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出場逃したアスリートは東京パラをどう見たか
「感動ポルノと違った」出場逃したアスリートは東京パラをどう見たか
9/9(木) 【朝日新聞】
スポーツの奥深さを見る者に感じさせてくれた東京パラリンピック。その舞台にわずか「1センチ」の差でたどり着けなかった選手がいる。2016年リオデジャネイロ大会の陸上男子400メートルリレー銅メダリストで、前回12位に終わった走り幅跳び(上肢障害T47)への出場を目指した芦田創(はじむ)(27)。彼の目に東京大会はどう映ったのか。閉幕の日、記者が話を聞いた。
■あと「1センチ」で逃した出場
――代表選考期間に残した記録は6メートル87。内定の条件となる期間中の世界ランキング6位まで、1センチ足りませんでした。
「パラリンピックに選手として出られなかったことが、やっぱり、めちゃくちゃ悔しくて……。これは一生、悔いとして残るんだろうなと思います」
――自分がいない大会を、どんな気持ちで見ていましたか。
「意外と、客観的に見ることができた。純粋に競技として『面白いな』と思う部分だったり、種目によっては『まだまだ、これからレベルが上がっていくんだろうな』という部分だったり、すごく考えさせられながら向き合ったパラリンピックでした」
――これまでの大会との違いを感じましたか。
「パラアスリートを障害者としてではなく、よりアスリートとして評価する時代になってきたんだなと感じました。メディアの報じ方に、その傾向が表れていた。きっとメディアの方々も、議論を重ね、勉強を重ね、どう報道するか、すごく考えてこられたのでしょう」
■「感動ポルノ」とは違う報道
――パラアスリートとして、その変化をどう思いますか。
「純粋なスポーツ報道になっていて、感動を誘う題材として障害者を描く『感動ポルノ』とは全く違った。それはすごいことだなと。パラアスリートがアスリートとして評価されることで、本当の意味で社会って良くなっていくというのが私の意見です」
――競技レベルの高まりが続くパラスポーツには、どんな未来が待っているでしょうか。
「もっとハイパフォーマンスが生まれるスポーツになるためには、ある種のヤジやバッシングが飛ぶくらいでないと。例えば『この障害だったら、もっとやれるんじゃないの?』といった観客の声が出始めたら、本当の意味でスポーツとして確立されるというのが私の感覚。何大会か後のパラリンピックには、そんな世界観が現れると思っています」
――出場を目指した走り幅跳び(上肢障害T47)も、メダルラインは5年前から23センチ伸び、7メートル34になりました。
「正直なところ、出ていても勝負にならなかった。8番(記録は6メートル89)以内には入れたとしても、メダルを狙うには厳しかった。それくらいレベルが上がっています。これから3年後のパリ大会を目指す上で、相当な覚悟を持ってトレーニングに励まないと。競技全体のレベルアップに貢献できる選手になれるよう、頑張るつもりです」(聞き手・松本龍三郎)
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パラリンピックの走り幅跳びは凄いです。両足義足のヌタンド・マラング選手(南アフリカ)は7.17mも跳びました。オリンピックはミルティアディス・テントグルー(ギリシャ)が8.41mですからまだ差はありますが、小学6年生でよく跳んで4m位ですから倍近くを跳んでいく義足のパラ選手はまさに超人です。
パラリンピックの学校観戦については、当初想定した2割も観戦できず大事な教育機会を逃したと思います。オリンピックには見向きもしない小さな子どもでも、手足がない人や目が見えない人が走ったり泳いだりしている姿は注目して見るものです。そして、誰かが障害についてあれこれ説明しなくても、障害のある人が凄い記録を出している姿には多くの子どもが驚き、感動をします。
子どもにとっては、感動ポルノの演出は必要ありません。見たまま、そのままで十分です。ただ、知的障害の競技でのハンディーキャップは分かりにくいかも知れません。それでもダウン症の人が楽しそうに踊っている閉会式はきっと伝わるものがあると思います。そして、こうした取り組みが4年に一度ではなく日常的に積み重ねていけるなら、芦田選手のいう「もっと頑張れ!」という檄が飛ぶパラの世界がやってくるのだろうと思います。
ラグビーの聖地「花園」で育む東京パラのレガシー
ラグビーの聖地「花園」で育む東京パラのレガシー
2021/9/10 【産経WEST】
障害者アスリートたちが無限の可能性を世界中に発信した東京パラリンピック。東京五輪からのテーマである多様性を認め合う社会の実現へ、いち早く取り組んでいるのがラグビーの聖地「花園」で知られる大阪府東大阪市だ。国内初の車いす専用の屋外スポーツ施設が今年2月、花園ラグビー場の隣にオープン。障害者と健常者がともに同じコートで汗を流す。五輪・パラの熱狂を一時のものに終わらせず、レガシー(遺産)として未来へつなぐ。
「(車いすを)こいで! こいで!」
「ナイスキャッチ!」
東京五輪開幕翌日の7月24日。ラグビー場のある花園中央公園内の「市立ウィルチェアスポーツコート」で、車いすソフトボールの体験会が開かれた。同地で合宿中の車いすソフトボール日本代表が企画し、健常者も参加。車いすに乗ってボールを追う姿に、選手から檄(げき)とエールが飛んだ。
ウィルチェアは、車いすの英訳。コートには「ハ」の字形の車輪が付いた競技用車いすが22台備えられ、誰でも使える。
「障害者の方だけが集い、使う施設では時代に合わないのではないか、という考えがありました」。コートの整備に携わった東大阪市都市魅力産業スポーツ部長の栗橋秀樹さん(59)は施設の意義をこう語った。
栗橋さんによると、コートの完成まで東大阪市は2つの「宿題」を抱えていたという。
1つは、約1・5キロ南東にあった「ウィルチェアースポーツ広場」。市内に拠点を置く車いすソフトボールチーム「関西アンバランス」から練習場所の確保が難しいとの相談を受け、平成29年に開設された。
スポーツ広場といっても、大阪広域水道企業団ポンプ場の駐車場の空きスペース。水道施設内で、障害者が使える多目的トイレは新設できない。近くのコンビニが協力に応じてくれたが、栗橋さんは「選手たちも気を使い、トイレを借りるときは買い物をしていくようなこともあった」と明かす。練習はできたが、トイレはネックだった。
もう1つの宿題が「聖地・花園」のあり方だ。2019年のラグビーW杯の会場に選ばれた際、会場の整備費用の協力を求めて企業回りをする中で、栗橋さんは義肢メーカーの社長からこう問われた。
「聖地という言葉の意味は分かっていますか」
栗橋さんは「恥ずかしい話、衝撃を受けました。車いすラグビーもあるわけです。市長とも、誰でもスポーツを楽しめる場所にしなければという話になった」。日本に前例のない、車いすスポーツ専用のコート造りが動き出した。
花園に障害者用施設を造るのではなく、障害者も使える花園に-。その思いを、関西アンバランスのメンバーで日本代表の赤井正尚さん(46)は、コートのすぐ横に造られた駐車場から感じた。
「花園のような大きな施設は広い駐車場も多いが、車いすを使う人にとっては試合や練習会場まで荷物を運ぶのに苦労するんです」と話し、駐車場の場所まで配慮された点を評価する。
赤井さんは「スポーツでは障害者と健常者で注目度の差がある」と指摘し、「身近に障害者スポーツを見る機会はなかなかない。花園でやっているといえばみんな場所が分かるし、障害者スポーツを見てもらえるかもしれない。花園にあるというのがいいんです」
7月24日の車いすソフトボールの体験会には、足を止めて様子をながめる散歩やジョギング中の人がいた。障害者スポーツが日常の景色に溶け込む姿に、栗橋さんは「スポーツはみんな好きですから」と笑顔を見せ、「車いすソフトの日本一を決める大会をここでやれたらいいですね」と語った。(渡部圭介)
※東大阪市立ウィルチェアスポーツコート
2月にオープンした広さ約4500平方メートルの競技場で、多目的トイレと電動ベッドもある救護棟が設けられた。テニスコートなどで使われるものと同じ素材を使用し、地面からの反射熱を和らげるための塗装が施されている。車いすソフトボールのほか、パラリンピック種目のラグビーやバスケットボール、ボッチャなどのラインが引いてあるが、テニスなど健常者の利用も可能。1時間千円。
※車いす=wheelchair=ウィルチェア 車輪=wheel ホイールは日本語発音
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スポーツ苦手な子どもが心置きなく使えるコートも欲しいです。発達障害の子どもの場合、発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder =DCD)といって不器用な子が多くて、学校でも地域でもスポーツの楽しさを味わう事ができません。上手な子の中に入っていてもパスも回ってこないし、お地蔵さん状態でいても何も楽しくないので、「スポーツ嫌い!」な子はとても多いです。上手な子にしてみれば、敵味方間違えてパスしたりする子にはゲームがしらけるのでパスを回しません。そういうことで、ただでさえ少ないゲームコートから障害のある子は追い出されてしまいます。
もっとたくさんコートがあれば、下手な人でもスポーツが楽しめるのにと思います。有料道路や鉄道の高架下にはたくさんの空き地があります。所有権は各会社にありますが、自治体は管理することを条件に無料で借りる事ができます。ところが、コロナ禍ではせっかく障害者用トイレまで作った公園でも、感染予防に責任が持てないと閉鎖してしまうのです。高架下に発達障害の子どもが遠慮なく使えるスポーツコートが欲しいです。ついでに、発達障害のある子にスポーツの楽しさを教えてくれる、様々なスポーツコーチも地域で養成してほしいと思います。
例えば、高架下の障害者用のコートとトイレ、駐車場(車いすが使える仕様)は行政が作るが、その管理はNPO団体等を作って、利用団体が管理費を出し合う形で任せるなどやり方は色々あると思うのです。ぺんぺん草が生え、フェンスで囲まれた高架下空き地を、指をくわえて見ているスポーツ愛好家や子どもの支援者は少なくないと思います。障害のある人もない人もスポーツが楽しめるように、高架下の空き地全面有効利用の政策を掲げて立候補する政治家が出てこないものでしょうか。
障害児手当 地域差なくし公平な運用を図れ
障害児手当 地域差なくし公平な運用を図れ
2021年9月14日(火)【愛媛新聞】
20歳未満の障害児のいる家庭に支給される国の「特別児童扶養手当」で、人口当たりの支給対象児童数や申請件数に自治体間で最大約5倍もの差があることが分かった。
国の制度であるにもかかわらず、住んでいる地域によって支給状況が異なることは不公平と言わざるを得ない。申請基準が曖昧な上、判定医の裁量で可否が左右されることが指摘されている。長年自治体任せにしてきた国の責任は重い。早急に現状を把握し、基準の明確化や判定方法の見直しなど制度の適正な運用を図らねばならない。
手当は障害児を育てる経済的な負担を補うことを目的とし、保護者の申請に基づいて都道府県と政令指定都市の判定医が審査する。2021年度の支給額は1級で月5万2500円、2級で3万4970円。全国で約24万人が受給している。
厚生労働省の19年度統計データを共同通信が分析したところ1万人当たりの対象児童は全国平均で121人。最も多い沖縄県の269人と、53人と最少の東京都で5・1倍の差。申請件数でも1万人当たり40件の大阪市と8件の東京都で5倍の開きがあった。愛媛県は対象児童152人、申請件数18件だった。
特に問題なのが障害が軽度の場合だ。申請を受け付けるかどうか自治体によって線引きが異なる。
知的障害の療育手帳で最も軽い第4段階の児童について、東京都は支給対象の目安に含めていない。そのため申請すらできない状態だ。一方、沖縄県は第4段階でも対象外とはしておらず、実際に支給されている例もあるという。所得制限があるため一概に比較はできないが、対象児童数や申請件数の少ない自治体では多くの軽度障害児が門前払いされているとみられる。
申請しても「障害が基準より軽い」として却下される件数も増加傾向にあり、10年前の3倍近くに上る。発達障害の認知度が高まり申請件数が増えていることが背景にあるものの、却下率に自治体間で大きな差が出ていることは見過ごせない。
そもそも国の基準自体が曖昧だ。例えば自閉症など発達障害の2級は「社会性やコミュニケーション能力が乏しく、不適応な行動が見られるため、日常生活への適応に援助が必要」と示すだけである。
各自治体では診断書などの書類を見て支給の可否や等級を審査するが、判定医1人が担うため個人差が出るのは否定できまい。検査数値や外形で分かりやすい身体障害に比べ、発達・知的障害は判断が難しいはずだ。専門医や生活状況を知る福祉職らを加えて複数で審査するなど判定方法の見直しを求めたい。
共生社会がうたわれる中、どこに住んでいても障害児の子育てを安心してできる環境が欠かせない。対象児童を取りこぼすことのないよう制度を整え、自治体や関係機関に周知を徹底することは国の責務である。
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障害児手当、不支給が大幅増 10年で3倍近く、6割却下も
8/29(日) 【共同通信】
障害児のいる家庭に支給される国の「特別児童扶養手当」で、自治体に申請しても「障害が基準より軽い」として却下される件数が2019年度までの10年間で3倍近く増えていたことが29日、国の統計データから分かった。
申請の6割超を却下している自治体もあった。自治体の判定医の審査が厳しくなっている可能性がある。審査基準が曖昧で、判定医の個人差で左右されかねないとして、障害者団体からは基準の明確化や審査方法の見直しを求める声が上がっている。
厚生労働省の統計「福祉行政報告例」によると、09年度の却下件数は1410件だったが、19年度は3950件と2.8倍に増加した。
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これまで、親のしつけや家庭環境が原因とされていた子どもが、そうではなく生まれつきの発達障害が原因と発達障害支援法に認められて15年が経過しています。新たに障害と認められたのですから、当然、障害者手帳の発行数も特別扶養手当の支給額も膨らんで当たり前です。申請の6割を却下しているとは常識はずれの驚くべき事です。判定医の審査が厳しいとか厳しくないとか言いますが何が基準なのかわかりません。審査と言っても医学診断が基本ですから、5倍も差が出るものはそもそも診断とは言えません。個人的にせよ組織的にせよ基準や根拠のないバイアスが働いて不公平が日常的に生じているという事です。
確かに、どんな症状にもグレーゾーンは存在しますし、実はこのゾーンの人が一番多いとも言えます。だからこそ新しい障害基準ICFは社会参加の状態で支援の内容を考えるべきだと示唆しています。例え障害の程度は軽微でも、自尊感情が低く不登校傾向が見えるなら質的に高度な支援が必要です。障害が比較的重くても、周囲の理解があり意欲的に社会参加ができているなら最低限の支援で良いのです。
社会参加に支障がないのに、親が好んで子どもの障害を認めたいはずがありません。必要だから求めているのです。2級で月額3万4970円、500万円の年収の日給換算をすれば2日程度の賃金です。他の親より月2労働日程多く支援するだけの給付なのに、半分以上の申請を、この子は該当しないと却下する担当者の顔を、一度見てみたいです。
ただ、わかりやすい基準、ガイドラインを明らかにしない政府にも問題はあります。教育・福祉・医療の少なくとも2分野で特別支援や発達障害支援を日常的に受けている事、というような条件提示で2級判定は十分だと思います。診察に付き添ったり、事業所に出向いたり、相談に行けば月2日などあっという間に無くなります。そういう現実を知らない担当医や担当行政官が、勝手な思い込み(主観)で却下しているなら権力の濫用と言われても仕方ないです。
それにしても、京都府の説明は不親切です。同じ京都でも京都市は分かりやすく自閉症の適用を説明し、神奈川県はさらに丁寧です。これも、自治体格差なのです。役人はどんな説明しようが、それも自治体の権限だとはさすがに言わないでしょうが、毎年、ちっとも変わらない分かりにくいパンフを作っている自治体があるとすれば、やる気がないと言われても仕方がありません。
「いじめ自殺」学校配布タブレットの管理は
「いじめ自殺」学校配布タブレットの管理は
9/15(水) 【日テレ】
東京・町田市で小学6年生の女子児童が自殺した問題で、14日も調査が行われましたが、いじめの舞台になったと指摘されているのが、授業で使うため1人1台配布されているタブレットです。その管理の仕方に問題がありました。
小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「去年11月、女子児童は自分の部屋で自殺しました。残された遺書には、いじめの内容と複数の同級生の名前を挙げて、『おもちゃじゃない』と訴えました。何があったのか、わかってきました。児童らは、学校から配布された1人1台のタブレットでチャットを利用していましたが、そこで女子児童について『うざい』『死んで』といった悪口が書き込まれていました」
「今回明らかになったのは、そのタブレットのアカウント管理がずさんだったということです。ログインするのにIDとパスワードが必要ですが、IDは出席番号を基本としたものでした。パスワードは全員が同じ『123456789』にしていた期間がありました。自殺があった当時含めて1年間、そうだった可能性があります」
日本テレビ・佐藤梨那アナウンサー
「出席番号は、同じクラスならみんなすぐにわかりますよね」
小野解説委員
「それにパスワードは、先ほどの数字を入れればいいので、他の人になりすましてログインができるということです。文科省は、IDは個々のものを作ってなりすましができないように、と指針を出していましたが、この学校の対応は不適切だったと言わざるを得ません」
「その結果どういう状況が生まれたかといいますと、例えば2人の児童の間で、チャット上で『○○がうざい』とやりとりしたとしても、この2人のIDとパスワードは誰でもわかるわけですから、事実上、クラスの誰でも見られる状態でした。悪口を言われた本人も、このやりとりを見られるわけです。学校でも家でもアクセスできる限り、悪口を目にし続けることになります」
佐藤アナウンサー
「いま、タブレットを使って授業を行っている学校も、多いと思います」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「学習のために特化したタブレットであれば、個人情報をその中に保存するわけではないので、パスワードが共通でも、運用上はそんなに問題ないのではと思います。なりすましについては、端末のIDは残るので、追跡はできるはずだと思います。これはデバイスや管理の問題というよりは、デジタル、非デジタル関係なく、いじめがオンライン上で行われても、フィジカルで行われても『先生に言うように』など、いじめを把握して対策する声掛けというのが必要だったことなのではないかと思います」
佐藤アナウンサー
「萩生田文部科学大臣は14日、『端末の管理などについて、さらにどのような対応をすべきか検討する』と話しています」
9月14日放送『news zero』より。
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タブレットの管理が悪くていじめが起こったわけではないという落合教授のコメントは正しいです。事件は、自殺した6年女子がいじめに関与している子のIDでログインし、自分を卑下するチャットのやりとり内容を知って自殺したと言うものです。他者IDでなりすましログインができなければ自殺を防げたかどうかはわかりませんが、落合教授が言うようにデジタル(ネット空間)でもフィジカル(現実空間)でもいじめは起こるのですから、その学校のいじめ防止対策や人権教育はなされていたのか、4年生から起こっていたいじめについて、担任は真摯に受け止めて対処したのかという事にメディアは注目して報道すべきです。
少なくともIDやパスワード管理の問題ではないという観点を記者が持てば、真正面からいじめの原因の取材ができるはずです。町田市教委が昨年11月の事件を未だに調査中だという事にピントを合わせるべきです。そして、子どもが一人亡くなった事件から1年近くたっても結論も出せない事態を町田市長はどう考えているのか、メディアはインタビューすらしていないのです。
最近のメディアの事件の取り上げ方はピントがずれていることが少なくありません。パラリンピックの学校連携問題も、オリンピックの総括で感染拡大と人流とは全く関係がないと結論されているのに、パラ観戦での教育的効果や子どもの感想やエピソードの取材よりも、どこの学校が感染を恐れて断ってきたかという記事に終始し、子どもの障害理解やスポーツ理解とはほど遠い、感染恐怖を煽るだけの記事を垂れ流し続けました。
今回の話も、いじめをどうやって防止するのかという話ではなく、目新しい学校タブレット配布に便乗して、その設定がいかにずさんであるかと言うところにフォーカスして、いじめの解決とはピントのズレたところでの不安感を視聴者に抱かせてしまいます。子どもがいじめで1名亡くなっているのですから、いじめの解明にむけた報道は、殆どが無症状の子どものコロナ感染報道よりもはるかに重要なはずです。
ただ、小学生の保護者が、あえていじめの問題を社会的に注目させるために、そして、配布を推進した文科省や政治家トップに注目してもらうためにICT教育を問題にしたなら話は別です。保護者がいじめ調査を要請しても学校も市教委も取り合おうとしなかった結果の知恵だとすれば、それは許される行為だと思います。
女子のスラックス制服、県立高で4校のみ…「防寒・ジェンダー平等」
女子のスラックス制服、県立高で4校のみ…「防寒・ジェンダー平等」から検討は広がる
9/15(水) 【読売新聞】
青森県内の県立高校(全日制)55校のうち、性別を問わずスラックスの制服を選べる学校が4校にとどまることが、読売新聞のアンケート調査でわかった。ただ、スラックスの制服の導入を検討している学校も6校あり、防寒性や機能面、多様な性へのあり方から制服選択制を進める動きが徐々に広がりつつある。(八巻朱音)
調査は、5~6月に全55校を対象に実施し、50校から回答を得た。
女子用スラックスの制服を導入している4校は、弘前高、弘前南高、三本木農業恵拓高、五所川原工科高だった。
導入を検討している6校は、八戸東高、七戸高など。検討の理由(自由回答)を尋ねたところ、「防寒の観点から必要」「性的少数者への配慮」「ジェンダー平等の観点から、制服を見直す必要性があると判断した」などを挙げた。
一方、現時点でスラックスの制服がない学校に理由(複数回答可)を問うと、「生徒から要望がない」(27校)、「閉校などで既存の制服がなくなる可能性がある」(11校)などだった。
今年4月、上北地区3校を統合して十和田市に新設された三本木農業恵拓高は、開校を機に、防寒や機能性の点から制服を新調した。新設校のため在籍は1年生だけだが、女子生徒の約1割の11人がスラックスを購入したという。
スカートとスラックスの両方を持っているという動物科学科の女子生徒は「スラックスは寒い時期に暖かく着られる。気分や気候に合わせ、はき分けている」と話す。植物科学科の女子生徒も「女だからスカート、男だからスラックスと決められていないので、着たい方を着て自分を表現できる」と喜ぶ。
七戸高は、ユニセックスの制服の導入を視野に、生徒指導保健部の教員らが制服の選択制を検討中だ。森田勝博校長は「生徒から要望があったわけではないが、スカートをはきたくない生徒も少なからずいるのではないか。着たい制服を選べることで学校生活を気持ちよく送ってほしい」と理由を語る。
弘前大の山下梓助教(国際人権法)の話「自分にとって着心地のよい制服を選べることは、自分自身をどう表現したいのかを考える姿勢を育むことにもつながる。教諭に評価される側の生徒が要望を控えることは十分に考えられるため、相談しやすいルートが整っているかを改めて見直す必要がある」
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話がややこしくなるので、防寒の制服の意義についてはおいておくとして、ユニセックスの制服があればトランスジェンダーの生徒の違和感や差別問題は解決するのかどうか全く不明です。みんな一緒の服にすることは、違いを認める事にはならないからです。むしろ、そこまでして学校の制服を着る意味があるのか訳が分からなくなってきます。性差のない衣服を着る事が、多様性を認める社会ではないと思います。
確かに、男子用・女子用どちらの服を選んでもいいというのは合点がいきます。女子の制服を着たい人や男子の制服が着たい人は生物学的な性と関係なく着られると言うのは良い方針だと思います。ユニセックス制服とは意味が全然違います。しかし、個々の生徒の嗜好性によって制服の枠組みを崩していくなら、制服など廃止すればいいと言う結論に行きつきます。
制服などやめて、標準服として提示して別に私服でも構わないというのが自然です。標準服は、中高生で格式ばったところに着ていく服を買うのはもったいないというニーズや、中高生になったという帰属意識を制服に求める親や子のニーズにこたえるものです。そんなものは着たくないと言う人もいていいよというのが標準服制度です。
制服と言うからには入学と引き換えの義務と言う枠組が残ります。ジェンダーレスだダイバーシティだと理屈を並べてユニセックス制服を作って様式だけを変えても、制服の枠組は残すというのなら、これはエセ多様性と言われても仕方ないです。信念もなく流行に流されるような中途半端なことはしないほうがマシだと思います。