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「昆虫採集」「絵日記」「自由研究」は“昭和”で終わり?! 

「昆虫採集」「絵日記」「自由研究」は「昭和」で終わり?! 令和の子どもたちの夏の宿題について調べてみた

8/10(火) 【FNNプライムオンライン】

今年はコロナの影響で学校や家庭のイベントが中止となり、寂しい夏休みを過ごしている子どもたちが多いのではないか。さらに様々な宿題が出されて、夏休み終盤に入るいま子どもたちは気が重くなっているはず。では最近の夏休みの宿題事情はどうなっているのか?取材を通じて見えてきたのは、子どもたちのいまだった。

「昆虫採集は昭和です」と爆笑される
まず文部科学省に最近の夏休みの宿題の傾向を聞いてみると、担当者は「各学校の判断なので把握していない」と調査もデータ集めもしていなかった。

そこでよく取材をしている埼玉県戸田市の戸ヶ﨑勤教育長に「最近昆虫採集とかやっているんですかね?」と聞いたら「鈴木さん、それ昭和ですよ」と爆笑された。
そして戸ヶ﨑さんは「最近戸田市の児童は、通常授業で行っているPBL(※)を夏休み中に深めてオンライン提出していますね」と語った。
(※)Project Based Learningという課題解決型学習

そこで戸田市立戸田東小学校の小高美恵子校長にいまどきの宿題事情について聞いてみると、「戸田市を取材していまの日本のスタンダードだと認識されるとたぶん違うと思います」という答えが返ってきた。戸田市では小学校3年生以上は端末の持ち帰りが可能で(各家庭のWi-Fi環境整備も支援)、それを前提にした宿題が出されているという。

宿題は端末でデジタル活用が当たり前
「たとえば昔は漢字や計算の基礎ドリルを全児童一律に反復練習していました。しかしいまはそれぞれの児童が端末に装備されたドリルで、自分の不得意なところや伸ばしたいところを自主的にやるようにしています。先生はその履歴を見るというかたちですね」(小高校長)
GIGAスクールの普及によって今後端末を活用した宿題は、全国でスタンダードとなっていくことが期待される。

では絵日記はいまどうなっているのか聞いてみる。
「昔はほぼ毎日描きましたね。しかしいまは多様な家庭があるので、夏休み中に1,2枚程度しか描かないですよね。しかも絵日記を紙で提出するのは低学年だけで、上の学年になると日記というかたちではなく、夏休みの自分の生活を絵や写真も編集してプレゼンテーションするという感じですね。デジタルを使うのは当たり前になっています」

子どもたちが”自由研究”をオンライン会議
さらに筆者は「読書感想文や図画コンクールといった夏休みの定番はどうなっています?」と聞いた。
「学校から一応案内して『やりたいならやっていいよ』くらいの感じです。昔は自由研究がありましたが、戸田市では5,6年生になるとPBLの授業で行っている身近な課題解決について、夏休みはその調査やデータ収集を行いますね。今年は緊急事態宣言で子どもが集まって話し合うことがなかなかできないので、オンライン会議をやっているようです」

そして小高校長は「今年はコロナの影響で、音楽の授業で吹奏楽器や歌うことができなかった」と続けた。
「なので夏休みは家で歌ったり演奏するのを動画に撮ってそれをオンラインで提出することもします。家庭科の調理実習もいま学校内で制限されているので、家庭で調理したのを動画に撮ってプレゼンテーションすることもやりますね」

端末持ち帰り禁止の自治体は昔ながらの宿題を
また都内八王子市立浅川小学校の清水弘美校長はこう語る。
「1人1台端末になったので、大抵どの学校でもオンラインの宿題はあります。しかしWi-Fiの無い家庭もありますから、すべてオンラインでとはなりませんね。八王子市は児童が端末を持ち帰るのはOKですが、近隣の市では持ち帰らせないところもあって、そうすると夏休みの間端末を全く使わないことになりますね。そういうところは昔ながらの宿題を出しているようです」

では夏休みの定番の宿題について清水校長に聞いてみた。
「夏の宿題本があって中に様々な教科が入っています。また東京都が作ったドリルがタブレットに装備されていて、それを宿題に出している学校が多いようです。オンラインによる宿題提出はありませんが、記録=ログが残るので先生も各児童の進み具合がわかります。読書感想文はあります。小学校3年生までは植物観察がありますが、昔は絵を描いていましたけど最近はタブレットで写真撮影です。昆虫採集は昭和でほぼ終わりましたね」

夏のプール遊びは熱中症予防で無し
夏休みの宿題にはいまの子どもたちを取り囲む複雑な事情も反映される。
「絵日記の提出はなくなりましたね。タブレットで一行日記を書かせますが、子どもによって体験格差がはっきり出てしまうので毎日は書きません。日記については『海や山に行かなくてもいいんだよ。おうちでお母さんとホットケーキを作りましたとか、掃除をしましたとかでいいんだよ』と必ず指導します。学習塾の夏期講習に行く子どもが多い地域では、学校が夏の宿題を減らしていますね」(清水校長)

そしてかつて子どもたちの夏の楽しみと言えば、プール遊びだった。しかし「いまはプールがない」と清水校長は言う。
「いまは夏のプールもないんですよ。プールの水温が30度を超えてしまうので、泳いでいる間に熱中症になる危険性があるからです。プールは1学期で終わりです。朝のラジオ体操も緊急事態宣言になっているので中止です。だから子供たちはクーラーの効いた部屋でゲームをするしかないですね。子どもが昔のように麦わら帽子を被って走り回るのは、いま夏では無理です」

夏休みの宿題にはまさに子どもたちのいまが見えてくるのだ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】

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利用者の子どもたちに聞いてみると、学校で配布されたタブレットを夏休みに持ち帰った子どもは一人もいませんでした。「ACアダプターがない」「家庭にWIFI環境のない子どもがいる」「紛失や破損の管理ができない」「セキュリティーが不十分」「使用限度を親が管理できない子がいる」どんなことでもできない理由はあげればきりがありません。工夫しなければ新しいことはできないことばかりですから、結局やる気がないという事です。

記事を読んでいると、タブレット持ち帰りの学校の子どもと、持ち帰らない学校の子どもとでは、ひと夏でICTスキルは大きく水があくと思われます。しかし、夏休みの宿題までこんなに違ってしまうとは思いませんでした。筆者にも思い当たる節がありますが、絵日記と言うのは絵の上手な子どもはいいのですが、下手な子は絵を描く課題があるだけで憂鬱なのです。人に見られること以前に、自分の思い通りに描けない絵の下手さに自尊心が傷つくのです。これが写真や動画になれば、やる気が出る子どももいると思います。

先生たちが、タブレットアプリの使用ログで子どもたちの学習の様子を掴むと言うのも、働き方改革には大きな意味があります。筆者にも経験がありますが、提出された夏休みの宿題を2学期初めに目を通すだけでも膨大な時間が必要になります。「良くできました」ハンコのインクがなくなるくらいあるのです。デジタルログならどこまでやったか何が間違いやすいか一目瞭然です。

昆虫採集やプール指導が熱中症予防のために無くなったとは初耳です。乙訓地域では聞いたことがないのですが、こんな事になっていたとは知りませんでした。朝のラジオ体操が無くなったのは、感染症に関係なく共働きが増えお世話する人がいなくなったからと聞きますが、近所の高齢の方は夏だろうが冬だろうが早朝に公園に集まってラジオ体操しているので、これに合流すれば自然に多様性社会が見通せるのでもったいないなぁと思ったりもします。

プールで熱中症になるのは水温が上がるからと言いますが、使用中くらいはろ過した循環水でなく「水道水かけ流し」にすれば少しはましかと思います。それでも水温と気温を合わせて65度を超えると危険域ですから、40度に迫る最高気温では25度以下のプール水が必要なので昼間は不可能です。また、乙訓地域でのプールは雷注意報で例年3割程度が中止になると言います。気候変動時代には室内プールへ移行すべきなのかもしれません。ただ、すてっぷの子どもたちは、毎日川に行って遊んでいます。こんな姿は、もう昭和だという事ですが、できる限り川遊びに取り組んでいこうと思います。

「子供を守る」教育・福祉・心理 専門職スクラム

「子供を守る」教育・福祉・心理 専門職スクラム

2021/8/12 【産経WEST】

虐待、貧困、不登校、発達障害・・・。子供たちの抱える困難は近年、さまざまな要因が複雑に絡み合うようになった。心理的アプローチや福祉的支援を要する場合、教員だけで対応するのは難しい。文部科学省は、教員と教員以外の専門職が連携し、学校を中心に一つの「チーム」として子供たちをサポートするよう求めている。

「最近は家にお金がなく、友達の家で夜ご飯を食べさせてもらうこともあると話していました」

7月上旬の午後、大阪市立中学校の会議室。校長、教頭、養護教諭、学年主任に加え、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)ら専門職が額を合わせ、問題を抱える生徒7人の支援策を考えていた。

1人の生徒はひとり親家庭で、母親が定職に就かず家にもほとんどいない。「体重は?」。SCが尋ねると養護教諭が「ぎりぎり標準の範囲。これを証拠に虐待の通告はできない」と険しい表情を浮かべた。学年主任教諭は「給食をよく食べますからね…」。

緊急の課題は夏休みになれば給食がなくなり、生徒が命の危険にさらされかねないことだ。食事の支援をしている地域のNPO法人を紹介することをSSWが提案し、当面の解決策とすることになった。

家族から暴力を受けている可能性がありながら、教員がかかわることを言外に拒む生徒もいる。別の生徒は、自らを傷つけるリストカットを繰り返しており、専門職らは精神科の治療が必要だと考えているが、保護者の関心は低い。

生徒を守り支えるために何ができるか、会議ではそれぞれの立場から意見を出し合う。一つのチームとして最善の策を考える。

国の方針として
大阪市は昨年度から、各学校に対しこうした会議を定期的に開き、支援策を講じるよう要請している。

教員は学校での子供の様子や保護者の対応を説明。SCは子供の言動から心理状態を解説し、教員に対応の仕方をアドバイスする。SSWは貧困などの課題を抱える家庭について、行政やNPO法人などの福祉サービスを提案する。メンバーそれぞれの専門的な知見から、迅速かつ効果的なサポートを行うのが狙いだ。

こうした連携は国全体の方針でもある。文部科学省は平成26年、複雑化する子供たちの課題に対応するため、専門職が参画する「チームとしての学校」をどう実現すればよいかを中教審に諮問。翌年の答申を受け、29年には学校教育法施行規則を改正した。学校でのSCとSSWの役割について、児童生徒の「心理、福祉に関する支援に従事する」と明記された。

前向きな変化も
冒頭の学校は支援を要する生徒や家庭が多く、月に1回、会議を開いている。すぐに問題が解決する例はほとんどなく、継続的に協議しながら改善を目指す。

たとえば、母親が恋人に経済的に依存し、恋人が変わるたびに生活が困窮したり改善したりする生徒。母親の自立を促したいが、学校側には、保護者の行動を制限したり強制したりする権限はない。ある生徒は、体調を崩しても病院にかかれない。保護者が治療費を払えないためなのか、その確認すら容易ではない。

事態がこれ以上悪化しないよう注意深く見守りながら、状況次第で虐待として児童相談所に通告する。だが、通告を生徒が望まない場合もある。「児童養護施設に入ることになれば生活環境が大きく変わる。『今のままでいい』と考える生徒もいる」と校長は話す。

経済的な困窮も、行政の支援で直ちに解消されるわけではない。会議ではメンバーがこう指摘する場面もあった。「自立支援金を受給しても、おそらく母親の遊びに消えてしまう…」

厳しい家庭環境の中で、前向きな変化を見せる生徒もいる。「登校回数が増えて勉強も頑張っている」「高校進学を話題にしたりと、自分に対して欲が出てきた」。こうした報告に、会議の空気が和らいだ。

「いつも、子供たちが安定した生活を送るためにはどうするのが一番いいかを考えている」と校長。一人一人の生徒が人生をより良く歩んでいくために。「チーム学校」の奮戦は続く。

支援が必要な家庭 客観的に判断
大阪市立小中学校に専門職が集まる検討会議は、支援の必要な子供や家庭を学校で発見し、福祉につなげる「こどもサポートネット」事業の一環として行われている。同市の平成28年度の調査で、経済的な困窮などで市の福祉サービスの対象なのに、支援を受けていない家庭が少なくないことが判明。解決策として「学校との連携が必要」(担当者)と判断した。

教員の経験値によらず客観的に判断するため、遅刻数や欠席数▽虫歯の状況▽身だしなみ▽発育状況-など、20以上のチェック項目で課題を点数化する「スクリーニングシート」を作成。点数が高い児童生徒は必ず会議にかけるよう要請している。

会議で支援計画を作り、民生委員や精神保健福祉士らから採用する「こどもサポート推進員」が各家庭を訪問する。地域のNPO法人などにも積極的につなげ、地域全体で家庭を支えることが特徴だ。

一体的な連携で担任サポートを 梶田叡一氏
学校に通う子供の不安や悩みの原因は、学業不振や友人関係だけではない。年齢が低いほど親との関係や家庭の状況が子供の心理に影響する。ひとり親で経済的に困窮していたり、外国籍で母語が日本語ではなかったりする家庭は昔より増えた。保護者の子供への関わりが薄くなれば、愛着に問題が生じて子供が不安定になるケースもある。

苦しんでいる子供がいれば、担任教諭は本人にさりげなく話しかけたり、保護者と接触を図ったりして問題を分析し、解決しようと奔走するだろう。だが、生活環境の改善方法の提案や、子供の心理面のフォローまですべて担任が担うことは難しい。専門的な人材が学校に加わり、チームとして取り組む必要がある。

専門職をそろえてチームの形を整えても、うまく連携するのは簡単ではない。大前提として、専門職が関与することで、担任と子供の関係が希薄になるようなことがあってはならない。専門職は担任をサポートする立場にある。

チームが一体感を持てるようにするのは校長の仕事だ。教諭や専門職とコミュニケーションを取り、掛け算の効果を上げてほしい。専門職を各学校に配置する役割を担う教育委員会には、学校の状況に応じて力量のある人材を重点的に配置するなど、きめ細かな対応が求められる。(藤井沙織)

かじた・えいいち 聖ウルスラ学院(仙台市)理事長。昭和16年生まれ。兵庫教育大、桃山学院教育大などの学長を歴任。平成13~23年に中央教育審議会委員、その後は同臨時委員などとして教育行政に携わった。

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特別支援教育でも、家庭・教育・福祉の連携「トライアングル」プロジェクトと言って連携支援が言われてきました。その課題としては、教育と福祉では、学校と放課後等デイサービス事業所において、お互いの活動内容や課題、担当者の連絡先などが共有されていないため、円滑なコミュニケーションが図れておらず連携できていない。保護者支援に係る主な課題は、乳幼児期、学齢期から社会参加に至るまでの各段階で、必要となる相談窓口が分散しており、保護者は、どこに、どのような相談機関があるのかが分かりにくく、必要な支援を十分に受けられないことが言われてきました。この解決策は前者は連携の場の設定、後者は窓口一本化と言われています。

しかし、言うは易し行うは難しです。障害福祉サービス等報酬改定で拡充した連携加算を活用し、学校との連携を更に推進するとありますが、事業所で連携会議を開催した時は2000円、別の場所で連携する時は1時間以上で2900円で、月4回まで実施できます。ただ、この金額は会議出席の職員が空いたところの人件費補填というわけですが、利用者によっては補填ができません。従って、事業所は子どもの指導時間外に連携をしたいのですが、学校も同じ理由で指導時間外しか会議を設定してくれません。放デイの指導時間は隔日の放課後の2~3時間です。学校も事業所も時間のない中で他の業務を押しのけてまで簡単に会議を実施する気にはなりにくいのです。

連携と簡単に言っても、意見が一致する場合は良いのですが考え方が異なるときは一致させるのは至難の業です。組織が違えばお互いの取組に注文を付けることは越権行為と嫌がられる事もあるので、正しいとわかっていても波風を立ててまで主張するメリットが見えてきこないので、お互いが嫌な気分にならないように忖度し合って形だけの会議にもなりやすいです。

連携が必要なことは以前から現場では分かってはいるのですが、同じ学校の中に専門職を入れても権限が明確でないので、戸惑っている心理士やソーシャルワーカーは少なくありません。ましてや組織を超えた連携は、公平な調整役とその権限を明確にすることが求められます。しかし、学校長や所長を飛び越えた権限を与えることもできず、オラがムラ社会の連携はストレスフルで結局お鉢は自分に回ってくると、ケースにあげることすら躊躇する職員も少なくありません。

この手の制度は性善説で成り立っていますが、一人一人の職員は熱心な方が多くても、制度的にはこれまでの領地主義を前提にしたものですからどうしても「組織利益」や「同調圧力」を優先しやすいのです。担任に過度な負担がかからないようにし、連携会議で良く見られる「船頭多くして舟山上る」状況などの現場課題を解決するには、どのセクションにも属さない独立した立ち位置でどのセクションにも要請権限を持ち財政的にもオーダーがかけられる相談事業所制度が必要だと思います。

通級指導生徒に自立心(大阪府立高校)

通級指導生徒に自立心

2021/08/17 【読売新聞】

府立高校導入3年、ニーズ高まる府教委は増設検討

発達障害などで生きづらさを感じる生徒が通常学級に在籍しながら必要に応じて別室で指導を受ける通級指導が、高校で導入されてから3年が過ぎた。府内では府立4高校で実施され、今年度は計26人が利用。障害に合わせた指導で生徒の自立をサポートするのが特徴で、年々ニーズが高まっている。(北瀬太一)

「見通しを立てたつもりだったが、時間がない」
大阪市東淀川区の府立柴島高の通級指導教室。大学入試に向けた学習計画を考えていた3年の生徒が悩んでいた。見守っていた担当の建林敬子教諭は「英語の勉強時間を増やそうか」などと優しくアドバイスした。

生徒は、計画を立てて実行したり、コミュニケーションを取ったりするのが苦手。昨年から通級指導を受け、計画的な行動を身に付ける目的で調理実習を行ったり、周囲になじめるように友達の輪に加わるロールプレイングを体験したりしている。「先生からアドバイスを受けながら、予定を立てて行動するなど事前の対策に努めてきたので、色んなことに前向きに取り組めるようになった」と手応えを語る。

柴島高では現在、2、3年生5人が週2~4時間利用している。学校生活の状況から支援の必要性を見極めるほか、保護者や本人の意向を踏まえ、対応する。建林教諭は「高校は生徒に支援が行き届く最後のとりで。卒業後に苦労しないよう、知識やスキルを身に付ける後押しをしたい」と気を引き締める。

通級指導は1993年度から小中学校で始まったが、高校については「義務教育ではない」などの理由で見送られてきた。しかし、通常学級に適応できず不登校や退学に至る例があり、文部科学省が2018年度に導入した。

府内では18年度に柴島高など2校で始まり、19年度から4校となった。利用する生徒は18年度の6人から20人増。一方、文科省の調査によると、受けられなかった生徒が19年度に224人いたという。

府教委の山崎彩首席指導主事は「通級指導が必要だという現場の意識は高まっているが、予算の制約もあって高校での受け皿を十分に作れていない。教員の専門性を高めつつ、導入する学校を増やせないか検討していきたい」と話している。

<通級指導> 発達障害や言語障害などのある児童・生徒が通常学級に通いながら、障害に応じた特別な指導を別室で受ける制度。高校では授業の一環として位置付けられ、卒業に必要な単位となる。文部科学省によると、全国で通級指導を利用した高校生は2019年度1006人。

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京都府立高校での通級指導は、清明高校と清新高校だけです。2007年度から特別支援教育に関する文部科学省委嘱・委託事業が、朱雀高校、城陽高校、網野高校、田辺高校と引き継がれて10年以上委託事業が展開され、通級指導に取り組んだ学校もありましたが現在は行われていません。

京都府では、教育相談活動が活発に行われていたためか、特別支援教育は教育困難校の保健室や保健部を中心に進められてきた経過があります。その結果、不登校や怠学、神経症的行動や問題行動という、職員の目に見える学校生活上の困難に対応するのが特別支援教育と勘違いされてきた経過があります。それならば、わざわざ通級指導などしなくても伝統的な教育相談活動や進路指導で事足りるという誤解が生じたと考えられます。

もちろん、特別支援教育に関する研究事業の結果、全生徒にソーシャルスキルトーニングに取組んだり、授業のユニバーサルデザイン化(誰にでも分かる授業づくり)を推進したりキャリア教育に力を入れるなどの成果はありました。しかし、通級指導に求められているものは、個々の生徒に自己の特性に気づかせ、強みを生かして自ら学びを進め、弱いところは支援を求めて良いという考えに基づいて、高校生活を担当者と共に実践していくことなのです。

また、行動の問題や対人関係の問題は目立ちやすいので、比較的支援を得やすいですが、学習の問題は怠学と同じように扱われて自己責任に帰されやすいのです。学習の問題もまた個人の認知特性と学習環境から生じているという考え方は、勉強が得意だった先生方の間ではなかなか定着しません。学習障害が診断された高校生が「英語が皆よりできないのは、皆はもっと時間をかけて勉強していて、自分は努力が足りないと中学からずっと思ってきた」「でも、英語が読めなかったのは僕の努力が足りないせいではないと分かってほっとしました」と笑顔で語ってくれたことを思い出します。

高校の通級指導が、当たり前になるには委員会トップの見識と決断が必要です。そして、成功の秘訣は教育困難校や発達障害に配慮した単位制高校などへの設置だけではなく、偏差値中堅ランクの高校に設置するべきです。そのことで、学習障害や極度の不注意から評価上損をしている高校生や教員の気づき作っていくことができるのではないかと思います。そして、他の授業単位を自立活動の単位に読み替えるのは良いのですが、生徒によっては、通級が週1回(一単位)必要な人もいれば、月1回(四分の一単位)で良い生徒もいるし毎朝10分始業前に必要な生徒もいてそのニーズは多様です。使いやすい通級ならば生徒は利用しようとするので通級担当者が「学習相談・通級」と言うネーミングで実施したり、単位の習得についても柔軟な扱いがもっともっと必要だと思います。

東京パラ 学校観戦 千葉県熊谷知事「授業とリスク変わらず」

東京パラ 学校観戦 千葉県熊谷知事「授業とリスク変わらず」

2021年8月17日 【NHK】

東京パラリンピックが原則として、すべての会場で観客を入れずに開催することが決まったことについて、競技会場のある千葉県の熊谷知事は17日朝、記者団に対して「やむをえないと思う。残念だが、いたしかたない」と述べました。

東京パラリンピックで千葉市の幕張メッセでは4つの競技が開催される予定です。
原則、無観客での開催が決まったことについて熊谷知事は17日朝、記者団に対し「やむをえないと思う。会場を満員にしようと何年もかけて取り組んできた身とすれば大変残念だが、いたしかたない」と述べました。

また、安全対策を講じたうえで実施することになった、学校観戦チケットによる子どもたちの観戦については「しっかり評価する。世界中のパラアスリートのプレーを通して、パラリンピックの意義を子どもたちが受け取り、共生社会を実現してくれると信じている」としたうえで「各学校の実情を踏まえて各自治体が判断していくが、県としてもできるかぎりサポートしていきたい」と述べました。

また、感染対策の徹底呼びかけと矛盾しないかという質問に対しては「私たちは家から出るな、学校に来るなとは言っていないので、矛盾していない。バスで教員の引率で移動するので、学校で授業を受けることと基本的にリスクは変わらず、科学的根拠にもとづいて判断していくことが必要だ」と述べました。

千葉県では約230校が観戦を希望
東京パラリンピックで4つの競技が開催される千葉県では17日、現在で公立と私立の小・中・高校など合わせておよそ230校が観戦を希望していて、およそ3万5000枚のチケットが配布される予定です。
配布される枚数は教職員のものも含めて、千葉市で2万8409枚、我孫子市で1389枚、成田市で513枚など8つの市と町の207校で3万1436枚となっています。
このほか、私立が12校で2097枚、県立が12校で1867枚となっています。

観戦の対象は今月25日から幕張メッセで行われる4つの競技で、大声を出さない、座席を消毒するなどの感染防止対策を徹底するとしていますが、県によりますと、学校によっては改めて保護者の意向を確認することにしていて、今後希望者は減る可能性があるとしています。
このうち県内のチケットの8割が配布される予定の千葉市では、167のすべての市立学校で今月20日までに改めて意向調査を行い、希望者が観戦する予定です。

記者団の取材に応じた神谷俊一市長は「高い教育効果が期待でき、一生の財産として心に残る機会にしてもらうため実施を決めた。批判はあると思うが学校から市内の会場まで貸し切りバスで直行直帰するため、通常の学校での教育活動と感染リスクは変わらない。無観客で行われることで、会場内での密も避けることができる」と前向きな考えを示しました。

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パラの学校観戦現場の判断任せでは困る

2021/8/18【毎日新聞】

24日に開幕する東京パラリンピックについて、政府や大会組織委員会などが原則無観客にすると決めた。「学校連携観戦プログラム」は予定通り実施する。新型コロナウイルスの感染が急拡大し、競技会場のある東京など4都県すべてに緊急事態宣言が発令される中での開催となる。無観客にしたのは妥当だ。

学校単位で子どもたちを会場に招くプログラムを維持するのは、パラ競技の観戦に教育的意義があるからだという。選手が自らの限界に挑む姿は、多くの子どもに感動や勇気を与えるだろう。

各校は5年前から、障害者への理解を深める教育に取り組んできた。観戦はその集大成ともなる。ただし、感染防止にも配慮し、対象は会場の近隣の学校にとどめ、参加するかどうかは自治体や学校の判断に任せた。

これに対し、学校などからは戸惑いの声が聞かれる。
参加の是非を決めるには、教育効果だけでなく、感染リスクがどの程度あるのか、どのような対策が有効なのかの評価が欠かせないからだ。だが、学校側にそうした知見は乏しい。

集団感染が発生した場合の責任の所在もあいまいだ。保護者の間には不安が根強く、同じ地域で参加と不参加に分かれることになれば子どもたちに不公平感が生じる可能性もある。

組織委の立場について、武藤敏郎事務総長は「学校観戦は希望に基づいて実施するもの。希望があればサポートする用意がある」と述べた。だが、本来は組織委が専門家の意見を踏まえ、宣言下でも安全に実施するための対策を早めに示すべきだった。

開幕まで1週間を切った。責任をもって早急に詳しい対策をまとめる必要がある。感染状況が大きく変われば対応を検討するというが、どういう状況になれば中止するかの基準も公表すべきだ。

五輪では、茨城県が会場を原則無観客とし、学校観戦だけを認めた。各校は貸し切りバスで移動し、会場では十分な間隔を取って座るなど感染防止策を講じた。こうした経験も参考になるだろう。学校観戦を実施するのなら、子どもたちを守る対策を徹底しなければならない。

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「家から出るな、学校に来るなとは言っていない。バスで教員の引率で移動するので、学校で授業を受けることと基本的にリスクは変わらず、科学的根拠にもとづいて判断していくことが必要だ」熊谷知事のコメントは明快でした。「感染対策の徹底呼びかけと矛盾しないか」と質問している記者こそ自分の質問の矛盾に気づいてほしいものです。

知事も言うように、どこにいても感染のリスクはあるのです。その証拠に、感染経路別では家庭や職場が最も感染割合が高く、さらには感染経路不明の事例の方が多くなってきているのですから学校観戦だけをやり玉に挙げているのはおかしな話です。メディアの収入源である甲子園大会やプロ野球観戦には物言わず、批判しても自分に火の粉がかからないオリパラだけをスケープゴートにして観戦中止を煽る報道には、信憑性がなく付き合う必要はないと思います。

「現場に丸投げするな」というだけで、メディアの無責任な煽り報道には何一つ注文を付けないのでは、建設的な批判とは言えません。保護者の不安は、メディアの煽り報道に原因があり、オリパラ委員会や行政の責任ではありません。あえて批判をするならば、熊谷知事のように事実に基づいて沈着冷静に決断する姿勢がトップに足りないと思います。世間の風評に現場が惑わされずに学校観戦を実現してほしいと思います。

 

タリバンは女性の権利守るのか、アフガンに渦巻く疑心暗鬼

タリバンは女性の権利守るのか、アフガンに渦巻く疑心暗鬼

8月17日【ロイター】

アフガニスタンでイスラム主義組織・タリバンの支配が終わった20年前、同国の女性と少女らは夢のまた夢だった自由を得た。タリバンが再び政権を掌握した今、彼女らはその自由を失わないため懸命に闘おうとしている。

タリバン指導者らは権力掌握の過程と今も、女性と少女は労働と教育の権利を維持するだろう、と強調してきた。しかし、それは「ただし書き」付きだ。

ここ数日、タリバンが国内を進攻して行く混乱の中、既に離職を命じられた女性たちもいる。戦闘員らが何を言おうと現実は異なるかもしれない、とおびえている女性もいる。

しかし、「時代は変わった」と話すのは、アフガンで少女向けの宗教学校を運営するカーディジャさんだ。

「タリバンは、私たちを黙らせることができないことに気付いている。彼らがインターネットを閉鎖すれば、世界は5分もしないうちに、それを知るだろう。彼らは私たちが何者なのか、どんな存在になったのかを受け入れるしかない」と話す。

こうした毅然とした態度が映し出すのは、学校や大学に通えて就職もできる環境で育った、特に都市中心部の新たな世代の女性像だ。

タリバンが最初にアフガンを支配した1996年から2001年にかけて、イスラム法の厳格な解釈によって女性は就労できず、少女は通学を認められていなかった。時として残酷な方法で法が執行されることもあった。

女性は顔を覆わなければならず、あえて外出したいなら男性の親族が付きそうことが義務付けられていた。規則を破った者は辱めを受け、タリバンの宗教警察によって公衆の面前で、むち打ちをされることもあった。

外国の部隊がアフガンからの撤退を計画していることが次第に明らかになった過去2年間、タリバン指導者らは西側諸国に対し、女性はイスラム法に則り、雇用や教育へのアクセスなどで男性と平等な権利を得ると約束してきた。

タリバンは17日、カブール制圧後初めて記者会見を開いた。ザビウラ・ムジャヒド報道担当者は、女性は教育、医療、雇用に関する権利を維持し、イスラム法の枠内で「幸せ」に暮らすだろうと述べた。

メディアで働く女性の権利に関しては、カブールの新政権が導入する法律によって決まると説明した。

アフガンの民間テレビ局・トロでは17日、女性アンカーが生放送でタリバンの報道担当者にインタビューした。

<女性に離職を命令>
アフガンの少女教育を推進する活動家、パシュタナ・デュラニさん(23)は、タリバンの約束に警戒の目を向けている。

デュラニさんは、タリバンが少女の通学を認めると請け合っていることに触れ「有言実行でなければならない。現時点では言ったことを実行していない」と、ロイターの取材に答えた。

「彼らが学校のカリキュラムを制限するなら、私はオンライン図書館にアップロードする本を増やす。インターネットを制限するなら、家庭に本を送る。先生を制限するなら、地下学校を始める。つまり私は、彼らの問題を解決する答えを持っている」とも述べた。

タリバンが女性に政治や政策立案の仕事を許すかどうかが、彼らが約束する権利の平等の真価を問う試金石になる、と言う女性もいる。

2012年にパキスタンの武装勢力に銃撃されて重傷を負い、その後、女子が教育を受ける権利を求める活動を行ってノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんは、アフガンの情勢を深く憂慮していると述べた。

マララさんは、BBCの番組で「女性の権利を訴える活動家を含め、アフガニスタンにいる活動家数人と話す機会があった。この人たちも今後、生活がどうなっていくか分からなくて不安だと話している」と語った。

国連児童基金(ユニセフ)は、タリバン当局者らとの協力について、慎重ながらも楽観的な見方を示した。タリバンが今のところ、女子の教育を支援すると表明していることが一因だ。

ユニセフは今もアフガンの大半の地域に支援を行っており、カンダハルやヘラート、ジャララバードなどタリバンが最近制圧した都市で、新たなタリバン代表者らと最初の会談を持った。

ユニセフのアフガニスタン現地活動責任者、ムスタファ・ベン・メサウド氏は、国連の記者説明会で「われわれは協議を続けている。こうした協議に基づき、かなり楽観的な見解を抱いている」と述べた。

しかし、国連のグテレス事務総長は16日、タリバン支配下での「冷酷な」人権侵害と、女性と少女に対する暴行の増加に警鐘を鳴らした。

タリバンの戦闘員は7月初め、カンダハルにある商業銀行の支店に入って従業員の女性9人に対し、不適切な仕事をしているので立ち去れと命じた。ロイターが先週報じた。戦闘員らは、男性の親族が彼女らと交代することは認めた。(Rupam Jain記者 Lucy Marks記者)

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世界大戦中は中立国として群雄割拠の荒波を乗り越えてきたアフガニスタン王国。ようやく立憲君主制を自国の力で成し遂げようとした矢先に、冷戦中のソ連が手引きした共産主義者のクーデターによって民主国家を流産してしまいます。

それ以降は、大国の利益のために振り回され、暗殺やクーデターの繰り返しで国力は衰弱していくばかりでした。貧困に浸透していくのは宗教と相場が決まっています。ムスリムのジハードは異教者への戦い、つまり「聖戦」の名のもとに、異民族や異国家への武力行使とテロリズムを正当化し、内戦が30年も続きます。

この内戦の中で一時的にタリバーンがカーブルを占領し、アフガニスタン・イスラム首長国を設立します。イスラムの教えに女子の差別や教育の否定はありませんが、追い詰められた原理主義者は、宗教者であろうが共産主義者であろうが過激な差別選別等の反知性主義を統治に利用します。

中国の文化大革命しかりカンボジアのポルポト派の大虐殺しかり、同じ現象です。そして、そんな無茶苦茶が通用するのは国民全体が貧困のために教養が極めて低く文盲率が高い中で生じやすいと言われます。

919NY貿易センタービルを破壊したアルカイーダを匿ったタリバーンは、多国籍軍の報復で一夜にしてカブールを放棄します。西側諸国は民主国家を樹立させようと、米軍によるテロリストの撲滅と経済復興の資本投入を20年間続けました。しかし、米軍が撤退した途端にタリバーンがあっという間に全土を武力制圧してしまいました。民主主義やその国の統治は自国民が自力で困難を乗り越えてしか育たないという証です。

ただ20年前のアフガンと違うのは、SNSの普及とSNSで発信できる国民の教養の向上もありますし、人権弾圧の蛮行は世界中の人々の監視下にあり、隠すことができないことです。ミャンマーも軍部のクーデターに民主主義が流産させられそうですが、一度獲得した教育権や男女同権は暴力で再び奪うことはできません。軍政や宗教独裁、共産党一党支配による全体主義の壁は厚いですが、教育権保障や男女同権の確かな土台の上で、思想信条・表現の自由は少しづつ広がり熟成して、やがて権力交代の臨界点を必ず迎えることを信じています。