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みんなちがってみんないい

アビー首相

古代ユダヤの学校では、一年生を「賢者」と呼んだそうだ。二年…

2020年11月20日 07時54分【東京新聞・筆洗】

古代ユダヤの学校では、一年生を「賢者」と呼んだそうだ。二年目には「哲学者」、最終学年の三年生で「学生」と呼ばれる▼賢さをたたえられても本当に尊敬されるには、その先が大切で、謙虚に学び続けることを知らなければならない。呼び名にはそんな戒めが込められていたようだ。マービン・トケイヤー著『ユダヤ処世術』にある▼エチオピアのアビー首相は、就任わずか一年あまりで二〇一九年のノーベル平和賞受賞者に選ばれた。「新星」「希望」などと呼ばれた人である。どうやら、国際社会から尊敬され続けることには成功していないようだ。受賞から一年のいま、「失望」も聞かれる▼四十一歳で首相になると、隣国エリトリアとの長かった紛争を終結に導いている。ノーベル平和賞授賞式の誇らしそうな笑顔は印象的だった。だが平和は維持することも難しかった。今度は連邦政府と北部ティグレ州政府の軍事衝突が激化する。双方が非難し合っている。アビー氏は空爆に踏み切った。民間人に犠牲者も出ているようで、先行きが心配である▼アビー氏に対しての苦言に違いない。平和賞を贈ることを決めたノーベル賞委員会が数日前、平和的な手段での解決を求める異例の声明を出した▼欧州メディアからは、平和賞は「早すぎた」の声もあがっている。ノーベル賞級の努力が、いま一度求められているだろう。

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政治家のノベール平和賞は辻褄が合わなくなることが少なくないです。非核三原則を提唱し、沖縄返還をなし遂げた後に、アメリカとの核兵器持込密約発覚の佐藤さん。「核無き世界」に向けた国際社会への働きかけの後にウィグルの人権弾圧や南シナ海侵攻のチャイナを黙認したオバマさん。最初は世界平和に貢献したと持ち上げられても、次第に政治の波にもまれて「政治屋」になってしまうのです。でも、人々から求められているのは美辞麗句を並べるだけの政治家ではなく、武力や経済力を背景にしながらでも紛争を最小限に抑え人権を守る政治家だとも言えます。

今回の衝突もエリトリア側の挑発工作は否定できず、現地では民族解放を唱える武装兵が1000人の非武装の住民を虐殺したという報道もあります。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ティグレ州では戦闘激化を受け、これまでに少なくとも1万1000人が隣国スーダンへ逃げ込み、難民の半数を子どもが占めている模様です。UNHCRとスーダンは当初、難民2万人の受け入れ態勢を用意していましたが、この枠を10万人に拡大したといいます。

武力を使うな対話せよというのは簡単ですが、独裁者や国際テロリストを前に、対話だけで和平は成立しません。また、地続きの多民族国家のパワーバランスの難しさを改めて考えさせられます。何も知らない1年生が「賢者」というのは、逆説的な皮肉にも聞こえます。

 

性教育

障害のある子にも性教育をこれまでの「人と離れて」ではダメ思春期の心身の変化に寄り添い、伝える

佐橋大2020年11月20日【東京新聞】

知的障害や発達障害の特性により、人との距離感をうまくつかめない子どもがいる。特に不安定な思春期は、悪気がなくても、人に近づきすぎたり、体に触れたりすると、大きな問題になりかねない。障害のある子どもたちにも、心身の変化や人への気持ちの伝え方などを学ぶ「性教育」が求められている。

無防備に近づくことで被害に遭うことも
「知的障害のある子どもは学校や施設などでよく『(広げた)腕1本分、人と離れなさい』と教えられる。でも、それでいいのでしょうか」。障害者の支援に詳しい日本福祉大教授の木全(きまた)和巳さん(59)は、思春期に行われがちな指導に疑問を投げ掛ける。

知的障害者の多くは相手の気持ちを考えたり、自分の気持ちをうまく表現したりすることが苦手。知らない相手に無防備に近づいていく人もいるため、性的な被害に遭ったり、逆に、不審者だと誤解されたりすることがある。そうしたトラブルを回避するために、常に人との距離を取るように指導されてきた。

嫌なときは嫌だとはっきり言えるように
しかし、木全さんは「距離を取ることにとらわれすぎて、人と離れにくい電車やバスに乗ることが極端に苦手になった人もいる」と指摘。前もって「離れる」と教え込むのではなく、実際に障害者が近づきすぎたら、周りの人が「離れて」と教えるのがいいという。「嫌なときは嫌だとはっきり言う大切さを実体験から学べる。障害者が性的被害や嫌がらせに遭ったとき、声を上げる意識付けにもつながる」と話す。

周囲の人は障害の特性を知り、接し方を学ぶ。障害のある人は支援者らと関わる中で、感情や考えの伝え方を学ぶ-。それが、木全さんの思い描く、思春期の障害者支援の在り方だ。

こうした考えを伝える保護者や支援者向けのオンライン研修「障がいのある子ども・若者の性と生の理解と支援」が今月から開かれている。放課後デイサービスの支援者らが、利用者の子どもたちに性の正しい知識などを教えている実践例を紹介。参加者に自分ならどうするかを考えてもらう。

体の変化教える模型や動画などを活用
主催する名古屋市のNPO法人「子ども&まちネット」の田中弘美副理事長によると、障害者への性教育は「障害者には恋愛も結婚も関係ない」といった偏見もあり、あまり積極的に取り組まれてこなかった。そのため、障害のある子どもたちは思春期の体や心の変化に関する知識が不足しがち。自分の変化に戸惑い、自己肯定感が低下してしまうこともある。

「子どもたちが自分の体と心を好きになれるように寄り添おう」と、同NPOは2012年から研修を開始。体の変化を教える人体模型や動画など、独自に開発した教材も活用して毎年続けている。人を好きになる心の変化を伝え、その気持ちを相手にどう伝えるかを本人と一緒に考えたり、命の学習として妊娠の仕組みや避妊の仕方を教えたりもする。

今回の研修は11月22日と12月6、20日の全3回。名古屋市内の産婦人科医が医療現場から見た、性を巡る問題も伝える。すでに参加の申し込みは締め切り済みだが、子ども&まちネットは終了後に研修の動画を編集し、販売することを検討している。問い合わせをメール(step.komachi@gmail.com)で受け付けている。

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昔、支援学校での性教育がけしからんと県議会で学校を糾弾した議員たちがいました。そんなに古い話ではなく平成の話です。障害者の恋愛や結婚が受け止められないというのがこの人たちの意識にはあると言われています。そして、それを積極的に取り上げていたのが教職員組合の教育研究会だからという決めつけもあったのでしょう。LGBTQの権利が注目される今日なら、かの議員さんたちの言動はどうなったでしょう。ただ、ダイバーシティ社会での個性尊重はコストもかかります。必要な教育支援・行政支援そしてそれを担保する法律です。

 

若者スマホ依存広がる

コロナ下「ないと手が震える」…気づかぬうちに若者スマホ依存広がる長時間使用、学校も対策

2020/11/23 10:00【南日本新聞】

1日10時間以上スマートフォン(スマホ)に没頭し、生活リズムが崩れて不登校に-。新型コロナウイルス下で在宅時間が増える中、鹿児島県内で子どもたちのスマホの長時間利用が深刻化している。「スマホがなければ手が震える」と明かす生徒もおり、依存症への懸念も高まる。一部の学校では、利用時間を認識できるように日誌を取り入れるなど対策に乗り出している。

「外出する機会が減り、スマホを開く回数は大幅に増えた」。鹿児島市の高校2年女子は、休日にゲームや動画の視聴でスマホを12時間以上使用している。勉強しようと電源を切ると体が落ち着かず、不安になるという。

新型コロナの感染拡大に伴う4月の休校をきっかけに、長時間利用に拍車がかかった生徒も多い。日置市の高校2年男子は「スマホに飽きたら寝る。その繰り返しだった」と振り返る。

休校明けに依存症に陥るケースもみられた。県内の小学5年男子は休校中、深夜もオンラインゲームをやり続け、学校再開後に早起きできない状態が続いた。医療機関を受診し、徐々に症状は改善した。校長は「依存状態になれば、抜け出すのに時間がかかる。家庭と学校が連携し、未然に防ぐことができれば」と話す。

教育現場も危機感を募らせる。鹿児島市の樟南高校は9月、1年生約100人に休校期間中のスマホの利用時間を尋ねるアンケートを実施。「利用が増えた」と答えた生徒は93%に上った。

最も多い利用時間は「5時間」で16%、10時間以上も13人いた。動画や会員制交流サイト(SNS)での利用が大半だった。アンケートを実施した光司智徳教諭(46)は「大人よりも生徒はスマホを使いこなす。教師や大人の目も届きにくい」と指導の難しさを語る。

さつま町教育委員会は、一日のゲームや学習時間を記録する「睡眠&メディア日誌」を全小中学校に配布。このうち流水小は、児童がスマホの利用時間を決める機会を設けた。睡眠や勉強時間の確保を優先した上で、スマホに充てられる時間を計算した。白川満校長は「子どもが主体的に目標を定め、学校や保護者が支える仕組みを大事にしている」と強調する。

兵庫県立大学の竹内和雄准教授(55)=生徒指導論=は、コロナ下で子ども同士の関係が希薄になり、人とつながるオンラインゲームやSNSに依存する傾向が強まっていると分析。「学校は、感染対策に留意しながら子どもの交流が深まる行事にも取り組んでほしい」と訴えた。

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不登校の理由は、スマホとオンラインゲームへの依存が原因で、スマホのSNS依存は、希薄になった人間関係の回復を希求している子どもの姿だと読めてしまう報道です。何でもスマホをはじめとするデジタルデバイスが原因だという論調は疑問に思えます。因果関係があるかどうか伝聞だけで根拠となるデータも示さずにわずかなアンケート結果だけで簡単に関係づけ、悪者を決めつけているように見えるのです。

温暖化で海水面が上がるのは北極の氷が溶けるからとアルキメデスの原理(水に浮かぶ氷が溶けても水の体積は変わらない)も無視して報道した時と良く似ています。同時期に起こった現象を根拠もなく結びつけてあたかも関係があるかのように言い攻撃の対象にするのです。

問題は、ほとんどの子どもが無症状か軽症で済むのに予防効果の根拠もなく学校を休校にし、健全な睡眠を担保する運動と友達交流を妨げ、ステイホームの同調圧力に屈している役人や政治家にこそ問題があるように思います。毎日必要以上に感染の恐怖を煽り、相変わらず症状は伝えずPCR陽性者の増えた数だけ報道し、それでも対人交流の保障は学校が取り組むべきとする無責任なメディアの姿勢こそ有害です。

 

障害者の避難

「障害者の避難、試行錯誤というが」家族の本音に行政は

2020年11月19日 12時59分【朝日新聞】

避難が必要な災害が起きたとき、障害がある人たちは避難所に行けるか――。当事者同士がそんな意見を交わし合う会が今月8日、佐賀市内であった。話題の一つが、「周りの迷惑になる」と避難をためらい、悩む人たちに伝えられた、「日頃から“地域の理解”を深めるべきだ」という行政側の意見だった。

意見交換会は「佐賀の障がい福祉を考える会」(内田勝也会長)が主催。障害のある人とその家族、県や市の関係者ら45人が集まった。参加者たちからは、9月の台風10号で浮き彫りになった、避難に関する不安の声が相次いだ。

「避難所で多大な迷惑をかけて、長時間いることは難しい」。知的障害者の家族らでつくる「佐賀市手をつなぐ育成会」副会長の長尾千夏さん(59)は、会のメンバーの多くが、避難所に行くことを諦めている現状を訴えた。

知的障害や発達障害がある人の場合、大きな声を出したり、独り言を言い続けたりすることがある。パニックになったり、間仕切りの段ボールをたたいたりするかもしれない。長尾さんは「非常時で疲労感が増しているときに、止めることはできない」と説明した。

これに対し、佐賀市保健福祉部の担当者は「『周りの理解が得られない』という前提で話していると思うが、“地域の理解”を進めるためにも、一緒に入っていただきたい」と求めた。他の避難者から苦情が出た場合は、「職員が調整したり、やり方を変えてみたりして進めるしかない」と話す。

「災害時に、そんな試行錯誤をする余裕があるはずもない……」。意見交換終了後、長尾さんは市の担当者と改めて話をした。担当者は、通勤時に使うバスでの出来事を説明した。
《自分が毎朝乗るバスに、以前、ある親子が乗っていた。子どもは時々、車内で取り乱して、騒いでしまう。温かい目で見守っているつもりだったが、激しく騒いだある日、母親は「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝りながら、急いでバスを降りてしまった。それ以来、ぱたりと姿を見なくなった……》

「『大丈夫ですよ』と一言、声をかければよかった。それだけでも違ったはずなのに」。担当者には後悔が残った。一方で、乗客たちは、車いす専用のスペースを自然と空けて立っていた。いつも乗ってくる車いすの利用者がいるからだ。毎日同じ時間に、同じ人が乗ることが多い通勤時間帯のバスに、そんな雰囲気ができているのを感じた。

「同じ場にいれば、『こうしたら一緒に過ごせる』という気づきが自然と生まれる。逆に実体験がなければ難しく、地域にそうした人がいること自体、知らないこともある。孤立を防ぐためにも地域に出てきてほしい」。これが担当者の意図する“地域の理解”だった。長尾さんは「『迷惑を掛けてごめんなさい』ばっかりになりがちだけれど、自分から一歩、地域の中に入っていかないと」と考えたという。

難病のため、常に医療的なケアが必要な息子と一緒に参加していた、佐賀市の山本可奈子さん(41)は「『日頃からご近所との関係づくりを』と言われるが、自分で頑張らないと、できないです」と、“地域の理解”のハードルの高さを指摘した。息子の歩夢(あゆむ)さんは中学1年生。地域の学校ではなく、特別支援学校に通っている。年に2回、地域の学校の子どもたちと交流する機会があるが、歩夢さんの場合、人工呼吸器の管理やたんの吸引などが必要なため、必ず可奈子さんが付き添う。

「歩夢が地域にいることを当たり前にしたい」と可奈子さん。子ども会や学校のお祭り、運動会など、様々な行事にも歩夢さんを連れ出すようにしてきた。ただ、負担は準備も含めて大きい。多くの親子ができることではない、とも感じている。

台風10号の際、佐賀市は高齢者や障害者らを受け入れる福祉避難所を初めて用意した。可奈子さんは歩夢さんとともに、身を寄せることができた。各地域には通常の避難所が設けられる。だが「余裕のない状況では、医療機器のアラームや呼吸の音でさえ、うるさく感じる人がいると思う。気になる存在を排除しようという方向になるのでは、と思うと怖い」と、ちゅうちょしてしまうのが実情だ。(福井万穂)

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全国各地に災害時の福祉避難所は特別支援学校や大型福祉施設を中心に設定されてはいます。ただ、まだそのほとんどが、場所を指定したり契約したりしているだけで、実際の避難所の管理や運営の責任、備品類の調達責任もはっきりしていないところが少なくありません。

障害のある方の家族はすぐには避難所を利用せずぎりぎりまで我慢されるのも気になります。社会的弱者だからこそ早く避難をしてほしいのですが、実際は逆です。それを解決するのは、記事で述べられているように、障害のある人の家族がまずは平常時に地域で暮らそうという意向とそれを支える仕組みが必要です。

そうした中で、失敗もありますが、大丈夫ですよと声をかければよかったと思う市民も出てきます。避難の問題はシビアですが、実際は日々の生活での暮らしの共有をしてこそ、少しづつ避難時の課題は解決されていくのだと思います。日常生活を共有するには、障害のない人達が一緒に活動しましょうと声をかけ行政や企業、団体も支援する仕組みが必要です。そして、この問題は、老人や言葉の通じない外国人の避難にも共通する課題です。

 

 

ADHDの高校生が語る日常

ADHDの高校生が語る日常 集中するのが苦手「甘えではない、個性ととらえて」

2020.11.25【高校生新聞】

私は発達障害の一種である「ADHD」の当事者です。私がどのように生活しているのかや、ADHDについて思っていることなどを伝えます。(ばけ谷=3年)

珍しい障害ではない
皆さんはADHDを知っていますか?ADHDとは、注意欠陥多動性障害という発達障害の一種です。簡単に説明すると、落ち着きがなく一つのことに集中することが苦手な障害です。
忘れ物が多い、時間を守ることが苦手といった特徴もあります。100人に数人はADHDであるという統計もあり、今はそれほど珍しいものではないと言われています。

期日を守ったり集中するのが苦手
ADHD当事者にも、さまざまな特徴があります。私の場合、特に「時間や期日を守ることが苦手」「一つのことに集中することが苦手で、ソワソワしてしまう」という2つの特徴が大きいです。

多くの人は、やらなきゃいけないこととやりたいことがあったときに、やらなきゃいけないことを先にできると思います。でも、私は優先順位をつけるのが苦手。ついついやりたいことを先にやってしまったり、やらなきゃいけないことを先延ばしにしたりしてしまいます。

また、常にいろいろなものに興味が向いてしまい、集中することがとても苦手です。
例えば、授業中先生の話を聞いているときでも、窓の外に猫がいたり他のクラスの体育の授業が見えたりすると、ついついそっちの方が気になってしまいます。

私は中学校1年生のときに診断を受けてから、薬を服用しています。薬を飲み忘れると集中力が持たず、授業中に眠ってしまったり、そわそわしてしまったりします。

個性としてプラスに思う
確かに日常生活で困ることも多いけれど、私はADHDをマイナスには思っていません。むしろ、私を構成している個性の一つとしてプラスに思っています。

最近、たまにADHDの話題を見かけるようになりましたが、ADHDの話をすると、「甘えだ」「怠けている」「やる気がない」など否定的な意見を聞くことが多く、ふざけて「私もそうかもしれない」などという人もいます。

ですが、ADHDは怠けでも甘えでもないです。やる気がないわけではなく、他の人より極端に物事の優先順位をつけることが苦手だったり、時間の感覚がずれていたりするだけです。また、これらは努力でなんとかなるものではないのです。

伝えたのは先生と仲良しの友人だけ
私は、学校の先生方とごく一部の仲の良い友達にしか、ADHDであることを伝えていません。理由としては、うまく説明するのが難しく誤解を招きやすいということ、伝えてもそれをよく思わない人もいるからです。

仲のいい友達は、宿題の締め切りなどをLINEしてくれたり、授業変更などを教えてくれたりして、助けてくれます。先生方も気にかけてくださり、すごくありがたいです。

特別なことはしないで
皆さんの身近に、ADHDなどの発達障害を抱えている人がいるかもしれません。そういう人たちと自分たちを区別して、必要のないことまでわざわざ手伝ったり、ばかにしたりなど特別なことはせずに、みんなと変わらず接してほしいです。
個性の一つとして受け入れてくれる世の中になってほしいです。

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「高校生新聞」は、1993年の創刊以来、全国版で年6回発行(4月、6月、9月、11月、1月発行)している新聞です。高校生の生活や進路に中心に取材がされています。不登校や発達障害の当事者の記事はとても参考になります。他のメディアも興味本位の取材ではなく当事者の思いも取り上げてもらうとみんなの理解が進むと思います。

 

発達障害、オンラインで支援

発達障害、オンラインで支援

2020年11月26日【毎日新聞】

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、さまざまな分野でオンラインのサービスが広がってきた。発達障害のある子どもの支援サービスも、その一つだ。オンラインゆえのメリットもあるといい、サポートの新たな選択肢として定着していくのだろうか。

●感染防止対策から

子どもの発達支援などに取り組む「たすく」(本社・神奈川県鎌倉市)は、全国に緊急事態宣言が出されていた4月下旬、テレビ会議システムを使った無料のオンライン相談を始めた。本来は関東を中心に展開する専用の「教室」に集まってサービスを受ける形だが、感染防止策でオンラインの活用にも踏み切った。

札幌市の女性(37)は、長男(5)とのコミュニケーションが取りにくいことを相談した。医師から発達障害の診断が出るほどではない「グレーゾーン」にある。会話を理解するのが難しく、例えば「両足でジャンプしながら進む」と説明しても、どういう動きをすればいいのか理解できなかったという。たすくの担当者から「お母さんが見本を見せた方がいい」とアドバイスされた。やってみると、長男は動きをまねてできるように。女性は「ちょっとした工夫で、やり取りがスムーズになった」と笑顔で話した。

たすくでは発達障害などの診断はしないが、作業療法士らがテレビ会議システムを通して子どもの様子を観察したり保護者と話したりすることで支援につなげる。相談を担当する庄司薫さんは、「例えば自閉スペクトラム症と思われる子どもは見通しが立たないことがストレスになるので、1日のスケジュールを作ることを勧めている」と話す。

首都圏を中心に療育の教室などを展開するLITALICO(リタリコ、本社・東京都目黒区)も4月末、発達支援の情報サイトで、会員向けの情報提供や勉強会を始めた。臨床心理士や作業療法士、言語聴覚士などの専門家が、子どもの特性に応じて家庭で取り組めるプログラムや、子どもとの接し方などを伝える。

東京都杉並区の女性(42)は、長男(6)が今春、小学校に入学した。発達障害の診断は受けていないが、周囲とのコミュニケーションが取りにくいなど、自閉スペクトラム症の傾向があるという。仕事があり次男もいるため、これまでは講座に足を運ぶのは難しかったが、オンラインなので参加できるという。子どもの特性を学校に伝える「サポートブック」の書き方をアドバイスする講座では、「記入する内容が多いので学校の先生もすべて熟読するのは難しい。特に配慮してほしいことを伝えるといい――という話に納得した」と語った。

●どこからでも参加

サイト編集長の牟田暁子さんは「どこからでも参加できる。個別の相談と違い、一緒に参加している人が投げかける質問も参考になるという声がある」と手応えを語る。

サービスが始まった背景には、今春の緊急事態宣言の間、自治体の発達支援センターなどが対面での相談や支援を中断していた事情がある。横浜市は、緊急性が低いとみられる相談の受け付けを延期。東京都世田谷区は、保護者と電話で連絡を取って状況を把握する方法にとどめた。神戸市も宣言解除後まで、対面相談や発達検査は原則延期。相談先を探していた保護者にとって不安軽減の一助になったと言えそうだ。

発達障害に詳しい鳥取大の井上雅彦教授(応用行動分析学)は、オンラインの発達支援について「家庭教師のように1対1で接する形や保護者向けの勉強会などは、遠隔地の人でも参加しやすいメリットがある」と語る。ただ、発達障害の診断など、支援をすべてオンラインに置き換えることはできないと指摘。「専用のセラピールームと違い、自宅は気が散りやすい環境にある。保護者が子どものそばにいて参加を促す必要もある」と話す。【石田奈津子、五味香織】

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たすく」の創設者である斎藤さんと出会ったのは、はるか昔です。斎藤さんは、北海道で盲重複児童を担当しその後、国立久里浜養護学校で重度心身障害児の担任及び研究主任を務めた後、2001年10月から2008年3月まで国立特別支援教育総合研究所の研究員として、発達障がいのある子どもの教育について研究され全国を飛び回っておられました。

通常現職教員は現場に帰るのですが、案の定、彼は発達障害療育に特化した会社を立ち上げていました。学校現場の進化速度がとても遅く、トップダウンもままならない中で、ニーズのある子どもたちが置いてきぼりになっていることに心を痛めている現職は少なくありません。学校に見切りをつけて福祉現場や民間会社創設に立ち上がった若手の元祖が斎藤宇開さんだと思います。

今回の記事も、武漢風邪感染禍ですぐに動き出したリモート相談もさすがです。私たちも微力ながら「じゃんぷ」という発達障害に療育に特化した事業所を立ち上げたところです。従来の教育や福祉で手の届かなった子どもたちの役に立てればと思います。

 

LINEで未就学児の相談

LINEで未就学児の親の悩み対応宇都宮市のNPO

2020.11.26 19:43ライフくらし【産経新聞】

不登校の子供を持つ親の相談窓口を運営するNPO法人「キーデザイン」(宇都宮市鶴田町、土橋優平代表)は、発達障害などを抱える未就学児の親からの相談を無料通信アプリ「LINE」で受け付ける「お母さんのほけんしつforKIDS」を新たに開設した。小児科医や子育て支援団体、発達障害支援員などと協力し、悩みに対応していく。

新型コロナウイルスの影響による長期休校が続き、学校生活への不安や不自由な日常生活へのストレスを親子で抱える中、キーデザインは今年5月、小中高校生の不登校に関する親を対象にした相談窓口「お母さんのほけんしつ」をLINEで開設。これまでに受け付けてきた相談では、親や学校とのコミュニケーションを苦手とする発達障害などを抱える子供が不登校につながるケースが多かったという。

このため、就学前の早い段階で、親子の支援が必要だと痛感。発達障害などの診断を受けたか、疑いがある未就学児を持つ親を専門にした相談窓口を開設した。未就学児向けの専門施設や医師、支援者と親をつなぐことで、子供にとって適切な対応を早い段階で取れるようにする。

新たな窓口には、児童発達支援事業所の運営会社「Crew」(同市)や、小児科医や助産師などで子育て支援などを行うNPO法人「そらいろコアラ」(小山市)が協力。10月の開設以来、「食べ物のこだわりがある」「保育園で困っている」などの相談が寄せられているという。土橋代表は「早い段階からの支援で学校に行きやすい環境が作れれば」と話している。

来年3月末までは試験期間として対象地域を宇都宮市在住に限定。試験期間での相談実績などを踏まえて、今後の支援のあり方を検討する。窓口はキーデザインのホームページ(https://www.npo-keydesign.org/)にあるQRコードから。問い合わせは土橋代表(080・1853・6296)。(松沢真美)

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先週は武漢風邪で滞っている子どものについての公的相談のカバーをしようと民間が素早い動きをしていることを掲載しましたが、小さな町で民間がネットワークを作って相談事業を開始しています。おそらく現段階では経費は無料で各事業所が持ち出しでしょうが、それが結果的には事業に結びつくという見通しの下に連携が進んでいるのだと思います。相談の敷居を低くするこれも発達障害支援には大事なことだと思います。このモデルを、将来的には相談事業の新たなジャンルにすれば、一人で不安を抱えている保護者には心強いのではないでしょうか。乙訓でも見習いたいモデルです。

 

羽田空港のカームダウンスペース

羽田空港、障がい者が気持ちを落ち着かせるためのカームダウンスペース設置

配信日: 2020/12/02 10:55【FlyTeam ニュース】


羽田空港は2020年12月3日(木)から、第1・第2ターミナル国内線手荷物検査場通過後の保安区域内に「カームダウン・クールダウンスペース」を設置します。発達障がい、知的障がい、精神障がいを持つ旅行者が飛行機で移動する際、気持ちを落ち着かせるために利用できるスペースです。国際障害者デーの12月3日(木)にあわせ、運用を開始します。

このスペースは、他者からの視線を遮ることができ、非日常の場所や空間で気持ちを落ち着かせることに役立ちます。日本発達障害ネットワークによると、これらの障がいを持つ人々にパニックが生じた際、「特に声を掛けず、静かなところで、一人または二人で黙って15分から20分ほどすると落ち着く」ことが分かっています。成田空港にもボックス型のカームダウン・クールダウンスペースが設置されており、これも有効だと言われています。

羽田空港の設置場所は、第1ターミナル2階のA検査場付近、17番搭乗口とキッズコーナー付近の2カ所です。第2ターミナルでは2階のA検査場付近、C検査場付近の2カ所に設置しています。搭乗する航空会社に関わらず、誰でも利用できます。

なお、羽田空港では、サービス介助士の資格を持つエアポートコンシェルジュが無料で「介助サービス」を実施しています。事前にホームページから予約を受け付けており、障がい者や高齢者の空港内の移動を手助けしてくれます。

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障害者の避難 11/25」でも掲載しましたが、パニックの強い子どもと出かけるとなると、周囲の目線が怖くてなかなか公共交通機関を使う気にはなりません。記事のように待合のロビーにパーソナルエリアを作ってくれるのは一歩前進で大変ありがたいです。待つのが大変なだけで、その先の航空機への搭乗やフライト中は結構ご機嫌な子どもも多いのです。とは言いつつも最初の搭乗は冒険です。ドキドキしながら早く現地についてくれと祈るばかりです。こんな時に非常用のコンパートメントと理解のあるキャビンクルーがいてくれればいざという時に心強いのになぁと思います。

 

一斉臨時休業避けるべき

学校コロナ対策 一斉臨時休業避けるべき
学校コロナ対策 マニュアル改訂 換気提案

12/3(木) 2:59配信【日本テレビ系】

文部科学省が、学校でのコロナ感染防止対策をまとめた衛生管理マニュアルを改訂し、地域一斉の臨時休業は「避けるべき」として、寒さに応じた換気の仕方などを提案しています。

文部科学省の集計によりますと、学校が本格的に再開しはじめた今年6月から先月25日までで、新型コロナウイルスに感染した児童生徒は3303人、そのうち症状があったのはおよそ半数の1631人で、重症者はいなかったということです。

感染経路は、小学生の73%が「家庭内感染」である一方、高校生は「感染経路不明」が35%と最も多くなっていて、高校では生徒の生活圏が広がることから、学校外での活動でも感染症対策を意識できるように指導する必要があるとしています。

そして、「小・中学校では、家庭内感染が大部分であることを踏まえれば、地域一斉の臨時休業は当該地域の社会経済活動全体を停止するような場合に取るべき措置であり、学校のみを休業とすることは学びの保障や心身への影響の観点から避けるべき」としています。

また、9月に出した前回までのマニュアルでは、感染者が判明した時点で直ちに臨時休業を行う対応について示していましたが、10代以下の罹患率は他の年代に比べて低いことなどから、これを見直し、学校設置者が保健所と相談の上、判断することになりました。

実際に、感染者が発生した1996校のうち、臨時休業を実施しなかった学校が55%、学校全体の臨時休業を行った学校が26%、特定の学年や学級の臨時休業を行った学校が15%となっています。

冬場の感染症対策としては、引き続き基本的な感染症対策を徹底し、寒い環境でもできる限り常時換気に努めるよう求めていますが、難しい場合は、こまめな換気や二段階換気も有効だとしています。

文部科学省は改訂したマニュアルを3日午前にも全国の教育委員会などに発出する予定です。


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先日の、向日が丘支援学校、第4向陽小学校の武漢風邪感染による休校は物理的にも心理的にも大変な負担を感じたと言う保護者は少なくありませんでした。当事者でもないのに、PCR検査を受けてくださいと突然保健所から電話があり、結果がわかるまで家族全員が家庭内で身を潜めていなければならないような気分になるといいます。別に誰がとがめたわけでもないのですが、同調圧力を強く感じる人には耐えがたい苦痛だといいます。

未だにメディアは第3波流行と危機感を煽っていますが、記事の通りPCR検査陽性(記事では感染と記述)の子ども3千3百人のうち半分は無症状です。つまり、たまたま濃厚接触者だからと検査して半分が無症状・無自覚という結果は、検査をしなくても「陽性の子ども」はもっとたくさんいる可能性を示しています。つまり、誰が感染者かは症状がない限りは見当がつかないと言うのが事実なのです。

たまたま検査陽性と分かった人がいるから臨時休校はしていますが、おそらく他にも陽性者はいるはずなのが武漢風邪の実態です。それも心配だからと言って、全員陰性とわかるまで休校にするのは不可能ですし、半数が無症状、半数がかぜ程度の軽症で休校するのもおかしな話です。もちろん、学校保健安全法や感染法等の定めにおいて、臨時休校をしているので、そのおおもとの規定が変わらない限りこの事態は続きます。それでも、記事のように文科省のマニュアルを変えたのは一歩前進です。

指定感染症2類から5類に移すと医師の報告義務がなくなり実態がわからなくなるという人もいるようですが、5類の麻疹は全数把握ですから、全てをインフルエンザと同じにしなくても、今できる一番いい方法で決めればばいいのです。少なくとも、子どもも家庭も学校も困っている現在のやり方が実態とは合わないと分かってきているのに、「やむを得ない措置」のはずがありません。

『ケーキの切れない非行少年たち』新書部門年間1位

『ケーキの切れない非行少年たち』が3冠達成! 2020年の新書部門年間1位・・・累計65万部

2020年12月02日14時30分【J-CASTニュース】

昨年は第3位
本のベストセラーは、おおむね前年の11月から翌年の11月までのおよそ1年間の累計で算出している。そのため毎年12月初めにベストセラーランキングが発表される。

同書は児童精神科医である著者の宮口幸治さんが、医療少年院で出会った「非行少年」たちの衝撃的な実態を明かしたもの。「丸いケーキを3等分してみてください」と言って丸い紙を少年に渡すと、普通は円の中心から放射状に線を引くが、それができない子どもたちが少なくないことをタイトルにしている。

19年7月に発売され、すでに昨年の年間ベストセラーランキングで新書(ノンフィクション)部門の3位にランクインしていた。20年2月に発表された「新書大賞2020」でも、大賞となった『独ソ戦』(岩波新書)に次いで2位。その後も売れ行きが落ちず、今年のトップになった。オリコンのデータによる同書の期間累計部数(2019年11月18日~2020年11月22日)は 44万4815部。これまでの発行総部数は約65万部。新書としては驚異のロングセラーになっている。

「境界知能」がテーマ
本書は、人口の14%程度いるとされる「境界知能」をテーマにしている。「境界知能」とは、IQが70~84程度で、いわゆる「知的障害」(IQ69以下)とまでは言えないが、現代社会で生きていく上では相当程度の困難に直面していると考えられている人たちのことだ。「丸いケーキの3等分」ができないのは、境界知能ゆえなのだという。

いわゆる「非行少年」たちの中には、境界知能なので物事の認知能力が低く、幼少期からさまざまな困難に直面して「傷ついた子どもたち」がかなりの数含まれているという。本書は、「『僕はやさしい人間です』と答える殺人少年」「非行少年に共通する特徴」など7章からなる。彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドも公開している。
価格は720円+税。

受刑者の2割は知能指数が69以下
ちなみに、大人の犯罪者と「知能」の問題は、以前から指摘されていた。『刑務所しか居場所がない人たち――学校では教えてくれない、障害と犯罪の話』(大月書店)は、実際に服役し、出所後は高齢者や障害者の受刑者の社会復帰に取り組んでいる元衆議院議員の山本譲司さんの報告。刑務所に入るときは必ず知能検査を受けるそうだが、2016年に新たに入った受刑者約2万500人のうち、約4200人は知能指数が69以下、知的障害があるとみなされるレベルだったという。

ある知的障害者の場合、神社の賽銭箱から200円を盗み執行猶予。外に出られたんだから悪いことをしたんじゃないと思って、また100円盗んで今度は実刑判決。裁判では「まだ神様に700円貸している」と主張した。どういうことかというと、むかし母親と一緒に神社に行ったとき、母が1000円を賽銭箱に入れたことをしっかり覚えていた。だから差し引き700円の貸しがあると思い込んでいる。

「少年」よりもさらに低年齢層に目を向けた本では『漂流児童』(潮出版社)がある。社会から切り捨てられ置き去りにされた低年齢層の子どもたちを扱っている。中学校を長期欠席している生徒は全国で約20万人、生徒の15人に1人が発達障害・・・。著者のノンフィクション作家、石井光太さんは、「レールからこぼれ落ちた人々を社会がきちんと支えてこなかったことが、今の社会問題を生んでいる側面があるのだ」と強調している。

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境界知能に固定されてしまうかどうかは、小学校中学年から高学年までに本人の特性に合わせた学習アプローチが重要だと言われています。そういう意味では、生まれつきの知能ではなく環境要因が大きいと言えます。学習障害は、知的遅れを伴わない認知のゆがみだと言われてはいますが、適切な支援を行わないことで境界知能として扱われている子どもは少なくありません。

また、ここでいわれるIQが70~84程度というのは全検査IQと言って知能を構成する各領域の数値の平均値であり、知識の数値が高くても、ワーキングメモリーの数値や、書字の速さや正確さの数値が著しく低くければ平均値としては境界知能域を示します。つまり発達障害の子どもがここに入りやすいのです。知識は知的好奇心と関係がありますが、字が読みにくければ知識欲も削がれてきます。境界知能は小学校時代の周囲の大人の気づき次第で大きく変わる子どもも少なくないという事を忘れてはならないと思います。