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みんなちがってみんないい

息子たちに働く選択肢を

自閉症の息子たちに働く選択肢を山添利也さん

2021年1月10日 10時00分【朝日新聞】西岡矩毅

レモンやミカンなど和歌山産の食材を使った菓子をプロデュースする山添利也さん(46)。県内の生産者、パティシエ、デザイナー、福祉事業所メンバーらと一緒にスイーツブランド「KANOWA」を2014年に立ち上げた。「それぞれの得意を持ち寄って、お菓子でつながる輪を広げたい」

昨年12月に販売したのは、ミカンのパウダーをまぶしたクッキーなど。パウダーは、えぐみを抑えた果汁を濃縮して作った。障害者福祉施設の利用者がミカンの外皮と薄皮を一つずつ丁寧に取り除いた果肉を搾ってできたもの。利用者の集中力のたまものだ。

和歌山市出身で、関西大学卒業後、大手経営コンサルタント会社に就職。2001年に高校時代の友人に誘われ、和歌山市内にパスタとケーキが自慢のカフェをオープンさせた。

障害者福祉施設を自分事として考えるようになったのは09年。当時3歳だった長男が自閉症と診断されたことだった。市立幼稚園に通っていたが、知的障害などがある子どもたちがそれぞれのペースで過ごす児童発達支援センターに移った。

父親たちが集まれば、決まって話すのは10年以上先のこと。特別支援学校に入れば、小中高等部までは過ごすことができるが、卒業後の進路は決められていない。「息子を受け入れてくれる所はあるのだろうか」と心配になった。

「将来、自分の長男も通うことになるだろう障害者福祉施設の価値を高められたら」。カフェの運営から退き、菓子の企画開発などをする会社を経営。そこの事業の一つとして、福祉施設などと一緒に菓子を作る「KANOWA」を立ち上げた。注文が1カ月以上先まで埋まっている「生レモンケーキ」など人気商品を生み出してきた。

現在、14歳になった長男は、言葉を話すことが難しい。それでもタブレット端末で画像編集をしたり、地図を使って行きたいところを素早く探して見せてくれたりする。

「息子はできないこともあるが、できることだってある。息子と同じ境遇の人たちが、仕事をして楽しく暮らせる環境を作りたい」。得意の菓子プロデュースで輪を広げている。(西岡矩毅)
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施設商品の販売ネックは、販路です。ご近所と知り合いの善意だけでは販路もなかなか拡大しません。また、善意の購入は商品の良しあしが現場で把握しにくいので商品開発の足かせになります。最近は、ネット販売が容易になってきたので商品さえヒットすれば売上も期待できるようになってきました。おいしければ売り上げが増え飽きられれば売り上げが減るという売り上げと商品の人気が連動しているところもよいと思います。

昭和の頃も、10年先20年先を見越して共同作業所作りが保護者の手で展開されました。ただ、その頃は資金を集めて我が子の卒業後の居場所を確保するだけで精一杯でした。先にも述べたように「善意で買ってもらう」「安かろう悪かろう」の商品も少なくなかったし、施設側も商品販売で勝ち残ろうとは考えていませんでした。その結果、商品の質が良くならない、販路が少なくて撤退する現象があちこちの福祉現場で起こりました。

今は、記事のように一般企業とも共同で行う仕事の中身を考えていくという時代に変わってきたのかもしれません。そのためにも付加価値の高いもの、持続性が長いものをどう開発していくのが問われているのだと思います。福祉だから市場競争が免除されるわけではありません。福祉だろうとなんだろうと、そこで商品を作り販売する人たちのプライドを持続するには、様々な経営のノウハウが必要なのだと思います。

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校医が高齢化、感染不安

学校の健康診断、相次ぐ簡略化校医が高齢化、感染不安

2021年1月12日 20時18分【朝日新聞】

小学校や中学校などでの健康診断が、新型コロナウイルスの影響で一部地域で簡略化されている。問診票で所見がない場合は医師による対面での検診をなくしたり、対象学年を絞ったりしている。学校医に高齢の医師が多く、感染を懸念する声があるという。

学校保健安全法や同法施行規則によると、健康診断は公立や私立学校の毎学年が6月末までに受けることになっている。昨年、新型コロナの感染拡大を受け、文部科学省の通達で実施時期が「今年度中」に延期されていた。

健康診断では栄養状態のほか、視力や聴力、眼、耳鼻咽頭(いんとう)、歯、心臓の疾患の有無など11項目を検査する。文科省によると、疾患の有無については、医師による検診を受けることが前提となっているという。

福岡市は昨年7月下旬、健康診断を11月末までに例年通り実施するよう全学校に通知した。しかし、市医師会が8月、今年度の健康診断の延期や縮小を求める要望書を市に提出。「感染のリスクを減らすことにつながる」とし、必要性が高い学年や問診票で判断した選抜者などに対象を限定することや、感染防止策として口腔(こうくう)内の検診はせず、耳・鼻のみの検診とすることなどを要望した。

これを受け市教委は9月、今年度に限っては「学校医が認めた場合、問診票などの確認によって検診を行ったものとして差し支えない」と通知。市教委によると11月末時点で、225校の市立学校のうち、約3割の学校で内科、耳鼻科、眼科のいずれかで保健調査票で所見がある児童・生徒だけを抽出。抽出された児童・生徒が医師による検診を受けたという。うち16校は、どの科目でも対面による検診をしなかった。

抽出の方法をとった市立小学校と、通常通りの健康診断を行った中学校それぞれに息子を通わせる市内の男性(42)は「感染リスクを考えれば、今年度に限っては致し方ないかもしれないが、これが続くと不安もある」と話す。

市医師会によると市内の学校医の平均年齢は60・5歳。耳鼻科の学校医は66人いるが、うち60~80代が30人と約半数を占める。高齢の学校医から、健康診断によって自身が新型コロナに感染するリスクを不安視する声が出ているという。市医師会の担当者は「本来は全員の対面での健康診断が望ましいが、やむをえない対応だった」と話す。

市教委は「苦渋の決断で、ベストな方法だとは思っていない。でもそれだけコロナ感染への不安が大きいということ。医師による検診が必要な子どもはちゃんと診てもらうようにしている」と説明する。

新潟市でも耳鼻科に関して、学校医からの要望で、保健調査票をもとに対面での検診の対象者を抽出する方法をとっているという。

福岡県糸島市では耳鼻科について、小学1年と5年、中学1年に絞ることを決めた。元々全学年が対象ではなかったが、耳鼻科の学校医から「対象者を半分以下に減らしたい」という意向があったという。通常なら対象は約5700人のところ、今年度は約2900人になった。

大阪市教委には複数の学校医から学校を通じて「問診票で所見がある子どもだけを診るようにできないか」と相談があったという。市教委はこれに対し、今年度中に全員を診ればいいということを伝え、通常通りの健康診断を要望した。このほかにも札幌や仙台、川崎、名古屋、神戸市教委にも同様の相談が学校医などから寄せられたという。

東京都教委は、眼科について検診の方法を変えた。通常なら医師が目の周りや粘膜を触ることがあるが、なるべく触れないで診るようにしたという。

文科省の担当者は疾患の有無について「医師による対面の検診があることが前提」とし、各地域で事情があることを踏まえても「感染対策をした上でなるべく法律に基づいて健康診断を実施してほしい」と話す。

一方、耳鼻咽喉科の医師らでつくる「一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会」は、健康診断の実施方法に地域差が出ることについて「各地域の感染状況や感染予防対策の違いがあるため、当然想定される」とする。例年以上に健康相談や保健指導を充実させて補っていく必要があるとしている。(島崎周)

専門家「地域差出ないよう診断実施を」
東京大の衞藤隆名誉教授(小児科学・学校保健)は、健康診断で簡略化された事例があることについて「あくまで例外的な対応で、認めていいことではない」と指摘する。心臓の音で異常を発見したり、体を見ることで虐待に気づいたりする可能性があるという。

「子どもたちを1年に1回直接診る機会をつくるという意味で、健康診断は地域によって大きな差が出ないよう、感染対策をした上で実施するべきだ」とする。学校医の確保については「都道府県レベルの医師会の力を借り、環境整備をしていく必要がある」と話す。

学校における健康診断の検査項目
※基本的に小中高のほぼ全ての学年で実施。聴力などについては一部の学年で省略可(学校保健安全法施行規則や健康診断マニュアルから)
①身長、体重②栄養状態③脊柱(せきちゅう)、胸郭の疾病及び異常の有無、並びに四肢の状態④視力、聴力⑤眼の疾病及び異常の有無⑥耳鼻咽頭(いんとう)、皮膚の疾患の有無⑦歯、口腔(こうくう)の疾病及び異常の有無⑧結核の有無⑨心臓の疾病及び異常の有無⑩尿⑪その他の疾病及び異常の有無

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医師の高齢化で思い出したのは、「もりかけ」の加計学園問題でした。獣医を増やすと獣医の収入減につながるという獣医師会の鉄板規制を改革しようと50年ぶりに獣医学部を作ろうとしたことに、反対派が横槍を入れたという構図でした。医学部の新規開設にも医師会からの規制要望が強く、思うように医学部は作れないと言います。

世界第3位の生産力を誇る日本の医師数は、人口千人当たり2.30人、OECD先進国35か国中30位です。(2017年WHO統計)武漢風邪で医療パニックを起こしたイタリアの約半分です。診療所の医師の平均年齢は60歳で、60歳以上が半数を占めます。学校医のほとんどが地域の診療所の医師で複数校の掛け持ちも少なくないので、高齢医が武漢風邪を敬遠しているというより、そもそもの校医業務が負担になってきた医師が増えてきたのかもしれません。

従って、医師の絶対数を増やさない限りは高齢医の負担を減らすことはできません。小児科医や産婦人科医も負担やリスクが高いわりに収益が少ないという理由で医師が少ないと言いますが、これもOECD諸国平均くらいに絶対数が増えれば少なくない課題が解決されるのではないかと思います。

この際に懸念されるのが医師数の増加が医師の収入減につながると言う理由で、医学部新設の障壁になることです。ただ、サービスの提供側と利用側の利益が相反するのは、我が福祉業界でも起こっていることです。いつの時代もどんな所でも既得権益が改革のブレーキになるのは世の常ですが、OECD30位はさすがにいただけません。

過剰な反応が招く「検査拒否」

子供が発熱、親は「検査は困る」…新型コロナ周囲の過剰な反応が招く「検査拒否」

2021年1月14日【読売新聞】

家族が検査…即、連絡網
30歳代後半のTさんが、小学校低学年のお子さんを連れて来院された。お子さんは2日前に38度の発熱があり、喉の痛みと鼻汁があるという。来院時はすでに36.8度で解熱していたが、喉は赤く鼻汁もつらそうだった。そのせいで少しせきもある。元気に話はできるし、食事も食べられるとのことでお薬を処方することになった。

Tさんと家族の体調を伺うと、他に風邪の症状、体調を崩している人はいないという。それでも現在のコロナ感染拡大を考えると、コロナ検査は必要だと考えた。そのことをTさんに告げると、コロナ検査を受けるのは困るのでやらないでほしいと言われた。

Tさんの会社では、従業員本人はもちろんであるが、家族がコロナ検査を受けた場合も、24時間対応で電話とメールによる連絡網を回さなければいけないのだという。仕事上も周囲に甚大な迷惑をかけるため検査は拒否するとのことだった。Tさんのお子さんは、元気があるので、いずれにしても自宅で様子を見ましょうということになった。

歴史は繰り返す
最近、医療現場で困っている問題の一つが、このようなコロナ検査拒否だ。検査を拒否するには、たいがい社会的理由がある。周囲の過剰な反応ゆえだ。

会社などの組織としては、できる限り厳重な態勢をとらねばと考えるのは理解できるが、こうした対応に感染拡大を抑える効果がどれほどあるだろうか。弊害の方が大きかったり、Tさんのケースのように、感染症対策としてはむしろ逆効果になる場合もあるのではないか。

この事態は2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1型)の流行期の反応を思い起こす。A/H1N1型インフルエンザは今や通常のインフル予防接種にも組み込まれ、治療薬もある弱毒型インフルエンザだ。しかし当時は今と同じように、過剰な反応や感染者を 誹謗ひぼう 中傷するような行為が横行した。

今は必要な検査を円滑に
コロナは世界で感染力の強い変異型が報告されている。ワクチンは軽症化させる期待が持てるが、最終的には薬が開発され、インフルエンザのような日常的な感染症となるまでに数年はかかるだろう。

誰でも感染しうる今は、適宜検査を受け、拡大を避けていくことが大切だ。まずは、感染した可能性があることを隠さずに済むようにする必要があるだろう。社会に大きな影響を及ぼす会社組織においては、産業医と十分相談しながら過剰な対応は避け、マスクの着用やテレワーク活用・スタンバイ配置など、実効性の高い対策を日常化することで、コロナ検査・診療を円滑にできるようご協力願いたい。(常喜眞理医師)

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このケースは氷山の一角です。子どもに症状がなくても子どもが濃厚接触者ならその家族に疑いがかかり、家族全員がいらぬ心配をしなければならないのが今の日本の現状です。しかし、子どもに症状があるのに検査はやめてくれと言うのは同調圧力への強い恐怖反応と言えます。同調圧力というのは、目に見えるものではないので厄介です。

「そんなのお互い様なんだから」とほとんどの人が思っていても、思っているだけでは当事者によってはわからない場合もあります。職場の責任者や組織の長が「社員やその家族の感染や検査はお互い様なので、隠さないで知らせてください。家族の陰性がわかるまで社員は安心して休んでください」と明示してくれれば少しは楽になるかもしれません。

「家族がコロナ検査を受けた場合も、24時間対応で電話とメールによる連絡網を回さなければいけない」ことが負担だと書かれていますが、接触関係のない人や深夜でも連絡しろというなら異常ですが、常識の範囲の時間帯なら接触した人にできるだけ早く連絡するのは大切なことです。接触した方が連絡前に感染判明した場合は、「お互い様」の信頼が崩れるからです。本来、家族の風邪ひきの「疑い」の業務連絡などは無用だと思います。しかし、メディアがこれだけ煽って人心がコロナ脳に感染している今は、速やかな連絡は社会生活の潤滑油だと割り切ればいいと思います。

 

 

 

熱海市、全小中学校に端末配備

タブレット授業、慣れてみよう熱海市が全小中学校に端末配備児童「一気に分かり勉強になる」

2021年1月15日 07時12分【東京新聞】

小中学生に1人1台の情報端末を用意する国の「GIGA(ギガ)スクール構想」に基づき、熱海市内の学校ではすべての児童生徒にタブレット端末が配備された。今月から準備の整った学校から順次、授業での活用が始まっている。現場の様子を取材した。(山中正義)

十四日、桃山小三年生の教室。算数の授業を受ける児童たちの机には筆記用具とタブレット端末が置かれていた。児童たちは筆算の問題をノートで解き、端末で撮影。送信すると、教室の大型モニターに全員の解答が映し出された。
互いの解答を見比べたり、先生の説明を受けたり。端末に入った学習ソフトで計算問題にも取り組んだ。

「答えが(モニターに)出るから説明しやすく、いろんなことが一気に分かって勉強になる。操作は分からないこともあるけど慣れてきた」。高須瑚子(ここ)さん(8つ)はうれしそうに話した。
担任の植松仁教諭も「児童の答えを比較するなど、今までできなかったことができる。時間の節約にもなり、児童への個別対応や子どもの考える時間も増える」と可能性に期待した。

市教育委員会によると、端末は市内の小中学校十二校に計千四百六十四台を配備。活用に向けては、全校の教職員を対象に研修会を開くなどして準備してきた。
端末は現在、学校で保管しているが、携帯電話のように場所を選ばず使えるため、将来的には持ち帰りできるようにする方針。休校時などでも学習を継続できるためだ。市教委の担当者は「今後も情報を現場から吸い上げたり、他市町の取り組みや民間の知見をもらったりしながら活用を進めたい」と話す。

ギガスクール構想では文部科学省は当初、二〇二三年度までの配備完了を計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン学習への対応が急務となり、前倒しして本年度中の実現を目指している。
県内では東伊豆町のように一部の学年で配備を先行し、活用している自治体もある。

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十二校に計千四百六十四台を配備ということは1校あたり122台。学校配備という事は、家庭には持って帰らないので、この100台ほどの充電はどうするのか、アップデートはどうするのか、外部へのアクセス制限や外部からの侵入のセキュリティーは誰が監視するのか、学年に応じた教材のインストールは自動化されているのか、児童が自由に使える時間は与えるのか、ゲーム制限はどの程度どんな方法でかけるのか?知りたいことがいっぱいです。(上記のことはルールさえ決めればほとんど自動化できるシステムが販売されています)

教育委員会が言うように家に持ち帰らせるのがいいと思います。小学生に6年間、中学生には高校までの6年間を貸与してしまうのです。6年も経てばほとんどの端末は新しいソフトウェアに対しての機器の性能が追いつかなくなるのでそれで廃棄します。要は、担任に端末の管理義務を負わさせないことが重要です。

端末の管理は充電だけではなく、細々としたことが端末ごとに必要になります。放デイの事業所は10台程度の端末ですから一人でもなんとかなりますが、これが20台30台となるとメンテナンスが大変です。

メンテナンス責任の基本(充電・アップデート・家庭WIFI設定)は保護者責任とし、その他のメンテナンスを業者に任せるならGIGAスクールはスムースに開始できると思います。これまで学校が躊躇しICT教育が遅れた主要な原因は端末の管理です。どんなことでも新しいことができない理由はいくらでも並べられるので、ある程度の見切り発車は必要ですが、メンテナンスの外注とその予算獲得は必須です。

就労継続支援B パラeスポーツ

パラeスポーツに夢追う秩父の男性ら、技術磨き群馬・太田、就労支援事業所/埼玉
2021年1月16日【毎日新聞】

コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」に特化した障害者向け福祉作業所が群馬県太田市に開設された。選手の育成、ゲーム動画の配信や、関連イベントでの活躍を目指す上で必要な技術を習得する機会を提供。拡大するeスポーツ市場で夢をつかみたいという利用者を後押しする。

太田市の就労継続支援B型事業所「ワンゲーム」で2020年10月下旬、動画配信イベントが開かれた。ゲーム大手セガのプロデューサーをオンラインで招き、利用者がパズルゲーム「ぷよぷよ」で勝負。「おっと、この場面はつらい」「圧巻の勝利です!」。別の利用者が実況で盛り上げ、白熱した雰囲気に包まれた。

イベントの司会を務めたしんじさん(24)=秩父市=は難病で手足の筋力低下と感覚障害があり、14歳から車いすに乗っている。指が動かないため、手のひらでコントローラーを操作し、ゲームを楽しむ。「趣味を仕事につなげたい」と20年8月、ワンゲームに通い始めた。目標は技術を高めて動画を配信し、プロの大会に出ること。「早く実力を上げたい」と熱っぽく語る。

eスポーツは全国で競技大会が開かれ、選手や観客が増えて市場規模が拡大。ワンゲームは20年6月に開設し、選手を養成するほか、実況や解説、映像・音響などeスポーツ関連で求められる技術を磨くコースが用意されている。

同じく選手を目指す太田市の男性(25)は約5年前、発達障害と診断された。当時通っていた専門学校で、一部の課題に向き合えずに苦しんだが、ゲームや小説には夢中で取り組めた。「できないことを欠点と捉えるのではなく、視点を変えて長所を伸ばしたい」。男性は集中して物事に向き合う特性を仕事に生かしたいと考える。

ワンゲームを運営する「ワンライフ」(前橋市)最高経営責任者(CEO)の市村均弥さん(33)は「何かに挑戦して成功体験を得ることで自信につなげてほしい。100人いれば100通りの選択肢がある社会にしたい」と話した。
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なるほど、目からうろこでした。障害者就労支援制度にゲーマー養成とは、時代は変わるものです。確かにパラスポーツの選手養成があるのですから、パラeスポーツの選手養成は不思議ではないです。プロ選手なのですから就労という枠組みに入るのも頭ではわかります。しかし、そんな理屈で就労支援のB型をと開設した運営者には脱帽です。就労Bと言えば、施設内で生産作業をしている障害者を思い浮かべていた既存イメージを彼らは軽々と乗り越えていったのです。

実際にここからどんな選手や、イベンター、解説者が出てくるのか楽しみです。子どもたちともう少し詳しくeスポーツを調査してみたいと思います。

 

療育システムの記事に反響

「子に寄り添っていない」療育システムの記事に反響初診待ち常態化

2021/1/15 15:30 【西日本新聞】

福岡市の未就学児の療育システムについて取り上げた本紙記事(昨年12月27日付朝刊:療育施設に通えず、空白の4カ月福岡市で長期手続き常態化)に反響が寄せられた。当事者家族の声も複数あり「子どもに寄り添う制度ではない」と不満がつづられていた。現場を担う施設の一つ、市立心身障がい福祉センター「あいあいセンター」(中央区)の中満達郎・療育課長に改めて市の意図を尋ねた上で、早期療育の在り方について全国発達支援通園事業連絡協議会会長の近藤直子さんに聞いた。(本田彩子)

他の機関と連携、柔軟対応を
未就学児に療育を行う国の「児童発達支援事業」は各自治体が療育の必要性を判断して受給者証を発行する仕組みだ。厚生労働省の見解では医師の診断は不可欠ではなく、乳幼児健診などを担う保健師の意見書でも可能とされる。地方には専門医が少なく診察を受けられない地域もあるため、全国どこでも支援が受けられるようにするためだ。

一方で福岡市などの大都市は専門医が一定数いることから、指定医の診断を必須とする自治体が多い。地域拠点である療育センターに専門医を配置することは発達障害に限らず医療的ケア児や重度心身障害児を支える上で大事だ。だが、医師の診断を受給者証発行の「踏み絵」にしてはならない。

全国的にも、指定医の診断を求める自治体のほとんどで2カ月~半年の初診待ちが常態化し、問題となっている。そのため名古屋市では本年度、医師の診断を待たずに療育を始める取り組みを試験的に始めた。

発達障害の子と親が求めているのは医療だけでなく、子どもの行動や気持ちをきちんと理解してくれる人を周りに増やすこと。そこで重要なのは療育センターと保健所、幼稚園や保育所の3者の連携だ。それぞれが互いに子どもの状況を把握しながら、子どもが楽しく過ごせて、親の不安も取り除く仕組みを築く。縦割り行政の垣根を越え、情報を共有して議論できる場を作るべきだ。

今回の事例では、福岡市はもっと柔軟に対応すべきだったのではないか。診断や手続きに時間がかかるなら、それまでに子どもが通える場所を別につくる。療育センターだけで対応できないなら、地域の子育て支援センターなどで診断待ちの子に対応する曜日を設けてもいい。システムが硬直化してはいけない。

全国的に未就学児の療育のニーズは急増している。福岡市の現在の仕組みと施設数では対応しきれないだろう。民間事業者の参入が増えれば療育の質の問題などが生じる恐れはあるが、だからといって封じるのではなく、全体を底上げするための研修や連携の仕組み、施策を市が責任をもって考えるべきだ。これまでの知見を生かし、関係機関が皆で知恵を絞って、全体として親と子の求めに応える体制を築いてほしい。(談)

近藤直子(こんどう・なおこ)日本福祉大名誉教授。専門は発達心理学。大阪府や名古屋市などの保健所で40年以上、乳幼児の発達相談を担当。NPO法人あいち障害者センター理事長。

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前回このコラムでも「受け止める施設がどこも空きがないというならわかりますが、手続きの段階でこんなに待たせるというのは人権侵害だという感覚が担当者にない」のではないかと書きましたが、全国でも同じように感じている人が少なくないという事です。

この記事は、医師の診断が必須だからと手続きが硬直化していると書いていますが、福岡の件は「予約の空きが出て9月末に受診が早まり「自閉スペクトラム症」と診断されたが、その後の手続きがなかなか進まない」まま年末にやっと行先が決まったというもので、診断待ちの問題ではないです。医師の診断を終えているのに療育が3か月も受けられない原因は担当者の怠慢だという記事でした。

そのため、相談にかかわる担当者は襟を正してほしいという主張をしました。ただ、民間の相談事業所も相談者利用者が満員で、利用者に負担をかけていることを書きました。解決方法は相談事業の収入の一部固定制(新規増額部分)を取り入れるなどの改革を提案しています。しかし、何よりも大事なのは事業を運用する関係者がチャイルドファーストの視点に立てるかどうかという事だと思います。

iPad届いたのに制限だらけ

iPad届いたのに制限だらけ学校間で広がるIT格差

2021年1月18日 22時07分【朝日新聞デジタル】

各地で新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が出され、一部の学校でオンライン授業をするところも出てきた。さらなる感染拡大に備え、文部科学省は小中学生に1人1台の端末を配る「GIGAスクール構想」の前倒しを急ぐ。だが、整備はなかなか進まず、端末が届いた現場からも「制限が多すぎて使いにくい」という声があがっている。

東京都世田谷区では昨年11月、小6と中3全員に、先行で約1万台のキーボードつきiPadを配布した。もし、休校になった場合、優先して授業を進める必要がある学年だ。今月から中2、中1への配布も始めている。ただ校内の通信環境などの整備が追いつかず、学校での活用は限られているのが現状だ。

マイクロソフトの文書ソフトなどはあるが、アカウントが配布されておらず、使えない。一方、家庭で動画は見られるため、夜中にこっそり自分のスマホより大きな画面でユーチューブを見る生徒もいる。中3生の母親(51)は「iPadを買ってあげられない家庭にとっては、キーボードを打つ姿を見るだけでうれしい。ただ、なぜこの受験前に……とも思う」と複雑な心境を明かす。

ある小6生は学校で「履歴はチェックできる」と言われたため、怖くて、家では指示された学習アプリしか使わない。小6生の母親(50)は「なんだかちぐはぐ。制限を厳しくかける必要はないけれど、配布と同時に勉強も含めいろんな形で使えるように教えてほしい」。

同区教委は「最低限の制限はかけた上で、学校でも家庭でも使わせることが学びへの近道と考えている。業者も手いっぱいで端末も通信も整備がなかなか進まないが、もし休校になっても、配布された端末は、学校と家庭との連絡手段としては使える」と説明する。

東京都足立区でも昨年末、中3生にクロームブックの配布が始まった。だが、区内の男子生徒は月1回土曜に「Zoom」のリモート授業で使うだけで、それ以外は家にしまったままだ。会社員の父親(46)は「本来は文書共有やクラウドなど様々な機能が使えるのに。何のための1人1台か」と嘆く。

文部科学省は一斉休校を受けた昨年3月、GIGAスクール構想の目標達成の時期を2023年度から今年度中に前倒しすると決定。昨年8月末の同省の調査では、納品済みは36自治体(2%)にとどまり、昨年末に489自治体(27%)が、年度内に1280自治体(70・6%)が納入予定と回答した。だが、遅れている自治体も少なくない。

萩生田光一文科相は7日、首都圏4都県の緊急事態宣言に先立ち、端末やネットワーク通信の業者約40社に対し、学校への納品前倒しや端末の貸し出しなどを要請。13日には要請する地域を拡大する通知も出した。

端末が届いた学校からは、制限が多すぎて「使いにくい」との声もあがる。

千葉県の公立中に勤務する20代の男性教諭は昨年11月、全生徒に配られたノートパソコンの仕様にがっかりした。「無いよりいいけど、これじゃ不便」。Gメールや表計算ソフトなどほとんどのアプリが使えず、USBメモリーも認識しない。文書の共同編集も、生徒とのチャット機能も教育委員会の方針で無効化されていた。男性教諭は「(車が)公道を走れても時速20キロしか出せない感じ。ゼロリスクは不可能なのだから、子どもの学びのため縛りなしで使わせてほしい」。

「メールの送受信は一切できないよう教育委員会で設定しております」。高知県の私立土佐塾中学・高校の野崎浩平教諭(40)は昨年末、地元の公立小が出した通知文に驚いた。県内でグーグルの教育者グループを立ち上げており、端末の機能制限で先生が混乱している話をよく聞くという。全国20校余りの教員らに独自調査したところ、半数程度でメールやチャットの機能が制限されていた。「学校と家庭の連絡や情報管理にも便利なツールなので、あまり制限をかけないでほしい」

保管も課題だ。関西地方の男性教諭(48)が勤める公立中では、9月に1人1台配備され、グーグルのアカウントも全生徒に配布された。だが、盗難や破損への懸念から、全端末は空き教室の保管庫に入れて施錠され、管理職が鍵を管理。通信環境も整っていないため、10分の休み時間に鍵を借りて出し、全員でログインすると授業までにつながらない。「授業の妨げになるので賢い教員は使おうとしない。改善するには一つひとつ折衝しなければならず疲弊する」と嘆く。

首都圏の特別支援学校の40代の教諭も、授業で使う端末を保管庫から取り出すのに使用目的の記入と鍵が必要で、夕方までに返却していないと責任を問われることに、疑問を感じている。「これでは教員側も萎縮して授業準備もできない」

愛知県の公立小に勤める60代の男性教諭は機材環境を不安がる。遅い回線速度、電気容量が足りず時々落ちるブレーカー……。保管庫近くに電源がなく換気扇から取っている教室も。「モノは来たけど整備が追いついていない感じ」という。端末も児童にはiPadが配布されたが、教師に割り当てはなく使い回しのウィンドウズ機だ。「端末が違えば教材研究にも支障が出る。システム全体を考えて通信環境や電源など必要な整備をしないと、このままでは宝の持ち腐れになる」と危惧する。

一方、先進校はどうか。千葉県印西市立原山小学校は市の情報教育推進校で、昨春には5~6年生全員にクロームブックを配布。一斉休校中にオンライン授業をした。GIGA導入も先行しており、昨年10月には全学年に端末を配り終え、大半のソフトや機能は自由に使えるようにしている。手渡す時に「デジタル空間にもう一人の自分ができるんだよ」と伝え、ネット上の言動や振る舞いに注意するよう教えた。家庭にも持ち帰らせている。松本博幸校長は「最初からきつい制限や枠はかけない方が、学びの幅や可能性は広がる。『善きデジタル市民』になるための指導をしながら、子ども自身が学ぶ自主性を大事にしたい」と言う。

国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授は、気負わず普段使いするところと、しまい込んだまま全く活用できないところの差が広がることを懸念する。混乱の原因について、「学校も教育委員会も、ビジョンがないまま端末を配備したところも多いことだ」と指摘。「何のための道具かを第一に考えてほしい。どんな時も子どもと学校をつなぐツールであり、家でも学校でも子ども自身が使いこなせる学びの道具にしていく必要がある。リスクを恐れすぎれば『文鎮化』してしまう」と話す。

今が、日本の子どもたちが世界のデジタル時代にふさわしい教育に追いつくラストチャンスともみる。「今回は多額の国費が投入されたが、更新時には各自で端末を買うBYOD(Bring Your Own Device)に変わる可能性もある。学びに不可欠なものだと親子に納得してもらえるような使い方ができるか。教育委員会も学校もこの数カ月が正念場と思い、頑張ってほしい」(西村悠輔、宮坂麻子)

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予想通り導入時は様々な問題が各地で沸き起こっているようです。先日も01/15 熱海市、全小中学校に端末配備の件で書きましたが、教材として使う前の端末管理のところで大混乱を起こしているようです。管理する側は、できるだけ勉強以外に使えないように制限をかけようとします。しかし、記事を見ているとそれ以前の問題として、生徒にアカウント(端末を使う権限ID)を与えていないとか、逆に生徒に与えているアカウントがIT国際独占大企業のものだったりして手を抜きすぎだと感じます。

せめて、各県単位の教育委員会で管理サーバは置くべきだし、アカウントはそこで一括管理されるべきです。少なくとも教員の端末は建前上そうなっています。もちろん、教員のメールサーバーやクラウドサーバーもIT国際独占大企業のものを契約している教育委員会が多いので偉そうなことは言えませんが、少なくともドメイン名(どこの組織化の表記)は各組織名で発行されていますし、各組織の職員か委託業者が管理しています。

日本の教育制度のややこしいところは建前上、各自治体の教育委員会の権限で地方教育は成立することになっているので、小さな自治体はお金がないが小回りは効く、大きな自治体はお金はあるが気が利かない、両者の特徴をそのまま学校に持ち込むことになります。端末の導入もそんな教育制度の建付けの問題で格差が生じているように感じます。ただ、教科書検定等では、細々とした統一性を求められるのですから、端末も全国同じような仕様規則で運用すればこれほどの混乱は生じなかったかもしれません。

しかし、発展途上のデジタル教材の可能性は無限ですから、統一的な細々した規則は馴染まないというのが正しいのだと思います。結局、ICT教育に熱のある自治体は良いシステムを導入でき、右になれの自治体ではICT教育を端末無料配布の事業程度にしか考えられず結果現場は大混乱します。そうして、制限の多いシステムや頓珍漢なICT教育は自然に淘汰され、良いものが広がっていくには時間がかかるのかもしれませんが、つまらない規制や制限でICT教育発展の芽を摘むよりはましかもしれません。それにしても、アカウントくらいは教育委員会発行のものを最低限与えてほしいと思います。日本の教育が国外の勢力に乗っ取られたり盗まれたりする隙を与えないことは安全保障上重要だと思います。何度も書きますが、端末管理の人件費や委託費は絶対必須です。

同じ問題を繰り返しても意味がない

最新科学が出した正しい学習法とは
「同じ問題を繰り返しても意味がない」子どもたちをダメにする間違った学習習慣3つ

2021.01.19【プレジデントオンライン】

独自のカリキュラムと最新の科学に裏付けられた学習法で、オンラインの学校でありながら、全米トップレベルの進学実績を誇る学校がある。スタンフォード大学・オンラインハイスクールだ。校長を務める星 友啓さんは、「誰もが良かれと思ってやっている学習法の中には逆効果のものも多い」と指摘。間違った学習の常識とは――。
星 友啓『スタンフォードが中高生に教えていること』(SB新書)の一部を抜粋

間違った学習習慣1 「ストレスをさける」
(略)
間違った学習習慣2 「テストで理解度や能力を測る」
(略)

間違った学習習慣3 「同じ問題を反復練習させる」
多くの子どもにとってテスト同様身近なのが、学習ドリルによる反復練習です。

足し算、引き算、図形、文字の練習。世界中でさまざまな学習ドリルが存在し、教育者や保護者、子どもたちが手に取ります。各ページに似たような問題が並び、繰り返し解いていく。特定のスキルや知識を身につけるのが目的で、特に幼児や小学校などの教育で用いられ、さまざまな学習効果が確認されています。

しかし、この「似たような問題を何度も繰り返し解く」という当たり前の学習方法が近年見直されつつあります。なんらかの反復練習は学びに欠かせないプロセスであることは間違いありません。しかし多くの学習ドリルは、反復の回数や速度を強調しすぎています。

正しいだけではなく、速くできないといけない。
10回ではなく、20回、さらにそれ以上やることで、その問題に「慣れて」素早く解けるようになる。同じような問題を解くことで、パターンに慣れて、より速く答えを出せるようになるのは疑う余地のない事実です。しかし、単純な計算や記憶問題を素早く答えていけるような能力だけでは、理解力や思考力は高まりません。

むしろ、同じような問題を同じような考え方で解いていく癖がついてしまい、柔軟な考え方や、違った視点で物事を見る力が未発達になってしまいかねません。早くできることとじっくり深く考えることは、脳科学的にも違う活動なのです。

スタンフォード大学の教育学ジョー・ボーラー教授はこの点を指摘するのに、何人かの大数学者の例を挙げています。数学の「ノーベル賞」といわれる「フィールズ賞」受賞者の中にも、子どもの頃計算が遅く、学習障害や数学苦手のレッテルを貼られた学者たちがいるというのです。

考える力をつける計算問題の解き方
それでは、どうすればじっくり考える力がつくのでしょうか?ボーラー教授が勧める学習方法で、それぞれの問題を違う方法や考え方で解いていくやり方がおすすめです。アメリカの教育現場でもだいぶ浸透してきています。

例えば、算数でいうと、ドリルから20問同じような問題を解くのではなく、5問だけを選んで、それぞれの問題を4つずつ違う解き方で解いていくようなイメージです。違った考え方で同じものを理解しようとするこのやり方で、学習の効率が上がることが脳科学的にも実証されてきました。

また、一つのことを違うやり方でできるようにしておくことで、柔軟な考え方をすることができるようになり、あるやり方で行き詰まっても他のやり方を試そうとする癖がつくのです。それから、常に違ったやり方を模索しながら考える心の習慣も養うことができます。

「はかどってる感」の恐ろしさ
20問ずつガンガン解いて、進んでいくことで、はかばかしい。ページをめくって、進んでいる気がして、やる気につながる。親も子どもも、量が多い問題をすいすいと進めていくと、「はかどってる感」が得られるので、ついついドリルに頼りがちです。

しかし、問題を解いた数とか、めくったページの数が多ければ、良い学びに繋がりやすいというわけではないのです。何事もバランスです。考える力や深い理解は、反復練習を素早くこなしていくことだけでは身につきません。多様性のある学び方を取り込んでいくことを心がけましょう。

星 友啓(ほし・ともひろ)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
哲学博士、EdTechコンサルタント。1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、Texas A&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学哲学部の講師として教鞭をとりながらオンラインハイスクールのスタートアップに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。全米や世界各地で教育に関する講演を多数行う。著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)がある。

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学習ドリルによる反復練習は宿題の定番です。ルーティンワークでできるから、その子が理解している課題なら自学自習が成立します。こなす分だけ「やった」感もあり自尊感情も高まるかもしれません。ただ、当コラムで何度も書いているように、内容が十分理解できていないのは論外ですが、理解できていても当事者にとって量が多すぎたり、課題の狙いと違うところ(読み・書き)でエネルギーを使い果たして目標が達成ができない等の宿題は時間がかかるだけでなく、当事者の自立心や自尊感情を削ぐことになり自学自習にはなりにくいということです。

そして、今回の記事では、反復トレーニングは速さや流暢さの獲得が目的だが、思考力は育てないので出題のバランスが大事だという事でした。他には、間違った学習習慣1 「ストレスをさける」は、ストレスは避けるのではなく、ストレスをポジティブに解釈していくことで子どもの学習能力を最大限に引き出せると説明されていました。また、間違った学習習慣2 「テストで理解度や能力を測る」は、テストの点数は、どれだけテストに慣れているかの指標でしかないが、長期的な記憶や学習効果の向上にはつながるので、ショートテストや思い出し練習は有効だという事です。

 

クラスター確認の佐賀工高生に誹謗

<新型コロナ>登校中に「なぜ学校に行くのか」クラスター確認の佐賀工高生に誹謗、専門家「批判筋違い」

1/21 8:45 【佐賀新聞】

佐賀県内の小中高校で初めて新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が確認された佐賀市の佐賀工業高で、学校や生徒に対して「なんで学校に行けるの」「どんな指導をしてきたのか」などの誹謗(ひぼう)中傷が寄せられている。専門家は「感染した人を敵視したり、批判したりするのは筋違い」と話している。

佐賀工業高には19日午前中から、数十件の電話が寄せられたという。学校が生徒に行った聞き取りでは「通学する列車の中で避けられた」「制服で佐賀工業高の生徒だとすぐに分かる。周囲からの目線が気になった」などの声が上がった。保護者から「職場にしばらく来ないでくれと言われた」という連絡もあったという。

同校は19日から、感染が確認された1、2年生をオンライン授業にしたが、20日からは3年生でも実施するように切り替えた。生徒たちには、会員制交流サイト(SNS)で誤解を招く内容を書かないことなどを指導していくとしている。副島政史校長は、これまで以上に感染対策を徹底していくとした上で「安全で安心した生活を早く取り戻せるようにしていきたい」と話した。

■「自分事として捉えて」

人権問題を研究する佐賀大教育学部の吉岡剛彦教授(法哲学)は「感染した人をウイルスと同一視する傾向がなかなか改まらない」と指摘し、「誰が感染してもおかしくない状況で、自分が攻撃対象になる可能性もある。自分事として捉えてほしい」と警鐘を鳴らす。(小部亮介)


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<こちら報道部>学校名、報じる理由感染拡大防止へ正確な情報

1/21 9:29 【佐賀新聞】

新型コロナウイルスに関し、佐賀市の佐賀工業高でクラスター(感染者集団)が発生したことを伝える記事(19日付20面)で、複数の読者から「なぜ学校名を出したのか」「大きく報道されたことで、生徒たちが変な目で見られる」といった意見が寄せられました。

新型コロナは県内でも感染が拡大傾向にあり、1月に入ってからは学校や保育所などでもクラスターが発生しています。コロナ報道に関しては当初から「正しく恐れ、防ぐ」というスタンスで、感染拡大を防止するための正確な情報を出すように努めています。

学校名を報じた今回を含め、感染確認の情報については佐賀県の発表に基づいて記事化しています。特にクラスターに関しては関係者が多くなるため、学校名などの情報を伝えることで、気になっている人が外出を控えたり自ら検査を受けたりして感染拡大の抑止につながると考えています。正確な情報を示すことで、誤った情報の拡散やデマを防ぐことにもつながります。

興味本位で個人を特定する動きや当事者らに対する誹謗(ひぼう)中傷は、あってはならないことは当然です。一方で、情報を社会で共有しておくことも重要です。

報道部では人権に配慮しつつ、常に当事者がいることに想像を巡らせながら、今後もさまざまな視点で感染抑止に向けた情報を伝えていきます。(報道部デスク・林大介)

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関西地方は武漢風邪のテレビ報道について、煽りすぎではないかという自重ムードがまだあるのですが、地方局は全国ネットで東京からの放送がそのまま流れてくることで、東京ほど深刻ではないのに東京と同じように視聴者が考えてしまう傾向があるそうです。それにしても感染はお互いさまだというように考えられないところが不思議ですが、自宅で高齢者と生活していて心配のあまりの言動かもしれません。

でも、専門家でなくても筋違いなことはわかるので、生徒や学校をバッシングする原因を作ったのは、新聞社の学校クラスター実名報道のせいだと、佐賀新聞にもクレームがあったのです。それに対し新聞社は「感染拡大を防止するための正確な情報を出すように努力している。県が公開しているものを報道しただけで、実名を隠せばかえって誤った情報が流れる可能性がある。」と言います。

後者の事実を報道するメリットについては正しいと思います。しかし、感染の仕組みや事実について正しい情報を報道しているとは思えません。都会の満員電車の中ですら感染していない事実や、休校すれば解決するような感染状況ではなく休校のデメリットが大きいとしているWHOやユネスコ、政府発表の事実を学校クラスタ報道で同時に取り上げてはいません。日本は欧米の4パーセント弱の感染状況であることもあまり報道は触れません。実名報道が悪いのではなく、実名報道するなら今回のような誤解が生じないように徹底的に報道するメディアの責任を感じていると書くべきだったと思います。メディアが開き直ると民主社会は腐っていきます。

 

再任用教員ツイッターに差別投稿

「障害者の子、いない方がまし」特別支援学校教員が投稿

2021年1月21日 18時53分【朝日新聞】

群馬県西部の特別支援学校に勤務する60代の女性教員が、ツイッターに障害者を差別する内容の投稿をしていたことがわかった。県教育委員会も事実を把握し、女性教員の処分も含めて検討している。

県教委によると、女性教員は昨年10月中旬にツイッターのアカウントを開設。「障害者や犯罪者が子供でいたらいない方がまし」「労災にならないように気をつけます。いきなり強くつかんだり殴ったりする障害のある人」などと投稿。校内の取り組みにも触れ、上司や同僚の実名を挙げて批判していた。

問題の投稿が発覚したのは今月中旬。女性教員の同僚が、知人からの指摘で投稿を知ったという。学校側は勤務記録や投稿内容などから女性教員を特定した。学校や県教委の調査に対し、女性教員は投稿の事実を認め、県教委の指導で問題の投稿を19日に削除した。「個人的な記録として投稿していた」「誰でも読める認識がなかった」と話しているという。

女性教員は定年退職後に再任用され、2019年からこの特別支援学校で勤務しているという。県教委学校人事課の鈴木佳子課長は「指導する教員の立場にある者が差別的な内容の投稿をしたことは非常に不適切であり、あってはならないことだ」と述べた。県教委は今後、SNSでの投稿について注意喚起をするとしている。(中村瞬)

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この再任用教員が特別支援学校経験者なら論外ですが、経験がないなら採用に無理があったのかもしれません。支援学校には行動障害のある子どももいますし、言葉が通じない子どももいますから、通常学校の指導方法では通用しない場合もあります。それなのに、通常学校でクラス指導がうまくできない教員が支援学校に異動してくることも少なくないですから、再任用でも同じことがあるのかもしれません。現場での指導能力がなく毎日の仕事が不安な人なら、障害者を要らないものとする思いが生じるのかもしれません。

モラルの問題としてはあってはならないことですが、行動問題のあるの子どもを見てこんな認識になる教員でも支援学校に再任用されていることの方が深刻です。おそらく周りの職員も管理職も気が付いていたと思われます。再任用は年金制度支給年齢の改定とあわせ、無年金期間を補完する役割で民間会社をまねて作られたものです。

でも、この採用制度は競争がなく希望すれば採用しなければならないのです。採用競争にも耐えられない教員でも再び学校に戻す可能性を残している制度といわれても仕方がありません。わいせつ教員に対する教員免許の再交付を、実質無期限にしようとする教員免許法改正ですら断念・見送りとなるくらいの国ですから、この程度はどうしようもないという事かもしれません。