すてっぷ・じゃんぷ日記

「ぼくもやりたい!」

 「1+1は何?」 大学時代に私が数学教育課程の先輩から尋ねられた問いです。子どもならいじらしく「田んぼの田!」と答えるかもしれません。大人なら当たり前に「2」と答えるでしょう。このとき私も「2」と答えました。続けて先輩が問います。「どうして2になるか分かる?」さて、みなさんはどう思われるでしょうか?

 「そう決まってるから?」「そうそう」このときの私の答えを、先輩はよしとしました。つまり2というものは「1+1」、3は「1+1+1」、10進法なら同じように9まで続きます。10からはその規則通りに増えていきますが、1から9に関しては、そう定義されているものなので、そのまま覚えるしかありません。

 小学校1年生のOくんはじゃんぷに通い始めて1ヶ月。工作や公園遊びが大好き。宿題はやらない!と初めは言っていましたが、スケジュールで見通しを持つことで、楽しみにできる事を励みに学習に取り組めるようになってきました。ただ見通しを持てても、算数の宿題を渋ることがたびたびありました。他の職員に聞くと、どうやら数唱が5までも出来ていないのでは、というのです。それで宿題を見てみると、バスに乗り降りする動物たちの絵が描いてあり、その動物たちを数えるというプリントでした。数唱が出来ないのでは、何を書けばいいかさえもわからなかったでしょう。このときは全部したくないと言うOくんと、1問はじゃんぷでやって、残りは家ですると約束し、「まる」で終われるようにしました。同時に1から9まで書いた表を用意して、それを使って1問解き、残りの問題も同じ表を持ち帰ることで、家で取り組んでもらえるようにしました。

 さて、Oくんの算数への支援をどうしようか考えていた矢先のことです。Oくんが公園遊びから帰ってくると、お兄さんたちが遊んでいた「街コロ通」というボードゲームが机の上に置いてありました。「これ、やりたい!」とOくんが先生に伝えます。Oくんには難しいかも…。待てよ、数唱の学習にいいかもしれない、と考え、いっしょに遊ぶことにしました。「街コロ通」はサイコロの目を数えたり、お金を数えたりと、数唱がいろんな場面で出て来ます。最初に1コイン5枚をもらい、値段に注目して買うお店を決めていくOくん。準備ができて早速サイコロを振ると、自分からサイコロの目を数えようとします。数が出てこない時は先生に教えてもらいながら、Oくんもいっしょに数を数えます。もらって貯まったお金が10を超え、12コインのお店を買うときは数えるのをあきらめかけますが、先生が10コインを見せると喜んで1コインを10枚数え両替。両替したお金で12コインを数えて、お店を買うことができました!

 遊びを通じて数を数えることの抵抗感がなくなって来たのか、最近のOくんは、学習の時間でも表を使って算数の宿題をやり切れるようになってきました。学習と同時に遊びや生活のなかでも、数を数えることが意欲的にでき、成功体験ができたことが、学習の場面にも生きてきたのでは、と思います。

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