すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

自立学習の時間

じゃんぷでは子ども達が自分で学習をする「自立学習」の時間を作っています。子ども達が自分で学習を選び,順番を決め,自分がやりやすい学習方法を確立していく力をつけるために取り組んでいます。

集中するため,時間を意識するための道具を使ったり,解きやすい方法を個別の学習の時間の中で教え,自立学習の時にそれを使って自分で学習を進めるためです。

最初はこちらで取り組む内容を決め,子どもと相談しながら調整をしています。また,1人では難しい宿題等もあるため,そういうときは「先生に質問しても良い」というルールを設けています。しかし「わからないことがあったら質問したらいいよ~」と伝えていましたが中々質問が出来なかったりどうしたらいいのかわからないまま終わってしまうことが多々ありました。

そこで子どもそれぞれに「ヒントカード」を作り,「〇〇〇を貸してください。」「教えてください」といった言葉を書き,それぞれの子どもの前に張り出しました。そして使えた言葉には花丸をしたり,ヒントカードにはない言葉を使った時はそれを書き,「今の言い方もいいね!」と評価をしています。

するとどんどん子ども達が「教えてください」「〇〇を貸してください」と自分に必要な物を借りたりわからないところを聞いたりするようになりました。

具体的にどのような言葉を使えばいいのかわからなかったようです。子ども達の吸収力はさすがです。時間の意識が難しかった子が「タイムタイマー貸してください」感覚がないと集中が続かない子が「足のマットを貸してください」わからない問題を放置してしまっていた子が「この問題を教えてください」と要求するようになりました。

自分で計画を立てる

じゃんぷに通う小6のO君は今自分で学習の計画を立てています。中学になると定期テスト等で自分で計画を立てて学習を進めていく機会が増えていきます。

自分で見通しを持って計画を立てていくことが苦手なO君は学校の提出物が遅れてしまったり忘れ物が多かったりしました。なのでまず「その日のスケジュールを先生と一緒に決める」→「次の日のスケジュールを先生と一緒に決める」→「次の日のスケジュールを自分で決める」…これをスモールステップで進んでいっています。今は「次の日のスケジュールを先生と一緒に決める」に取り組んでいます。

O君は忘れ物が多いですが注意不足や衝動性,多動性による忘れ…というわけではありません。検査等からもそれがわかるのですが,ではなぜ忘れ物が多いのかというと「何のために必要なのか」をあまり感じていないようです。

つまり自分の中で「それが必要だ」と感じていないため,優先順位が下がり持ってこない,ということです。なので今,「自分で立てたスケジュールの元に準備をし,行動する」ということをしています。それから少しずつですが,O君の忘れ物は少なくなってきています。(まだ「やる必要あるのかな?」と感じている宿題については持ってこないことも多いですが…)

自分のスケジュールを理解しなければならない,と感じたのか家や学校でやるべきこと,やりたいこと等も話してくれるようになりました。じゃんぷで手伝ってもらいたい宿題や発表の準備等,少しずつ自分のやるべきことを把握してきています。

もうすぐ中学生になりますがまだまだ遊びたい年頃です。「ゲームがしたいなぁ…」とぼやくこともあります。先日はO君が「先生,スプラトゥーンのアップデートあるの見た?めっちゃブキ増えるし楽しみやなぁ!!」と話してくれました。

…ごめんよO君。先生は今パルデア地方で冒険をしています。

ボールシュート改

夏休みの終わりから、ワニワニパニック、ボウリングと集団遊びに取り組んできた、支援学校小学部低学年のグループ。11月中旬から、新しい集団遊びとして、「ボールシュート」という取り組みにチャレンジしています。

 もともと「ボールシュート」は、これまで上級生の子たちも取り組んできた遊びです。1人ずつ交代でチャレンジし、スタート位置からシュート位置までボールを持って歩いて(できる人はドリブルもして)から、段ボールで作ったゴールにボールを投げ入れる(落とす)というゲームです。段ボールのゴールは、ボールが入ったら「リン♪」とベルが鳴る仕組みにして、入ったことが分かりやすくなるような工夫をしています。また、段ボールそのものを床に置いてゴールにしていたので、前に投げるのが難しい子でも、落とすだけでゴールすることができるようになっていました。ただ、投げる前にうつむくように見る必要があり、自分で注目するのが難しい子も。また、落とすことができるようになっても、投げることに繋がりづらいという面もありました。

 そこで、今回チャレンジするグループの子達に合わせて、ゴールもアップデートすることにしました。ちょうどいいサイズの室内用の物干し台も見つかり、さっそく職員たちで改良。子どもの腕の高さにボールを入れる入り口を作り、ネットに跳ね返って、下の段ボールゴールに入るようにしてみました。

 ゴールが完成し、いよいよ「ボールシュート」の取り組みスタートです。出そろうのが難しくても、椅子に座って他の子を待つことがだんだんとできるようになってきています。みんなが揃ったら、さぁチャレンジ! ボールの受け渡しは、ボウリングの時の経験が活き、もうお手の物です。肝心の「ボールシュート」の取り組みは、足形のスタート位置の理解や、ボールを投げ入れることの理解に、初めは時間が必要でしたが、狙い通りボールを投げ入れる位置を自分で見ることができ、ボールをそこへ持って行くことができるようになってきました。自分で投げ入れられるようになるにはまだ積み重ねが必要そうですが、いつの日か公園で職員や友だちとボール遊びができるようになれたら嬉しいですね。この取り組みも、これまでの集団遊びと同じように、毎日コツコツと取り組んでいきます。

分数ってどういうこと~?

じゃんぷに通う3年生の多くの子どもが分数の学習に入りました。「分数ってどういうこと~?」と悩んでいる子どもも中にはいます。

分数の概念を教える時,下の画像のように丸いケーキをイメージしてそれを分ける場合や箱の中を分ける等,様々な具体例を出すことがあります。

初めに子どもがイメージをしやすいよう,こういった具体例を出します。ただイメージをすることが苦手な子ども達にとっては全く形が違うために同じ1/8でも「どこが同じなの!?」と混乱をすることがあります。1/8にはいろいろな1/8がありますが,今後習う小数との対応関係の学習,また継次処理が得意な子どもにとっては下のような細長いものの1/8が分かりやすいことがあります。

分数の概念がわからず,「数の小さい方から並べなさい」という問題で「1/2,1/3,1/4,1/5」と分母の数が小さい順に並べることもよくあります。こういった具体物の操作や視覚的な支援があるとよりわかりやすく分数の概念を教えることが出来ますね。

「友だちが褒めてくれたよ!」

 先日、小学生のJくんが学校の休み時間で描いたという絵を、すてっぷに持ってきて、職員と友だちのKくんに見せてくれました。絵は、2枚あって1枚はアニメのキャラクター。もう一枚はゲームのキャラクターの絵でした。Jくんは、「こっち(アニメのキャラクター)の絵は上手に描けたと思う。こっち(ゲームのキャラクターの絵)はあんまり上手に描けなかった。」と自信なさげ。ですがKくんは「○○じゃん。」と、Jくんが描いたゲームのキャラクターが何かすぐわかりました。そして、「おぉー!すごーい!」というようなリアクション。職員も「2枚とも上手に描けてると思うよ。」と伝えました。Jくんは、「ここを描くのが大変で…」と伝えたいことをKくんにずっと話をしていて、Kくんも「うん。うん。」と頷きながら話を聞いてくれていたので、Jくんは嬉しそうでした。

 翌日、「昨日、Kくんに見せたけど、(今日すてっぷに来る)Lくんにも見せたいから。」と、Jくんはこの日も2枚の絵を持ってすてっぷへ。Lくんには、ゲームのキャラクター(○○)の絵も、堂々と「見て見て」と伝えました。Lくんは開口一番に「〇〇じゃん。上手いなぁ。」とJくんに伝えました。その後も、「今までで一番上手いんちゃう。」と褒め、「この右手の辺りが上手に描けてて凄い。」や「絵上手に描けていいなぁ。」などたくさんの言葉を使って、Jくんが描いた2枚の絵を褒めていました。Jくんもたくさん褒められたので上機嫌になっていました。

 職員はJくんの2枚の絵を見て、「2枚とも上手い。」と正直に感じました。ただJくんは、「1枚は上手に描けたのだけれども、もう1枚の絵はあまり上手に描けなかった。」という気持ちが強かったようです。ですが、職員、Kくんに絵を褒めてもらう事で、「あまり上手に描けなかった。」から「そんなことないのかな。上手に描けているのかな。」と気持ちが和らぎ、Lくんにも堂々と見せることができたのだと思います。普段、職員たちが意識している「褒めて伸ばす。」ということが、子どもたち同士でもあるのだなと、ほっこりしたできごとでした。