みんなちがってみんないい
特別支援教育支援員
教育支援員足りず「権利利益侵害」の恐れ 市民団体が市町村実態調査
9/11(金) 11:40配信【NEWSつくば】
通常学校に通う、障害のある子供たちの学校生活を支援する「特別支援教育支援員」の配置実態を明らかにしようと、市民団体「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)がこのほど、茨城県内の各市町村教育委員会にアンケート調査を行った。教育支援員が足りない市町村があったり、足りていても保護者に付き添いを求める市町村があるなどの実態が浮き彫りになった。
学校生活において、平常の授業日や校外学習時に支援員が付き添えないからと、保護者の付き添いを障害児だけに求め、できない場合は参加を拒否することは、2016年施行の障害者差別解消法が禁止する「権利利益の侵害」にあたる。同つくる会では今後、各市町村教育委員会に対し、今回の調査結果を情報提供すると共に、支援員の研修機会を提供するなど、支援員の充実に協力していく考えだ。
6割が「足りていない」
支援員は、学校生活での食事や排せつなどを介助したり、授業や学習で個別的な支援が必要な児童生徒を支援する。アンケートには全44市町村のうち41市町村が回答した。「支援員が足りているか」という質問には、6割超の27市町村が「足りていない」と回答した。
さらに、1人の児童生徒が1日に支援を受けられる時間についても尋ねた。支援員が支援できる時間が限られていて、その時間では支援が不足する場合、保護者が付き添っていると8市町村が回答した。
支援員が足りていないと回答した市町村の方が、保護者が付き添っている割合は高いが、足りている市町村でも「平常の授業日に保護者が付き添っている場合がある」と回答したところが1市町村あった。
一方、支援員が足りていない市町村でも、「1日の支援時間に上限はない」と5市町村が回答した。「支援時間に上限はあるが、支援員の勤務時間を前後させたり、空いている職員を計画的に配置したりすることで、保護者の付き添いはないようにしている」と回答した市町村もあり、支援員の人材不足が、必ずしも保護者の付き添いを求めることにつながらないことが分かった。
校外学習時に支援員が付き添えるかという質問には、「日帰りの校外学習に支援員が付き添える」と35市町村が回答し、「宿泊を伴う校外学習に支援員が付き添える」と5市町村が回答した。「支援員が足りていない」市町村でも、「宿泊を伴う校外学習に支援員が付き添える」と回答したところが3市町村あった。
さらに校外学習時に保護者が付き添っているかという質問には、支援員が足りている市町村の方が付き添っている割合は58%と低いが、それでも約6割の市町村が校外学習に保護者が付き添っていることがわかった。
つくば市、修学旅行に付き添えず課題残る
修学旅行に支援員が付き添えないために、保護者が付き添えなければ、障害のある児童生徒が修学旅行への参加をあきらめる事態がつくば市内で起こったことが、2016年12月の市議会一般質問でも指摘されている。
同年に施行された障害者差別解消法では、障害を理由として、各種機会の提供を拒否する、または提供にあたって、障害者ではない者に対して付さない条件を付すことは、障害者の権利利益の侵害として禁止されている。
五十嵐立青つくば市長は、支援員の大幅増員を公約に掲げ、2016年度から2019年度にかけて支援員の数を倍増した。しかし、宿泊を伴う校外学習には支援員は付き添えないなど課題は残っている。
同市によると、市内の小中学校や義務教育学校では平常の授業日は支援時間に上限はないため、学校側から保護者の付き添いを求めることはない。一方、日帰りの校外学習に支援員が付き添えることもあるが、宿泊を伴う校外学習には支援員は付き添えず、保護者に付き添いを求める場合があるという。
今後、宿泊を伴う校外学習にも支援員が付き添えるようにする方針はあるかをつくば市に聞いたところ「勤務条件外になってしまうため、難しい」という回答だった。障害のない子供なら無条件に参加できる修学旅行に、障害があるからと、保護者の付き添いが参加の条件になってしまう実態は解決されないままだ。(川端舞)
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特別支援教育支援員は国からこの名目だけに使う財源ではなく、地方交付税といって、市町で道路や焼却所などに使ってもいい一括財源として交付されるものです。したがって、土木関係などにお金がかかるときは支援員の財源は使えなくなる場合もあります。だから市町によって支援員が多かったり少なかったりしているようです。
ただ特別支援教育支援員は、採用時にレクチャーは受けますが資格はなく教員ではないので権限が制限されています。また、クラスの子どもにしてみれば「○○ちゃん付きの先生」のような位置づけになりやすいので、運用には工夫が必要となります。