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みんなちがってみんないい

始業式と子どもの自殺

不登校や引きこもりなどの情報交換や交流などを目的とした『不登校新聞』の石井志昴編集長は、子どもたちのギリギリの状況を「宿題ができていない、体調不良などは赤信号。1学期に不登校ぎみだったら、最後のSOSだと思ってください」と言います。自殺の原因や理由はさまざまだが18歳以下の自殺者数は年間約300人~400人のあいだでほぼ横ばいです。対策するものの減らないといいます。「いじめはどこの学校でも起きています。早期発見、早期予防が肝心です。しかし、今でも学校は、いじめを認識したがらない。教育現場はいじめがあればしっかり認め、いじめへの感度を高めるための努力をしていく必要があります(文科省担当者)」と教育現場の鈍感さに注文をつけます。

「男子は暴力系、女子はコミュニケーション系のいじめ。しかし大人からそれは見えません。子どもたちは隠します。いじめられている子も、苦しさを見せません」(石井編集長)。生徒たちの状況をいじめと先生が認識していない場合もあります。当該の生徒はいじめられて嫌な思いをしているかもしれませんが、大人はそれに気づけない。ふざけているだけなどと、いじめにカウントしないこともあるのです。新学期を迎えすでに東京で中学生の飛び降りと首吊り自殺事件が報道されました。「学校は命をかけてまで行くところじゃない」という石井編集長の言葉をかみしめたいです。みんな違ってみんないいのですから。

 

自分の気持ちや感情の認知

ASDなどの発達障害の人が、相手の気持ちや感情を理解することができない特徴はよく知られていますが、中には自分の気持ちや感情を認知することが難しい場合もあります。子どもに学校の様子を聞いても「特に」「別に」といった返事しか返してくれなかったりするのは思春期の場合は面倒くさいからですが、ASDの人たちの場合は自分の思った気持ちや感情を理解することができないためかも知れません。自分の気持ちや感情が理解できない場合には、読書感想文などの宿題が出た際にも自分の感想が無いので感想文を書くことができなかったり、書いてもあらすじだけになってしまうということはよくあります。

発達障害の子も感情が全く理解できないわけではなく、なんとなく理解したりぼんやりと感じていることはあるにですが、感情がぼんやりとわかっても、自分が「怒っている」のか、「不安」なのか、「悲しい」のか、「怖い」のか、「悔しい」のかの違いがわからず、ただ単に不快な気持ちとなって溜まってしまうと、いろいろな問題に発展する可能性があります。

自分の感情を自覚するのが難しい状況は、感情は有るがそれがどのような状況なのかを自分で理解することができないのです。ストレスを感じても気がつかなかったり、気づくまでに時間がかかってしまう為、ストレスなどが原因で発生する様々な心身症を発症しやすかったり、心身症になった際にも治るまで時間がかかってしまいます。発達障害の子どもが自分の気持ちや感情を理解するのが難しいのには、自分の行動として「楽しい」「怒る」「悲しい」などは有っても、それぞれ別の感情であったり、意味を持った気持ちだということを認識しておらず、基本的な喜怒哀楽を理解していないということも有ります。感覚が鈍感だと、外部から受けた情報を感じるのが鈍くなってしまうため、結果として感情の理解などにも影響が出るのだと言いう人もいます。

自分の気持ちや感情は、対人関係やコミュニケーションなどの社会経験から学ぶことも多いです。発達障害の子どもはコミュニケーションを初めとした様々な社会経験が少ないため、自分の気持ちや感情を意識する機会が少ないことも考えられます。不安や怒りなどの負の感情をモヤモヤと感じていても、当初は本人も気がつかなかったりあまり気にしないこともあります。しかし、何かのタイミングで自分の感情に気がつくと急に癇癪(かんしゃく)を起こしたように怒り出したり、溜まってしまった気持ちを受け止めきれずにパニックになることもあります。これらの場合は原因となった事が発生した後に自分の感情に気づくため、今現在ではない事に対して怒ったり、場合によってはフラッシュバックを引き起こします。フラッシュバックについては前回(8/23)に書きました。

発達障害の人は相手の気持ちを感じ取ることや、相手の思っている状況を理解することが苦手です。これは相手のとの会話の内容や、表情、仕草などから相手の気持ちを理解することが難しい場合と、自分の感情がわからないため相手の気持ちに共感することができないということが考えられます。悲しい気持ちを共感しなければならない場面でも、自分の悲しい気持ちがわからずに、状況にそぐわない言葉や仕草をしてしまいトラブルにつながってしまう事もあります。自分の感情や気持ちを感じ取ることができないと、相手や状況の共感を得ることが難しく、場にあった会話や表情などの行動をとることができなくなります。自分の気持ちや感想を聞かれた場合にも、『わからない』『特にない』といった答えになってしまい、会話が続かなくなってしまいます。本人は自分の感情が理解できないことから真面目に、『わからない』『特にない』と答えていても、周囲からはふざけているととられてしまう事もあります。

感情を感じることが難しいため、苦しい時や辛い場面でも無表情や笑顔を浮かべていたり、逆に楽しい場面でも真面目な顔やしかめっ面をしてしまうこともあります。気持ちと表情が一致しないと円滑なコミュニケーションをとるのが難しくなったり、本人の調子が悪いときでも周囲の人が気づいてあげることができなくなる場合もあります。自分の気持ちが自覚できないために、不安や苦しみなどの感情が分からず心身が悲鳴を上げていてもキャッチできないことがあります。本来ならば休息すべき部分でも休むことをしないため、結果として疲労などから体を壊してしまうこともあります。また、体を壊すだけでなく、各種心身症(ストレスなどから体に影響が現れる病気)や、二次障害としてうつ病など精神面の病気につながることもあります。なお、感覚鈍磨(感覚の受け取りが極度に鈍い状態)の特徴を持っていると、体の痛みや疲れ、暑さや寒さなどの感覚を正確に受け取ることができないため、より注意が必要です。

自分の気持ちや感情がわからない子には、周囲の人がその子の気持ちを代弁し、一緒に確認して感情認知の機会を作ります。例えば、怒っている時には「~で怒っているんだね」、楽しい時には「~は楽しいね」など話しかけて、子どもに気持ちや感情を意識できるように促します。大人と一緒にそのときの気持ちを確認することで、徐々に自分の気持ちや感情の存在に気づいていきます。ロールプレイで様々な場面を設定し、「こんな場合にどう思うか?」と、子どもと学習する方法もあります。自分の気持ちや感情を意識して表出し、周囲の人も原因の是非はともかく、感情に気づいてもらえるようになれば、ストレスでのイライラやパニックなどを起こす事はとても少なくなります。

子どもからのDV

感情の問題や怒りのコントロールについてこれまで述べてきました。多くの読者の方は、これを自分の行動に当てはめて読まれていたかも知れません。この怒りのメカニズムは子どもの理解に役立て欲しいと思います。例えば、DV(家庭内暴力)です。発達凸凹の家族なら子どもが家で暴れたり、お互いを罵ったりして修羅場と化すことは少なくありません。子どもが暴言や暴力を暴発させた時は、子どもは怒りを暴力で発散したかったのではなく、コントロールできなくなった怒りを親に止めて欲しいのだと理解することが大事です。外でおとなしくて家族にだけ暴力を振るう子どもは暴力が悪いことだとわかっています。だから本当は暴力を振るいたくない。でもやってしまうことによる罪悪感に苦しんでいます。

暴力や破壊をいくら繰り返しても何かモヤモヤした感じが残ってスッキリしないのは、罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまうからです。子どもの暴力をやめさせるために親がすべきことは、何をされても我慢して受け止めることではありません。暴力を振るう子どもが自分の感情をコントロールできずに苦しんでいることを理解しながら、コントロールできるようにサポートしていくことなのです。まずは、子どもが暴力行為をしてきたら、親が感じた気持ちを正直に伝えることです。

「痛い」「嫌」「悲しい」「つらい」といった暴力行為を受けることで感じたことを子どもに言うようにします。感情を伝えるのです。暴力を受けることで親が感じる痛みを子どもの心に届かせるイメージで、できる限り詳しく伝えてください。怒りを怒りで返すのは簡単です。怒り以外の表現があることを伝えることが重要なのです。

「暴力を振るう人間は最低だからやめなさい」などの常識論は逆効果になります。大声を出したときに「近所迷惑になるからやめなさい!」、物を壊したときに「もったいない!」といった理屈で説き伏せようとする対応は子どもの感情を逆撫でして余計に怒りを助長します。

子どもが家で暴れることにはそもそもの原因があります。しかし、親も子どももその原因から目を逸らしている状態であるため、親からして子どもがなぜこんなに暴れるのかわからないし、子どもからしても自分がなぜ暴れてしまうほどイライラするのかわからない状態になっています。そして、お互いがよくわからないまま表面化している暴力暴言だけに焦点をあてると解決できません。そこに至るまでの、親に悪気はないですが子どもにしてみれば不適切な接し方があり、子どもはそれに対する不適切な感情の抑圧、我慢があります。

カウンセラーや専門家など他者の力も借りて、少しずつ、目を逸らしてきた本当の問題に気付き、働きかけをしていくことによって解決することは可能です。暴力を周囲から受容されて育った子どもは自分の感情をうまくコントロールできず、人に表現することが難しい人になりやすいです。結果、自己中心的な考えに支配されることでストレスを抱えやすくなるため、依存症や対人恐怖症といった心の悩みを抱えてしまいます。

子どもの暴力がエスカレートしてきたり、怒っても聞かない、逆により暴力が過剰になるかもしれないと思うと恐くて何もいえなくなる気持ちはわかります。「もう無理だ」と投げ出したくなるときもあると思います。感情をコントロールできず苦しんでいると理解すれば冷静に向き合うことは可能です。そして、一人で悩まないで他人の力も借りましょう。他人に相談しても、最後は親子でしか解決できない問題だという腹さえくくれれば、他人への相談は少し楽になるはずです。

日中一次支援事業

日中一次支援事業の特徴は、放課後等デイサービスと比較するとわかりやすいです。放課後等デイサービスは、その役割機能を特定されているのですが、日中一次支援事業は、放課後等デイサービスのような役割機能の制限がつけられていないという特徴があります。放課後等デイサービスが始まる前でも、障害のある児童生徒が活動する場として保護者の就労支援やレスパイトのために、地域のニーズと事業者が提供可能なサービスの折り合いをうまくつけていくサービスとして日中一次支援事業は利用されました。この日中一時支援は今でも利用されますが、児童の場合は、結局放デイの支援量が足りない分を日中一次支援で補完するという目的になってしまいます。

放課後等デイサービスは、基本的には以下のような視点でサービスを提供するよう、ガイドラインが設定されています。
1) 自立支援と日常生活の充実のための活動
2) 創作的活動・作業活動
3) 地域交流の機会の提供
4) 余暇の提供
上記のような役割の中で、提供するサービスや各施設の特徴という視点から分類すると、大きくは次の3つのタイプがあります。どのようなタイプのサービスを提供するかは、サービスを提供する事業者によって異なります。
A) 学童保育にあたるようなサービスを提供するタイプ
B) 専門的な療育サービスを提供するタイプ
C) 習いごとのような感覚で利用できるタイプ
すてっぷは、概ねAとBの混合タイプです。

そもそも、日中一次支援事業は、障害のある方の保護者を中心としたご家族の方が、必要な休息が得られることを目的に、障害のある方の日中の活動の場を一時的に提供するサービスです。この背景としては、家族に必要な休息が得られない場合、家族の過負担によるさまざまな問題が発生する可能性があるからです。例えば成人しても日常サービスが休みの時は仕事のある家族も休息が必要です。そこで休日の日中等、家族の介護を任せてゆっくり休息や余暇が楽しめるように、あわせて障害のある方が休日を有意義に過ごせるように設定されたのがこのサービスやショートステイ事業です。ですから、サービスの内容は一律に定められているわけではなく、地域ごとの実態やニーズに合わせて設計されています。利用される場合にはその点も踏まえて、どのようなサービスが提供されているのかなど、きちんと確認することが重要になると言えるでしょう。そして、各事業者を統括する行政や自立支援協議会は、放デイに一律的な量的規制を加えると、結局はこのサービスに食い込んでしまい、本来のサービス目的による地域ニーズ開拓の障壁になってしまうことを考えてほしいと思います。

障害児通所受給者証について

放課後等デイサービスを利用するには、「障害児通所受給者証」が必要になります。療育手帳を持ってないと、放デイには行けないと誤解されている方がいますが、発達に課題があるお子さんであれば、市町村の自治体に申請すると受給者証を発行してもらうことができ、放デイサービスが利用できます。

受給者証とは、福祉サービス等を利用するために発行される証明書です。市町村などの自治体に申請することにより、交付されます。受給者証には、児童の名前や住所の他、放課後デイサービスなどを利用できる日数(支給量)や、月額の利用料の上限額(上限負担額)が記載されています。1人の児童が複数の施設を利用できるため、利用している放課後デイサービスの名前や利用日数なども載っています。

受給者証は「福祉サービス」を受けるためのものと「医療」を受けるためのものがあります。
障害福祉サービス受給者証・地域生活支援事業受給者証・障害児通所受給者証・障害児施設受給者証
障害者医療費受給者証・自立支援医療(精神通院医療)受給者証・特定疾患医療受給者証 などです。

放課後等デイサービスを利用するには、上記の「障害児通所受給者証」を交付してもらう必要があります。
前回(7/17特別児童扶養手当)でも掲載しましたが「障害者手帳」や「療育手帳」は、障害の名前や状態、程度を証明するために都道府県から発行される証明書です。一方、「受給者証」は福祉サービスを利用するために、市町村から発行される証明書です。障がいの診断がなくても、医師の意見書などがあれば発行してもらうことができます。不登校などの場合も、お子さんの健康状態や精神状態を伝えて審査を受けると取得可能です。一度、お住まいの自治体の窓口で相談してみてください。

受給者証の申請は、下記のような流れで行います。
1. 自治体の窓口で手続き相談をする
子育て総合支援センターや区役所の保健福祉課などで、放課後デイサービスのサービス内容や計画の説明を聞き、申請手続き(申請書記入・聞き取りなど)をします。
2. 利用計画書を作成する
この利用計画書は「相談支援専門員に依頼して作成してもらうパターン」と「保護者が作成するパターン(セルフプラン)」の2種類があります。
相談支援員に計画書を作成してもらう場合、子どもの特性に合わせた専門的な意見がもらえたり、長期にわたって相談できるというメリットがあります。一方、相談支援員とのやりとりが入るため、手続きなどで時間がかかるというデメリットがあります。セルフプランの場合、手続きがスムーズに進むというのがメリットです。ただ、利用日数が多く取れないなどのデメリットが生じることもあります。自治体によっては「相談支援員がついていないと月●日以上利用できない」というようなところもあります。(乙訓近辺での自治体では聞きません)
3. 利用計画書の提出
上記の計画書を、子育て総合支援センターや区役所の保健福祉課に提出します。
4. 審査>受給者証の交付
1.の申請書と2.の計画書をもとに審査が行われ、受給が決定します。
その後、保護者に受給者証が郵送されます。自治体によって異なりますが、通常は申請してから2~3週間くらいで受給者証が交付されます。
受給者証は、基本1年毎に更新の手続きをします。更新の際は改めて診断を受ける必要はありません。

【以下は他の自治体のものですが、どこも同じような書式です】