みんなちがってみんないい
起立性障害
朝は体調悪い…起立性調節障害の子らに、居心地良い場を
2020年9月13日 10時00分【朝日新聞デジタル】
朝、体調不良で起き上がれず、学校に行けない――。若年層に多いとされる「起立性調節障害」(OD)で学校に通えなくなった子どもらを支えようと、大阪人間科学大学(大阪府摂津市)の学生たちが、居心地のよい場所づくりに取り組んでいる。
一昨年6月に立ち上がったボランティアサークル「Lico(リコ)」。メンバーは月2回、夕方から約2時間、八尾市の公共施設で、ODに悩む中高生6人ほどと一緒に時間を過ごしてきた。冒頭、体を使ったゲームなどで緊張をほぐし、趣味やテレビ番組について話したり、絵を描いたり。昨年12月にはクリスマスパーティーも開いた。
Licoのメンバーは、社会福祉や心理、子ども保育を学ぶ大学1~3年生約30人。ODの子どもだけでなく、障害児の支援などにも取り組んでいる。
〈起立性調節障害〉自律神経の働きの不調により、起立時に脳や体への血流が低下するなどして、立ちくらみやめまい、倦怠(けんたい)感、動悸(どうき)などの症状が出る。小学校高学年から中学生で増える。軽症も含めると小学生の約5%、中学生の約10%が該当し、不登校の子どもの3~4割がODを伴っているともいわれる。午前中に体調が悪くても午後に回復することが多い。
Licoを作った大阪人間科学大3年の神野佑介さん(22)は自らもODの影響で中学校に通えなかった経験がある。昨年2月ごろ、ODの子らを持つ家族の会に参加した時、「ODの子は朝体調が悪くて学校に行けず、午後に元気になっても夕方から行けるのは塾ぐらいしかない。居場所が少ない」という声を聞いた。
神野さんは自らの経験を思い起こし、「同世代と交流できる居場所があると、ODの子たちにとって大きい」と思った。Licoのメンバーとともに、昨年2月ごろから、ODの子どもらが居心地良く過ごせる場所づくりを始めた。
参加する中高生たちは当初、「次にやりたいことは?」と尋ねても「別に」「ない」と言葉少なだった。大学生たちが寄り添い、グループで話すうちに子どもたちは打ち解け、輪になって話すようになった。「ゲームがしたい」「休憩スペースがあったらいい」と意見を言うようにもなった。Licoメンバーで大学3年の香西優希奈さん(20)は「私たちも中高生たちもお互いに心を開ける信頼関係ができた」と話す。
娘が中学時代にODを発症し、学校に通えなくなったという母親は、友達とのつながりも希薄になり、不安が募る毎日だったという。集いに参加した娘に付き添い、別室で待っていた時、娘の笑い声が聞こえた。「こんなふうに笑っていたんだと気づかされました。活動はありがたい」
新型コロナウイルスの影響で、Licoの活動も今年3月ごろから休止に追い込まれた。8月になって、メンバー3人と中高生6人ほどがオンラインでつながり、再開後にしたいことや好きな映画などについて語り合った。
Lico副代表で大学2年の安在侑輝さん(19)は「交流の場がなくなり、体調や心の面が心配でしたが、元気な姿を見てほっとしました。素の自分が出せる居場所があることで、少しでも前向きになってもらえれば」と話す。(瀬戸口和秀)
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〈起立性調節障害〉自律神経の働きの不調により、起立時に脳や体への血流が低下するなどして、立ちくらみやめまい、倦怠(けんたい)感、動悸(どうき)などの症状が出る。小学校高学年から中学生で増える。軽症も含めると小学生の約5%、中学生の約10%が該当し、不登校の子どもの3~4割がODを伴っているともいわれる。午前中に体調が悪くても午後に回復することが多い。
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起立性障害の診断は難しいと聞きます。朝起きられないという不登校には、家族力動(親子関係)が関わる心因性のものから、ASD等発達障害が関わるものや、それらが複合的に絡まることが少なくありません。
従って、正しい診断がまず必要となります。「新起立検査」等を行い診断をしていきます。検査もせずに起立性障害の治療を行うと様々な問題がすべて本人のフィジカルな問題に置き換えられてしまう危険性があります。不登校全般を扱う医療機関から起立性障害を検査する専門医に紹介を得たほうが良いかもしれません。