すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

侍ジャパン!

侍ジャパン世界一おめでとう!!

じゃんぷに通う子どもの中にもWBCの話題で持ち切りのZ君がいます。大人顔負けの知識で驚くことも多いです。

さて、ここで問題なのがZ君はプロ野球に興味があっても他の子が興味のない時です。Z君はとにかく熱がすごく、一方的な会話になってしまう傾向も多いため、令和ロマンのコントのように「ちょっと喋りすぎか~」と気づくことはありません。「僕の話を聞いてくれ!」と言わんばかりです。

みんながみんなZ君ほどWBCに興味があるわけではないので、「し~ん」となります。なのでZ君には「WBCの話がしたいのはわかるけど、まずは他の子に家で見てるかどうかを聞いてごらん。それで見てたら「あのシーン見た?」って聞いてOK。見てなかったら「〇〇って知ってる?僕好きやねん」で止めとき。その時は勉強終わってから先生がいくらでもWBCの話付き合うわ」と伝えました。Z君に「自分の話が出来る時間が作れる」ことを前提に、自分の好きなことを話す時、相手にそれが興味がない時どうすればよいのかを伝えました。先日はその興味のない子も「お家の人が見てるわ。お母さんもお父さんも必死になって見てるよ。」と面白い話をしてくれ、その子が話に乗ったことがZ君も嬉しかったようです。

自分の好きなことについて話したいという気持ちはよくわかります。誰もがそのような気持ちを持っているでしょう。それを尊重しつつ、円滑にコミュニケーションが出来るような支援がこういう場合必要なのでしょう。

 

学習障害のサポート

引用元記事はこちら

~以下一部抜粋~

学習障害のサポート
 ゆうきさん本人も、学習障害があって支援が必要だ。3年生の段階でカタカナが書けず、日常で使う簡単な単語もうろ覚えだった。机の前に、座ることはできる。一回も宿題を提出したことがないのに、学校では「いい子」という評価だった。同じクラスに、かなり暴力的な子がいて、先生は、その子にかかりきりだったそうだ。

 鈴木さんが学校に相談しても、「困っていないので、支援は必要ない」と言われた。行政の施設は、学校経由でないと利用できない。鈴木さんは、独自に福祉施設に依頼し、保護者の了解を得て検査を受け、学校に「こういう傾向がある」と知らせた。みんなと同じ量の宿題はできないので、減らしてもらうためだ。

 ついに学校は動き、学習障害の専門員を頼み、ゆうきさんの授業の様子を観察した。それから宿題を減らしてもらえたものの、一時だけでまた通常の量に戻った。

 居場所では、スタッフがマンツーマンでゆうきさんに付き、一緒に学校の宿題に取り組む。ゆうきさん本人も変わり始め、「やらなきゃいけない」という気持ちになった。2時間かかっても、宿題をやり遂げようとする、その気持ちを優先しているという。

 鈴木さんは、保護者と学校に「支援学級に入るのも、ゆうきさんにとっていいのではないか」と伝えた。本人は「今の友達との関係がいいから、入りたくない」と答えた。子ども自身が決めることが一番重要だが、それまでに周りの大人がその子のためにどんな話し合いをして、どんな選択肢を用意できたかという過程も大切にしている。

 居場所が利用できるのは、小学6年生まで。これから、居場所を卒業後の「アフターケア」事業が、行政の予算に盛り込まれる予定だ。ゆうきさんが中学校に行っても、ときどきは居場所に来たいと話している。鈴木さんは、ゆうきさんが進む中学校と、入学前に個別に相談する約束も取り付けている。

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本文中にあるように、実は学習に困っていても本人が真面目で授業にも熱心に取り組んでいるが故に見逃されてしまうケースは少なくありません。さすがに「困っていないので支援は必要ない」とまではいかないでしょうが、なぜかテストの点数が取れず、担任もどのようにしたらよいかわからないままになっている、というのは今でもあるのではないでしょうか。なんとなく「学習に困難があるのだろうな」とは感じつつも具体的な支援にまで手が回らず、放課後に少し教える時間を作ったりモジュールの時間を使ってわからないところを教える、といったことで精いっぱいだと思います。

最近は学校でもコグトレをクラス全体で取り組んだり等、医療のノウハウが学校現場でも使わられることが増えてきました。しかし担任、もしくは学年団で出来る支援は限られているのかもしれません。通級は週に一回です。学習障害の専門知識を持った学習支援員を設置したり、SSWとの密な連携などがまだまだ必要なのかもしれません。「どこにそんな予算が!」と言われそうですが。

自分のやりやすい方法で!

じゃんぷの自立学習の場には「おしえてください」「てつだってください」カードがあります。これは援助要求のしにくい子どもがそれをしやすいように、と口で言わなくてもこのカードを渡せばいいんだよ、と置いているものです。

ただじゃんぷに通う子ども達はコミュニケーションの得意不得意はあるもののみんな言葉での機能的コミュニケーションが可能な子ども達なのでこちらの意図とは反対に「このカードは一体…?」となっていた子もいたようです。

なので自立を始める時に「先生に聞きたいことがある時に使ってください。いらない人は先生に返してください。」と最初に示し、子ども達がどのような形で援助要求をするかを自分たちで決めさせました。すると自分がどう援助要求をしたらよいかをわかったようで、自分たちなりの方法で聞くようになりました。

ただ方法を提示するのではなく、複数提示し、子ども達が自分で取捨選択をし、それぞれのやりやすい方法を考える良い機会になったのではないかと思いました。

子どもなりの見通し

去年の12月頃から、じゃんぷに通うX君が「今日の宿題は自立の時間だけじゃ出来なさそうやから個別の時間にしてもいいですか?」と聞いてくるようになりました。

その子は算数に苦手意識を持っており、「わからん~!」となることが多いです。(といってもやり方を整理すればすぐに出来るのですが…)

彼が「個別の時間に宿題してもいい?」と聞くときは決まって「算数の宿題が筆算の計算20~30問」の時です。基本的に問題なく出来るのですが、彼からすると一目で見て量が多いと「うっ…」となるようです。それよりも文章問題や分数、図形の問題が不得意なのですが、そういう問題の時は「今日は問題数少ないから大丈夫!」と言って実際に直面したときに「教えてください」と聞いてきます。

つまり彼は「量が多い時は困っている」と自己理解をしているようです。本質的には違うのですが、今はそれでもいいのかなと思っています。彼なりに見通しを持ち、「こういう時は助けを求める」ということが芽生えてきているのでまずはそこを大切にしています。その中で「今日はどんな問題なの?」「今日は宿題自立で出来るって言ったけどどんな問題なの?見せて~」と整理していき、彼の自己理解に繋げられたらいいな、と思っています。

ひらがな聞き取りテスト

ずいぶん前にMIMについてこのブログで取り上げました。(めざせ読み名人!! : 2022/04/22)

ひらがなの拗音、促音が3、4年生でもまだあやふやな子も中にはいます。ふと筆者が教員だった頃に学校で取り組んでいたことを思い出しました。

「ひらがな単語聴写テスト」といい、京都市の小学校全体で取り組んでいました。(おそらく今もしているはず。)これは標準化されている『平仮名単語聴写テスト』(村井敏宏氏)と、『多層指導モデル MIM』(海津亜希子氏)を基に、京都市の景山功一先生(元向島南小学校教諭)が作成されたものです。 

これをした時、筆者のクラスの中にテストの点数がそこそこ良く、授業態度も真面目で勉強もしっかり頑張っていたある一人の子が「ほかいどう」「しゅぱつ」と促音をほとんど間違えており、驚いたことを今でも覚えています。

この時恥ずかしながらMIMのことなど全く知らず、ただただこれの補充プログラムに沿って放課後にその子の指導をしました。今考えるともう少し工夫出来たのではないかと反省しているのですが…

こういった「目立っていないが困っている子ども」を見つけるための工夫が各自治体でも取り組まれています。「ひらがな聞き取りテスト」もその一つです。ただこのテストは「そもそも書けない子」への支援がないので万能という訳ではありませんが…しかし学習に悩んでいる子、悩んでいることに気づいていない子を見つけ出し、一人でも多く適切な支援を受けて学習出来ることが何よりも一番です。

京都市が取り組んでいるひらがな聞き取りテストについてはこちら