すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

「今度はこおり鬼!」

 「いっしょにあそぼ!」(2023/2/7)で紹介した支援学校小学部のPさん。友だちのことが大好きで、今日は友だちと遊べるかな?と思いをはせて帰ってきます。すてっぷに着くと、まずは自分や友だちの予定が書かれているホワイトボードを確認。下校時間の都合でPさんが先に公園に行くことが多いのですが、友だちと遊べることを心待ちにしていて、「〇〇くん、もう来る?」と職員に尋ねる姿も見られるようになってきました。

 友だちとの遊びは、職員が支援しながら行っています。鬼ごっこは職員との1対1からスタート。最初は逃げるだけだったのが、タッチされたら鬼が交代して、今度は自分が追いかけるということが理解できるようになってきました。職員が付いて、友だちと一緒に鬼ごっこすることにも最近取り組んでいて、今は「こおり鬼」にチャレンジしています。鬼の交代がなくPさんにとって分かりやすい中で、こおりの人を助けたり、逆にこおりになっているところを友だちに助けてもらったりと、友だちと関わりながら遊んでいます。

 先日のこと、Pさんは一足早く大きなU公園へ行き、友だち達は学校が終わって集まり次第、近くのV公園へ行くことになっていました。すてっぷに帰ってきたPさんはいつも通りホワイトボードを確認。するとPさんは、「1番U公園、2番V公園!」と職員に伝えました。最初にU公園に行って職員と遊び、次にV公園に行って友だちと遊びたいと伝えたのです。Pさんが自発的に伝えられたことを職員はほめ、友だちの来る時間に合わせてU公園からV公園に移動しました。V公園は比較的狭い公園で、「田んぼの田」をすることに。Pさんはいつもの鬼ごっこのように田のエリアに気づかず逃げていきます。ですが職員がPさんに田のエリアを注目させると、友だちの動きをまねながら、田のエリア内をぐるぐる逃げ回るようになりました。次は大繩での八の字跳び。これも始めはその場跳びになっていたのですが、後半は友だちの動きをまね、外から縄に入ろうと伺うように。職員がタイミングを教えることで、見事縄に入って一度跳んでから外に出るという、八の字跳びの動きができて、友だちと一緒に続けることができました。

 学校が違っても一緒に遊べる場を作れることが放課後等デイサービスの強みの一つだと紹介してきましたが、そこで発揮される子どもの能力のすごさには改めて驚かれるばかりです。それと同時に、その機会を逃さないためには、適切に支援できる能力が必要であり、職員としては身を引き締まる思いがします。Pさんの保護者の方によると、Pさんは家でも姉妹やその友だちも意識して、いっしょに遊ぼうとする姿が見られるようになってきたそうです。Pさんを初め、すてっぷの子どもたちが豊かな放課後を過ごせるよう、励んでいきます。

算数障害スクリーニング検査

今年の1月に発売された『算数障害スクリーニング検査 ~適切な学習指導は正確なアセスメントから~』(熊谷恵子・山本ゆう 著)を購入し、読みました。

本書は算数障害の背景、具体的事例、そして算数障害のスクリーニング検査用紙がついています。算数の困難がある子ども達の中には知的能力は低くないものの、認知能力のアンバランスがあり、学習障害の中の算数障害である場合があります。これらの認知能力のアンバランスさについてはWISC-VやK-ABCⅡ等の知能検査の中で明らかになることが多いですが、本書の検査でも同様に知ることが出来ると感じています。

本書の検査では子どもの算数に関する認知のアンバランスの傾向をおおまかに捉えることが出来ます。数処理が苦手なのか、数概念なのか、計算なのか…等々。それぞれの苦手への具体的な支援のポイントも書いてありました。

家庭での子どもの苦手の把握だけでなく、学校の教室で取り組み、グレーゾーンだと思われる子どもの苦手を教員が捉えるために使用してもよいかもしれないですね。

がんばるます!

じゃんぷに通うT君が一人で帰れるよう練習を始めます。T君のお家はじゃんぷから少し離れたところにあるので電車で来る必要があります。なので行きは最初保護者に送ってもらっていたのですが、去年の9月頃から一人で来れるようにと練習を始め、今は家から一人で西向日駅まで来れるようになりました。

さて、先日保護者の方と面談をし、「帰りも一人で来れるのではないか」と話になり、帰りも自立的に来れるよう練習を始める、ということになりました。T君は行きが一人で来れるようになったことが嬉しいようで、家から一人で来れるようになった頃は「今日も一人で来れたで!」と報告をしてくれていました。それだけ彼の自信になっています。

本来忘れ物が多く、ワーキングメモリーも弱いため様々な場面で大人からの声掛けをされてきた彼です。「出来るかなぁ…」と不安がっていたことが練習を積み重ねたことで一人で出来た結果に繋がったのだと思います。今回は不安な言葉ではなく、「がんばるます!」と言ってくれました。

子どもが一人で、自分の力で出来たという経験は何よりも自尊心になります。T君は今年度そんな経験をたくさんしてきました。不安なことは不安だと大人に相談し、一人で出来そうなことは「やってみる!」と判断も出来るようになってきています。がんばえ~、T君~!

読みの支援

じゃんぷに通う子どもの中に「音読の宿題が嫌だ!」と話す子どもがいます。そういった子ども達の文章の読みを聞いていると、様々な困難が見えてきます。読み飛ばしや勝手読み(文章に書いていることと違うことを言ってしまう)、逐次読み(文字を一つ一つ拾って読む。「こ…ん…に…ち…は…?」と文章の文字一つ一つを拾って読む。「きゃ」「きゅ」等の拗音も文字を一つずつ拾うので「き」「や」と読む。)と、子どもによってそれぞれですが、どの子も読みの流暢性に困難を持っています。文章を読むことがその子にとって大きなエネルギーを使ってしまったり、文字の形と音が一致していない等、原因は様々です。

さて、根本的な支援としては「聴覚法」や「T式ひらがな音読支援」といった方法があります。それぞれの子どもによって合う合わないがありますので、じゃんぷの中でも聴覚法に取り組んでいる子もいればT式ひらがなに取り組んでいる子もいます。

ただ何よりも子どもに成功体験を積むことが大切です。普段の学校生活の中でこういった子ども達が「出来た!」と感じることが必要なのです。トレーニング以外で普段の学習と結びつけるのであれば、読んでいる1行だけが見える「リーディングルーラー」を使う、文節ごとに線を引き、まとまりが見えやすくする、教材そのものに興味がないのであればその子の興味のある題材の文章を使う…等々

普段の生活での「読めた!」そして聴覚法やT式といったトレーニング、どちらの経験も必要かな、と筆者は感じています。

子ども同士の「良い影響」

ある曜日のじゃんぷの子ども達は休憩時間、ままごと遊びに興じています。ある子どもの「みんなでままごとしよー!」という言葉をきっかけにして遊んだところ、ものすごく楽しかったようです。それからそのメンバーではままごと遊びをするのが定番となりました。

そのメンバーは以前までは一緒に遊んだり、それぞれで遊んだりとバラバラでした。遊びの時間が終わると切り替えが上手く出来る時とそうでない時と、そこもバラバラでした。今、みんなで一緒にままごとをしていると片付けも遊びの中に入っています。「〇〇君これおねがい~!」「〇〇さんこれどこに片付けるの~?」と遊びの中で片付けもし、それが終わると全員が次のことに向かいます。こちらが意図していないことではありましたが、子ども達のまとまりが上手く組み合わさり、お互いに良い影響を与えた結果なのでしょう。

また、別の曜日はけん玉遊びがブームになっています。一人の子がけん玉達人で、一人で技をしていたのですが周りの子がそれに興味を持ち、「教えて~!」と聞くと拙いながらも教えてくれています。あまり人に興味を持たず、「教えるのめんどくさい~」と言っていたのがなかったことのように楽しそうに教えてくれています。また、教えられた子はほとんどけん玉が出来なかったのに今では家でも隙間時間があればけん玉の練習をしているようで、かなり上達しています。(筆者は完全に追い抜かれました。)その子もコミュニケーションが苦手な子でしたが、教えてもらって上達することが本当に嬉しいようです。積極的に技のコツを聞き、教えてもらっています。

子どもたち同士の関わり合いの中で良い影響があるのはこのブログで何度も書いてきたことですが、良いエピソードがあったので今回も書かせていただきました。また何かあればお伝えしようと思います。