すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

ゲームのハンデ

 すてっぷの小学生メンバーの休憩時間のブームは、昨年はiPadが中心でしたが、今年はWiiUでの大乱闘スマッシュブラザーズ(略称「スマブラ」)のようです。「スマブラ」は、子どもたちの好きなキャラクターがたくさん登場するサバイバル格闘ゲームです。みんな得意なキャラクターを使って、「やった!」「やられた!」と大盛り上がり。

 何年か前も小学生メンバーで「スマブラ」がはやった時期がありました。しかし今年のメンバーほど盛り上がっていたことはありません。「スマブラ」は対戦ゲームですので当然勝ち負けがあります。もともと負けることが苦手な子が多い中、負けが続くと「やめる」と遊ぶ人数がどんどん減っていくということも多々ありました。そう考えると今の小学生メンバーたちが、負けても「もう1回」と最後まで仲良く遊べているのは、絶妙なバランスで成り立っているのかもしれません。

 そんな中でも、トラブルがあったり、職員が気になるようなことがあったりします。実は思いやり(2022/5/3)のJ君が落ち込んだきっかけのゲームが、この「スマブラ」でした。その後G君が落ち込んでいるJ君に思いやりを見せてくれ、J君が元気を取り戻したのは紹介した通りですが、他の子が帰った後G君とJ君が2人で「スマブラ」をすることに。これはチャンス!と、「スマブラ」のゲーム内で設定できるハンデを職員から紹介しました。トラブルがあったJ君へのフォローもありますが、「スマブラ」の上手なG君がゲームの集団には入らないことが気になっていて、タイミングを見てハンデを紹介しようと思っていたのです。

 負けるのが嫌な子どもたちですが、ハンデをつけることも嫌がることが多いです。平等を好むのか、ハンデがついているところで勝ってもうれしくないのか…。そんなときは職員が遊びに加わり、バランスを取ろうとしますが、子どもたちも敏感です。少しでも手抜きに映れば、「わざと負けないで!」と怒り、やる気をなくします。それに比べると、事前にハンデを提示して、お互いに納得したうえでスタートした方が、穏やかに終えられることが多いです。それも数字で示すことのできるハンデの方が、より受け入れてもらえやすいです。

 J君もはじめは「スマブラ」のハンデに、「えー」と言っていましたが、G君がすっと「いいよー」と言ってくれたので、すんなりハンデを受け入れて遊びました。終わった後で聞いてみるとJ君は、「ハンデがあったから、勝ったり負けたりしたー」と少し前向きに捉えてくれていました。

 さて今後、子どもたちはハンデを取り入れて遊べるでしょうか。せっかく子どもたちで楽しく遊べている休憩時間ですので、職員からは無理強いせず、子どもたちどうしで成長しあえる機会を保障していきたいと思います。

みんなが楽しめるように!

最近じゃんぷの休憩時間はジェンガや坊主めくりが盛り上がっています。

ジェンガの経験がないP君は「僕はいいよ,違う遊びやってるね。」と言っておもちゃで遊んでいます。しかしすぐ近くで「おおーー!!」「崩れるなー!!」と盛り上がる声が聴こえ,気になるようです。P君が寄って来て「僕もやっていい?」と聞いてきました。

P君の順番が回ってきました。ジェンガを引き抜こうとしますが崩れることが怖いようです。慎重に引き抜こうとするのですが「怖いよー!」と言って中々進むことが出来ません。すると一緒に遊んでいたQ君が「大丈夫!」と言ってジェンガを支えようと手を添えました。

それで安心出来たのか、P君はジェンガを引き抜くことが出来ました。P君もQ君も一緒に遊ぶ姿はあまり見ることはありません。Q君はP君にジェンガを楽しんでほしかったようです。本来はルール違反ですが,それよりもみんなが楽しめる方を優先したのです。

その出来事からおやつの時間にP君とQ君が楽しくお話をしたりする姿が見られるようになりました。子ども一人一人に様々な配慮があります。それを子ども自身が考えた事に感動をしました。

「トーストはおやつに入りますか?」

「先生、おやつにバナナは入りますか?」遠足を思い出させる文言と言えば、これではないでしょうか。みなさんも一度は聞いたことがあると思います。時期的にも「遠足に行ってきたよ!」という子どもたちが多いですが、実際に先生に聞いた人は何人くらいいたでしょう。もし聞かれたら、皆さんならどう答えますか? バナナはおやつ? デザート? 筆者は、チョコバナナならおやつ、バナナ単品ならデザート。加工するかしないかがボーダーラインだと考えているのですが…。う~ん…、難しい問題ですね。 

逆に子どもに聞いてみると、どんな答えが返ってくるでしょうか。子どもの中には、大人の悩みなんて一刀両断。「バナナはおやつやろ」と言い切る子もいます。そして、その考えをなかなか変えられない子どもが少なくありません。小学生のN君も、決められたルールを守ることができる一方で、後から変更になったこと、自分の中でこうだと思っていること対しては融通が利きにくい傾向があります。そんなN君がB君のおやつをみてびっくり。

「B君、おやつの時間にトースト食べているけど、あれはおやつではないんじゃないの?」

と職員に尋ねました。N君にとって、トーストはおやつではなくごはんであるものだったのです。B君は食べられるものが少ない中で、トーストが好物なので、おやつにトーストを食べています。そんな理由はあるのですが、職員はシンプルに答えました。

「すてっぷでは、トーストもおやつに入るよ。N君も今日はトーストにする?」

すると、N君は「そうなんや!どうしようかな…また今度で。」と言って、普段よく食べるお菓子を要求しました。数日後、N君が職員のそばに駆け寄り不安そうに尋ねてきました。

「おやつでトーストって食べられる?」

職員は、「もちろん食べられるよ。今日食べる?」と聞くと、N君は「うん。食べる。」と答えました。N君は食べた後、「おいしかった。また食べたい。」と笑顔で言っていました。

一度は職員におやつでトーストを食べていいことを聞いたものの、もう一度不安そうな顔で確認してきたN君。きっと心の中で、「トーストはおやつじゃない気がする。」という気持ちと「トースト食べてみたいな。」という気持ちがせめぎ合っていたのだと思います。「おやつで初めてトーストを食べた。」という小さなことですが、融通を効かせることで「できないと思っていたことができる。」という体験ができたことがよかったと感じた出来事でした。

さて、バナナはおやつなのかデザートなのか。N君に聞いたらどんな答えが返ってくるでしょうか。「おやつやろ」「デザートやろ」と言い切るのか。それとも違う答えを出すのか。融通を効かせるチャレンジは、まだまだいっぱい作れそうです。

持ち物に表れる子どもの困り

じゃんぷでの個別学習の時間,O君は「あ,消しゴムない!カバンの中に落っこちてるかも!」「定規も落ちてたかもしらん!」「鉛筆全然削れてない!先生削ってきていい?」等々...次々と忘れ物や落とし物に気づいては,あたふたと確認をしに行くことがあります。

O君に限ったことではありませんが,持ち物から子どもの様子を読み取れることがあります。当然持ち物を忘れたりすることはたまにありますが,子どもがそこに注目できない程,気持ちが不安定になっていることがあります。

忘れ物だけではなく,普段整っている筆箱の中身がグチャグチャになっている等持ち物の状況から子どもの状況を読み,支援の仕方を整理することがあります。様々な情報から子どもの状況を読み取ることが出来ます。

 

「場所」を示す

じゃんぷではスケジュールを示す時に活動場所を表す記号を使っています。

じゃんぷではそれぞれのエリアに「ふくろう」「うさぎ」「かめ」等,子どもに馴染みのある動物の名前をつけています。

それに合ったマークをスケジュールカードにも示し,「どこで学習・活動をするのか」を子どもが見て分かるようにしています。子ども達が自分で見て,移動が出来ることも大切にしています。もちろん程度の差はありますが,定着している子どもの真似をして同じようにスケジュールを見る低学年の子どももいます。

文字を読むことが苦手な子どもでも,マークを見てどこに行けばよいかわかります。どのような子どもでも自立的に動けるような支援をしています。