今日の活動
自分のことは分かっている
W君が、新一年生のサポートシートを見て「何々?落ち着きがない?あー俺と一緒や、すぐに立ち歩く、そうやねん俺もじっとしてられへんねん」 なるほど、こういうふうに第3者的に記述してあると、他者のことであっても、自分との共通点はすぐに分かります。でも、人に言われると頑として認められなかったりするのですが、実は良くわかっているのです。※サポートシート=子どもの特徴や支援方法を示したシート。
また、友達と自分の違いも良くわかっていて、「X君、もう2年たつけど俺の名前覚えてへんで、俺も相当物覚え悪いけどX君はすごいなぁと思うわ」と言ってると向こうでX君が「石好きのあいつなぁ」とW君のことを噂している声が聞こえてきました。「なっ。俺のこと『石好き』と呼んでるやろ」人のことも良く観察し、いつも自分と比べているわけです。てことは、私たちスタッフもしっかり観察されているわけです。今度はスタッフの特徴をこっそり聞いてみます。
自立にむけての作業
V君、2階の事務室に上がってきて、「青いテープください」と要求。何のことかと聞くと作業用の箱が壊れたから修繕するとのことでした。V君は高3生。昨年から自立課題を作業課題に移行しつつあります。それも、スタッフが作業の準備をするのではなく、できるだけV君が自立してできるようにしてきました。そして、困ったことだけスタッフに手助けが要求できるようにしています。なので、今回は作業用の箱が壊れて(破れて)いるのでヘルプをしたのです。V君グッドジョブです。今後は、作業のオーダーシートを渡して、手順書通りに作業が進められるように考えています。私たちは、作業中にあれこれ口をはさむのではなく、自立して作業できた方が達成感は大きいと考えています。なので、あえて、自立してできる簡単な作業や簡単な工程、毎回説明しなくても良い内容を提供して取り組むように進めています。
愛のパンチ
新1年で今度からくるTさんが、お母さんの手続きに事務所に来ました。Tさんはうれしくてぴょんぴょんしています。そこへ新3年のU君がやってきました。Tさんは何故かU君にパンチ。U君1年生なので耐えています。
そして、他にもお姉ちゃんやお兄ちゃんがいるのにまたもやU君にパンチ。考えられる理由は、U君の身長が一番Tさんに近かったので、マウンティング(順位付け)されたのかもしれません。U君には、まだ十分お話ができないTさんは、あんなふうにして仲良くなりたいという「愛のパンチ」が出てしまうんだ。よく我慢した、さすが3年、と褒めています。
タイムタイマーは魔法の時計ではありません
ASDなどの発達障害の子どもの中には、次の行動にスムーズに移ることができず、無理に移行させようとしても頑なに拒否したり、時にはパニックに陥ったりしてしまう場合があります。そんな時有効なのが、ABA(応用行動分析)でもよく使われるカウント10予告の声掛けです。例えば、ゲームをなかなか止められない子どもに対し「あと10秒でゲームを止めれるかなあ? はあい。10 9 8 7・・・」と数を数え始めると、0になるまでに何とか終わらせようと結構必死になってくれる子が多いです。
数を理解し数えられる子どもですと、「10 9 8 7・・・」と自ら数を数えることができとても得意気になってやってくれるようになります。子どもが10秒以内に行動できたら、大人はすかさず「凄い!10秒で消せたね!」と思いっきり褒めてあげるのですが、これを何度も繰り返していると徐々に慣れ、カウント10方式を楽しみにしくれるようになってくれます。
また、普段からこのカウント10方式や、或いはタイムタイマーで時間の区切りを習慣化すると、より効果的に活用することができます。「10数えたらテレビを消します」「あと30秒でお風呂から上がります」などと言いながら一緒に、「1・2・3・4・5・・・」と数えていきます。数を一緒に数えることで、時間だけではなく数の概念まで理解する機会を提供することとなりますので、このカウント10は生活のあらゆる場面で利用できる支援方法の一つです。
ただ、タイムタイマーは魔法の時計ではありません。タイマーの使い方ではスタッフの間違いをよく見かけます。タイムタイマーは子どもに触らせてはいけません。時間を待つ概念がない子どもは、針を勝手に戻してしまうことがあるからです。これは悪気があるのではないです。針がここにきたらアラームが鳴って、次のことができると理解するからです。幼児のASDの子どもは必ずこれを注意しないと二度とタイムタイマーが使えなくなります。
まずは、数秒待つことから教え、少しづつ時間を伸ばして褒めていく取り組みが必要です。タイムタイマーが使えなくなったら、タブレットでもたくさんアプリが出ていますから触れないようにして教えていきます。タイマーがあるから子どもは時間を守るのではなく、時間が守れたら褒めてもらえ好きなことができるからタイマーを受け入れて学ぶのです。子どもを管理しようとして、安易に長い時間(幼児なら5分でも長いです)を設定したりしてはいけません。
遠回しの言い方
「あたし、ちょっと気分が悪くなってきたわ」とRさん。S君らとゲームをしていて、S君がズルばっかりするので「みんなが気分悪くなるよS君」と遠まわしに表現します。二人とも5年生ですが、S君にはちっとも通じません。この社会性の開きはいかんともしがたいです。はっきり言わないと通じない男子と、はっきり言うのは幼稚な人間という価値観が芽生える女子のコミュニケーションの食い違いは、苛めの原因にもなります。性差は身体だけではなく心の理論の発達にもあるということを男女で学ぶ必要があります。そして、いいところを学び合う集団生活にしたいものです。