友だちっていいな
友だちというものは偉大なものです。自分1人ではできないことでも、友だちとなら難なく取り組めることがあります。一方で、友だちがその日は来ていなかったり、時間や活動が合わなかったりで、友だちとなら新しいことにチャレンジできるのに…ということもあります。放課後等デイサービスの多くは、毎日10名ほどが通っています。すてっぷのように、小学生や支援学校の子どもたちが混ざって通っていると、その日によっては友だちでグループを組むことが難しい時もあります。そこで、お子さんが通う曜日をご家族と相談させていただいて、グルーピングができるように調整しながら、日々の活動や支援も工夫して、グループ活動がうまくいくように取り組んでいます。
支援学校中学部のPくんはお出かけが大好き。最近、職員に行きたいところを伝えて交渉し、前向きに通えることが増えてきています。その日もお出かけをしようと思っていたことでしょう。ところがあいにくの雨模様。「お出かけしたかったのに…」と駐車場に停めた車からなかなかすてっぷまで降りてこられません。そこで、一つ年下のQさんが職員と一緒に車までやってきました。「P君―」とQさんに声を掛けられると、P君は少し照れくさそうに車から降りてきて、先にすてっぷに入っていきました。
その日の活動はおこのみやき作り。先ほどのQさんと、Rくん、Sくんとの4人で、みんな中学部・高等部のグループで調理することが分かり、P君はスムーズに活動に入れました。2人1つの手順書を見て、2人ともが出来たら次の工程に進めてを繰り返し、生地ができたら1人ずつホットプレートへ流し込みます。焼いている間、いつの間にか消えたP君。特に指示がなかったためか、離れて階段の方で休憩していました。職員に「みんな座って待っているよ」と言われると「そっか」とうなずき元の席へ。タイマーが鳴り順番が来るまで待って、慣れない手つきで片面焼けた生地を平ごてでひっくり返しました。上手にひっくり返せたその瞬間、自然と3人から拍手が。これまた照れくさそうに自分の席に戻ると、友だちがひっくり返すのを見ていました。上手にひっくり返すのを待っていたかのように拍手をした3人。もちろんこの3人の中にはP君も入っていました。そして、全員の焼き上がりを待って「いただきま~す。」元気な声がこだましました。
帰る前に「上手に焼けた」と振り返ったP君。お出かけでなくても、友だちのおかげで、おやつ作りに前向きに取り組めました。家路につくP君の笑顔は輝いて見えました。