所。12年以降急増し、障害福祉全体の給付費増大の要因とみられている。
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雨後の筍のように増えている放デイにも、淘汰の時期がやってきたようです。看板で発達障害に対応と打ち出していても、フォーマルアセスメントもできない放デイは学習塾と見なされ、給付の対象から外されていくのでしょう。逆に言えば専門的な支援をしている事業所は淘汰された事業所の子どもが流れ込んでくる情勢とも言えます。ただ、学習塾の「ような」事業所は切っていくという理解を地方行政がした時に、学習障害の捉え方が気になるところです。
この掲示板に何度か書きましたが、発達障害の一つに学習障害があるのに、学習とついているので学習のケアは学校教育の管轄だと誤解している行政関係者が結構いるように感じます。その結果、相談事業所の職員までもが行政の誤解に右慣れしてしまう傾向があるのではないかと危惧しています。学習障害は生まれつきの脳機能の障害で、親の育て方や本人の性格の問題から生じるものではありません。身体が動かないように、目が見えないように、耳が聞こえないように、文字や文が流暢に認識できなかったり出力できなかったりするのが発達性ディスレクシアを中心とする学習障害なのです。
学校や家庭で通常児の学習方法で学ばせようとしても、学習成果があがらないのに、それは家庭か学校でやれば良いというのは全く違います。まず、知的な遅れがないかどうか知能検査をして、知的な遅れがなければ次は読み書きの検査をして発達性ディスレクシアの傾向が認められた上で支援が始まります。
ところが、発達障害に対応しますと大きな看板を上げながらも、中に入ると売っているものが何もないような事業所もあるのです。検査によるエビデンスもなく、コグトレ(認知力を高めると言われる訓練:人によって違います)のプリントをさせて支援をしていますというのはまだ良い方で、従来のやり方で宿題に付き合ったり、ICT支援をしますと言いながらタブレットの学習ソフトを使わせるだけに終わっているところが散見されます。
一方で、地域には発達障害に対応している学習塾もあり、臨床心理士による発達検査(1~2万円)を行ってから支援計画を立て、週1回個別指導60分5千円を相場にして入会金も含めると年間30万近い授業料が相場です。対して放デイの保護者負担は1割負担の方がほとんどですから先の学習塾と同じ利用時間でも年間8万円ほどです。しかし、事業所への収入は40万円ほどになります。つまり同じように支援している学習塾よりも収益は高いのです。放デイの方が収益が多いからと適切な支援もせずに胡坐をかいている事業者を淘汰しようというのは良いことですが、真面目にやっている学習障害対応の放デイまでが駆逐されたのでは、角を矯めて牛を殺すことになります。