すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

子どもなりの見通し

去年の12月頃から、じゃんぷに通うX君が「今日の宿題は自立の時間だけじゃ出来なさそうやから個別の時間にしてもいいですか?」と聞いてくるようになりました。

その子は算数に苦手意識を持っており、「わからん~!」となることが多いです。(といってもやり方を整理すればすぐに出来るのですが…)

彼が「個別の時間に宿題してもいい?」と聞くときは決まって「算数の宿題が筆算の計算20~30問」の時です。基本的に問題なく出来るのですが、彼からすると一目で見て量が多いと「うっ…」となるようです。それよりも文章問題や分数、図形の問題が不得意なのですが、そういう問題の時は「今日は問題数少ないから大丈夫!」と言って実際に直面したときに「教えてください」と聞いてきます。

つまり彼は「量が多い時は困っている」と自己理解をしているようです。本質的には違うのですが、今はそれでもいいのかなと思っています。彼なりに見通しを持ち、「こういう時は助けを求める」ということが芽生えてきているのでまずはそこを大切にしています。その中で「今日はどんな問題なの?」「今日は宿題自立で出来るって言ったけどどんな問題なの?見せて~」と整理していき、彼の自己理解に繋げられたらいいな、と思っています。

ひらがな聞き取りテスト

ずいぶん前にMIMについてこのブログで取り上げました。(めざせ読み名人!! : 2022/04/22)

ひらがなの拗音、促音が3、4年生でもまだあやふやな子も中にはいます。ふと筆者が教員だった頃に学校で取り組んでいたことを思い出しました。

「ひらがな単語聴写テスト」といい、京都市の小学校全体で取り組んでいました。(おそらく今もしているはず。)これは標準化されている『平仮名単語聴写テスト』(村井敏宏氏)と、『多層指導モデル MIM』(海津亜希子氏)を基に、京都市の景山功一先生(元向島南小学校教諭)が作成されたものです。 

これをした時、筆者のクラスの中にテストの点数がそこそこ良く、授業態度も真面目で勉強もしっかり頑張っていたある一人の子が「ほかいどう」「しゅぱつ」と促音をほとんど間違えており、驚いたことを今でも覚えています。

この時恥ずかしながらMIMのことなど全く知らず、ただただこれの補充プログラムに沿って放課後にその子の指導をしました。今考えるともう少し工夫出来たのではないかと反省しているのですが…

こういった「目立っていないが困っている子ども」を見つけるための工夫が各自治体でも取り組まれています。「ひらがな聞き取りテスト」もその一つです。ただこのテストは「そもそも書けない子」への支援がないので万能という訳ではありませんが…しかし学習に悩んでいる子、悩んでいることに気づいていない子を見つけ出し、一人でも多く適切な支援を受けて学習出来ることが何よりも一番です。

京都市が取り組んでいるひらがな聞き取りテストについてはこちら

「今度はこおり鬼!」

 「いっしょにあそぼ!」(2023/2/7)で紹介した支援学校小学部のPさん。友だちのことが大好きで、今日は友だちと遊べるかな?と思いをはせて帰ってきます。すてっぷに着くと、まずは自分や友だちの予定が書かれているホワイトボードを確認。下校時間の都合でPさんが先に公園に行くことが多いのですが、友だちと遊べることを心待ちにしていて、「〇〇くん、もう来る?」と職員に尋ねる姿も見られるようになってきました。

 友だちとの遊びは、職員が支援しながら行っています。鬼ごっこは職員との1対1からスタート。最初は逃げるだけだったのが、タッチされたら鬼が交代して、今度は自分が追いかけるということが理解できるようになってきました。職員が付いて、友だちと一緒に鬼ごっこすることにも最近取り組んでいて、今は「こおり鬼」にチャレンジしています。鬼の交代がなくPさんにとって分かりやすい中で、こおりの人を助けたり、逆にこおりになっているところを友だちに助けてもらったりと、友だちと関わりながら遊んでいます。

 先日のこと、Pさんは一足早く大きなU公園へ行き、友だち達は学校が終わって集まり次第、近くのV公園へ行くことになっていました。すてっぷに帰ってきたPさんはいつも通りホワイトボードを確認。するとPさんは、「1番U公園、2番V公園!」と職員に伝えました。最初にU公園に行って職員と遊び、次にV公園に行って友だちと遊びたいと伝えたのです。Pさんが自発的に伝えられたことを職員はほめ、友だちの来る時間に合わせてU公園からV公園に移動しました。V公園は比較的狭い公園で、「田んぼの田」をすることに。Pさんはいつもの鬼ごっこのように田のエリアに気づかず逃げていきます。ですが職員がPさんに田のエリアを注目させると、友だちの動きをまねながら、田のエリア内をぐるぐる逃げ回るようになりました。次は大繩での八の字跳び。これも始めはその場跳びになっていたのですが、後半は友だちの動きをまね、外から縄に入ろうと伺うように。職員がタイミングを教えることで、見事縄に入って一度跳んでから外に出るという、八の字跳びの動きができて、友だちと一緒に続けることができました。

 学校が違っても一緒に遊べる場を作れることが放課後等デイサービスの強みの一つだと紹介してきましたが、そこで発揮される子どもの能力のすごさには改めて驚かれるばかりです。それと同時に、その機会を逃さないためには、適切に支援できる能力が必要であり、職員としては身を引き締まる思いがします。Pさんの保護者の方によると、Pさんは家でも姉妹やその友だちも意識して、いっしょに遊ぼうとする姿が見られるようになってきたそうです。Pさんを初め、すてっぷの子どもたちが豊かな放課後を過ごせるよう、励んでいきます。

算数障害スクリーニング検査

今年の1月に発売された『算数障害スクリーニング検査 ~適切な学習指導は正確なアセスメントから~』(熊谷恵子・山本ゆう 著)を購入し、読みました。

本書は算数障害の背景、具体的事例、そして算数障害のスクリーニング検査用紙がついています。算数の困難がある子ども達の中には知的能力は低くないものの、認知能力のアンバランスがあり、学習障害の中の算数障害である場合があります。これらの認知能力のアンバランスさについてはWISC-VやK-ABCⅡ等の知能検査の中で明らかになることが多いですが、本書の検査でも同様に知ることが出来ると感じています。

本書の検査では子どもの算数に関する認知のアンバランスの傾向をおおまかに捉えることが出来ます。数処理が苦手なのか、数概念なのか、計算なのか…等々。それぞれの苦手への具体的な支援のポイントも書いてありました。

家庭での子どもの苦手の把握だけでなく、学校の教室で取り組み、グレーゾーンだと思われる子どもの苦手を教員が捉えるために使用してもよいかもしれないですね。

がんばるます!

じゃんぷに通うT君が一人で帰れるよう練習を始めます。T君のお家はじゃんぷから少し離れたところにあるので電車で来る必要があります。なので行きは最初保護者に送ってもらっていたのですが、去年の9月頃から一人で来れるようにと練習を始め、今は家から一人で西向日駅まで来れるようになりました。

さて、先日保護者の方と面談をし、「帰りも一人で来れるのではないか」と話になり、帰りも自立的に来れるよう練習を始める、ということになりました。T君は行きが一人で来れるようになったことが嬉しいようで、家から一人で来れるようになった頃は「今日も一人で来れたで!」と報告をしてくれていました。それだけ彼の自信になっています。

本来忘れ物が多く、ワーキングメモリーも弱いため様々な場面で大人からの声掛けをされてきた彼です。「出来るかなぁ…」と不安がっていたことが練習を積み重ねたことで一人で出来た結果に繋がったのだと思います。今回は不安な言葉ではなく、「がんばるます!」と言ってくれました。

子どもが一人で、自分の力で出来たという経験は何よりも自尊心になります。T君は今年度そんな経験をたくさんしてきました。不安なことは不安だと大人に相談し、一人で出来そうなことは「やってみる!」と判断も出来るようになってきています。がんばえ~、T君~!

読みの支援

じゃんぷに通う子どもの中に「音読の宿題が嫌だ!」と話す子どもがいます。そういった子ども達の文章の読みを聞いていると、様々な困難が見えてきます。読み飛ばしや勝手読み(文章に書いていることと違うことを言ってしまう)、逐次読み(文字を一つ一つ拾って読む。「こ…ん…に…ち…は…?」と文章の文字一つ一つを拾って読む。「きゃ」「きゅ」等の拗音も文字を一つずつ拾うので「き」「や」と読む。)と、子どもによってそれぞれですが、どの子も読みの流暢性に困難を持っています。文章を読むことがその子にとって大きなエネルギーを使ってしまったり、文字の形と音が一致していない等、原因は様々です。

さて、根本的な支援としては「聴覚法」や「T式ひらがな音読支援」といった方法があります。それぞれの子どもによって合う合わないがありますので、じゃんぷの中でも聴覚法に取り組んでいる子もいればT式ひらがなに取り組んでいる子もいます。

ただ何よりも子どもに成功体験を積むことが大切です。普段の学校生活の中でこういった子ども達が「出来た!」と感じることが必要なのです。トレーニング以外で普段の学習と結びつけるのであれば、読んでいる1行だけが見える「リーディングルーラー」を使う、文節ごとに線を引き、まとまりが見えやすくする、教材そのものに興味がないのであればその子の興味のある題材の文章を使う…等々

普段の生活での「読めた!」そして聴覚法やT式といったトレーニング、どちらの経験も必要かな、と筆者は感じています。

子ども同士の「良い影響」

ある曜日のじゃんぷの子ども達は休憩時間、ままごと遊びに興じています。ある子どもの「みんなでままごとしよー!」という言葉をきっかけにして遊んだところ、ものすごく楽しかったようです。それからそのメンバーではままごと遊びをするのが定番となりました。

そのメンバーは以前までは一緒に遊んだり、それぞれで遊んだりとバラバラでした。遊びの時間が終わると切り替えが上手く出来る時とそうでない時と、そこもバラバラでした。今、みんなで一緒にままごとをしていると片付けも遊びの中に入っています。「〇〇君これおねがい~!」「〇〇さんこれどこに片付けるの~?」と遊びの中で片付けもし、それが終わると全員が次のことに向かいます。こちらが意図していないことではありましたが、子ども達のまとまりが上手く組み合わさり、お互いに良い影響を与えた結果なのでしょう。

また、別の曜日はけん玉遊びがブームになっています。一人の子がけん玉達人で、一人で技をしていたのですが周りの子がそれに興味を持ち、「教えて~!」と聞くと拙いながらも教えてくれています。あまり人に興味を持たず、「教えるのめんどくさい~」と言っていたのがなかったことのように楽しそうに教えてくれています。また、教えられた子はほとんどけん玉が出来なかったのに今では家でも隙間時間があればけん玉の練習をしているようで、かなり上達しています。(筆者は完全に追い抜かれました。)その子もコミュニケーションが苦手な子でしたが、教えてもらって上達することが本当に嬉しいようです。積極的に技のコツを聞き、教えてもらっています。

子どもたち同士の関わり合いの中で良い影響があるのはこのブログで何度も書いてきたことですが、良いエピソードがあったので今回も書かせていただきました。また何かあればお伝えしようと思います。

 

 

「どうして?」

インクルーシブ教育を通常学級で行うには?専門家に聞いた実践例やヒントを紹介

「合理的配慮のある授業(2023/02/22)」で紹介した記事の後半、「やさしいどうして?」についてです。

子どもが不適切行動をした時、まず「どうしたの?」と聞くようにしています。例えばじゃんぷだと子どもが遅れて来ることがあります。そういう時はまず子どもに「どうしましたか?」と聞いています。遅れたことよりも、子どもが自分で「なぜそうなったか」というのを客観的に分析し、説明できることが大切です。

その後、「じゃあ次どうしたらいいかな?」と一緒に考えるか、「頑張ったんだね」と来れたことを評価するかは子どもによって違いますが、遅刻したことを責めても何も意味がありません。子どもに寄り添って一緒に考える方が子どもにとっても有意義でしょう。

子どもの不適切行動についても同じです。教室で歩き回っている子、暴れたりする子がいることもあります。ただ「こら!」と怒るのではなく「なぜそのような行動をしているのか」を分析し、どのような支援が必要なのか、今の環境は本当に適切なのかを考えることが大切です。

支援の共有

 

 すてっぷでは特に支援計画の見直しの時期を固定しているわけではありませんが、4月入所の方が比較的多いこともあり、6か月ごとの見直しが重なる時期が生まれます。この2月、3月がまさにこの時期で、保護者の方に日程を調整していただき、毎日のように面談日が設定されています。

 支援計画の見直しは、事後評価及び次期の支援計画の原案を作成後、常勤職員全員で検討会議をするようにしています。この会議でこの半年の支援の評価が適切か、次の半年の方向性は変更した方がよいか議論し、次期の支援計画案を作成しています。

 ここで次の半年の方向性を考えるとき、どうしても評価に引っ張られてしまうことがあります。評価で出来ていなかったことの支援を続けていこうだったり、評価で『達成』でも続けていった方がいいだろうと考えたりして、次期の方向性が変わらない原案が会議に出されることがあるのです。

 もちろん評価が『未達成』や『ほぼ達成』で、今の支援を続けていけばあと半年や1年で『達成』になるだろうと考え、引き続き支援を行うことを保護者の方に提案する場合もあります。ですが進学や卒業までの期間を考えた時、支援を引き続き行うばかりでよいのか、と立ち止まり、視点を変えることが必要なことがあります。それは進学した姿、卒業した姿を思い浮かべて、そのときに身についていてほしい力、できるようになっていてほしいスキル、そのために今取り組むべきこと(職員にとっては支援)は何だろうかと考えることです。支援する立場としては、今取り組んでいることや、今できないことだけにとらわれず、未来の姿を考えて日々の支援を積み上げていることを忘れずにいたいと思っています。

 支援するうえで何よりも大事なのは、本人や保護者の方、または学校の先生方や他の支援者の方たちと、支援の方向性を共有することです。そのときに、引き続きという言葉は大変便利です。ですが支援者として、時には視点を変えて考えること、結果として方向性や項目を変えるなら、本人や保護者の方に丁寧に説明して提案していくことを怠ってはいけないと思っています。保護者の方にわざわざすてっぷまで来ていただき、面談のために貴重な1時間をいただいていることに感謝しながら、その時間でより良い支援を共有できるよう努めていきます。

合理的配慮のある授業

インクルーシブ教育を通常学級で行うには?専門家に聞いた実践例やヒントを紹介

先日の夜、合理的配慮について調べていたら興味深い記事を見つけました。Y先生と「合理的配慮のある授業ってなんだろう?」と雑談の中で話題になり、「読み書き障害のある子どもでも内容が『わかった!』と思える合理的配慮って何があるんだろうね~」と話していました。

筆者が教員時代、小中連携の研修で中学校の英語の授業を見たことがありました。その時、支援学級の子どもも交流授業で参加しており、支援級の担任の先生に支援してもらいつつも生き生きと授業に向き合っていたことを覚えています。事後検討の時に「事前に授業の内容を支援級の先生に伝えている。」「支援級で少し授業内容の練習をしている。」と教えてもらいました。その時には「あ、事前に連携して子どもに見通しを持たせることが大事なのか~」と感じていましたが…

Y先生と話している中でまだまだ自分の考えが浅かったことに気づきました。上にあげたのは「英語のスペシャリストである先生と、特別支援のスペシャリストである先生がそれぞれの分野を生かして連携した」ということです。

英語の先生はその授業で必ず押さえておかなければいけない「ポイント」を把握しています。それを支援級の先生に伝え、その子に合わせた練習をさせたのでしょう。そこがズレてしまえば、ただ子どもにしんどいことをさせることになってしまいます。授業の中での合理的配慮、ということでしたがじゃんぷでの学習支援にも通ずることだなと感じていました。

さて、記事の後半には「やさしいどうして?」という言葉もあります。これについてはまた後日記事にしようと思っています。

 

『はらぺこバハムート』

 1月から導入したボードゲームで、子どもたちが特に気に入ったゲームの一つが『はらぺこバハムート』です。『はらぺこバハムート』はすてっぷに置いてあるボードゲームでは珍しく1対1で対戦するゲームです。

 これまですてっぷに置いていたボードゲームは、3人以上で遊べるものがほとんどでした。3人以上で遊ぶことで、コミュニケーションの幅を広げていくことが狙いの一つだからです。そういう意味で言えば、『はらぺこバハムート』は1対1の対戦ゲームですので、コミュニケーションを取る目的は、そう多くありません。ですが、すてっぷでボードゲームに取り組む狙いの一つ、見えないものを想像する機会がたくさんあるのが、この『はらぺこバハムート』です。

 『はらぺこバハムート』は、基本的にはカードを使った対戦ゲームです。カードに書いてある効果を使って、相手のライフポイントを減らし、相手を0にしたら勝ちと言うゲームです。『遊戯王』や『ポケモンカード』といったトレーディングカードゲームを例に挙げるとわかりやすいでしょうか。ただそれらと違って、『はらぺこバハムート』は16種類のカード1枚ずつしか使いません。面白いのは、対戦するお互いが手札はそれぞれ持つのですが、手札を増やすために引く山札、そして手札を使った後に置いておく捨て札が、一つずつで対戦相手と共有するというルールです。さらに山札がなくなっていて引けなくなったら、何があるかわかっている捨て札を良く切って山札にします。そのため、山札に何があるかわかってカードを使ったり、自分の手札と捨て札から相手の手札を推測して出すカードを変えたりという要素が生まれます。そこで、見えていないものを想像するという力が発揮されるのです。

 『はらぺこバハムート』をよくリクエストするのが、小学生のTくん。Tくんは違う場所で『はらぺこバハムート』をしたことがあったそうで、すぐにすてっぷでもお気に入りのボードゲームになりました。初めて『はらぺこバハムート』をする友だちにも、丁寧に分かりやすいようにとルールを説明します。そして何のカードを使うか悩んでいる友だちに、「いいよ。待ってるよ」と穏やかに伝えていました。友だちが慣れてきたころには、休憩時間でもTくんや友だちが『はらぺこバハムート』をする姿も。カードの一覧リストとにらめっこしながら、相手の手札や山札に何のカードがあるかじっくりと考えています。見えないものを想像するということが苦手な子も少なくありませんが、でもおもしろいと思えるきっかけになってくれたらと思いながら、支援しています。

「うぅ~」

障害のある方の中には障害が重く、言葉のない方がいます。例えばタイトルにあげたように「うぅ~」と声を出すだけの方もいます。言葉がなく、会話でのコミュニケーションが難しいため、「何を考えているのかわからない。何も考えていないのではないだろうか。」と誤解されることもあります。

さて、なぜこのようなことを突然書いたかというとY先生から「東田直樹さん」について教えてもらいました。恥ずかしながらこの業界では有名な東田直樹さんの「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」を読んだことがなく、つい先日Y先生に本を借りてようやく読みました。また、東田直樹さんと作家のデイヴィッド・ミッチェルさんのドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」もようやく見ることが出来ました。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」を読むと東田さんが自身の障害について考えていること、普段の生活について感じていることを丁寧な文章で書かれています。何よりも動画で見た東田さんがこのような文章を書くことに大変驚きました。

見えている姿と本人の考えていることは本当は違うのかもしれません。私たちは専門家なので、子ども達を適切にアセスメント・評価をしながら支援を考えていく必要がありますが、わかった風になっていたと思うことがあります。

子ども達は日々成長しています。筆者も子どもから学ぶことが毎日あります。私がこれまでの教員生活で担任した子ども達、また、すてっぷ、じゃんぷで見た子ども達を改めて見直す必要があるように感じました。

「楽しんでね!」

 今年の冬は厳しい寒さが続いています。普段は外で元気に遊ぶ子どもたちも、公園に行ったかと思ったらあまりの寒さに予定を切り上げて帰ってくることもあるほどです。あと1か月ちょっとで4月。穏やかな気候の春を迎えたいと願うばかりです。

 さて、新しい年度に向けて、見学・体験の問い合わせが増える時期。すてっぷでも何人かのお子さんが見学・体験に来られることになりました。お子さんの体験時は、その子に合わせたグルーピングが組める時間に来ていただけるようお願いしています。もし実際に利用されるとなった場合も、なるべくそのグルーピングができる曜日を提案しています。それはすてっぷが、集団での活動や生活を前提としている中で、子ども一人一人が楽しみながらも成功体験を積み上げてほしいと願っているからです。

 先日は、小学生の子が体験に来るということで、小学生のグループで事前の打ち合わせをしました。小学生グループの一人、Sくんは去年すてっぷに来たばかりで、通い始めて1年ほど。したくないことでも調整して集団に参加しようとしたり、友だちへの声のかけ方を工夫したりと頑張っています。最近は友だちとの交渉も穏やかにできることが増えてきました。そんなSくんですが、体験生を迎えるとなって大張り切り。みんなで遊ぶ取り組みとして職員が「ストラックアウト」を提案すると、「じゃあ、ボールを渡す役をする!」と立候補。職員が最後に「体験生が来た時はどう遊ぶ?」とみんなに尋ねると、Sくんは「優しくする。楽しくなるようにする。」と答えました。

 そういえばSくんが初めてすてっぷに来た体験のとき。同じ小学校でSくんのことをよく知っているお兄さんがすてっぷにいて、Sくんを迎えてくれました。お兄さんはSくんのことを「僕の親友!」と職員に紹介して緊張をほぐしてくれました。さて、迎える側になったSくん。お兄さんのように緊張をほぐしてあげることができるでしょうか? 目標の通り、優しくすることができるでしょうか? 体験の日が楽しみです。

注目するポイントを見極めて!

昨日の記事(左手は添えるだけ 2023/ 02/15)の続きです。今回は具体的な事例を紹介します。

2週間ほど前、自立学習をしていたRさんが「教えてください。」と質問して来ました。内容は算数の引き算の筆算です。繰り下がりの必要な問題とそうでない問題がバラバラに混ざっているプリントでした。Rさんが質問してきたのは「28-14」という問題で、プリントには十の位の「2」に斜線を引き、一の位の「8」に10をつけていました。それまでは繰り下がりの必要な問題だったので同じ処理をしたのでしょう。一の位だけで「18-4」の式になってしまい、「???」と混乱したようです。「一の位を見てみ、繰り下がりじゃなくてそのまま引けるでしょ。」と伝えると、「なんだそういうことか~」と理解した様子で自立学習に戻っていきました。

その1週間後、Rさんが同じ内容の宿題が出ていたようでまた「教えてください。」と質問をしに来ました。内容は同じです。繰り下がりが必要ない問題で繰り下がりの処理をし、混乱した様子でした。前回と同じように「一の位を見てみ、そのまま引けるでしょ~」と伝え、「あ、そうだった~」と理解して戻っていきました。

Y先生と相談し、Rさんが同じ内容の宿題を持ってきた時には「一の位を見て引けるか引けないか、そこだけに注目をさせよう。」と決めました。「一の位」をキーワードとし、そこには大人が注目をさせる。Rさんが「引ける?引けない?」を考えるようにします。子どもが何に困っているのか、どんな支援をしたら自分で出来るのかを整理し、支援をしていくことが大事ですね。

左手は添えるだけ

「左手は添えるだけ」

SLAM DUNK(作・井上雄彦 集英社)という漫画の有名なセリフです。主人公のバスケ初心者である桜木花道がシュートの練習をする時に主将からもらったアドバイスが「左手は添えるだけ」です。バスケのシュートをする時にいろんなアドバイスをもらいますが、桜木にはこのシンプルなアドバイス一つだけを徹底して頭に入れさせ、練習に打ち込みました。

じゃんぷで子ども達に学習を教える時も同じです。子ども達にあれやこれやと教えても情報量が多くて処理しきれず混乱してしまいます。それよりも学習のポイントの要点を抑え、シンプルにした方が子ども達も頭に入りやすいです。

また、教える時の要点だけでなく、ホワイトボードを使うときも出来るだけシンプルにし、子ども達に抑えてほしいポイントに注目出来るよう配慮をしています。

子どもがわからない様子を見せた時、ついつい「この教え方だったらどうだ」「この方法なら」といろいろと手を出してしまいがちです。しかしその子がどのやり方が得意なのかを分析し、子どもが混乱する前に成功体験が積めるよう支援をしていくことが大事です。「シンプル・見える化」が重要ですね。

今度は友だちと

 「いっしょにあそべたよ」(2023/2/10)で紹介したように、Qさんは友達との集団遊びをする機会がなかなか作れませんでした。支援学校小学部のメンバーはこの冬はボールシュートにチャレンジ。「ボールシュート改」(2022/11/29)で紹介したトトロの口のゴールに向かって、ボールを投げてシュートする遊びに集団で取り組んできました。

 Qさんもタイミングを見つけて、この集団遊びに参加することはありました。友だちがボールを投げるのをニコニコと見ている様子はなんとなく感じられたのですが、いざQさんの番とボールを渡しても、ポイっと端に投げるばかりで、いっしょに遊べたとはなかなか言えませんでした。

 ところが、「いっしょにあそべたよ」の経験があってから、Qさんに変化が。職員と1対1でボール遊びをしていると、職員がボールを投げる様子を見て、身構えるように手を動かします。そしてボールを受け止めて投げ返すとき、職員を見て投げているようです。そこでボールシュートのゴールを出してみると、Qさんの投げたボールがゴールに向かって飛んでいきました。これには職員みんなが驚きました。休憩時間に友だちからの関わりで生まれた遊びがきっかけで、相手やゴールを意識し始めたように感じました。

 もちろん、まだチャレンジは2回ほど。毎回ゴールに向かって投げているというわけでもなく、まだまだ職員と遊ぶ中で、できているかどうか確認していく必要があります。それでも友だちと共有できる遊びに一歩踏み出したQさん。友だちとのボールシュートにチャレンジする機会をぜひ作ってみたいと思っています。

SNSってさぁ…

「Tiktokは悪いことばかりじゃありません! 投稿日時 : 02/06」でも少しSNSのことに触れました。最近のスシロー等のこともあり,特に18時以降にじゃんぷに来る子ども達とSNSのことについて話すことがあります。

基本的には「理解できないよね~」と話していますが,「なんでそういうことをするのかな」という話題になりました。「目立ちたいから」「いいね!をもらえるから」「かっこいいことやと思ってるから」…普段あまり喋らない子も含めていろんな意見を出してくれました。

これからSNSは更に発展していきます。じゃんぷに通っている子ども達もそれに全く触れない,ということは恐らくないでしょう。しかし暗黙のルールや決まり,目に見えない相手等,SNSにはここに通う子ども達が苦手としていることが多いです。実際現在のSNSにも特に必要ないのに他人を攻撃したり,自分を存在感を上げるために他人を貶めるような書き込みをする人はいます。そういった人たちが承認欲求のためなのか,精神的に未熟なのかどうかはわかりません。ただそれがイメージの低下に繋がったりすることは事実です。

子ども達と学習以外の場ですが社会的なことを話しが出来たことは大きな意味があったように思います。

「いっしょにあそべたよ」

 「いっしょにあそぼ!」(2023/2/7)で紹介した小学生のUくんは、1年生のときからすてっぷに通っています。設定遊びなどは小学生のお兄さんお姉さんたちといっしょに取り組むことが多かったのですが、支援学校の友だちとも一緒の場で過ごしてきました。Uくん曰く、「お兄さんお姉さんに教えてもらった」そうですが、当時のお兄さんお姉さんたちよりも自然に、どの友だちにも分け隔てなく関わっていたように思います。Uくんには感覚過敏があり、友だちの状況によっては嫌がることもありましたが、我慢するのではなく友だちだから伝えようとする姿も見られました。

 また、Uくんは友だちの素晴らしいところを見つけるのも得意。「いっしょにあそぼ!」(2023/2/7)のPさんのことも、「Pちゃんはおにごっことかだるまさんがころんだが分かってなかったけど、分かるようになって交代できるようになったんやで」とお母さんに報告したそうです。そしてお母さんからそういった報告を聞いた職員はほっこり、ということが何度もありました。

 先日、取り組みも一通り終わり、ゆっくりと休憩していたときのことです。支援学校小学部のQさんは言葉でのコミュニケーションは難しく、身振り手振りで「ください」「いらない」と伝えることを職員と練習中。また遊びを見つけることが難しく、友だちと関わる機会をなかなか作れませんでした。このときも座って一人で休憩していたQさん。職員は遊びに誘おうと「ボールする?」とQさんに声をかけていました。すると近くにいたUくんが、「Qさんはボールよりもクッションがいいやろ」と、丸い大きめのクッションを持ってきたのです。そしてそのまま、クッションをQさんに渡しました。初めはポトッと落とすだけだったQさんですが、それに対してUくんは「お~!」と反応し、またクッションを渡してきます。するとQさんはUくんをしっかりと見てクッションを両手で受け止め、すぐにUくんの方へ両手で押し返しました。それを見ていた小学生の友だちが「僕もやる!」と加わり、職員と合わせて4人でクッションパスの遊びの輪が。QさんはUくんや友だちが渡してくるクッションをしっかり見て、自分に来たらUくんだけでなく友だちの方にもクッションをはじき返します。パスを受け止めた小学生たちの「やったー!」という声で遊びが盛り上がり、Qさんも遊びの雰囲気を楽しみました。

 Uくんの友だちに対する理解のし方やかかわり方は、小学生の後輩たちにも良い影響を与えています。それは支援学校の友だちのことに限らず、小学生同士でトラブルが起きがちだった関係が、ここ数か月で随分と柔らかなかかわり方に変わってきました。今の小学生たちにとっては、Uくんが「教えてくれるお兄さん」になっています。

 

今日、好きになりました。算数編

Abemaは関係ありません。

先日じゃんぷに通う小学1年生の子の宿題を見ていました。繰り下がりのひき算の問題です。その子は読み書きもですが,計算も苦手意識があり指で数えて計算をしています。

宿題をやることはやるのですが,苦手意識も相まってモチベーションは低いです。「はぁ~算数かぁ~」と言いながら宿題のプリントを出しました。小1では「5のかたまり(5になるかず)」「10のかたまり(あわせて10になるかず)」等,一つずつステップアップをしていくのですがそこがまだ定着していないようで,算数指導用のブロックを使いながら計算をしていきます。それで5のかたまりや10のかたまりを意識させながら問題に取り組んでいます。

それを続けているとある事にふと気づいたようです。「…先生,これ答え全部9やな。」と言ってきました。指を差したのは「11-2」「12-3」「13-4」です。ブロックを使いながら計算をしているうちに,「答えが9になる問題の共通点」を見つけたようです。上手く説明できるわけではないですが,「1個多かったら9やな!」と話してくれました。

自分で問題の解き方に気づき,それが正しかったという経験が自信をつけたのでしょう。「俺算数好きやわ!」と話してくれました。今も宿題に苦戦はしていますが以前ほど「嫌や~」という姿はありません。やる気を持って取り組んでいます。その日,算数を好きになったようですね。

「いっしょにあそぼ!」

 支援学校小学部のPさんは、公園遊びやタブレット遊びが大好き。そして、それぞれの遊びの中で、コミュニケーションが課題だったPさんが大きく成長した姿を見せてくれています。

 すてっぷに来た頃のPさんの公園遊びと言えば、砂場での一人遊びがほとんどでした。そこでPさんの一人遊びは保障しながらも、友だちとの集団遊びを少しずつ増やしていきました。だるまさんがころんだや鬼ごっこなど、最初は理解が難しかった遊びも、職員と1対1で取り組むことで意味が分かるようになり、自分だけでも参加できることが増えていきました。そして今では公園に行く前から、ホワイトボードを見て誰と一緒に行けるかを確認。公園に着いたら「○○くんー」とすてっぷの友だちとの集団遊びに参加したり、ときには地域の友だちとも遊んだりする姿が見られるようになりました。一方のタブレットについては、友だちとの約束(2022/2/7)で紹介しましたが、PさんとUくんとで約束を守れたという経験を積んだことで、PさんはUくんに対して信頼関係が築けたのかもしれません。Uくんのそばで過ごすことも増え、またUくんが遊んでいるタブレットのアプリやテレビゲームに興味を持つようになっていきました。

 先日、Uくんが小学生の友だちと職員とでテレビゲームの「スマブラ」で遊んでいる時のことです。PさんがUくんと職員の座るソファに一緒に座り、テレビゲームの様子を見始めました。Pさんは以前からときどき同じようにして様子を見ていたので、もしかしたらいっしょに遊べるかもしれないと職員は考え、Pさんを誘ってみました。するとPさんは「先生とチーム!」と言って参加。Uくんたちも受け入れ、試合スタートです。前半は職員が操作し、後半はPさんに交代。するとPさんはコントローラーを使い、つたないながらも技を繰り出します。その後も職員の補助がありながらも、試合が終わるまで一緒に遊ぶことができました。その後、職員は他の子の支援のため離れたのですが、帰るまでのもう一試合もPさんはそのまま参加。自分で好きなキャラを選択して試合スタートしたのです。UくんもPさんだけで参加することに驚いたようでしたが、Pさんが見やすいように座り位置を変え、一緒に最後まで遊びました。

 支援学校、小学校と違う学校の子ども同士が関われることが、放課後等デイサービスだからこそできることの1つだと考えています。そのために必要な支援を日々積み重ねていますが、Pさんの成長には目を見張るほどの驚きがあります。もちろんUくんの理解やかかわり方も大きかったと思います。Uくんが活躍したエピソードをまた紹介したいと思います。

Tiktokは悪いことばかりじゃありません!

じゃんぷに通う子ども達の中にはTiktokをよく見ている,という子どもがいます。「Tiktok」とは今若い世代(所謂Z世代ですか?)に人気の,音楽に乗ってダンスをしたりちょっとした面白い動画をアップして皆に見てもらう,というアプリです。

個別学習の時間が少し早めに終わり,最近あった楽しいことを話すことになったO君。「Tiktokで面白い手品動画があってな!それちょっと練習したいねん!」と話してくれました。読み書きが苦手で,他の人に上手に説明するのも苦手なO君ですが,「〇〇っていう人で…『封筒 手品』で検索したら出るかも!」と相手に伝わることを意識しながら説明をしてくれました。「これを休憩にしたいから,先生封筒とはさみある?出来たら貸してください!」と要求し,少し練習をしてからみんなの前で手品を披露してくれました。

最近はスシローなどの迷惑行為の動画で話題になっている動画投稿系アプリですが,子ども向けの工作や手品動画を出している投稿者もたくさんいます。今回のようにそこから自分の興味を引き出し,良い形でみんなに発信してくれることがあります。悪い方面ばかり目立ちがちですが,このように子どもにとって良い面もあります。今週は珍しい動物を扱っている人を紹介してくれるそうです。楽しみにしてるよ~!

「レシピを検索!」

 支援学校中学部のNくんは、文字を書いたり読んだりすることが苦手で、2学期の半ば頃まではすてっぷに帰ってきても宿題にかかりきり。漢字や記述の宿題をなんとか終わらせ、あとはパソコンのキーボード練習とおやつだけでもう帰る時間に、という日も珍しくありませんでした。

 2学期の後半くらいから、宿題の内容と量が少しずつNくんに合うように変わっていき、すてっぷでの活動時間にも余裕が出てきました。そこでキーボード練習も上達し、ICT機器の扱いも得意なNくんに、調べ物学習をしてもらうことにしました。生活に紐づいた調べ物ということで、Nくんと相談した結果、おやつ作りのレシピを調べることに。早速Nくんはどのおやつを作るか、すてっぷにある写真から「チャーハン」を選び、iPadでレシピを検索しました。

 ICT機器なら文字の入力はお手の物のNくん。すぐにチャーハンのレシピを見つけました。そのページには作り方の動画まであり、そのレシピで作ることに決定。職員が必要な材料を聞くと、Nくんは「メモ用紙ちょうだい」と職員に伝えます。メモ用紙をもらったNくんは、iPadのレシピを見ながら、材料名と量をメモ用紙に書き込みました。そして職員に渡して、おやつ作りの日を待ちました。

 おやつ作り当日は、Nくんの書いたメモ通りに職員が材料をそろえ準備万端。Nくんもすでに見つけていたレシピをiPadに表示し、動画を見ながら順調に調理を進めます。早速味見をすると、「おいしいね!」と職員に伝えます。職員も「味見していい?」とスプーンで一口分をもらって食べてみると…おいしい!お見事です。自分でICT機器を使い、文字入力やレシピの書き写しをしながら、動画通りに調理しておいしいチャーハンを作り上げたNくんに、職員一同感動しました。先日もおやつ作りに取り組み、ナポリタンスパゲッティを作り上げたNくん。このときは動画ではなく、一枚ずつの写真を見ながら完成させていました。できることがどんどん増えていっているNくんです。

小数

小学3年生の子ども達は算数で「小数」を学習しています。

教科書では最初,水のかさの図を使い,2年生で習った「L」と「dL」を使って学習を始めます。既習事項をおさらいし,「dL」の部分を小数として扱います。分数を既に習っているので,1/10L→0.1Lと教え,小数の世界に入っていきます。

じゃんぷでも同じように1/10Lが0.1Lと教え,ほとんどの子どもが小数を理解することが出来ました。ただ定規の問題(cm)になったり,計算問題等,違うパターンになるとわからなくなることがあります。

そういう時のために,事前に定規のパターンの問題でも同じように「1cmを10個に分けて,1/10は…」と教えます。また,位取りについては「すらぷり」というサイトにあるプリントが子ども達にとってわかりやすかったようです。丁寧に位取りの練習をしてから計算問題に入るとすんなり問題を解くことが出来ました。

かがみの孤城

先日「かがみの孤城」を見に行きました。

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「ドラえもん」に出てくる「どこでもドア」や「鏡の国のアリス」の鏡。向こう側の異世界に日常の救いや解決の手がかりを求めたくなるのは,今の世の中,子どもだけではない。映画「かがみの孤城」(公開中)は不登校の女子中学生,こころ(声・當真あみ)が、ある日、自室の鏡の中に誘われる。

「本屋大賞」を受賞した辻村深月の同名小説を〝泣ける〟「クレヨンしんちゃん」劇場版で知られる原恵一監督がアニメ化した。

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この映画では7人の中学生が出てくるのですが,ほとんどが不登校という設定です。それぞれに理由はあるのですが…それについてはネタバレになるので伏せます。この映画ではパンフレットに載っていましたが「たいていのことはなんとかなる。」というメッセージを伝えたいそうです。

じゃんぷに通う子ども達の中には自分の成績や学校のことについて悩んでいます。それについて真剣に向き合い,学習に臨んでいるのですが頑張りすぎて疲れてしまう子どもも少なくありません。

教えているこちら側から見ると頑張っている姿を評価します。子どもも頑張っていると評価をされるので頑張ることを続けます。それももちろん大事なのですが,こちらが思う以上にそれは子どもにとってしんどいことなのかもしれません。

そんな時,「なんとかなるよ。」と肩の力を抜いてリラックスすることも良いことなんだ,伝えたいですね。

「やさしいルール、どうする?」

 すてっぷの小学生たちが今はまっているボードゲームが「ごきぶりポーカー」です。ごきぶりというだけで、嫌なイメージのインパクトが強いかもしれません。ですがゲームとしてはシンプルで、相手が出したカードが宣言通りか、それとも嘘かを見抜くというゲームです。

 カードには8種類の生物が書かれています。どの種類も苦手な人がいるだろうという生き物ですが、どこか愛嬌のあるイラストになっています。そのカードを伏せながら対戦相手の1人に出し、それが何の生物かを宣言します。このとき、本当のことを言ってもいいですし、嘘のことを言っても構いません。出された人はその宣言が本当か嘘かを考えて返答します。本当でも嘘でも見抜けたら、カードを出した人にカードを返して、その人の手元に置きます。見抜けなかったら、そのままカードを出された人の手元に置きます。これを繰り返し続け、誰かの手元に同じ種類のカードが4枚たまるか、全8種類のカードがたまったら、その人の負けになります。

 このゲームの面白いところは、多くの人の手元にカードがたまってくる後半です。例えばごきぶりが3枚たまってきた人は、誰かにカードを出す時にごきぶりカードを選ぶと、本当でも嘘でも見抜かれたら自分の手元にごきぶりが4枚たまって負けてしまいます。それが相手にもわかっているので、本当か嘘かを見抜くときの判断材料になり、より推理がはかどります。またこのゲームは3人以上でも遊べ、すてっぷの小学生たちはむしろ5、6人で遊ぶときによくこのゲームを選んで、大人数でよりいっそう盛り上がっています。

 新年になって新しく用意したボードゲームの中で、特に子どもたちがはまってよくリクエストするようになったのが、この「ごきぶりポーカー」でした。大人数で遊べる中でも、基本的には1対1で相手が本当のことを言っているのか嘘を言っているのかを見抜くという内容がシンプルで分かりやすかったのかもしれません。また相手の言っていることを見抜く、または見抜かれないようにポーカーフェイスになるということは、すてっぷの小学生たちは苦手な傾向にありますが、だからこそおもしろいと感じて楽しめるのかもしれません。とは言っても、やはり苦手は苦手。中には6連続で見抜かれ続け、手元のカードがどんどんたまっていくという子もいました。そんなときは「やさしいルール」の提案。2連続でたまった人がいたら、次は他の人からというルールにしてみました。先日は始める前に、「やさしいルール、どうする?」と、採用するかどうか友だち同士で相談する姿も。一つのゲームから、新しくSSTの機会が生まれています。

アプリを使って漢字を覚えよう

じゃんぷで学習している子どもの中に,「常用漢字筆順辞典」というアプリを使って漢字の学習をしている子どもがいます。このアプリは漢字を様々な方法で検索でき,その漢字の読み方や書き順などを学ぶことが出来ます。

以前「言葉の手がかりを使って漢字を覚えよう! 投稿日時 : 2022/11/14」で紹介した子どもも今,このアプリを使って学習を進めています。個別学習の中で一年間にならった漢字のまとめ小テストをし,書けなかった,もしくは間違えた問題をこのアプリで音声検索をして正しい漢字を覚えています。

初めの方,漢字のへんとつくりが逆になっていたり,似た漢字を書いたりと「おしい!」という間違いをしていましたが,正しい漢字の書き順を順番に丁寧に取り組んでいます。じゃんぷに来て取り組む漢字の小テストも正答率が8割を超えることがほとんどとなり,成果が見えてきました。

上に挙げた子どもは継次処理が得意な子どもなので,「順番に」おちうやり方がぴったり合いました。反対に同時処理が得意な子どもには音声検索で漢字を検索させ,正しい漢字を見た上で漢字の特徴を一緒に探します。その上で漢字の作りを言葉で覚えます。イメージは「オジンオズボーン」という芸人のネタに近いような形です。

このように子どもの得意に合わせた教え方が出来るアプリが最近はよく出てきています。まさに「かがくのちからってすげー!」

メンテナンスとブログの一旦休止のお知らせ

 

日頃よりお世話になっております。

Webサーバの保守・点検作業を行っており,ブログの掲載を停止させて頂いております。
ご迷惑お掛け致しますが,今しばらくお待ちいただきたく存じます。

ブログについては何か別の方法で掲載できないか検討中ですので,決まり次第こちらでお知らせいたします。

「前よりも分かることが増えたよ」

 支援学校中学部のLくんと高等部のMくんの二人で、先日『街コロ』に取り組みました。二人で設定遊びに取り組むことは久々でしたが、支援学校で同じクラスだったこともあってか、何をするかスムーズに相談を始めました。Mくんははじめ、「『ワードバスケット』はどう?」とLくんに聞きました。そばにいた職員は、Lくんはどう答えるだろうと不安げに聞いていました。

 Lくんが小学生の友だちとボードゲームで遊んでいたときに、小学生の友だちがよくリクエストしていたのが『ワードバスケット』。言葉やアイディアを発想・表出したり、1ゲームの時間が短かったりという理由で小学生は『ワードバスケット』が好きだったのですが、Lくんは反対に発想・表出が苦手、でもじっくり考えて積み上げていくゲームが好み。でもLくんは小学生の友だちのリクエストを断れず、「いいよー」と受け入れて遊んでいくうちに、しんどさが積みあがっていってしまったということがありました。

 さてMくんにはLくんはどう答えるだろうと職員がそばで見守っていると、Lくんは「それはぼくは苦手だからできないよ」と答えたのです! 職員はその成長に驚きました。Mくんはその言葉を聞き入れ、「じゃあ『街コロ』は?」と聞くと、Lくんは「それならいいよ」と答え、『街コロ』をすることに決まりました。

 一方のMくんはボードゲーム自体が久々。高等部ということもあり、パソコン課題や作業課題など、個人の課題を優先してきました。ただ数年前に当時の小学生たちとボードゲームに取り組んだ時は、負けることへの耐性が低く、また運が悪いと投げやりになってしまいがちだったため、勝ち負けのあるボードゲームを避けていたという経緯がありました。『街コロ』はサイコロを毎回振るので運のよしあしがあり、また勝ち負けがはっきりつくゲームです。ですがMくんは、サイコロの運一つ一つは気にせずゲームを進め、落ち着いて最後までできたのです! 結果はMくんの勝ちだったので、負けのしんどさはなかったかもしれませんが、それでも終わりの振り返りのときに、「前にしたのは2、3年前だったし、前よりもわかることが増えててよかった。作戦も考えることができるようになってるし、理解もできるようになってて嬉しかった。2人だけど、このメンバーで出来てよかった。」とコメントしたことに、職員はMくんの成長を感じずにはいられませんでした。

 すてっぷの1年目から在籍しているLくんとMくんの日々の頑張りが、積み重なった成果として表れたんだと職員全員が感じられた取り組みでした。

社会で活躍する人間を10歳から育てる

先日Y先生から「studioあお」という京都市上京区にある学習塾について教えてもらいました。「LIFE~夢のカタチ~」というテレビ朝日で放送している番組で特集されており,紹介してもらいました。

幸いTVerで見逃し配信をしていたので筆者も視聴をしました。そこは「勉強を教えない学習塾」ということで,簡単に書くと通う子ども達が様々な企画を考え,大人たちはそれを全力でバックアップをする,といったところです。

学校の中では中々難しいことがありますが,子ども達にはたくさんの面白いアイデアがあります。教室でいろんな意見を聞き,「それいいね!」と思うアイデアがあっても学校の中でしようとすると難しいこともあります。そういったことを実際に挑戦できる,というのは子ども達にとって貴重な体験になります。

2020年度の新学習指導要領から「キャリア教育」が入り,文部科学省から手引きやガイドが出ました。しかし学校現場の中で日々の授業と別にキャリア教育をしていくのはどうすればいいか,混乱しながら進めているところも少なくありません。筆者が勤めていた京都市は先行してキャリア教育をしていこう,となっていたのですが「何をどうしよう」とはっきりとわかっていないまま取り組んでいた記憶があります。学校現場ももう少し柔軟になってもらえればな…と思うこともあるのですが…こういった取り組みが広まり,子ども達が面白いアイデアを自由に,どんどん挑戦できるような場所が増えればな,と感じた瞬間でした。

【LIFE~夢のカタチ~】

https://tver.jp/episodes/epde108eub

※該当する回は1月21日(土)までの配信となっています。ご注意ください。

 

夢バトルしようぜ夢バトル!

子どもが学習が始まる少し前のちょっとした時間に「夢バトルしようぜ!」と言っていました。

「あ,チェンソーマン見てるんだな。」とすぐにわかりましたが…個別の時間中,「さっきのセリフ(夢バトル)って何?」と聞きました。「俺チェンソーマン見てるねん。」と答えてくれたので,知っていたのですがわざと「どんなやつなん?」と聞きました。

その子は一生懸命に説明しようとし,この場面が好き,このキャラが好き,と話してくれました。その子は普段国語の学習中,登場人物の気持ちの変化や場面の転換等の読み取りが苦手な子だったので「これはチャンスだぞ」と感じました。

次の週,「前言ってたの見たで,おもしろいな。なんで〇〇は最後あんな行動したん?」と聞きました。すると「え?助けてもらったからかなぁ…借り作りたくないって言ってたし…」「でも仲良い訳じゃないよね」「でも『お前に貸しは作りたくない』って言ってたで」と,登場人物の気持ちを考えていました。「しっかり気持ち考えようとしてるやん!」と言うと「そうかなぁ」と言っていましたが…

国語の教科書を読んでいる時,「気持ちが変化したのを表しているのは?」と聞くと「これかなぁ」と答えるようになってきました。チェンソーマンの話が自信になってきているようです。

子どもがハマっていることを聞くことはよくある場面です。それを学習との架け橋になるような工夫を少ししてあげると,子どもの学習への意欲が少し向上します。どんなことでも大切なのです。

 

※チェンソーマンの画像を載せようとしたのですが放課後等デイサービスのブログにはあまりふさわしくないと思ったので載せていません。気になった方は自己責任で調べてみてください。

「2対2でもキックベース!」

 先日、公園でキックベースに取り組みました。今の小学生メンバーがキックベースに取り組むのはほぼ初めて。最初に子ども3人がチームになり、職員との対戦形式で練習してルールを確認しました。中には小学校でやった時の苦手意識がある子もいましたが、これ以前に一度練習していて、そこで成功体験を積めたことが功を奏したのか、スムーズに参加出来ました。ルールを確認しながらでしたが、対戦形式で進めたこともあり、子どもたちは大盛り上がり。次は2対2でしたいと要望がすぐに出て、チームに分かれて試合形式で遊びました。

 野球やキックベースの良い点の1つが、攻撃守備が分かれていて、同じチームでの動きが分かりやすいということです。特にすてっぷに来ている子には全体を見ることが苦手な子がいます。サッカーなど自分チームと相手チームが同じ場にいると、混乱してしまうことが少なくありません。それに対し、野球やキックベースは攻撃チームと守備チームが混ざることは、ランナーを除いてありません。そのため、自分が攻撃チームなら順番にバッターボックスに立ち、ピッチャーの球を打つ。ランナーになったらベースを回って走るというわかりやすい行動をすればよいです。守備だと少しややこしいですが、ランナーがベースに走ってくる前にボールを先回りさせるということが基本になります。

 一方で野球やキックベースになかなか取り組めない理由もあります。ボール遊びをしてよい広い公園が必要という点や、道具の準備が必要という点もあります。ですが一番大きいのは、チーム戦をするためには多くの人数が必要ということです。すてっぷで取り組むときは、多くても4対4。普通のルールでは対戦がなかなか成立しません。

 そこで職員の間で提案しているのが三角ベースやタイベン形式です。三角ベースは1塁と3塁、本塁だけにするもので、小学校の体育などでもよく取り組まれています。タイベンは筆者が子どものころによく遊んでいて、その形式をそのまま紹介しました。ベースは本塁だけ。打球を守備が捕ったら、その位置から本塁にいる味方に投げます。本塁を踏んでいる味方が取れたらアウト。取れなかったら攻撃チームに1点が入るというルールです。そのままでは難しいかもしれないので、本塁の周りに円を描き、その範囲で捕れたらOKにするなどの工夫が必要かもしれません。さてすてっぷの小学生たちにはどんな方法がヒットするでしょうか。また経過を報告したいと思います。

4x²-4x-1=0

4x²-4x-1=0

さて,この問題を解いてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パッと解けたでしょうか?

恥ずかしながら筆者は「あれ?どうやってやるんやったけ!?あれ!?」と混乱してしまいました。

この問題はとある京都の高校の入試問題に出てくるものです。中学数学の教科書にも出てくるレベルで,基礎中の基礎問題であると思われます。

こういった問題を学習障害の子ども達に教える時,職員間で非常に悩むことが多いです。じゃんぷの限られた時間の中で「ポイント教える」としているのですが,中学数学はどこまで教えるかを悩んでいます。今回は「因数分解を使うパターン」と「解の公式を使うパターン」の2つがあるよ,ということになりましたが…

算数,数学等はどうしても継次的な処理になりがちです。同時処理を生かした教え方も学ばなければならない,と感じた瞬間でした。

「『田んぼの田』ならいいよ」

 すてっぷの小学生たちは公園遊びが大好き。特に鬼ごっこが好きという子が何人もいます。ただ、公園によっては広すぎて鬼ごっこをしても鬼がずっと捕まえられないままということがありますし、逆に狭い公園では面白みに欠けたり衝突の危険があったりということもあります。

 そんなときに職員が提案するのが『田んぼの田』。このブログでも何度か紹介していますが、4m四方ほどの田の字を書いて、鬼は線上だけを移動して追いかけ、逃げる人は逆に線を踏まないように移動するという、鬼ごっこの遊びの一種です。狭い公園でも遊ぶことができ、また人数が少なくてもOK。子どものリクエストで、子どもと職員との1対1で取り組んだこともあります。3分や5分と時間を決めてカウントすると、子どもも興奮して走り回り、結構ハードな運動になります。逃げるときは右回りにするなど方向を決めることで、逃げる人同士が衝突しないように気をつけて遊んでいます。

 先日、Gくん、Hくん、Iくんと職員とで公園に行ったときも、この『田んぼの田』に取り組みました。はじめに何をしたいか職員が3人に聞くと、GくんとHくんは鬼ごっこがしたいと言いました。ですがIくんは、「広いからイヤだ」と主張。確かにこの公園はとても広いです。職員がGくんとHくんに「どうする?」と聞くと、Gくんは「初めの鬼を増やそう」、Hくんは「エリアを区切ろう」と、それぞれアイディアを出しました。そのアイディアも大変良かったのですが、それでもIくんは納得しません。そこで職員が、「1回目は『田んぼの田』をしよう。そして2回目はエリアを区切った鬼ごっこにしよう」と提案。Iくんに「2回目は見学していいよ」と伝えました。するとIくんは納得し、『田んぼの田』に参加。Iくんを含めた3人はテンション高くスタートし、どんどんと白熱していきます。職員も負けじと参加し、最初に決めた5分があっという間に終わりました。熱気が冷めやらない中、職員がIくんに「二回目は見学でもいいけど、どうする?」と聞くと、Iくんは「やる」と宣言。最初は嫌がっていた鬼ごっこに参加することができました。

 Iくんも含め、すてっぷの小学生たちの多くは、友だちといっしょに遊ぶことを課題としてます。一見簡単そうなことに見えますが、友だちと折り合いをつけることは、理解力、交渉力、感情コントロールなど、さまざまな力が必要となります。今回はIくんの感情コントロールができやすいように、Iくんが楽しめそうだなという遊び=『田んぼの田』を職員から提案しました。よほど楽しかったのか、最後の自由遊びの時もHくんを誘って『田んぼの田』で遊んだIくん。次は自分から提案して交渉できるように支援したいと思います。

漢字の練習

じゃんぷで子ども達の冬休みの宿題を見ていく中で,漢字の宿題に苦手意識がある子どもがいました。その子自身は漢字が嫌いというわけではありませんが,「何回も書くのがなぁ…」と言っていました。冬休みの宿題で間違えた漢字をノートに練習する,という宿題でした。「嫌やなぁ」と言いつつもしっかりと集中してやり切っています。

以前から紹介している白石範考先生の著書には「練習させるのは三回以内」と書いていました。例えば「一つの漢字を十回書きなさい」「二十回書きなさい」と言われた時に「それは楽しそうだ!」と思う子どもは少ないでしょう。ただ漢字を覚えるためには書いて練習する必要があります。白石先生は「三回」がちょうど良い,と考えているようです。確かに回数より,子どもが「なんのために書いているのか」と意識する方が大切です。

一回目は手本を見ながらゆっくりと書く。ゆっくりと書くと「あれ,ここはどうなっているんだろう」と疑問に気づきやすいです。二回目は一回目に疑問に思ったことや間違えそうになったところを意識しながら書く。三回目は,手本を見ずに書きます。ここでもし間違えた時はもう一度書きます。

何をするのか,どう書くのかを意識しながら書くことが大切ですね。

(参考・引用 「新国語授業を変える漢字指導」 著 白石範考 文溪堂)

楽しみながら言葉遊び

 新年になり、すてっぷでは新しいボードゲームにいくつかチャレンジしています。そのうちの一つが「ワードスナイパー」です。このゲームはいたってシンプル。ひらがな1文字(2文字のときもありますが)から始まる言葉のうち、お題に合わせたものを思いつけたら、得点が入るというゲームです。

 同じようにひらがなから言葉を連想するというところは、「ワードバスケット」によく似ています。「ワードバスケット」はすてっぷでも以前から取り組んでいるゲームで、カードを使ってしりとりをしていくというものです。ひらがなの書かれたカードを手札にしてスタート。最初の1文字からしりとりになるように次々と言葉を言いながらカードを出していきます。そして手札が無くなったら勝ちと言うゲームです。言葉を連想する必要があるので、取り組むメンバーに合わせて、2文字OKや連想しやすいような絵つきのあいうえお表を用意するなどの工夫をしてきました。

 一方で、この「ワードスナイパー」は手札はありません。山札の表には「食べ物」や「赤いもの」といったさまざまなお題が書かれています。そしてゲームがスタートしたら、山札の一番上のカードを裏にします。するとそこにはひらがなが。あとは、その文字から始まる言葉で、お題に合わせた言葉を早い者勝ちで宣言。その人がひらがなのカードを取ります。おもしろいのは、そのカードに書かれている得点が、カードによって違うこと。言葉が思いつきやすいひらがなは得点が低く、言葉が出てきづらいひらがなは得点が高くなっています。そのため、単純な手数だけでは勝負が決まらず、難しい言葉を1つでもぱっと思いつけたら有利になることもあります。

 さっそく「ワードスナイパー」にチャレンジしたEくんとFくん。学校の勉強が苦手なEくんですが、このゲームだとどんなお題でもじっくりと考え、言葉を出してきます。「ふ」から始まる「歴史上の人物」では、なんと「藤原道長!」と回答。職員を驚かせました。一方のFくんはさまざまな言葉を知っていますが、じっくり考えるのは苦手。Eくんが考える間は、諦めてふらふらしてしまいます。しかしこのゲームがEくんにとってよかったのは、「ワードバスケット」とは違って、誰かが思いつかなかったら次のお題に変わるというところです。さらにひらがなの選択肢も増えます。なので、誰も思いつかず進まないということはなく、次々とゲームが展開していくので、Fくんも飽きずに最後まで続けられました。

 すてっぷではまだこのゲームをしていない子も、またチャレンジしていこうと思っています。そのときのメンバーに合わせた工夫をして、楽しみながら言葉遊びができるようにしていきます。

山登りのアイディア

 すてっぷで日常的に取り組んでいる外出活動の1つが西山登り。秋の観光シーズンの間はしばらく控えていましたが、12月中旬ごろから取り組みを再開しました。公園での集団遊びや自由遊びだと混乱してしまう子でも、山登りはスタートとゴールがはっきりしていて、しっかりと見通しを持って運動することができます。またその分、集団で行動することもよく分かり、さまざまな課題にチャレンジすることもできます。

 すてっぷでよく行く40分~60分ほどのルートは、それほどの高低差もなく、子どもたちにとっては適度な運動になります。ただそれでも、登りがしんどくて遅れる子や、逆に降りでブレーキがかけられず駆け出してしまう子もいます。集団が離れてしまったり、狭い道で追い抜きがあったりすると危ないので、山登りに行くときは職員の中で、子ども担当の他にも、先頭(ルートの確認と注意喚起)と最後尾(全体を見て指示を出す)の役割を確認しています。

 先日はすてっぷで「鉄塔」と呼んでいる目的地に向けて出発。澄んだ晴れ間の下、気持ちよく登ることができました。久しぶりに鉄塔から見る景色は、遠くまで見渡せます。テンションも高くなり、降りも元気に歩いて帰ってきました。いっしょに行った支援学校高等部生のDくんは久々の山登り。以前は集団から遅れがちだったDくんですが、この日は他の子どもたちのワクワク感が、Dくんを手伝ったのかもしれません。集団を意識し、見事ペースを合わせて最後まで歩けました。Dくん、素晴らしい!

 さて、この山登り、しばらく続けていこうと思っていますが、ルートを毎回変えるわけにもいきません。去年は子どもたちがモチベーション高く登れるように、折り返しでチキンラーメンを作って食べたり、2人で荷物を持ったりするなど、子どもたちに合わせた取り組みをしてきました。今年はどんなアイディアが出せるか、職員の工夫のしどころです。

宿題の進捗は…

さて,昨日からじゃんぷに子どもが来所しています。小学生の子ども達は冬休み中ということもあり,少し気持ちがフワフワした様子でした。

小学3年のC君に「宿題はどう?」と聞くと「出来てるよ」と答えてくれました。計画を立てることが苦手なC君でしたが,冬休みの宿題は学校の先生と一緒に計画を立てて取り組んだようです。

「ワークのこのページを〇日に取り組む」というようにそれぞれの宿題をいつ取り組むのかを学校で決め,終わったらどんな遊びがあるのか,をお家で決めて取り組んだようです。

長期休暇の宿題をその子に合わせ,一緒に計画を立てて子どもが自分の力で達成できるような配慮が大事だと感じた出来事でした。C君,幸先の良いスタートです!!

本年もよろしくお願いいたします。

謹んで新春の祝詞を申し上げます。昨年は格別なご高配を賜り厚く御礼申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

ブログについては明日から今まで通りの記事を投稿しようと思っています。本日からすてっぷ,じゃんぷ共に子ども達が来所します。一段と寒さが厳しくなりましたが,元気な姿が見られることが楽しみです。

今年もお世話になりました。

平素より格別のご愛顧を賜り厚くお礼申し上げます。 本年は大変お世話になりました。 来年もすてっぷ,じゃんぷ職員一同,皆様にご満足頂けるサービスを心がける所存でございますので,より一層のご支援を賜りますよう,お願い申し上げます。

さて,先日子ども達と年末年始の予定について話をしている時に「先生,僕って4月から成長した?」と聞いてきた子どもがいました。「もちろん!年下の子の見本に率先してなってくれるし,苦手な勉強は教えてください,って言えるようになったし。学校の先生からもたくさん褒められたんでしょ?」と返すと,「うん!」と答えてくれました。

この子だけではありませんが,こういった節目の際にふと自分のことを振り返ることがあります。自分だけではどうだろう?と思い,身近な大人に聞くのでしょう。そういった時,うんと褒めてあげてください。できるだけ具体的に。そして子どもが「来年も頑張る!」と思えたら素敵ですね。

「来週のスケジュールは?」

 支援学校高等部のBくんは、すてっぷでパソコン学習や作業課題に毎回取り組んでいました。ただ、ときには気晴らしがしたいと、公園や散歩に出かけたいと職員に伝えてきました。そこで職員があくる日にお出かけを予定し、Bくんは機嫌よく公園へ出発。元気に体を動かして帰ってきました。ただ、その後でパソコン学習や作業課題に取り組んでいると、休憩時間が短くなってしまいました。するとBくんはイライラしだし、「どうしてパソコン学習や作業課題をしなくちゃいけないんだ」と職員に訴えました。

 職員としては、気晴らしに公園へ行ったのだから、いつものパソコン学習や作業課題をがんばってほしいと思い、帰ってからの課題を予定し、当日のスケジュールでも提示していました。しかしBくんにとっては、公園に行った分、休憩時間が少なくなるとは思っていなかったのでしょう。そして当日のスケジュールを確認し、そのスケジュール通りに取り組まないといけないと課題をがんばったものの、休憩時間が少なくなったことで、課題の押し付け感が生まれたのかもしれません。

 このままでは課題に前向きに取り組めなくなってしまうと、職員間で話し合いました。そして事前のスケジュール交渉に問題があったのではと考え、事前のスケジュール交渉が視覚的に捉えられるようなツールを作ることに。そして、週末に必ず来週のスケジュール交渉をする時間を作ることにしました。Bくんといっしょにツールを確認し、まずは学校から帰ってくる時間と、家に帰る時間を始めに貼ります。そしてBくんが取り組みたい課題を貼り、職員がBくんに取り組んでほしいと考えている課題もそこで提示して、交渉。翌週の利用当日、到着したら最初にそのツールを確認して、その日のスケジュールを自分で作るようにしました。そうすることでBくんの課題の押し付け感は消え、今では前向きに課題に取り組めるようになりました。

 Bくんは会話ができる分、言葉だけでのやりとりだと誤解してしまう分があります。そしてスケジュール通りに取り組まないといけないというまじめさ(=こだわり)が、自分自身のしんどさに繋がってしまう場合があります。そこで、事前にスケジュール交渉をするツールを提示することで、視覚的に意思疎通しやすい中で、今は交渉していい時間だということが分かって、Bくんは交渉に臨めるようになりました。そうすることで、課題に前向きに取り組めるようになるとともに、新しい課題にチャレンジする余裕も生まれました。今はお母さんの言葉もあり、エクセルが使えるようにコツコツと練習に取り組んでいます。がんばれ、Bくん!

「よろしくお願いします。」

じゃんぷでは子ども達に指示を出す時,「よろしくお願いします。」と伝えるようにしています。

子ども達は「〇〇しようね。」と言われるより「〇〇をしてほしいのです。よろしくお願いします。」と言われる方がなぜか動くことが多いです。

先日,じゃんぷのクリスマスパーティーをしていた時に子ども達にテーブル拭きや道具の準備をしていた時です。今までは「テーブルを拭いてください。」と言われても「え~!」と言っていた子ども達が「先生からのお願いです。テーブルを拭いてほしいです。よろしくお願いします。」と言うと「わかりました!」と言ってテキパキと動きました。さらに「次は何をしたらよろしいでしょうか!?」と聞いてきます。(なぜか片膝をついて)

いつも,どの場面でも通用するというわけではありません。ただなぜか上から言われるよりもお願いされる,と下手に言われるとなぜか「しょうがないな」という気持ちになるものです。ご家庭でも使えるかもしれませんね。「お願いです。宿題をしてほしいです。よろしくお願いします。」「それは嫌です。」と丁重にお断りされるかもしれませんが。笑

バスはいつ来る?

 冬の外出計画を立案し始めました。今回のお出かけでは、小学生は公共交通機関を使うことを目標の1つにしています。すてっぷから駅まではバスを使って行くのが便利です。さっそく事前学習として、先日最寄りのバス停まで行ってきました。小学生のみんなは時刻表がどこにあるか見つけ、帰ってからでも確認できるよう、時刻表の写真を撮ってきてきました。時刻表はインターネットで検索してダウンロードすることもできますが、実際にバス停まで行くことで、当日にバスに乗るときの見通しも持てるようになります。

 去年も公共交通機関を使って清水寺などの観光地までお出かけしましたが、ほとんどの子は3月に卒業。今年のメンバーの大半は、公共交通機関での外出は未経験です。中には、バスに乗ったことがないという子も。経験のある年長者のAくんも、バスに対しては苦手意識があります。「財布落としてしまってん」とぼやくAくん。ただ去年のバスでのお出かけでは失敗しておらず、その前のお出かけで財布を落としてしまった記憶が混ざってしまっているようです。実際は1dayパスポートを購入し、そのパスポートで京都市内のバスを乗りついで出かけていきました。去年も事前に調べ学習をし、購入するには「どこで?」「いくらするの?」と調べています。そうして財布は出さずに、カバンなどに留めた定期入れに購入したパスポートを入れて、落とさずに帰ってこれました。

 他にも便利なのがICOCAなどの交通系ICカード。こちらも同様に、定期入れなどに入れて支払うことで、落とす心配が減ります。すてっぷで公共交通機関を使ってのお出かけは、年に1回ほど。成功体験に繋がるよう支援方法を職員一同で考えています。パスポートやICカードなどのアイディアもその一つ。また外出計画案が纏まりましたら、本人や家族に提案したいと思います。

興味があるのは良いことです!

先日,相談事業所とのモニタリングで「A君が学校でもとっても生き生きしてるんです!」と話を聞きました。A君は学習に向かいはしますが,苦手な算数の問題等は避けようとする姿がありました。(最後までやり切りますが)

今年の夏ごろ,突然漢字に執着する様子が見られました。漢字の学習をしている時でもそうでないときも,「〇〇って漢字はあるの?」「習ってない漢字は入ってる?」と質問をするようになりました。

お家や学校でも同じことをしているらしく,大人の思いとしては「それよりも今の勉強をしてほしいなぁ…」となるところです。

ですがその気持ちを受け止めつつも今の学習に向かえるよう工夫をする,ということになり,家庭,学校,じゃんぷ全ての場所で同じように対応をすることになりました。

「文章問題の漢字を教えて!」と言われると「問題終わったらね」「今日の算数の終わったら珍しい漢字5個教えるよ」と,その興味を引き出しにしながら学習に取り組みました。

学校,家庭,じゃんぷと同じ対応をするとA君はどこでも学習に意欲的に取り組み,難しかった文章問題も少しずつ自分で取り組むようになっています。(文字に興味を持ってくれたので文章を読む機会が必然的に増え,読む力がついたこともあります。)

子どもが何かに興味を持つことは素晴らしいです。そのことをないがしろにせず,学習に関連付けたりして学習に向かうための引き出しにすることが大事です。

また,今回は関係機関が同じ理解をし,共に支援が出来た事も大きいと思います。子どものことを理解し,共に支援をする。大事だなぁ~~!!!

 

出来てるよ

先日じゃんぷに来ている6年生の子どもと歴史新聞づくり(学校の課題)をしていました。自分で計画を立てる 投稿日時 : 11/30で紹介した子どもです。

自分で文章をまとめることが苦手な子なので,理科や社会のノートまとめをじゃんぷでしています。社会の歴史新聞づくりが最後に残っていた課題でした。書くテーマを学校の先生に自分で確認し,「書くとこ決めてきたよ」と言ってくれました。自立的に取り組めるようになってきています。

さて,国語の習っている単元としてはそろそろ卒業文集に取り組むころだろう,と思い「卒業文集取り掛かってる?」と聞くと,「もう始めて下書きもう終わるよ」と教えてくれました。

なんと自分で「一緒に考えてください」とお願いし,学校の先生と文章化を整理しながら下書きを進めていたようです。自分の取り組みやすいやり方を見つけ,自分で援助を求めることが出来たことに成長を感じました。

「ティーバッティングでも役に立つ!」

 すてっぷでは公園に行ったら、集団遊びに取り組む時間を作っています。時にはボールを持って行き、ドッチボールやサッカー、野球などの球技をすることも。集団遊びで野球をするときは、2チームに分かれるほどの人数もいないので、打つ人と守る人に分かれるようにしていました。ただピッチャーが投げるようにすると、なかなか打てなかったり、ストライクも入らなかったりで、守備をしている人が退屈になることがよくありました。そこで、 二人で打ったホームラン(2022/9/14)で紹介したように、今はピッチャーをなくして、ティーバッティングで打つようにしています。そして打つ人、守る人に加え、キャッチャーをする人を作り、返球を受け取ってティーにボールをセットする役割を持たせました。そして、その3つを順番交代で回して集団遊びとして取り組んでいます。

 先日も、支援学校中高等部生のメンバーで、ティーバッティングで遊びました。はじめに打つ順番を決めて、打つ人の次の人がキャッチャーをして、残りの人で守備をするようにすることで、自分たちで意識して順番交代ができました。中学部生のYくんは、キャッチャー役に大張り切り。打つ人のためにボールをセットしたり、ティーの高さを変えてあげたりしています。自分が守備をしているときに、バッターの人にティーの高さが合っていないのにキャッチャーの人がなかなか気づかなかった時は、守備位置からティーまで走っていき、ティーの高さを変えてあげることもありました。

 さて次のバッターは中学部生のZくん。厚着で動きづらい中、バッティングに臨んだものの、打ち損じてティーを倒してしまいました。Zくんは上着を脱いで、ベンチに置きに離れます。すると守備をしていたYくんはティーまで走っていき、ティーを起こしてあげました。ところが、上着を脱いで戻ってきたZくんは、邪魔をしに来たと勘違い。そこで職員が間に入り、YくんからZくんにどうしてそうしたか説明する機会を作りました。Yくんは「倒れたのを立たせたんだよ」と説明でき、Zくんは「分かったけど、いいから。自分でするから」と答えることができました。

 Yくんは、人の役に立ちたいと日常の中から手伝えることを探してがんばっているところです。集団遊びの中で役割を作ることは普段から心がけていることですが、その積み重ねがあって、Yくんが自分を輝かせる場面にたくさんチャレンジすることができているのだと思います。

比例・反比例

比例・反比例は小6の算数で習い,中学,高校の数学科でもずっと使っていきます。

この単元では文章を読んで式に直し,「比例か」「反比例か」を答えることがあります。例としては

①180ページある本をxページ読んだ時,残りページ数をyとする。

②半径がxcmの円の周の長さをycmとする。円周率は3.14とする。

③90cmのリボンをx等分したときの1本分の長さをycmとする。

④面積が20cm²の長方形の縦の長さをxcm,横の長さをycmとする。

 

といった問題が出てきます。上記の4つを「y=」の式に直し,比例なのか反比例なのか,どちらでもないのか答えます。

「表にすると簡単だ」と思いつつ,以外とそう簡単ではありません。比例はどのような関係なのか,反比例はどのような関係なのかを把握しておかなければなりません。さらに上記の問題では既習事項が定着している前提の問題です。読みや想像が苦手な子どもにとっては難しい問題です。

こういった問題の時,まず比例と反比例がどのような関係なのかに立ち戻ることが必要です。この問題に迷っていた子どもに下のイラストを見せました。すると「あ~そうやったそうやった。だからこれは…」と問題を解き始めました。

文章が羅列してあると混乱もしやすくなります。そういう時こそ原点に返ることが大事なのかもしれません。

本文に関係ありませんが面白かったのでこちらも載せておきます。↓

(画像元 パグまんが めー語

 

「僕の数は何だろう?」

 相手の心理を読む要素のあるゲームは、なかなか難しいですが、だからこそ好きという人が多いのかもしれません。犯人は誰?(2022/6/24)で紹介した「犯人は踊る」も、隠れている相手の手札を読むことが、勝利につながります。ただし、ババ抜きしたり交換したりで、犯人カードがあっちにきたりこっちにきたりするので、心理を読むことが絶対条件というわけではありません。その点も「犯人は踊る」が好きな子が多い理由なのでしょう。詳しくは上記の記事をご覧ください。

 さて先日、「コヨーテ」というゲームに取り組みました。このゲームは逆に、自分の情報が分からないゲームです。どういうことかというと、ゲームの初めにある数が書かれたカードが一枚ずつ裏向きで配られるのですが、そのカードを裏向きのまま自分のおでこにつけます。つまり、自分のカードの数はわからないまま、ゲームが始まります。ではどのように推理するかというと、他の人から情報を読み解くしかありません。他の人は自分から見れば表向きにおでこに着けているのですから、その人の数が何なのかわかります。さらに、ゲームとしては、1人ずつ数を増やしながら、順番を回していきます。そして全部の合計数を超えてはいけない(正確には超えたことがばれてはいけない)という条件もあります。なので他の人の数の増やし方から、自分の数を推理することも可能ということです。

 先日取り組んだ時のことです。職員が3、Wくんが20、Xくんが4のカードでスタートしました。Wくんから数を言っていくことになり、Wくんはまず「5」と宣言しました。ところが次のXくんが「25」と宣言。職員の3、Xくんの4しか見えていないWくんからすると、Xくんが「25」と大きい数を言ったのは、自分の数が「20」だからではないかと推測できたのでしょう。案の定、Wくんは次の番で、自分の数と予想した20と、見えている職員の3、Xくんの4とを足して「27」と答え、それがまさしく合計の数。次にXくんが宣言した「28」が、アウトの数になってしまいました。終わった後で、Xくんとは「Xくんがいっきに20増やしたから、職員とXくんの数が見えているWくんは、自分の数が20だとわかったんじゃないかな」と振り返りました。

 自分の数が分からない中、相手の数と相手の宣言から、自分の数を推理するということもさることながら、相手の視点に立って、自分の発言が相手の思考にどういう影響を与えるのかを考えるということも、コミュニケーションのよいトレーニングになるかもしれません。ですが大事なのは、ゲームとして楽しめたかどうか。楽しい時間を過ごせた中で、何か一つ落とし込めそうなことを職員が見つけられたら、その点にしぼって、職員と振り返るようにして支援しています。

活躍できる場

(クイズを作って発表しよう 投稿日時 : 11/21)の続きです。

最近はあまりのあるわり算の宿題にも挑戦しています。ご褒美だった「どうぶつずかんカード」も「もういいかな」と言っており,自立の時間になると「行くわ」と言って宿題やじゃんぷでの学習に向かっています。

さて,じゃんぷで作った「どうぶつクイズ」を「印刷してください」とお願いすることがありました。「いいけど,どうした?」と聞くと「学校で生き物係やからクラスの出し物でこのクイズ出したいねん」と話してくれました。

一緒にクイズを作っている時,絶滅危惧種のアレコレを調べながら「そうなんや!すげぇ!」「これは知ってたわ,先生知らんやろ~(笑)」と生き生きとした表情で取り組んでいます。そういった自分の得意を活かせる場所が学校にも出来た事が本当によかったと思います。

「自分が活躍できる場」というのは子どもの自己肯定感にとってとても大切なものです。毎週のように「今日はクイズ作りできる!?」と明るい表情で聞いてくる姿が出てきて嬉しく思います。

 

下は一緒に作ったクイズです。みなさんも解いてみてください。

「iPad代えて」

 すてっぷでの休憩の楽しみの1つがiPad。支援学校の子も小学校の子も、多くの子が、休憩のときに時間を決めてiPadを楽しんでいます。動画を見て過ごす子もいれば、ゲームが好きな子もいます。そのためiPadには、職員が許可したゲームアプリをいくつか入れています。ゲームアプリの中には、前回の続きが同じ端末でしかできないものもあります。iPadを導入した初期は、前回の続きがしたい、でもどれかわからないということがありました。

 そこでiPadのカバーの色を端末ごとで固定するようにしました。どの端末か、子どもでも分かりやすいようにしています。そうすることで、子ども達もストレスなく、どの端末だから、どの続きをしようかと見通しを持てるようになりました。さらに「黒いタブレットください」といった属性の要求や、「他の子がしたい色のタブレットを使っているから終わるまで待とう」といった交渉も起きるようになってきました。中には子ども同士で「○時になったら交代」といった交渉をすることも。「友だちとの約束」(2022/2/7)で紹介した友だち同士での交渉も、こうした経緯があり、交渉の経験を積み重ねていきました。

 ただ、友だち同士の交渉が、必ずしもうまくいくとは限りません。交渉の意味自体が分からない子もいますし、交渉の意味が分かる子でも、交渉が成立するには職員の支援が必要ということも多いです。先日、黒のiPadが使いたいUくんも、考えを巡らせていました。そのとき黒のiPadで動画を見ていたVくんは、今までUくんが交渉してもうまく交換できたことはありませんでした。ただVくんは、他の色のiPadを使っていたこともあります。Uくんもそれを覚えていて、交渉の方法を工夫したら交換ができるんじゃないかと考えたのかもしれません。Uくんは別のiPadを借りて、そのiPadでVくんが見ている動画と全く同じ動画を検索して表示しました。そしてその画面を見せながら、Vくんに「代えて」と伝えたのです。するとVくんは、そのiPadを受け取って、黒のiPadを手放しました。Uくんの工夫は功を奏し、見事VくんとiPadを交換できたのでした。

 Uくんが工夫して交渉し、VくんとのiPadの交換がスムーズにいったことは、Uくんにとって何よりの成功体験になったと思います。放課後等デイサービスだからこそ起こった、子ども同士のコミュニケーションの機会。UくんにとってもVくんにとっても、コミュニケーションが育つ場面がいっぱいです。どんな日常にも起こるそのチャンスを、損ねないよう気を引き締めて支援していきます。

クリスマスが今年もやってくる♪

竹内まりやの「すてきなホリデイ」がCMで流れる季節となりました。

じゃんぷでは子ども達がクリスマスカードを書き,それを手作りの「アドベントカレンダー」としてクリスマスまで(正確にはじゃんぷクリスマスパーティー)の日数を数える,という取り組みをしています。

さて,なんてことのない遊びのように思えますがじゃんぷに来ている子ども達の中には「書くことが苦手な子ども」「自分で文を考えることが苦手な子ども」「日にち等の抽象的な数的概念を想像することが苦手な子ども」と様々です。

クリスマスカード作りの時,まず子ども達にアドベントカレンダーを見せ,「この中にみんなが書いたカードを入れ,一日ずつ開けて書いた紙をツリーの形になるように貼っていきます」と,子ども達が楽しみになるように,そしてどのようなものが出来上がるのか具体的に見せました。

そしてクリスマスカードの内容は「①ことしほしいプレゼント ②いままで もらって うれしかった プレゼント」とテーマを作り,見本の文章を書いています。また,「わからないとき,むずかしいとき は せんせい に そうだん しても よいです。」と難しい時にどうすればよいかを示しています。

今子ども達がじゃんぷに来所したときに「今日のカード」と発表をしています。それと同時に「あと何日って書いている?」と一緒に数えることもしています。

子ども達がゆったりとリラックスしつつ,実は学習になっている,という仕掛けをしています。アドベントカレンダーの側にはクリスマスツリーを置き,それでほっこりしている子どももいます。癒されるね~!

(写真はじゃんぷのではありません!ごめんなさい!)

おやつでもPECS

 支援学校高等部のSくんは、2週間ほど前から、机でおやつを食べることにチャレンジしています。Sくんは高等部生ですが、背丈が小さく、おやつのときはずっと座椅子を使っていました。ですが成長期と言うこともあってかこの半年で、ぐんと身体が大きくなりました。そこで、机でおやつを食べることにしたのです。

 飲み物もペットボトルからコップに変えてチャレンジ中。1年前まではトレーニング用のマグカップを使っていたことを思ったら、驚くほどの成長です。スプーンは以前から使うトレーニングをしていましたが、この1年は、自分の指で食べるもの(せんべいなど)をつまむトレーニングもしています。

 そんなSくんですが、食べる姿の成長もさることながら、おやつ時に行っているPECSトレーニングでも目覚ましい成長を見せてくれています。慣れているおやつ、飲み物なら絵カードの弁別もばっちりで、絵カードをしっかり見て要求したいものを確認してから、職員に手渡すことができています。「まって」カードをもらって椅子に座って待ち、ふたのあるミニゼリーをもらうと、ふたを開けてほしいと「てつだって」とカードで伝えることもできるようになりました。

 同じように、PECSトレーニングの成長が目覚ましいのが、小学部のTさん。Tさんは2語文(○○+ください)にチャレンジ中です。タイミングが合えば、SくんとTさんとで、同じ机に並んで座り、いっしょにおやつでPECSトレーニングをすることも。1年前の2人のおやつの様子を思い出してみると、考えられないくらいの成長を見せてくれている2人ですが、そんな成長した未来のことを思いえがいて、毎日コツコツとトレーニングを続けてきた日々の積み重ねの結果だと考えると、支援の重要さを実感します。

 

「出来ない」の悪循環

「僕は〇〇が苦手で出来ないんや~」という子どもの声をよく聞きます。しかし案外それは本人の思い込みだった,ということも少なくありません。

例えば先日「国語は苦手なんや…文章読めんし…」と話していた子どもが国語のテストで高得点を取ってきました。その子は本をよく読んでおり,興味のあることに関しての知識は大人を優に超える程の知識を持っています。それだけ本を読んで内容を理解することができるので漢字を書くことは難しいにしても読解問題は解くことが出来ます。実際じゃんぷで取り組んだ時も「嫌だ~苦手や~!」と言っていた割に始めると「…あれ,出来るわ」と本人も驚いた様子でした。

さて,「出来ない」と思い込むということは周りから「出来ない」と思われていた,ということです。「ゴーレム効果」というものがあります。それは「ある人物に対して周囲の期待が低い場合、その人物は周囲の期待通りにパフォーマンスが低下してしまう」という心理学効果です。例えば仕事の中で「〇〇さんはどうせできないから…」という空気を職場で作ってしまうとその通りにパフォーマンスが下がってしまい,どんどん仕事が出来なくなる,ということです。反対に「ピグマリオン効果」というものがありますが,これは学校現場でもよく使われている言葉なので知っている方も多いと思います。

子どもは大人のことを本当によく見ています。子どもがこういった悪循環に陥らないよう,子どものことを適切に理解,評価して支援をしなければならない,と改めて感じています。

我慢するって?

11月に各小学校で就学時健診が行われました。ここで就学前の子ども達の健康診断を行うとともに,保護者の方への説明会や就学相談をする機会もあります。

また,30分ほどの時間を使って就学前の子ども達が教室で絵を描いたりする時間があります。そこで小学校の教員が子ども達の様子を確認します。就学児健診後の話の中でよくあげられるのは「指示通りに絵を描いていなかった」「友達と話すのが止まらなかった」「座っていられなかった」といったことです。

この中でも注目されるのは「座っていられなかった」です。そして「どうやって座らせることが出来るか」等の話から始まります。

しかし発達段階のことをよくよく思い出すと,あることに気が付きます。

「我慢する」というのは概ね4~5歳半の時に形成される社会性です。当然発達というのは子どもによって様々なので就学直前にここまで至っていない子どももいます。

教員の立場からすると学級経営のこともあり,「どうやってルールを理解してもらおうか」という視点になりがちです。(筆者もそうでした…)しかしそこまでの社会性が形成されていない子どもに「ルールだから」と教えてもわからないのは当然のことです。

そうではなく,その子の強みを見極め,それを活かせるような支援が必要です。その子の興味関心,視覚,聴覚…etc その子にとって最大限のパフォーマンスが出来るように関係機関と連携しながら支援が必要でしょう。

話は逸れましたが,「我慢する」がまだ形成されていない子どもにはその子の強みを活かした支援をし,「ルールを守れた」という事実を作ってあげることが大切です。また,「我慢する」ということは「真ん中を意識する」ということです。(「やる」か「やらない」だけの世界なので「やりたくないけどちょっとやってみる」という真ん中です。)

真ん中を意識するような遊びが有効かもしれません。積木を階段状に積む,お盆の上にボールを置いてそれを落とさないように運ぶ等々…発達段階を見極め,それに合った遊びや活動がたくさんあります。今後もそれを紹介していこうと思いますね。

「僕に任せて!」

 先日、支援学校高等部生のQくんが、同級生のRくんといっしょに、ペットボトルつぶしの協力作業に取り組んでいました。自分たちで作業の準備を終えると、Qくんは職員に手のしぐさでサインを出しました。「自分たちで作業するから、離れていて」。そして二人で作業を始めます。ペットボトルのラベルを外すのに苦戦しているRくんに、Qくんはそっと手を差し出し、「R君、手伝っては僕に言って。」と言いながら、ペットボトルを受け取るとラベルの端をこすり、ラベルを取りやすい状態にして、Rくんに渡しました。そして二人でペットボトルつぶしをやり切り、職員に「2人で終わりました」と報告しました。

 Qくんは少し前までは、作業に自信を持てていませんでした。ドッグ棒(ホットドッグ用の太くて先が丸まっている串)を10本ずつまとめる作業では、やり切れるか不安で職員を呼び、それでも本数の間違いや、向きの間違いがたびたび見られました。自立してできるようになってほしいと職員は一考し、10本並べてから袋に入れられるようにジグ(補助道具)を作成しました。

 ジグを見るとQくんは「これなら僕にもできそう。」と言って、すぐに飛びつき、作業に前向きに取り組むようになりました。ジグを使って作業に正しく作業を終えられることが増えてくると、Qくんの姿に変化が。自信を持って作業に取り組めるようになり、職員にも「離れてて」と示して、自分でやり切れることが増えていったのです。空き缶やペットボトルつぶしの作業も自信を持ってやり切れるようになっていき、それが協力作業にもよい影響を与えるようになりました。

 自立的にチャレンジするということは、時には不安が付きまといます。その不安を職員が受け止めるだけではなく、こうしたらうまくいくということを提示することも、支援の大事な中身です。自立して作業できるようになったことで自信を持てるようになり、協力作業で友だちを手伝ってあげている(それも友だちができる部分を残す形で!)Qくんを見ていると、この仕事をやっていてよかったと心から思えてきます。

ソーシャルスキル

先日友人からこのような話を聞きました。

「Aさんと買い物行ったときに〇〇円以上買ったら特典がつくんやって。それでAさんの金額が少し足りなかったから俺の買おうとしてたやつを『勝手に』会計一緒にされたんやけど(笑)」

その話を聞いた時に「なぜだろう?」と考えましたが,Bさんの視点から考えると「もう少しで特典がもらえる」→「一緒に買っちゃえばいいよね」→「よし一緒に買おう」という思考になったのではないでしょうか。

この話のどこに問題があったかというと「『勝手に』会計を一緒にした」というところです。友人も(笑いながら)「一言言ってくれればよかったのにな~」と話していました。

この話を聞いた後にソーシャルスキルのことを思い出していました。ソーシャルスキルトレーニングでは、対人関係や集団生活を営みやすくするための技能(スキル)を養います。

子どもでもよくあることで,特に対人関係において人の表情を読み取る,場の空気を読む等が苦手な子どもはソーシャルスキルトレーニング(以下SST)を学習の中で取り組むこともあります。

じゃんぷに来る子ども達は「自分の話聞いて~!」と自分語りが止まらない子ども達もいます。そういった子ども達に対しては最初にスケジュールを見せ,学習の合間に「お話タイム」という項目を作って「この時間に話聞くから楽しみにしてるね!」とポジティブになるような言葉を使いながらSSTをしている子どももいます。

こういったことに関しては同法人のすてっぷの方がよく取り組んでいます。今までの記事にもSSTとは書いていませんがそれに繋がることを書いている記事がたくさんあるのでぜひ読んでみてください。

 

体重移動の学び方

 すてっぷでは、支援学校の中学部生や高等部生の作業課題として、アルミ缶やペットボトルの分解・つぶし作業に取り組んでいます。つぶす本数を始めに確認し、自分で準備片付けをして、終わったら報告するまでを自立して行えるように練習しています。協力作業が課題となる子らが複数で取り組むこともあります。

 中学部のPくんも、アルミ缶つぶしの作業課題に取り組んでいます。ただ、アルミ缶をつぶす際に、すてっぷではプレス器に足を乗せて、ぐっと体重をかけてつぶすのですが、Pくんはこの体重移動がなかなかうまくできず、缶をきれいにつぶせませんでした。しばらくは自立的に行うことや、協力作業の際のコミュニケーション課題と並行して行ってきましたが、プレス器の使い方はなかなか上達しませんでした。

 ある日のこと、この日もPくんはアルミ缶つぶしの作業課題に取り組んでいました。やはり、アルミ缶は上手につぶせず、職員が見本を見せていました。すると、Pくんは近くにあった「てつだって」の絵カードを手に取り、職員に渡してきたのです。職員が「わかったよ。じゃあいっしょにつぶそう」とPくんの手を取り、プレス器を踏むのを待ちました。そしてPくんがプレス器を踏むと、ぐっと手を引き寄せ、Pくんの体重がプレス器にぐっとかかるようにしました。そして、それを何回か繰り返しました。

 するとPくんは、体重移動のコツをつかみ、次の日から自分だけでプレス器を上手に使えるようになったのです。上からの指導や指示ではなく、本人のアクションに合わせて本人本位の形で伝えられたことが、功を奏したのかもしれません。今ではPくんにとってアルミ缶つぶしの作業は、自信をもってやり切れる課題の一つになり、協力作業でも友だちをリードすることが増えてきました。自立してできるようになったことが本人にとってとてもよい影響があったことをうれしく思うと同時に、これからもどんどん増やしていけるように支援していきたいと思った出来事でした。

自立学習の時間

じゃんぷでは子ども達が自分で学習をする「自立学習」の時間を作っています。子ども達が自分で学習を選び,順番を決め,自分がやりやすい学習方法を確立していく力をつけるために取り組んでいます。

集中するため,時間を意識するための道具を使ったり,解きやすい方法を個別の学習の時間の中で教え,自立学習の時にそれを使って自分で学習を進めるためです。

最初はこちらで取り組む内容を決め,子どもと相談しながら調整をしています。また,1人では難しい宿題等もあるため,そういうときは「先生に質問しても良い」というルールを設けています。しかし「わからないことがあったら質問したらいいよ~」と伝えていましたが中々質問が出来なかったりどうしたらいいのかわからないまま終わってしまうことが多々ありました。

そこで子どもそれぞれに「ヒントカード」を作り,「〇〇〇を貸してください。」「教えてください」といった言葉を書き,それぞれの子どもの前に張り出しました。そして使えた言葉には花丸をしたり,ヒントカードにはない言葉を使った時はそれを書き,「今の言い方もいいね!」と評価をしています。

するとどんどん子ども達が「教えてください」「〇〇を貸してください」と自分に必要な物を借りたりわからないところを聞いたりするようになりました。

具体的にどのような言葉を使えばいいのかわからなかったようです。子ども達の吸収力はさすがです。時間の意識が難しかった子が「タイムタイマー貸してください」感覚がないと集中が続かない子が「足のマットを貸してください」わからない問題を放置してしまっていた子が「この問題を教えてください」と要求するようになりました。

自分で計画を立てる

じゃんぷに通う小6のO君は今自分で学習の計画を立てています。中学になると定期テスト等で自分で計画を立てて学習を進めていく機会が増えていきます。

自分で見通しを持って計画を立てていくことが苦手なO君は学校の提出物が遅れてしまったり忘れ物が多かったりしました。なのでまず「その日のスケジュールを先生と一緒に決める」→「次の日のスケジュールを先生と一緒に決める」→「次の日のスケジュールを自分で決める」…これをスモールステップで進んでいっています。今は「次の日のスケジュールを先生と一緒に決める」に取り組んでいます。

O君は忘れ物が多いですが注意不足や衝動性,多動性による忘れ…というわけではありません。検査等からもそれがわかるのですが,ではなぜ忘れ物が多いのかというと「何のために必要なのか」をあまり感じていないようです。

つまり自分の中で「それが必要だ」と感じていないため,優先順位が下がり持ってこない,ということです。なので今,「自分で立てたスケジュールの元に準備をし,行動する」ということをしています。それから少しずつですが,O君の忘れ物は少なくなってきています。(まだ「やる必要あるのかな?」と感じている宿題については持ってこないことも多いですが…)

自分のスケジュールを理解しなければならない,と感じたのか家や学校でやるべきこと,やりたいこと等も話してくれるようになりました。じゃんぷで手伝ってもらいたい宿題や発表の準備等,少しずつ自分のやるべきことを把握してきています。

もうすぐ中学生になりますがまだまだ遊びたい年頃です。「ゲームがしたいなぁ…」とぼやくこともあります。先日はO君が「先生,スプラトゥーンのアップデートあるの見た?めっちゃブキ増えるし楽しみやなぁ!!」と話してくれました。

…ごめんよO君。先生は今パルデア地方で冒険をしています。

ボールシュート改

夏休みの終わりから、ワニワニパニック、ボウリングと集団遊びに取り組んできた、支援学校小学部低学年のグループ。11月中旬から、新しい集団遊びとして、「ボールシュート」という取り組みにチャレンジしています。

 もともと「ボールシュート」は、これまで上級生の子たちも取り組んできた遊びです。1人ずつ交代でチャレンジし、スタート位置からシュート位置までボールを持って歩いて(できる人はドリブルもして)から、段ボールで作ったゴールにボールを投げ入れる(落とす)というゲームです。段ボールのゴールは、ボールが入ったら「リン♪」とベルが鳴る仕組みにして、入ったことが分かりやすくなるような工夫をしています。また、段ボールそのものを床に置いてゴールにしていたので、前に投げるのが難しい子でも、落とすだけでゴールすることができるようになっていました。ただ、投げる前にうつむくように見る必要があり、自分で注目するのが難しい子も。また、落とすことができるようになっても、投げることに繋がりづらいという面もありました。

 そこで、今回チャレンジするグループの子達に合わせて、ゴールもアップデートすることにしました。ちょうどいいサイズの室内用の物干し台も見つかり、さっそく職員たちで改良。子どもの腕の高さにボールを入れる入り口を作り、ネットに跳ね返って、下の段ボールゴールに入るようにしてみました。

 ゴールが完成し、いよいよ「ボールシュート」の取り組みスタートです。出そろうのが難しくても、椅子に座って他の子を待つことがだんだんとできるようになってきています。みんなが揃ったら、さぁチャレンジ! ボールの受け渡しは、ボウリングの時の経験が活き、もうお手の物です。肝心の「ボールシュート」の取り組みは、足形のスタート位置の理解や、ボールを投げ入れることの理解に、初めは時間が必要でしたが、狙い通りボールを投げ入れる位置を自分で見ることができ、ボールをそこへ持って行くことができるようになってきました。自分で投げ入れられるようになるにはまだ積み重ねが必要そうですが、いつの日か公園で職員や友だちとボール遊びができるようになれたら嬉しいですね。この取り組みも、これまでの集団遊びと同じように、毎日コツコツと取り組んでいきます。

分数ってどういうこと~?

じゃんぷに通う3年生の多くの子どもが分数の学習に入りました。「分数ってどういうこと~?」と悩んでいる子どもも中にはいます。

分数の概念を教える時,下の画像のように丸いケーキをイメージしてそれを分ける場合や箱の中を分ける等,様々な具体例を出すことがあります。

初めに子どもがイメージをしやすいよう,こういった具体例を出します。ただイメージをすることが苦手な子ども達にとっては全く形が違うために同じ1/8でも「どこが同じなの!?」と混乱をすることがあります。1/8にはいろいろな1/8がありますが,今後習う小数との対応関係の学習,また継次処理が得意な子どもにとっては下のような細長いものの1/8が分かりやすいことがあります。

分数の概念がわからず,「数の小さい方から並べなさい」という問題で「1/2,1/3,1/4,1/5」と分母の数が小さい順に並べることもよくあります。こういった具体物の操作や視覚的な支援があるとよりわかりやすく分数の概念を教えることが出来ますね。

「友だちが褒めてくれたよ!」

 先日、小学生のJくんが学校の休み時間で描いたという絵を、すてっぷに持ってきて、職員と友だちのKくんに見せてくれました。絵は、2枚あって1枚はアニメのキャラクター。もう一枚はゲームのキャラクターの絵でした。Jくんは、「こっち(アニメのキャラクター)の絵は上手に描けたと思う。こっち(ゲームのキャラクターの絵)はあんまり上手に描けなかった。」と自信なさげ。ですがKくんは「○○じゃん。」と、Jくんが描いたゲームのキャラクターが何かすぐわかりました。そして、「おぉー!すごーい!」というようなリアクション。職員も「2枚とも上手に描けてると思うよ。」と伝えました。Jくんは、「ここを描くのが大変で…」と伝えたいことをKくんにずっと話をしていて、Kくんも「うん。うん。」と頷きながら話を聞いてくれていたので、Jくんは嬉しそうでした。

 翌日、「昨日、Kくんに見せたけど、(今日すてっぷに来る)Lくんにも見せたいから。」と、Jくんはこの日も2枚の絵を持ってすてっぷへ。Lくんには、ゲームのキャラクター(○○)の絵も、堂々と「見て見て」と伝えました。Lくんは開口一番に「〇〇じゃん。上手いなぁ。」とJくんに伝えました。その後も、「今までで一番上手いんちゃう。」と褒め、「この右手の辺りが上手に描けてて凄い。」や「絵上手に描けていいなぁ。」などたくさんの言葉を使って、Jくんが描いた2枚の絵を褒めていました。Jくんもたくさん褒められたので上機嫌になっていました。

 職員はJくんの2枚の絵を見て、「2枚とも上手い。」と正直に感じました。ただJくんは、「1枚は上手に描けたのだけれども、もう1枚の絵はあまり上手に描けなかった。」という気持ちが強かったようです。ですが、職員、Kくんに絵を褒めてもらう事で、「あまり上手に描けなかった。」から「そんなことないのかな。上手に描けているのかな。」と気持ちが和らぎ、Lくんにも堂々と見せることができたのだと思います。普段、職員たちが意識している「褒めて伸ばす。」ということが、子どもたち同士でもあるのだなと、ほっこりしたできごとでした。

T先生とY先生の雑談話 国語編2~文章の読み視点~

筆者とY先生で教材研究をしていく中,物語文と説明文の読みのポイントを教えてもらいました。筑波大付属小の白石範考先生や桂聖先生の著書を元に,紹介をします。

~物語文~

物語文の読みは「なぜ,そのようなことが起こったのか」「どうして、そのように変わったのか」という出来事や登場人物の気持ちの変化といった因果関係をとらえた読みが必要です。そのためには作品全体の繋がりをきちんととらえておかなければなりません。教材を以下の3つに分け,作品内容の因果関係をとらえます。

①「はじめ」の場面

中心人物と対人物が出会う前の場面・中心人物の状況説明の場面

②「なか」の場面

中心人物と対人物が出会って,さまざまな繋がりを持つ場面

③「おわり」の場面

中心人物がどのように変容したのか,決着がついた場面

 

~説明文~

説明文についても同じようなことがいえます。「どんな問題・課題」を「何を例にして」「どのような結論を出し」「その内容からどんなことを主張しているのか」を読むことが求められます。文章全体の繋がりをとらえて,その主張を読むことの重要性がここに見られます。

①「はじめ」の部分

序論・課題提示・話題提示・前書きにあたる部分

②「なか」の部分

課題・話題に対して,具体的なさまざまな事例から解決を図る部分

③「おわり」の部分

解決から筆者の主張・要旨の部分

 

上記のように「どのような視点で」「どこをポイントに」を見極め,教材のポイントをとらえて子ども達に学習支援を行っています。教員時代,国語の授業が一番苦手だった筆者にとって目から鱗の情報ばかりです。文章の読み方をとらえさせることができれば,子ども達も授業で「お客さん」にならず,積極的に参加することが出来ています。

下の画像は白石先生が挙げる「読みの10の観点」です。こちらも大変参考になりますので興味のある方はぜひ調べてみてください。

「おにごっこしよう!」

 支援学校小学部のIさんは、公園で遊ぶのが大好き。スケジュールで見通しを持ち、自分の勉強が終わったら、「公園!」と言って砂場遊びの道具や自分の水筒を準備して、友だちや職員と一緒に出掛けていきます。公園では砂場で遊んだり、裸足で砂の感触を楽しんだり。時には公園に来ている地域の子に話しかけて、一緒に遊ぶこともあります。

 友だちと遊べることが何かないかなと考え、「おにごっこ」をしてみることにしました。職員に追いかけてもらうと、喜んで走るIさん。ただ、「おに、交代」と伝えると、「おにはイヤ!」と拒否します。「おに」という言葉と、「追いかけて遊ぶ」というイメージが結び付かなかったのかもしれません。

 そこで、職員と1対1でシミュレーションしてみることにしました。「○○さん(職員)が、おに」と伝え、Iさんにタッチします。そして、「Iさんがおに。タッチして」とおにの役割を伝えました。するとIさんは、職員にタッチしてきたので、「じゃあ次は先生がおに」と、おにが交代したことを説明しました。そしてタッチするまでの時間(追いかける時間)を少しずつ長くしていき、何度も取り組みました。

 そうして今では、職員と順番におにを交代しながら、長時間おにごっこで遊べるようになりました。友だちともおにごっこで遊ぶことに、少しずつチャレンジしています。おにごっこが大好きになったIさん。公園に行ったときに地域の子に「おにごっこしよう!」と声をかけるようになりました。スモールステップで取り組んできたことで、Iさんが友だちと遊べることが、また1つ増えました。

クイズを作って発表しよう

「どうぶつずかんを読もう!: 10/13」で紹介した子どもと,休憩時間にみんなで遊ぶ取り組みについて一緒に考えていました。「〇〇君が今まで集めた動物図鑑でクイズ作って,クイズ大会をしてみたら?」と話すと.「いいよ!やろうやろう!」と言ってくれました。

読み書きが非常に困難な子なのでみんなの前で文章を読む,ということは嫌がるかなと思ったのですが…とても乗り気になってくれました。

今まで集めた動物図鑑カードを持ってきて,個別学習の中でクイズ作りをしました。「2年生もいるから選択式にしたほうがいいかな…」「難しいから〇問正解した人にはボーナスのおやつプレゼントとかしたいな」「ラッコの数とか俺もびっくりしたからみんなも驚くんじゃないかな」…たくさんのアイデアを出してくれました。

動物の名前書いてくれないかな~と思い,問題のテーマとなる動物の名前を書く欄を作ったのですが,「ラッコ」を書いて力尽きたようで「後は先生が書いて…」となったのですが…それでも苦手な文章読みを頑張って何回も練習し,みんなの前で発表してくれました。

下の画像はその子と一緒に作ったクイズの原稿です。文章は文節ごとに空白を作り,該当学年まで習った漢字を使いつつも読み仮名をつけています。単語のまとまりを意識して読む練習にも繋げています。

「ふえおにならいいよ」

 走るのが大好きな子どもたちでも、鬼ごっこは苦手という子は少なくありません。すてっぷにも、鬼ごっこはちょっと…、と言う子がいます。話を聞いてみたり様子を見てみたりすると、自分が鬼役になった時に友達を捕まえることができないという不安感や、逃げきれずタッチされて鬼役になってしまって気持ちを切り替えられないしんどさがあるようです。

 そこですてっぷで鬼ごっこをするときは、ふえおにをすることにしました。普通の鬼ごっこのようにタッチして鬼が交代する鬼ごっこ(代わり鬼)ではなく、タッチしたら鬼役が増えるというルールです。『鬼に交代する=ネガティブなイメージ』のすてっぷの子たちに、ふえおにでは『鬼役になる=一緒に追いかける役割の仲間になる⇒友達と協力できる』というポジティブな考え方を伝えてみました。

 すると、鬼ごっこが苦手だった子どもたちも、ふえおになら元気に最後まで遊べるようになりました。今までは「鬼ごっこがしたい!」という意見に、「僕は絶対嫌!」と強く拒否していた小学生のH君も、「ふえおにならいいよ」と受け入れられるようになりました。そして、みんなで遊ぶ機会も増え、鬼役に慣れていくうちに抵抗感も薄くなり、今では普通の鬼ごっこ(代わり鬼)にもチャレンジできるようになったのです。

 遊びをした時間が、子どもにとってネガティブなイメージで終わらないように、まずは「参加できて、一緒に遊べた。」ことを褒めていくことが大切だと考えています。子どもたちが楽しく遊んでいると、大人もついつい時間を長くさせてしまいますが、疲れがたまってきたり、ちょっとしたネガティブな気持ちが積みあがったりすることもあります。ポジティブなイメージで終わらせるためには、子どもの表情や様子を見て、遊びを終わらせるのも大事かなと思います。子どもたちも「もうちょっと続けて遊びたかったな。」と思うくらいがちょうど、ポジティブなイメージで終えられて、次回する時に進んで遊びに参加しやすくなります。H君のような変化が見えて、職員はとても嬉しくなりました。これからも、子どもたちが、「一緒に遊べた。」というポジティブな経験を積み重ねられるように支援をしていきます。

文章問題のポイント

算数の文章問題で悩む子どもは非常に多いです。

文を読んで内容を想像し,頭の中で数の操作をしながら計算式を立てる…という複雑な処理をしています。文字を読むことが苦手な子,計算が苦手な子や書くことが苦手な子にとって一つの事に力を使うことに加えてたくさんの情報を頭の中で整理していかなければなりません。

考えることが難しくなり,授業中「お客さん」状態になってしまうことも少なくありません。授業者としてはそうならないよう配慮しているつもりが後でノートを見てみたら全然考えさせることが出来ていなかった,ということもあります。(筆者もそんな教員でした。反省です…)

じゃんぷでは子どもが学校の授業の中で「お客さん」にならないように学習支援もしています。3年生の「何倍でしょう」という単元はほとんどが文章問題なので「この単元嫌や~」となる子どもが多かったです。

ある子どもは計算式の想像が難しいですが聴覚記憶が良く,「〇〇の時は△△!」とパターンで覚えることが得意な子どもです。こういった子どもには下のような板書をし,文章を一緒に読んで「何倍でしょうがあったから?」「わり算!」「2倍です、と書いているから?」「かけ算!」と文章のパターンを教えました。すると想像がしやすくなったのか「何倍でしょう」の文章問題は解けるようになっています。基本的にテープ図等,視覚的な支援が多いですが子どもの特徴によって支援内容を考えることも大切です。

(板書が撮れておらず教材研究中の汚いメモしか残っていませんでした。ご了承ください。)

子どもが見通しを持ちやすい教材を

先日ある子どもが下の画像のようなプリントを持ってきました。

 

よく見るようなプリントです。ただその子どもは学習に対してかなり強い苦手意識があり,また読み書き,計算も相当にしんどい気持ちを持っています。

わり算を一問解くだけでしんどくなってしまう子どもが50問あるプリント(一面で50問なので裏表合わせて100問ですね。)を見たら「終わらせたい!」という気持ちより「しんどい、やりたくない!」という気持ちが勝ってしまうようです。さらに書くことにも困難があるため小さいスペースに計算をして書く,ということがどれだけしんどいことか,想像は容易いです。

しかし「宿題はやらねばならぬ」と思っているようです。なので下のように10問ずつのプリントに分けました。

 

一枚のプリントに見える情報量を少なくしています。また,「全部一気にやる必要はないから,今日は〇枚進めようね」と本人の負担にならない程度に取り組む枚数を決めて学習に臨んでいます。「これなら出来るわ!」と自分から学習に切り替える姿も見られてきています。数が膨大で終わる見通しが持てなかったのが,「この方法なら出来る」と見通しを持てたようですね。中学3年生の国語「握手(井上ひさし)」に登場するルロイ修道士ではありませんが,「困難は分割せよ」と声をかけたいものです。

「トランポリン大好き!」

 先月からすてっぷでトランポリンの取り組みを始めました。支援学校小学部の低学年の子を対象に、室内で直径1mほどのミニトランポリンで取り組んでいます。もともと公園などに出かけ、道中の散歩や公園でのブランコで運動の機会を作ってきましたが、運動の幅を広げようということと、室内でできることを探そうと考え、トランポリンを導入しました。このグループでは、集団での設定遊びとして、ワニワニパニックやボウリングに取り組んでいるところでした。そこで、設定遊びが終わったら、その集団のまま、そのスペースでトランポリンに取り組むようにしました。

 今年の夏、すてっぷでは初めての集団遊びとしてワニワニパニックに取り組んだDくんやEさんは、慣れて参加できるまで時間がかかりました。ですが、座って見ているだけでも「参加できたね、えらい!」と褒めるところから始め、毎日積み重ねていくうちに、次第に取り組めるようになっていきました。そしてボウリングに切り替えていったときには、スムーズに着席し、遊びに入れるようになりました。その成果が出たのでしょうか。もともとトランポリンが好きだったこともあったかもしれませんが、DくんやEさんはトランポリン遊びになるとスムーズに着席! 回数を数えて終わりを示すと、順番交代もばっちりです。

 そしてジャンプはあまりできないFくんや、車いすで過ごすことの多いGさんも参加するようになり、より大きな集団での遊びになりました。Fくんは自分の番になると職員を呼び、手を持ってもらいながら跳ぶのを楽しんでいます。最近は腕に力を入れながら、後ろから腕を支えてもらうことで、自分で跳ぶことがお気に入りです。Gさんは歩いてトランポリンまで行き、トランポリンの上に座ります。職員が後ろから一緒にトランポリンに乗り、ジャンプ! Gさんも座ったまま跳ねるように跳び、その感覚を楽しんで笑顔に。最近は職員に支えてもらうことで、立って揺れを楽しんでいます。

 大好きなトランポリン遊びがすてっぷでもできるようになり、遊びのレパートリーが増えた4人。一緒に遊ぶ人が変わったり、時には4人での集団になったりしても、順番を守って、自分の番が来たらトランポリンに行って遊んで、終わったら次の人に交代するという、簡単なルールをしっかり守れています。日々の積み重ねの成果が出たと実感しました。次は何の遊びにしようかなと、職員みんなで思案中です。

言葉の手がかりを使って漢字を覚えよう!

じゃんぷに通っている子どもの中に,「漢字が中々覚えられない」と感じている子どもがいます。その子のテストを見てみると白紙回答の問題は一つもありませんでした。

へんとつくりが逆になっていたり,形の似た別の漢字を書いていたり等,何となく形は覚えているようです。なので「読めるけれども書けない」といった状態になっているのです。

こういう場合,「言葉の手がかり」を使って順番に漢字の形を覚える方法が合っているかと思われます。下の画像のようなプリントを用意します。プリントに書いている通りに「ななめ、じゅう」「ななめ、よこ、たて、よこ」と聴覚記憶を頼りに漢字を覚えていきます。

これは小池敏英先生,雲井未歓先生が出している「遊び活用型 読み書き支援プログラム(2013 図書文化)」の本に詳しく載っています。興味のある方は是非ご一読ください。

マイナスの得点計算

 先日、新しいボードゲームに取り組みました。「ハゲタカのえじき」という昔からある有名なゲームです。名前の響きはおどろおどろしく聞こえますが、内容はシンプルです。得点の書かれたハゲタカカードを巡り、みんな一斉に手札から数字カードを出します。このとき、他の人とはかぶらないように大きな数を出せた人が、ハゲタカカードをゲット! こうして得点を重ねていくゲームです。

 このゲームの面白いところは、一度使った数字カードは使えず、伏せて置くことになっていることです。みんな同じ手札からスタートしているので、他の人がどの数字カードを使ったのか覚えておきながら、次はどの数を出すのか考えることがポイントとなります。ただ、それだけではありません。ハゲタカカードの得点には、マイナスがあるのです。そしてマイナスのハゲタカカードの時には、他の人とかぶらずに小さな数を出した人がゲットする(マイナスなので、ゲットしてしまうと表現しています)ルールなので、上で書いたような読み合いがより複雑になります。

 ただやること自体は書いた通り、他の人とかぶらないように大きな数を出すということなので、子どもたちもすぐに分かり、どんどんと白熱していきました。このゲームは2人からできるのですが、2人の場合は読み合いがより重要となります。子どもと職員とでしたときも、職員がどの数を出すのか読み切り、見事子どもが勝利! 勝てたことをとても喜んでいました。人数が多いときは、みんなでワイワイという雰囲気で盛り上がります。1ゲームも10分かからないほどなので、2回戦3回戦と続いて行きました。

 さて、最後の得点計算。人によってはマイナスカードを持っています。「これってどう計算するの?」と尋ねる子が。「『―2』は2を引くということだよ」と簡単に教えましたが、その子はそれで理解し、プラスの合計から2を引いて得点を計算していました。またマイナスを理解している子は、持っていた『3』と『―3』のカードをペアにして『0』にして、残りの数を計算していました。上の紹介からは省きましたが、ゲーム中にもプラスとマイナスを計算しないといけない場面が出てきます。遊びの中の自然な流れで、プラスマイナスの計算に慣れ親しむという側面もあるゲームです。

宿題の直しも「見える化」を!

じゃんぷに通っている子どもの漢字ドリルや算数ドリルノートを見ると直しの付箋がついていることがたまにあります。その直しが溜まってしまい,一つの学期が終わるころにはドリルやノートが付箋だらけだった…ということも少なくありません。

ただ当人たちは決してサボっている訳ではありません。直しが多くなってしまう子ども達は大抵「見通しを持つことが苦手」であることが多いです。普段の宿題に加え,やる事が一つ増えてしまう上に,それをいつやればよいのかが当人達からしたら曖昧で今一つ「やらなければならない」という実感が持てません。

そこで下の画像のような付箋を貼ってみました。

漢字の直しには「どの漢字の直しがいくつあるのか」算数には「どのような問題がいくつあるのか」と示した付箋を貼りました。そして「10分取り組む時間があるからそれまでに付箋を3つなくしておいで。どこを取り組んでも構いません。」としました。

するとスラスラと取り組み,「先生終わりました。」と報告をしてくれました。

「何を」「どのくらい」「どれだけの量」「どの順番で」「どうやったら終わりか」とワークシステムの形にし,(どの順番は今回はなかったですが…)子どもの視点から「何がどれくらいの量あるのか」を分かるように「見える化」をして学習に取り組みました。

ただ学校で全ての子どもに担任がこれを出来るとは限りません。少人数,個別で指導をしているじゃんぷだから出来たのかなぁ,と思いつつこういったことは学校でどうやったらできるのだろう,と考える日々です。

「(寄せて?)」「いいよ」

 すてっぷでは、それぞれの課題に応じてグループ毎に活動することだけではなく、支援学校の子どもたちと小学校の子どもたちが同じ場で過ごすことがあります。

 小学生のAくんは、支援学校の子どもと交流することは、なかなかありませんでした。それどころか、支援学校のCくんがそばを通ろうとしたら、近づいてきてほしくないと言わんばかりに、体をそらしてよけようとすることもありました。

 そんなAくんに変化が。支援学校の子への対応が少しずつ柔らかくなってきたのです。どうしてかと職員で話していると、同じ小学校からきているBくんの影響ではないかという話が出ました。なんでもBくんが、「Cくんは親友だから」と紹介したそうです。実際に休憩時間でBくんとCくんがそばでいっしょに遊び場面をAくんは見てきました。

 先日、AくんとBくんがテレビゲームをしていたときのことです。テレビゲームの音を聞くのが大好きなCくんがそばに寄ってきました。「見せて」や「寄せて」が言えないCくんは、何も言わずにスピーカーのあるテレビの裏に回ります。これまでなら「来ないで!」と言っていたAくん。ですがこの時は、不安そうにしながらも、黙っていました。それを見たBくんが「(Cくんは)何もしないよ」と言いました。するとAくんは「Cくん、そこなら居ても大丈夫やで」とCくんに声をかけたのです。そして「でも裏で楽しいんかな」と心配します。職員が「音を楽しんでいるんだよ」と伝えると、Aくんは「そこで楽しいなら、僕たちはそれでいいよ」と言って、ゲームを続けました。

 Cくんにだけでなく、他の支援学校の子への対応も柔らかくなっていったAくん。支援学校の子に「忘れ物だよ」と声をかけて、水筒を渡したこともありました。同じ小学校の先輩の影響を受けたこともありますが、支援学校の子と一緒の場で過ごす中で、その子たちのことを理解し、優しい声掛けができるようになってきたことは、放課後等デイサービスだからこそできたことではないかと思います。職員からの指導ばかりではなく、子ども自身の気づきを大事にして、支援に生かしていきます。

11月6日(日)発達性ディスレクシアの評価と支援

先日,JR長岡京駅近くのバンビオ1番館にて「発達性ディスレクシアの評価と支援」の講演会を行いました。

同法人が後援をしている「京都発達性ディスレクシア学習会」が運営するものです。

本年 1 月に京都発達性ディスレクシア学習会の設立総会を行いました。総会では我が国の読み書き障害研究の第一人者の宇野先生に記念講演をしていただき,今度は評価から具体的支援について実践現場での対応を再度講義をしてもらえるよう宇野先生にお願いをしました。宇野先生からも「京都で皆さんに直接話をしたい」とのことで、今回の講演会の開催となりました。今回は会場とリモートのハイブリッド型とし,会場参加24名リモート参加31名、合計55名の参加でした。

さて,本公演では「指導」と「支援」を以下のように位置づけた上で宇野先生にAVLTと聴覚法についてのお話をして頂きました。

●発達性ディスレクシアにおいては、読み書きをできるようにするのが指導

●読み書きが困難な状態ではあるものの、サポートを受けて読み書きの困難さが不利にならないように配慮する(漢字へのルビ振り、音声化、板書された文字列を無理に写さなくてよい、試験時間の延長、などなど)のが支援

読み書き障害のある子どもが成功体験を積み重ねながらどのように学習支援をしていくか,を教えて頂きました。

参加して頂いた方々にはすてっぷ,じゃんぷの職員以外に乙訓地域の通級指導教室の教員や小,中学校の教員,またその知り合い等々で京都以外の教員の方もリモートで参加していました。

この乙訓地域を中心として発達性ディスレクシアに関心を抱く様々な職種,見解を持つ方々と研究交流の輪が広がればいいなと感じています。

以下参加して頂いた方々の感想の一部です。

〇お話いただきありがとうございました。通級に来ている子の指導で困っていたことに光が見えました。拗音、促音の指導を今日からやってみようと思います。(小学校通級指導教員)

〇この度はありがとうございました。聴覚法実施の方法、それに向けてのアセスメント、実施後の指導の流れ(どこまで到達したら次の段階に進むか)等、具体的に教えていただき、大変勉強になりました。(小学校教員)

〇102モーラの再評価のこと。これは大変だなと思って指導をしていたけれど、練習する前と後で比較しないと効果がわからないって、当たり前だけれど、そこまで気に留めていなかったなと反省。
聴覚法の指導の必須条件と成功体験を積ませることが大切ということ。
最後に話された学会との距離感、言葉を選んでおられましたが、LD学会のシンポジウムで感じていたことだったので、その通りだなと思いました。(小学校通級指導教員)

勝ち負けよりも楽しさ

 小学生のZくんは勝ち負けにこだわる傾向があります。家族ですごろくをしていて、負けそうになったらすごろくの紙ごとひっくり返してしまったこともよくあったそうです。半年くらい前にすてっぷで人生ゲームをしたときも、Zくんは運悪く大きい目が全然出ずに、「もうやめる!もうやりたくない。」と大きな声で言い放ったことがありました。職員から人生ゲームはお金を増やすゲームで、着いた順で決まらずに一発逆転があることを、開始前にもそのときにも説明を受け、友達からも「まぁまぁ。Zくん、まだ始まったばかりだよ。」と慰められて何とか続けていましたが、お金が減るマスに止まってしまい、「もうやりたくない。もうやらない。」と言って廊下に飛び出そうとしました。

 そこで職員は「やめていいよ」とZくんに伝えました。最後まで続けなければならない、でも負けるのは嫌だという思いに挟まれ、爆発寸前だったZくんは「本当に?」と職員に尋ねました。職員は「いいよ。でも最後までいっしょにいようね」と、最後まで観戦してその場を共有することを提案すると、Zくんは「わかった」と、終わるまでその場にいることができました。それまでは、最後まで続けるか、投げ出すかの2極しかなかったZくんですが、「やめると伝えて、最後までいっしょにいる」という中間ができました。以降もボードゲームや公園遊びなどで、勝ち負けがある遊びを友だちとする中で、負けが見えてくると「やめる」と職員に伝えるZくん。でも最後までその場にいて、場の共有を続けられることが増えてきました。

 するとZくんに変化が。それまでは「負けるかも」となかなかチャレンジできなかった新しい遊びやゲームに、どんどん挑戦できるようになったのです。そして自分の好きなゲームを見つける中で、だんだんと楽しさを感じるようになっていきました。Zくんの最近のお気に入りは「カタン」というゲーム。有名なボードゲームで、サイコロ運もある中で、戦略や相手との交渉といった、大人でも難しく感じる要素のあるゲームですが、Zくんは何回かする(まず、この時点で素晴らしい!)中で、楽しさにはまっていったようです。さらに先日、職員が「Zくん、今から家帰って何するの?」と尋ねると、Zくんは、「家で人生ゲームする。家に2つあるんだけど、昨日、新しくもらった方が楽しいんだよ」と言いました。あれだけ嫌がっていた人生ゲームを! お母さんからは、「以前、家族で人生ゲームをしたときは、イライラしてぐちゃぐちゃにしてけんかになってしまった。でも、本人から『やりたいけどイライラしてきてたらぐちゃぐちゃにしてしまうから』と言うようになり、私からも(すてっぷとおなじように)気持ちを受け止め、『いいよ』と言うと、楽しんで見るようになりました」とは聞いていたものの、いつのまにか、Zくんは人生ゲームも遊べるようになっていたようです。

 半年前、すてっぷで遊んだ人生ゲームで爆発しかけたものの、それをきっかけに職員に「やめる」と伝えたら、受け止めてもらえたという経験ができたZくん。以降もその経験を積みながら、新しい遊びやボードゲームで友達と楽しく遊べた経験を増やせたことで、職員の知らない間に爆発のきっかけだった人生ゲームでも遊べるようになっていました。子どもの成長は、早いなぁとしみじみ感じた嬉しい出来事でした。

T先生とY先生のお茶の間話~国語編~

筆者とY先生で教材研究をする中で「授業のユニバーサルデザイン」について話し合っています。

「じゃんぷに通う子ども達に対して限られた時間の中でどのようにしたら学習の要点を掴ませることが出来るのか。」ということを話している中でこれから3年生の子ども達が学習するであろう「モチモチの木」を中心に教材研究をしています。

国語の教材を読む時,物語文であれば「中心人物」説明文であればそれぞれの段落ごとの「中心文」を子ども達に考えさせます。

文字を読み,その内容を想像することが苦手な子ども達にとって,学校の一斉授業では内容が今一つ理解できていないまま授業が進むことがあります。じゃんぷではそうならないよう,上に示したような「要点」を子ども達に示し,それが理解できた状態で学校の学習に臨めるように支援をしています。

ただ学年が上になるにつれて学習内容はどんどん抽象化されていき,複雑になっていきます。「モチモチの木」でいえば中心人物の「豆太」は臆病な子どもで,ある一つの場面で勇気ある行動をしますが,最後は「豆太」の臆病な行動の一文で締めくくられています。

この単元では

(1)言葉を手掛かりに、場面の様子や豆太の心の変容を想像豊かに読み取ることができる。
(2)叙述に基づいたり自分の経験と照らし合わせたりしながら感想を述べることができる。

簡単に言うと「豆太の気持ちの変化を想像する」「豆太の性格は?」といったことを考え,子ども同士で考えを伝え合ったりします。「豆太は臆病なままなのか?」という問いで授業をすることも多い本単元です。これについては桂 聖先生の「Whici型課題」の授業モデルがとても面白そうだったので,一番下の画像でそれだけ紹介しておきます。

じゃんぷでは「豆太のしたかったこと」「豆太がしたこと」を子ども達に示し,授業に臨ませよう,ということになりました。

Y先生と話している中で子ども達が授業の中で所謂「お客さん」にならないよう支援をしたいね,と話をしていますが中々結論が出ません。「授業のユニバーサルデザイン」等,私たちも学ぶべきことがまだまだあると感じる日々です。

「宿題ちょうだい」

 小学生のXくんは、夏休みまでは宿題や勉強をすることにかなり強い抵抗がありました。「宿題するのはわかっているけどしたくないないなぁ。」と言っていて、学校以外の場所ではなかなか取り組めません。宿題をしてから下校するという形で、家庭学習に代えているようでした。ですが夏休み中は、Xくんは学校以外の場所で勉強に取り組んでいくしかありません。

 そこですてっぷでも学習の基盤が作れるように、Xくんを含めた小学生の子どもたちには、この夏休みに学習をする時間を作ることにしました。すてっぷに到着したら、宿題か学習プリントに取り組むことにしたのです。用意したプリントは間違い探し、迷路、そしてロジ算(Dekanga × ちびむすドリル コラボ企画教材https://happylilac.net/dkg2017-019.html)の3種です。ロジ算は3×3などの正方形のマス目に、縦横それぞれ1列ずつの合計が外枠にある数と一致するように、マス目の数を埋めていくいうものです。

 Xくんは「ロジ算」が気にいったようでした。Xくんは、「なんでここの答えの数字があわないんだぁー。」と怒り出すこともありましたが、解けた時は、「あーすっきりした。」と嬉しそうでした。そして夏休みが終わり、新学期。Xくんはすてっぷに来ると、「先生、宿題ちょうだい。」と言うようになりました。職員が「ロジ算にする?」と聞くと、Xくんは「うん。」と即座に頷きます。日によっては「うーん」と頭を悩ませながら帰ってくるXくんですが、このロジ算には前向きに取り組むことができています。

 すてっぷは宿題をするための場所ではありませんが、子ども達自身の生活の中のメリハリや自立した活動の一部として、「自分で学習できる力」は大切だと考えています。夏休みを機会に友だちと一緒にプリント学習に取り組み、問題を解けてすっきりした!という良い経験を積んだXくん。この夏の経験を経て芽生えてきた「自分で学習に向かえる力」を、今後も育んでいきます。

文章になると…

じゃんぷに来ている3年生の子どもが「今日の宿題は苦手な問題だから個別の時間に教えてください。」とお願いをしてきました。

下の画像のような「円と球」のプリントでした。

「どの問題が不安なの?」と聞くと,最後の2問を指さして「これがわからへんねん。」と教えてくれました。

・半径2cmの円があります。この円の直径は何cmですか?

・直径12cmの円があります。この円の半径は何cmですか?

上記のような文章だけで書かれた問題でした。図がある問題だとすらすらと問題を解いていましたが,文字だけで書かれるとどのような意図の問題なのか途端にわからなくなるようです。

半径を赤のマーカーで,直径を青のマーカーで示し,「この問題は半径を聞いています。」「この問題は直径を聞いています。」と図に示すと問題を答えることが出来ました。しかしこれでわかったのは「半径」「直径」の言葉の意味がまだ落ちていない,ということでした。

文章だけで書かれた問題を答えるためには言葉の意味を理解していなければなりません。今回は色分けと図を示して問題を答えることが出来ました。少しずつ抽象化していき,言葉の意味が理解できるよう支援をする必要がある,と感じました。図を見ると問題を答えることが出来るので,「半径は?直径は?」とクイズ形式にして次週取り組もうと考えています。

 

英単語は音の足し算!

以前英語学習の支援の一環として「フォニックス読み」というものを紹介しました。(フォニックス読み : 06/27)

じゃんぷに通っている子どもの中にもフォニックス読みに取り組んでいる子どもが何人か取り組んでいる子がいます。先日その内の一人が「英語の読み方のパターンが何となくわかってきた!」と教えてくれました。

効果があったなぁ,と筆者は感じています。他にも英語は読めるようになりたいが苦手意識が強い子にも勧めてみようと思っています。

これを始める時には子ども達に「英語は音の足し算やで!」と伝えています。下記の画像のようにフォニックスの基礎発音を一つ教え,それに言葉は足した者を一緒に読んでいきます。

 

[c](ク)+[at](アト)=[cat](クャット) [b](ブ)+[at](アト)=[bat](ブァット)と,読み方のパターンを示し,それをたし算していく。すると子どもは段々とパターンを覚え,読むことが出来るようになっていきます。下記の動画でより詳しく紹介がされています。興味のある方はぜひご覧ください。

 

コンパス

小学3年生の算数「円と球」の単元で初めて使う道具で「コンパス」があります。

コンパスを使う導入として下のような図を描き,楽しみにながらコンパスの操作に慣れる,という活動をします。

しかしコンパスの操作は意外と難しく,6年生の子どもでもうまく扱えないこともあります。手先がうまく扱えない子どもは特に最初につまづくことも多いかと思います。

まずコンパスを持つ前に指でコンパスを回す練習を空中でしたり(漢字の空書きのようなイメージですね)少し硬い紙(画用紙等)の方が書きやすいのでそれで練習をしたりと,様々な工夫が出来ます。

ただそれでも難しい場合もあります。そういう時は「操作しやすいコンパス」を使います。下記の画像のコンパスは持ち手の部分がくるくる回る仕様になっています。極端な話,手がグーになっていても円を書くことが出来ます。

「円と球」の単元で大事なことは「コンパスをどれだけ上手に扱えるか」ではありません。「円,球について知ること。また,それらの中心,半径,直径について知ること。」「二等辺三角形や正三角形を定規とコンパスを用いて作図する活動」です。子どもたちそれぞれに合った方法,道具を使ってこれらのことが学習出来るよう支援を心掛けています。

しんどいの伝え方

 先日、支援学校高等部のWくんのおやつを食べる手が止まりました。見るからに元気がなくなっている表情のWくん。職員が「大丈夫?」と声をかけると、Wくんは「しんどい・・・。」と小さな声で答えました。職員が「どうしんどいの?何かあった?」と聞いても、Wくんは「うーん・・・。」と言葉にできないようです。まわりがうるさいのかな?と考えた職員が「別室で休憩しようか?」と提案すると、Wくんは「うるさいわけではないし、嫌なきもちでもない。」と始めは答えましたが、「先生も一緒に行く?」と職員に尋ねました。職員が「行くよ」と答えると、Wくんは「じゃあ行く」と別室に移動しました。

 別室に行き、座って休憩を始めたとき、Wくんは「紙をください」と職員に伝えました。職員が紙を渡すと、紙に言葉を書きだしたWくん。書き終わると職員に渡してきました。そこには「うるさいわけではない。気持ちがしんどいわけでもない。しゃべるのがしんどいほど体がしんどいことをわかってほしい。」と書かれていました。読んだ職員が「うるさいわけじゃないんだね。体がしんどいんだね」とWくんの気持ちを受け止めると、Wくんは頷きました。そして職員が差し出したお茶を飲んで、リラックスして過ごしました。帰る前に、「気持ちをわかってくれてありがとう」と職員に伝えてから、送迎車に乗って帰りました。

 送迎車の中でも「さっきよりはしんどくなくなってきた。」と職員に伝えたWくん。「声を出して話をするのが面倒なくらい、さっきは体がしんどかった。」と、紙に書いて伝えたことを、今度は言葉でも職員に伝えられました。そして、Wくんがふと、「今日、学校でもしんどい時間があったけど伝えられなかった。声を出すのがしんどい時は紙に書いて伝えるといいんかなぁ。学校でも使えるかなぁ。」と言いました。職員は、「そうだね。話をするのがしんどい時はその手もいいかもしれないね。」と伝えると、少しほっとしたようでした。

 Wくんが「紙に書いてみたらよかったのでは。」と自分自身で使える伝え方(気持ちの表出方法)に気付くことができたことに、職員はWくんの成長を凄く感じました。アンガーマネジメントでも言える事ですが、子どもたちが興奮しているときや困ったときなど何かを伝えたいときに、自分自身で気持ちの表出方法を身に着けているのはとても重要なことだと思います。Wくんが自身で気づけたことに習い、年下の子どもたちも身に付けられるように支援していきたいと思います。

合理的配慮

読み書きの合理的配慮について調べていた時興味深い資料があったので紹介をします。

【読み書きに苦戦する子どもたちのために~ディスレクシアと合理的配慮~】

上記のリンクではディスレクシアの当事者の話や,教室で出来る様々な合理的配慮について紹介をしています。興味のある方はぜひ読んでみてください。

さて,筆者が特に気になったのは視覚認知の困難の項目とそれに関わる合理的配慮です。視覚認知が困難な子どもは文字が歪んで見えたり揺れて見えたりすることがあります。そういった子どもへの合理的配慮として,文字のフォントについてのことが書いてありました。

「 プリントを作成するときには、認識しやすく、実際に筆記する形と近い形のフォントを選択する。」とあります。筆者が教員時代,学級通信や夏休みの宿題等,プリントを作成する時に「可愛いフォントの方がいいだろう!」という単純な思考でプリントを作っていました。その時に学年主任の先生から「(筆者)先生のクラスの〇〇さんは視覚認知に困難があるんだから教科書体の方がいいんじゃない…?」と教えてもらったことを思い出しました。

わかっているようでわかっていなかった,と感じた瞬間でした。下記の画像のようにユニバーサルデザインの書体もあります。細かなことに気をつけながら学習支援をしなければならない,と感じた時のことを改めて思い出しました。

 

 

「7が一番出やすいんだ!」

 学問に興味を持つきっかけは、どんなところに転がっているかわかりません。さかなクンが海の生き物に興味を持ったのは、友だちがノートに書いてきた、タコの落書きだそうです。筆者も数学が好きですが、好きになった理由の一つは、小学校の算数ルーム(算数の少人数授業用の教室)に貼ってあった「サイコロを2個転がして、出目を足したときに一番出やすい数はなんだろう?」というポスターでした。おもしろかったのは、ポスターに答えが書いてあるのでなく、考えてみようという出題形式だったことと、回答するときは文章ではなく、実際にサイコロを転がして試して結果で答えてもよいと書かれていたことです。さいころを何回転がしたらいいんだろうと疑問に思った筆者は算数教室の先生に聞きに行きました。すると先生は「1000回くらいかな」と答えました。100回くらいは試して記録したのですが、明確な違いが出ず、そのときはあきらめてしまいました。中学校で改めて確率の学習があって答えが分かってからも、ずっと記憶に残っています。

 さいころ2個の出目を足すということは、さいころを使った遊びでけっこう採用されています。ルールの凝ったすごろくで見ることもありますし、家族で遊べるテレビゲームで有名な「桃太郎電鉄」シリーズの急行カードなどもそうです。すてっぷにあるボードゲームでも、「カタン」は毎回出目を足しますし、「ハンデをあげる」(2022/6/17)で紹介した「街コロ」でも必要な時があります。「街コロ」でおもしろいのは、はじめはサイコロ1つを振ることから始まることです。途中で「駅」という物件を買うと、次の番からサイコロ2つを振ることが「できる」ようになります。つまり、自分や他の人の状況を見て、サイコロ1つの出目と、サイコロ2つの出目を足した数の確率をそれぞれ考えて、どちらにするかを決めることになるのです。

 先日、「街コロ」に取り組んだ中学生のVくんも、「サイコロ2つだと、何が出やすいんだろう」と職員に尋ねてきました。職員はホワイトボードに1~6を縦、横にそれぞれ書いてマトリックスにして、足した数を書いて教えました。「7が一番出やすいんだ!」と見てわかったVくん。その後も「3は出にくいなぁ。9と10はそれぞれは出づらいけど、合わせたら出やすいな(9と10どちらかが出たらよい物件があり、確率は36分の7になるということです)」と考えながら取り組みました。

 事業所でボードゲームに取り組むときは、様々な狙いを持って設定しています。勉強に結び付く、または勉強の成果を発揮するということばかりではありませんが、楽しく遊ぶ中で無理なく勉強の要素を使うということは、前向きにとらえ、興味を持てるようになる一つのきっかけになるかもしれません。ボードゲームに限らず、取り組みの1つ1つが、子どもたちの興味を引き出せるように、工夫して設定していきます。

どうぶつずかんを読もう!

宿題への苦手意識が強いA君がここ最近積極的に宿題に取り組んでいます。

A君は読み書きが苦手で,文字を読む,書くことにエネルギーを使ってしまい,その後の「思考する」ことがとてもしんどい様子でした。宿題の取り組む量を減らしたりするもののこれまで積み重なった苦手意識は中々拭えるものではありませんでした。

A君は動物にとても興味があり,家で図鑑などを読んでいるようです。わからない漢字は教えてもらいながら夢中になって読み,大人でも知らないような知識をたくさん持っています。

そこで宿題の取り組みにトークンシステムを用い,「スタンプが5つ溜まったらどうぶつシールと簡単な図鑑をもらえる」ということにしました。

それで目を輝かせ,今A君は積極的に宿題に取り組んでいます。

トークンのどうぶつ図鑑は筆者が作った稚拙な物ですが,とても喜んでくれています。ご褒美を渡したとき,書いてある文章を読ませるようにしています。おおよそ3年生までの簡単な漢字を用いていますが真剣に読み,「そうやったんや~!」と感想を言っています。

こういったことから少しずつ漢字の読みに興味を持ってくれないかな…と思っています。やはり学習の引き出しは興味から,と改めて感じた瞬間でした。

あまりのあるわり算

先日じゃんぷに通っている小3の子どもの宿題で以下のような問題が出ていました。

その子は最初答えを「8きゃく」と答えていました。「あまりのあるわり算」の単元では文章問題の答え方が2パターンあります。最初は下の画像のように「〇個できて△あまる」といった答え方と初め紹介したような「〇個必要」といったものです。

文章を読むことが苦手な子どもにとって文章の意味の違いを理解し,答え方を変えることはすぐに出来るものではありません。その時は問題を2つのパターンに分けました。

1.「〇個できて△あまる」と答える問題だよ!

2.「答えに+1する」問題だよ!

このように子どもがわかりやすいように整理し,宿題に取り組みました。本来は「いくつ必要なのか」を読み取り,問題の意味を違うことを考えさせることが目的なのですが,読み書き障害のある子どもにとってはそこでつまづいてしまい,苦手感を持つきっかけになってしまうかもしれません。まず本人がわかりやすいように問題を取り組めるよう支援し,その後ゆっくり問題の意図を理解できるように今回は支援をしました。

「きょうはフリスビー!」

 先日、支援学校高等部のUくんといっしょに公園に行ってきました。Uくんは運動自体できますが、スポーツ競技に興味があるわけではありません。職員が誘うとサッカーやキャッチボールなどしますが、あまり長い時間は遊べません。ブランコといった遊具は好きで、自発的に遊ぶ姿がよく見られます。ただその日に行った公園は、遊具がない人工芝の公園でした。職員は自発的に選んでほしいと思い、Uくんが選びやすいように、バレーボール、野球ボール(グローブ)、フリスビーを並べました。すると、Uくんはおもむろにフリスビーを手に取りました。

 Uくんは、フリスビーをひょいと投げました。そして、芝に落ちたフリスビーを拾って、職員がいない方向へ歩いて行きました。職員が(Uくん、フリスビーを選んだのかな? それとも、1回投げただけで、別のところに行こうとしてるのかな・・・?)と様子を見ていました。するとUくんは足を止めて、職員の方に体を向けました。それは以前、Uくんと職員がフリスビーで遊んだ時と同じくらいの距離でした。そしてUくんは、職員に向かってフリスビーを投げたのです。その後、Uくんと職員でフリスビーを投げ合って遊びました。

 フリスビーを遊んでいる途中に、職員はUくんが他のボールでも遊ぶかもしれないと思い、Uくんが手に取らなかったバレーボールや野球ボールを「いくよー」と声をかけて投げてみました。Uくんはそれぞれのボールは拾いに行きましたが、職員に投げ返すことはなく、それぞれのボールを最初に置いてあった位置に置いて戻しました。それを見て職員は「フリスビーをしっかり選択できていたんだ!」と感心しました。職員が「フリスビーしよっか」と声をかけてフリスビーを投げると、Uくんはキャッチしてから投げ返して、そのままフリスビーを続けて遊びました。

 自発的に選ぶということは、「楽しむ」ということに大きく関わっているように思います。子どものおやつも、大人が選んだものばかり与えられるよりも、自分でおやつ売り場に行き、どれがいいか選んで、レジに買いに行くという活動の方が、食べるときにより楽しみが大きくなるではないでしょうか。「自分で選ぶことができる」ということが、Uくんにとっても遊びや運動をより楽しくするとともに、選択肢を広げることで活動の幅を広げていけると思います。これからもUくんがいろんな活動の中で、選択できる機会を増やしていけるように支援していきます。

「きんようび、ホットケーキ♪」

 支援学校小学部のWさんは休憩中のタブレットが大好き。お気に入りのピンク色のカバーがついたタブレットがほしいと、「ピンクのタブレットください!」と職員に伝えます。ただ友だちが使用中で、職員が「まってね」というと、「ピンクタブレット~!」と大声で叫んでしまうことがたびたび見られました。大声を出したら要求が叶った経験があったのかもしれません。

 そこで、こつこつトレーニング(2022/10/4)で紹介したVくんと同じように、「まって」トレーニングをすることにしました。最初の数秒から少しずつ長くして、職員と交渉して待っていたら約束を守ってもらったという経験を積んでいきました。30秒待つ練習の頃から「まって」カードといっしょにタイマーを渡すようにすると、Wさんには分かりやすかったようです。そこから時間を長くしていっても、じっとタイマーを見て待つことができるようになってきました。また同時に、ほしいタブレットを友だちが使っていたら、友だちに「ください」と要求を伝えに行くトレーニングを進めました。友だちとの交渉には職員が支援に入り、「〇時になったら交代ね」とホワイトボードに書いて示します。そしてWさんにタイマーを渡して、時間になったら交代して友だちからタブレットを受け取れた経験を積み上げていきました。

 これらのトレーニングを、要求が出るたびにこつこつと2年以上続けてきました。すると先日、驚きの成果が! Wさんが公園から帰ってくると、友だちがホットケーキを作っていました。Wさんはそれを見て、「ホットケーキください」と職員に伝えます。しかし材料はその友だちの分しかありません。職員が間に入り、友だちに「1切れください」と伝えてみました。うなずかない友だちを見て、職員が「また今度ね」とWさんに伝えると、Wさんは「きんようび、つくる!」と言いました。次の利用日が金曜日と分かって言ったのです。日をまたぐ交渉ができたのはすてっぷでは初めて。それも自分から! 「きんようび、ホットケーキつくろうね。たのしみ♪」と言って帰っていきました。

 金曜日、事業所に着くなり「ホットケーキつくり、たのしみ♪」と職員に伝えてきたWさん。一緒にホットケーキを作り、職員が勧めたシロップを断り(!)、プレーンのホットケーキを満足げな表情で食べて、お片付けまで完璧に終えました。「あー、おいしかった、ごちそうさま~♪」

長さ・重さ・かさ

久しぶりのじゃんぷ日記です。

今,小学3年生の算数は「重さ」の単元です。一人の子どもが「先生,この問題の意味がわからへん。」と質問して来ました。

その子は計算問題(2kg500g+1kg700g=等の重さを計算する問題)をスラスラと解いており,この単元は何も問題がないかな,と思っていました。

質問してきた問題が「トンネルの長さ 2□(□に適切な単位を書く)」といった問題でした。「ん?トンネルの『長さ』を聞いてる問題でしょ?長さの単位って何だっけ?」と尋ねると「グラム?キログラム?あれ…?」と戸惑った様子でした。

つまり1000g=1kgや,1200m=1km200mといったことはわかっていても,そもそもの距離や重さの感覚が実感としてわかっていなかったようです。

数字はわかっていてもその意味がわかっておらず,例えば家からじゃんぷの距離は大体「km」で表せるといったことは「?」な様子でした。

まず,「長さ・重さ・かさ」の単位を整理し,それぞれの距離感や重さ,かさの感覚を教えました。「そういうこと?」と理解した様子でしたがまだ定着出来ていないとは思うのでスモールステップで定着を図っていこうと思います。

こつこつトレーニング

 支援学校中学部のVくんは、なかなか待つことができませんでした。友だちといっしょに山登りに行けば、どんどん先に歩いて行きます。友だちと協力して空き缶つぶしの作業をするときも、先に先にと箱から空き缶を取り出してどんどんつぶし、プルタブを外す友だちが間に合わずに箱の中が空になるということがよくありました。

 そこで、Vくんに「まって」のトレーニングをすることにしました。ただ、山登りや作業といった、Vくんが大好き!というわけではない活動から取り入れても、うまくいくとは限りません。そこでVくんが大好きなおやつの場面から練習することになりました。ちょうどおやつのときも、待てないことが課題にあがっているときでした。

 PECSの「まって」トレーニングの方法に従い、初めは「ください」を言ってから数秒待ってもらうところからスタート。待つ時間を少しずつ長くしていきました。そしてタイミングを見計らい、作業でも「待って」トレーニングに挑戦! 友だちがプルタブを外すまで、「まって」カードを渡すと、Vくんは見事待つことができ、友だちから空き缶を受け取ってからつぶすことができました。

 驚いたことにトレーニングはその1回だけ。以降は「まって」カードがなくても友だちを待って、作業ができるように。また山登りでは友だちと同じペースで歩いたり、遅い友だちを休憩場所で待ったりできるようにもなったVくん。いきなり変わることが難しくても、毎日少しずつトレーニングすることで、できることが増えていきました。すごい!

ともだちといっしょ2

 「ともだちといっしょ」(2022/7/22)で紹介した小学生のMくん。小声とおやつの持ち帰りのブームがずっと続いていました。しかし小声はともかく、おやつは学童や他の事業所ではしっかり食べていると言います。そこで、すてっぷでも食べてほしいと工夫することにしました。

 そもそもMくんはなぜ、おやつを持ち帰りたいと言うようになったのか。それは友だちが持ち帰りと言っていたのを真似して始まったのではないかという話になりました。ではその状況を変えるのも友だちから、ということで、友だちといっしょにおやつを食べる機会を作ることにしました。公園や山登りへのお出かけ時といった特別感を出してみました。

 ある日公園で遊んだ後、公園でそのままおやつにすることにしました。すてっぷから持参したおやつをMくん以外のみんなが食べ始めた横で、職員がMくんに「おやつ食べる?」と聞くと、Mくんは「食べる。おやつ食べる。」と答え、おやつを美味しそうにぱくぱく食べ始めました。途中で食べ止めることもなく食べ終わりました。職員がMくんに「おやつ、美味しかった?」と聞くと、「美味しかった。」と元気に答えてくれました。

 その後もMくんは公園でおやつを食べています。みんなといっしょに公園でおやつを食べた日から、「おやつ、もちかえり。」というMくんの言葉は聞かなくなりました。それはきっと、Mくんの「おやつをもちかえること」というブームが、「おやつをみんなで食べるとおいしい。」というブームに変わったのだと思います。公園への道中で、友だちのにぎやかな輪に入るうちに、小声ブームも薄れていき、だんだんと大きな声になってきました。友だちのいいところを学びあえるように、支援を工夫していきます。

休憩のトレーニング

 支援学校中学部のUくんは、すてっぷの休憩時間に過ごせることがなかなか見つけられませんでした。もともとはアニメが大好きで、よくDVDを見ていたのですが、1年ほど前から観なくなりました。それからは手持無沙汰になったように、指のさかむけを剥こうとしたり、服の糸をひっぱったりと、なかなか落ち着いて過ごせません。休憩にできることを複数提案し、どれにするか選択できるようにしても、自分では選ぶことはできませんでした。それどころか、職員が「どっち?」と聞くと、Uくんは「どっち?!」と過剰反応することも見られることがありました。

 そこでスケジュールから休憩時間をなくし、代わりに「せんせいとべんきょう」を入れて、かるたを職員と一緒に遊ぶ時間にすることにしてみました。他にも「さぎょう」でシュレッダー作業を入れるなどして、まずはやることがある状況の中、適切に活動できた(過ごせた)時間が長くなるようにしながら、それを褒めていくようにしました。

 次第に不適切行動や選択への過剰反応が少なくなっていったUくん。少しずつ、何もしないで横になってリラックスする休憩の時間を作ったり、視覚的に選択肢を提示して選んだりのチャレンジを増やしていきました。1年経った今では、公園で体を動かした後で運動か休憩かを聞くと、自分で休憩を選んでベンチでごろんとリラックスして過ごせるようになりました。スケジュールでも休憩時間を入れるようにして、休憩時間に先生と遊ぶか休憩かを聞くと、横になってリラックスすることも選べるようになりました。

 「休憩時間に好きなことができるよ」と提示しても、自分で過ごし方を見つけるのが難しい子もいます。休憩時間をその子に任すのではなく、必要に応じて休憩と選択をトレーニングとして取り組んでいます。

メリットのないコミュニケーション

 半年前のTくんは、自分なりの理由やマイルールでよく動いていました。同級生とテレビゲームで遊んだ後、帰る時間になってからの片づけではいち早く抜けて、ほかの子がまだ片付けているのにも関わらず、先に帰る準備を始めます。職員が「まだ片付け終わってないよ。他のみんな片付けているよ。」と伝えると、Tくんは「片付けたよ。」続けて、「だって俺が準備したの、あれとこれの2つだけだし。これ以上片付けると俺が片付けすぎて損や。」と言うのです。下級生とも、「えー俺は別に遊びたくないから。」と言って、関わろうとしませんでした。

 メリットとデメリットを考えて行動するTくん。友だちと上手に関われる機会を増やすために、まずはTくんがメリットのある自分のしたい遊びから支援していくことにしました。具体的には、Tくんがしたい遊びができることを保障し、「でもその前に下級生を誘ってほしい」ということを伝えるようにしてみたのです。自分がしたい遊びなので、Tくんは進んで、「〇〇くん、〇〇ちゃん遊ばへん?」と下級生に声をかけるようになりました。最初は下級生も乗ってきません。Tくんとの関係性がまだできていないからです。でも職員は「遊びに誘うことできたね。偉いね。また今度も誘ってみようよ。」と褒めました。そうして下級生を誘う練習を繰り返し実施していくうちに、Tくんも自信をつけていき、下級生との関係性もできてきました。

 半年後の今では、Tくんの伝え方も上手になりました。声のかけ方が優しくなるとともに、言葉だけでなく身振り手振りを混ぜて、わかりやすく伝えられています。下級生も遊びの誘いに乗ってくれるようになり、Tくんも一緒に遊べて嬉しそうでした。公園から帰る時も、その子の落ち着きがなかったのですが、「△△ちゃん、俺と手を繋いで帰ろうよ。」と気遣って、優しいお兄ちゃんの一面も見せてくれました。手を繋いでいると、○○君が、「ぼくともつなごうー。」とTくんの手を握ってきました。両手を下級生のお友達に奪われたTくん。照れくさいようでしたが笑顔いっぱいで帰路につきました。

 この半年間で、Tくんは「下級生に優しくしたら、下級生と仲良くなれた。」という経験を積めました。メリットに思っていなかった下級生に優しくするという行動が、結果として下級生が自分から近づいてきてくれたというメリットになったことをフィードバックできたのではないかと思います。テレビゲームの片づけも、今ではメリットを気にせず同級生とも協力してできるようになったTくん。「すごいね!」と毎日のように職員から褒める言葉が積み重なっています。

外出用のスケジュール

 夏休みに計画していたものの、新型コロナの影響で延期にしていた外出に、ようやく行くことができました。外出についての詳しい紹介はまた別の記事で行うかもしれませんが、この記事では外出用のスケジュールを紹介したいと思います。

 すてっぷでは、小学生もスケジュールに取り組んでいます。活動の見通しを持ち、自立的に次の行動に移れることを狙っています。普段の日であれば、ボードにカードを貼って提示していますが、外出時は紙に印刷して提示することが多いです。外出なら1日の予定がその日に変わることはそうそうなく、また外出で持ち運ぶため紛失する可能性があるので手間のかからない紙への印刷のみにしています。雨天の場合は、まるまる違う紙を用意しておき、出発前や外出中に差し替えるようにしています。

 さて今日の外出では、今日が初めての外出の子も何人かいました。この紙のスケジュールを使うのも初めてです。他の子もあまり使ったことがなく、5年生のRくんでも久しぶりに使うこととなりました。ですがRくんはさすがです。出発前のトイレが終わるとすかさず紙を確認。今日は初めての子もいるということで、終わった活動は職員にペンでチェックしてもらうことにしていたので、他の子もそれに倣って紙を職員に見せて確認してもらいます。出発後も到着したときやお昼ご飯を食べ終わったあとなど活動が終わるたびに確認し、次の活動に向かうことができました。

 今回は職員が紙に印刷してスケジュールを提示し、終わった活動のチェックは職員がすることにしましたが、彼らの成長に合わせて、自分でチェックするようにするとともに、自分で使えるメモ帳などに切り替えることも考えています。スケジュールを使うことで、見通しを持てるようになり、また見落とすことがなく過ごせたら、その利便性を感じて、自分で使おうとする意欲が生まれます。将来は自分で予定をメモ帳に書き込み、それを自分で確認することで1日の行動が適切にできたらいいなと思っています。

二人で打ったホームラン

 すてっぷでは天気がいい日は公園で設定遊びを行います。先日、公園でティーバッティングをしました。ティースタンドに置いてあるボールを打つ人が一人、それ以外の人は守備をします。打つ人が3回ヒット性の当たりを打てたら次の人に交代するという形で、子どもたち一人一人に「順番を守ること」、「打てることを楽しみに守備ができること」、「自分はいつ打つのか見通しを持たせること」を意識させながら取り組みました。

 Pくんは最近、このティーバッティングがお気に入り。上手にボールを打てているので、自信を持って取り組みに加わります。前回の取り組み後も、「僕、野球習ってないけど上手い?」と職員に尋ね、「上手だと思うよ。上手にボールを打っていたね。」と答えてもらうと、Pくんは誇らしげにしながら、「楽しかった。」と職員に伝えました。けれどPくんは元々、ティーバッティングはそれほど好きでもありませんでした。野球の経験が少なかったからです。Pくんに限らず、すてっぷに通う子どもたちは経験したことのない遊びや活動には自信が持てず、不安になって取り組みにくいことがあります。そこで、その不安要素を解消していくために、事前に個人ごとに練習の時間を作ってモデルを見せたり、スモールステップで取り組ませながら、こまめに「上手にできてるね。」と褒めたりといった支援をしました。その積み重ねで、最近のPくんはティーバッティングに自信を持てるようになりました。

 この日も、Pくんの振るうバットは快音。上手にボールを打ててPくんは喜びながら、上機嫌でグローブを装着して守備役に変わりました。Pくんの次に打つのはQくん。以前はボールをかなり遠くまで飛ばしていました。けれど、この日はバットにボールが中々当たらず、空振りを連発していました。守備をしていた友達のみんなから、「Qくん当たるよー。」、「Qくん、ボールよく見てー。」と応援されますが、以前のように打てなくて顔が曇ってきたQくん。すると、PくんがQくんの元に駆け寄ってきました。Pくんは「Qくん。バットの持ち方は左手が下で右手が上だよ。ボールをよく見たら当たるよ。」と優しく伝えました。すると、Qくんの曇っていた顔が晴れていきました。Pくんが守備に戻り、Qくんがティーの上にボールを置いてからバットを構えて一呼吸。カキーン!ついにバットにボールが当たりました。遠くまで飛んでいったボールを見て喜ぶQくん。守備をしていたPくんも同じように喜んでいました。

 QくんにとってもPくんにとっても、「成功体験」を感じる事ができたいい日になったのではないかと職員は思いました。

「上手に打ててすごいね!Qくん。」

「教えるの上手だね!Pくん。」

お絵描きで人狼ゲーム

 「ぼくもそれしたい!」(2022/8/29)で紹介したように、小学生たちがボードゲームに取り組むときは前半後半に分けて、選べるボードゲームの種類を増やせるようにしています。この日も後半は3人と2人の2グループに分かれて、それぞれのグループで遊ぶものを決めました。3人グループは『犯人は踊る』など長くて5分ほどで終わるゲームを3人とも選び、10分ほどで終了。あとは2人グループが戻ってきたら一緒に挨拶して終わりにしようと待ってました。

 ところが2人グループが選んだのは「街コロ」。このとき、まさに盛り上がっているところでした。なかなか戻ってこない2人グループを待ちきれなくなったMくん、Nくん、Oくんの3人。「早く終わってタブレットで遊びたい~」と騒がしくなりました。職員が「『犯人は踊る』をもう1回やってみようか」と誘いますが、子どもたちには追加の提案はなかなか入りません。「え~」と言って、受け入れませんでした。

 そこで職員は新しいゲームを紹介することにしました。「エセ芸術家はニューヨークへ行く」というゲームです。本来は小さな紙にお絵描きするテーブルゲームなのですが、興味を持てるようにと何も説明せずにまずは大きなホワイトボードを子どもたちのところへ。3人はさっそく「なにするの?」と尋ねてきます。そこで「今から順番に、一筆ずつホワイトボードに絵を描いていくよ。お題は小さなボードに書いて、1人1つずつ渡すので、それを自分だけが見えるように見てください」と説明しました。そう、このゲームはただのお絵描きではなく、お絵描き版人狼ゲーム。1人だけお題が書かれていないボードを渡されるのです。「最後にお題を知らない人を当てるので、みんな描くところを見ておいてね」と伝え、3人ともう1人の職員とでゲームスタート。お題は「猫」で、何も書かれていないボードをもらったのは職員です。お題を知っているMくんは「1番がいい!」と一筆ながら折り返しを駆使して全体像を描いていきます。同じくお題を知っているNくん、Oくんも、Mくんの描いた絵の続きを描いていきます。ところが職員は猫にはないはずの魚のえらのようなものを描きました。すると3人とも「おかしい~!」とすぐに気づきます。当然最後に票が集まったのは職員。3人は見事、お題を知らない人が職員だと当てられました。

 2回戦目は見事に票が割れ、今度もお題を知らなかった職員が選ばれなかったとして勝利。ちょうど2人グループの方も終わりの時間になり、こちらのグループも終了としました。さてこのゲーム、この日はここまでの説明になりましたが、もう一つ奥深いルールが。慣れてきたらそのルールも子どもたちに紹介したいと思います。

これだったらできるかな?

宿題について,子ども一人一人悩みがあります。

漢字を書くことが苦手,算数の計算が苦手,量が多くて混乱する…等々,理由はそれぞれです。

L君は問題の意図がわからないと宿題に対するやる気が出ず,時間をかけて取り組むということがありました。しかしL君が「こういう意味ね!」と問題を理解出来た宿題についてどんどんと進めていきます。

つまりL君に対しては「問題の意図がわかるような支援」をすれば取り組むことが出来るのです。

前回は時間の文章問題が出ており,「これはわからないなぁ~」と頭を悩ませていました。時計の図を書き,時間の変化が「一目でわかる」ようにすると「そういう問題ね!」と言って取り組みました。

このようにじゃんぷではそれぞれの子どもの特性にあった支援をしています。じゃんぷで取り組んでいるものとして一つ紹介します。

「ここも片づけてみようかな」

 古墳に行けるかな?(2022/9/2)で古墳に行けることを目標に、日々の活動をがんばろうと決意したIくん。この日はみんなで公園へのおでかけです。Iくんはグローブやボール、フリスビーなどの公園で使う遊び道具を、職員に何も言われなくても自分から準備。帰ってきてからの片づけもきちんとすることができていました。帰ってきてからの休憩時間でも、他の休憩中の友だちに近づきすぎず、落ち着いて過ごせたIくん。振り返りで職員が「今日は近くになりすぎない距離で上手に会話していたね。」と伝えると、Iくんは「うん。気をつけるようにしたよ。」と答えました。振り返りが終わって、はにわカードが3つ貯まり、Iくんは大喜び。Iくんが朝から来る日に、古墳へのお出かけ計画をIくんと一緒に立てました。

 そしてあくる日の夕方。ご家族の迎えも来ていて、あとは帰宅するだけの時間に、帰る準備を終えたIくんが「あれ?ん?」と呟きました。職員がどうしたのかと見ていると、Iくんはすてっぷの公園道具が置かれているスペースへ。そして職員に言いました。

「サッカーボールはこっちだよね。」

 恐らく、この日にお出かけしたグループが、野球セットとサッカーボールをまとめて同じ場所に置いたのでしょう。外観は、整理はされていて、邪魔にもなっていなかったのですが、遊び道具の準備と片付けを取り組んできたIくんは、元の片づける場所ではないことに気付いたのです。そして、サッカーボールを元々吊るしていた場所に戻しました。それだけではなく、Iくんは後で職員が片づけるために置いていた遊び道具も手に取って、「先生。これはここに置いていていいの?」と自分から聞いてきました。職員が「あってるよ。」と伝えると、「そっか。じゃあ片付けなくていいんだね。」とそのまま置きました。

 この日は「古墳行けるね表」の約束は特に提示していませんでした。前日にはにわカードを3つ貯めていても、Iくんが自分から片付けを行ったことに職員は驚いたのと同時に嬉しさを強く感じました。本人が目標を自分で見て意識し、自分から動けるようにするためのツールとして作成した「古墳行けるね表」だったので、Iくんが強く意識してくれてとてもよかったです。これからもIくんの様子を見守っていきたいと思います。近々、行く予定の古墳巡りも楽しみです。

「出来ること」と「手伝ってほしいこと」

久しぶりのじゃんぷ日記です。長い間期間が空いてしまい申し訳ありません…また不定期になってしまうこともあると思いますが,これからもよろしくお願いいたします。

さて,じゃんぷのK君の見せる姿が変わった,と職員間で話題になりました。

宿題に対する苦手意識があり,「やりたくないよ~」と言っていたK君がそういった言動をしなくなりました。わからない宿題や苦手意識の強い宿題は「教えてください」と,援助を求めながら前向きに取り組もうとしています。

取り組んできたことは,K君がじゃんぷに来た時に最初に宿題を出し,「『個別学習』の時間にするものと『自立学習』の時間にするものと分けて取り組もう」とK君に選んでもらっていました。

「これは苦手やから個別にやって…これは出来るから自立の時間にやろうかな…」と宿題をわけていくK君。

取り組む課題の見通しを持ち,苦手な課題は一緒に考えてくれる人がいる,という安心感もあったのでしょう。K君が宿題に対して後ろ向きな発言をすることはなくなりました。

夏休みの間,日記等の宿題を持ってきて「一緒に考えてください」と伝えてきました。前向きにがんばろうとしている姿勢がGoodです!!

古墳に行けるかな?

 支援学校中学部のIくんは、誰にでも話しかけてフレンドリーな性格。ただ、話しかけるときに相手との距離が近すぎたり、相手が活動中でも話しかけるなど相手の状況が見えなかったりで、適切に話しかけられるようになることを課題にしています。

 そういうことが見られたときは、近くにいる職員が話しかけるときに気をつけることを伝えるのですが、なかなか積み重なりません。やはり友だちが大好きなIくんにとっては、マナーを守ることの意識よりも、友だちに話しかけたいという気持ちが勝るのかもしれません。また、言葉だけでは意識しづらいため、視覚的に分かる方がいいのでは、と職員間で話しました。

 そこで、I君本人が目標に対して自分で考えて動けるようになれたり、目標を意識しやすくなったりためのツールとして「古墳行けるね表」を作りました。

I君は古墳巡りが好きなので、古墳やはにわをモチーフに作成しました。

①    友達や職員とちょうどいい距離で会話や活動ができた(距離が近くなりすぎない)。

②    遊び道具や活動の準備・片付けができた。

③    帰る前に職員と一日のふりかえりができた。

の目標1つができるたびに、はにわカードがゲット! はにわカードが3つ貯まると次回、すてっぷに来た時に古墳に行けるようになるというものです。

 職員がこの表のことをIくんに説明すると、Iくんはよく理解して、はにわカードの実物を見て喜びながら「頑張る。できそう。」と意気込んでいました。さてI君は、目標を達成できて、古墳にお出かけできるのでしょうか。また紹介したいと思います。

 

「ぼくもそれしたい!」

 長かった夏休みもとうとう終わりました。今年の小学生たちの過ごしは、午前日陰のある公園で運動し、午後は室内での活動で遊ぶことがほとんどでした。室内での活動では、特に「犯人は踊る」や「人狼ドッチ」などの、隠された手札を読み当てるボードゲームが盛り上がりました。

 夏休みの初めは、集団でのボードゲームは「みんなで相談して遊ぶことを1つ決めよう」という狙いを持って取り組んでいました。UNOやトランプなど希望がばらけた中で、みんなで相談して決めることにチャレンジし、職員も支援することで狙い通りできるようになってきました。ただ、次第にみんな好きなものが上記の2つに固まってきて、相談もそこそこにボードゲームの時間がスタート。3ゲームやっても15分ほどで終わって、好きな一人遊びに駆けていくという姿が多くなってきました。そこで後半は、一人ひとつやりたいことを挙げ、提案された遊びを順番にやっていく時間を作るようにしました。また、5人くらいの人数が集まった時は、前半は5人全員でやるゲームで遊び、後半は遊びたいことで2人や3人に分かれるようにしました。

 すると、変わらず人気の上記2つの遊びだけでなく、「ワードバスケット」や「ゴブレットゴブラーズ」といった、全員でやるときには提案されにくいけれど、本当は面白くて遊びたいというゲームが次々に提案されるようになってきました。また、人数に合わせて遊びを決めようとする工夫も見られます。そして「次はこれにしよう」「ぼくもそれしたい!」とにぎやかに楽しんで遊ぶうちに、気がつくとあっという間に1時間が過ぎるほど熱中するということも多くなっていました。

 ボードゲームの良いところの1つは、同じ机を囲んで遊ぶことで、友だちと様々な出来事(感情、経験、作戦など)を共有できることです。そして、それらを共有するということは、他人への気づき、ひいては自分への気づきにつながります。遊びの種類や時間を増やしながら、子どもたちが自分で気づけたことを、褒めていきたいと思います。