2020年9月の記事一覧
調子のいい時こそトレーニングを
調子が悪いと人をたたいたりして、皆が頭を悩ませているT君が、今日は笑顔でとても調子がいいと報告がありました。「絵カード取りゲームも笑顔で取組んでくれます。スタッフの分も取ろうとするのでまぁいいかぁと取らせてあげました」という報告に、「それってルールを教えるという目標からずれていませんか」と指摘がはいります。これは、スタッフあるあるです。
スタッフを困まらせがちな子どもが笑顔でいると、ほっとしてうれしい気持ちになるのは誰もが同じです。でも、調子のいい時だからこそ伝わりやすいことがあるはずです。私たちは、不適切な行動が起こり始めてから、やれ構造化だ視覚支援だ、応用行動分析だ、要求カードだとあれこれ持ち出しますが、調子が悪い時に絵カードなどを使ったトレーニングがでてくるのは本来のあり方ではありません。調子のいい時こそ、視覚支援や構造化の工夫をしてトレーニングに取り組むべきです。
喉元過ぎれば熱さ忘れるトレーニングは大人の都合だけです。それでは子どもは迷惑です。子どものためのトレーニングをお願いします。
好奇心
S君が「勝竜寺の近くに光秀の時代に構築された『空堀』があって感動した」と教えてくれました。興味のない人にしてみればただの窪地ですが、歴史的好奇心があれば壮大な戦国ロマンが想像できるのです。
案内してあげると言うS君は私をとんでもない方向に連れて行きます。しかし、S君の激しい方向音痴などほとんど気にならないほど、この迸るような好奇心に私はいたく感動します。
やっとの思いでたどり着いた残暑の昼下がりの「神足城の空堀」はひっそりとしていました。目を輝かせてよどみなく空堀の説明をするS君の歴史物語を、私は暑さで軽いめまいを感じながらも心地よく聞いていました。
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神足城の空堀見つかる 京都、改修して勝竜寺城に
2014/7/31【日本経済新聞:共同】
戦国大名の細川忠興と妻、玉(ガラシャ)が新婚時代を過ごした京都府長岡京市の勝竜寺城跡で、築城前にあった城の空堀の一部が見つかり、長岡京市埋蔵文化財センターが31日までに、発表した。
空堀は、地域を支配した土豪「神足氏」が拠点とした神足城のものとみられ、センターは「詳しく分かっていなかった神足城の場所を裏付ける貴重な発見」としている。
センターによると、空堀の一部は断面が逆台形で幅約3.8メートル、深さ約1.5メートル。神足城は一辺約50メートルの方形で、周囲に空堀と土塁があったことも判明した。勝竜寺城は、忠興の父・藤孝(幽斎)が1571年に織田信長の命令を受け大改修しており、藤孝はその際、神足城の空堀と土塁を活用して城の防御を強固にしたと考えられる。
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注意喚起行動
Rちゃんは、いたずらばかり。お水の入ったコップをひっくり返す。プリントをやぶる。食べ物を落とす。その行動の原因は自分に注目して欲しいからという注意喚起行動でした。
困った行動の原因が「注意喚起」のときは叱ったり注意をしたりすることは、その子が求める「注目」という要求が満たされたことになるため、あえて反応を返さずに、サラリと流します。ただ、不適切行動をスルーすると、バースト行動と言って、激しいいたずらにエスカレートしていくので、無視は大変危険です。注意を引きたい時は、いたずらではなく相手の名前を呼ぶ、肩をトントンする、カードを手渡すなどの行動に置き換えるのがセオリーです。
それと同時に、お手伝いや大切な役割を担う活動を通して、「ありがとう」「よくできたね」をたくさん伝えます。いたずらではなく、人に喜ばれることで注目される喜びを感じる困った行動は減っていくというのが行動療法の教科書には書いてあります。しかし、言うは易し、行うは難し。大人の冷静さと気長さが求められます。
余暇を探す
Q君は暇な時間が上手に過ごせません。ブロックを組み立てるとかyoutubeを見るとかキャラクターを並べるとかの興味のあることがあまりないので、大人の注目を集めるようないたずらをします。PCの電源を引き抜いたり、ドアから出たり、仲間の作業の邪魔をします。
余暇の過ごし方は、本人の好きなことを保障します。しかし、好きなことが大人の注目を集めることとなると目が離せなくなります。余暇とは余った暇と書きますが実は大変重要な意味を持ちます。自分の楽しみを実現する時間です。もちろん、対戦スポーツなど人を必要とするものもありますが、基本的には一人で楽しめる活動がないと自立が困難となります。
Q君はロゴや文字などの書写の能力がありそうなので、レタリングやカラーリングの作業が好きにならないだろうかなどと話しています。考えてみれば、本来、余暇の内容は本人が決めるもので、他人が余暇の内容を考えてあげるというのも不思議な感じですが、人がいなくても一人で過ごせるというのは思春期以降の大切な力です。Q君の余暇が見つかるように、彼の強い力を生かせるものを考えていこうと思います。
個別療育型事業所
9月は利用者のモニタリングの時期です。計画した支援計画通りに支援ができたかどうか、その到達と課題を明らかにする会議がたくさん入る時期です。
支援計画に立派なことが書いてあっても、「あれ?こんな支援してないなぁ」ということがよくあります。いくら紙に書いて議論したからといっても、毎日の支援の中ではついついいつも通りの支援を進めてしまうことがあります。これは、生活支援型の療育の弱点です。
毎日対象者を決めて課題に直接迫る個別療育型の支援ではこんなことは起こらないのですが、その分支援に「幅」が出ません。生活型療育と個別型療育をうまく組み合わせていけばいいのですが、一事業所では、スタッフがそんなに器用に立ち振る舞えないのが現状です。
そういう意味で、10月から立ち上がる新事業所の役割と成果に期待が寄せられています。新しい事業所は、個別療育と集団療育が組み合わされています。特に、自分の特性理解や、それに基づく学習方法をスタッフと一緒に考え実践していきます。自分のいいところを伸ばしたいと思っている高学年の小学生から中学生を対象にしています。自学自習のスタイルを作っていくには保護者の方にも協力をお願いすることになります。毎日5名程度の療育を考えています。詳しくはステップまでご連絡ください。