すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

カタカナなしでカタカナ語説明

 この夏、新しいボードゲームを導入しました。「カタカナーシ」というゲームです。さっそく小学生たちが遊んでみると、かなりの盛り上がり。「次もやりたい!」とリクエストも出て、楽しんで遊んでいます。

 「カタカナーシ」は一人ずつ交代で出題者になり、カードを引きます。そこに書かれているカタカナ語(外来語や和製英語)を、カタカナを使わずに説明します。他の人はそのカタカナ語が何かを回答し、当てられたら回答者と出題者両方に得点が入るというゲームです。

 シンプルなルールで分かりやすく、すてっぷの子どもたちもすぐに理解しました。自分の知っている語彙を駆使して、他の人に伝わるようと工夫して説明します。回答もぽんぽんと出てきて、出題者は「違うよ」「惜しい!」などリアクションを返し、子ども同士のやり取りでどんどん盛り上がっていきます。なかなか回答が出てこない時もありますが、そんな時は出題者が追加の説明を考えて正解が出ることもありますし、簡単ルールとしてパスして次の出題カードを引いてもよいことにしています。

 他にもいくつか簡単ルールを導入しています。出題のとき、本来はカードに6つの言葉が書かれていて、それがランダムに1つ決められて出題しなければいけないのですが、簡単ルールではその6つの言葉から好きに1つ選んでいいことにしています。また出題者がカタカナを使ってしまったとき、それを回答者の誰かが指摘したら、出題は終わりで、指摘した人に得点が入るルールなのですが、それもなしにしています。

 こういった学習が活きるボードゲームは進んで導入していきたいのですが、それが子どもの苦手感に繋がってはいけないので、子どもたちの状況に合わせて簡単ルールで遊ぶなどの工夫をしています。やってみると子どもの強みがたくさん見えたり、子ども同士のやり取りがどんどん広がるので、職員からも「それ、いいね!」と褒める言葉もどんどん積みあがる時間になっています。

時間の見通し

 支援学校高等部のDくんはこれまでの療育で、スケジュールやiPecsを使えるようになっています。学校の行事や放課後等デイサービスの利用日で休みたい日があると、前日にお母さんに上手に伝えられます。すてっぷでもスケジュールに楽しみがないと、「すてっぷ、おやすみ、ください」と利用前日にお母さんに伝えることがありました。そこで、その日のスケジュールに楽しみにできることを入れようと相談し、本人が大好きなおやつ作りの活動を入れることになりました。また夏休みに入り、生活リズムが変わった中、本人が見通しを持てるようにスケジュールをある程度固定化しました。基本のスケジュールは【自立課題⇒作業(設定遊び)⇒買い物学習(昼食をコンビニへ階に行く)ご飯⇒休憩⇒自立課題⇒作業⇒おやつ作り⇒休憩⇒帰る用意⇒帰宅】にしました。

 夏休みも中盤に入り、毎日の過ごしに慣れてくると、自立課題や作業への切り替えもOK、おやつ作りへの切り替えもOKと、スムーズに切り替えることができるようになってきました。新しく入った職員は「スケジュールに楽しみなことを入れることが大切と研修で習ったけれど本当ですね。改めて学びました」と話してくれました。

 ただおやつ作りをスケジュールに入れると、昼食後の休憩をいつもより短くして、作業もすぐに終わらせて「おやつ作り 下さい」と要求するようになりました。時計を見ると1時過ぎです。スケジュール通りの順番でてきぱきとこなしているのですが、彼のスケジュールには時間が入っていませんでしたので、楽しみにできることを早くしたいとスケジュールを進めるのはあって当たり前です。そこで、「デジタル時計をつかってみたらどうか」と試してみることにしました。

 デジタル時計とリマインダーで、「2:00作業、2:20おやつ作り」と提示するようにすると、時間通りに切り替えできるようになってきたDくん。おやつ作りだけの切り替えが良くなったのではなく、作業の準備などほかの活動でも、時間の見通しが持てて自立的に始める姿も見られます。スケジュールに楽しみなことを入れ始めてからは休みなく通ってきてくれていて、安定して活動を積み上げられています。

「ぼくもできたよ」

 支援学校小学部のCくんは、「わたしできたよ」(2022/7/29)で紹介したRさんと同じように、今年ワニワニパニックで集団遊びにチャレンジを始めました。Cくんはごはんや自立課題など座っての活動中に、たびたび立ち歩きます。ぐるっと室内を回って戻ってきたり、ソファに行って寝転がったりと、なかなか集中して続けられないときがあります。

 ワニワニパニックも、始めた当初は同じでした。自分の番でもピコピコハンマーを手に取れなかったり、他の人の番のときも待てなかったりと、しきりに他の場所に行きたがりました。そこで職員で話し合い、違うことにチャレンジしてもいいのではという意見も出ましたが、違うことではなく同じことを繰り返して続けていこうと決まりました。その方が、Cくんが見通しを持てて、分かってできるようになるのではないかと考えたからです。

 さて、このワニワニパニックを4、5回続けて行ったところ。この間もCくんは、集団のところから、ソファを行ったり来たりといった感じでした。ですが、友だちが交代してワニをたたいているところを見ていたのか、職員がこうしてみようと見本を見せていたのを見ていたのか。次第に、笑顔でワニをたたくようになっていき、座って待てることが増えてきました。そして先日、職員がワニワニパニックを始めようと準備し始めたところ、びっくり! Cくんがすでに座って待っているのです。スケジュールも自分でワニワニパニックに変えていました。そのまま準備が出来るまで待ち、ワニワニパニックを楽しんで、「終わります」のあいさつで自分からスケジュールに戻って、好きな遊びに切り替えていきました。

 Cくんはスケジュールの学習も今年から本格的に始め、毎日同じように取り組むことで、今では自分でスケジュールを確認できるようになりました。このワニワニパニックも見通しが持てることで、最初から最後まで集団に参加できるようになりました。今は友だちとの2人で2回ずつできるようになっているので、取り組みはワニワニパニックのままで、いっしょにやる友だちが変わったり、増えたりしてもできるようにしていきたいと思っています。さてRさんも、いっしょに取り組めるようになるのでしょうか。

頼れる先輩

 小学生のAくんはすてっぷではしばらく後輩でした。そんな彼も成長し、上級生に。今は年下の子に囲まれながら、リーダーの役割を果たしてくれています。ただ、最近少し頭を悩ませているのが、年下の子がそれぞれでAくんに話しかけてくること。Aくんも一人一人とは楽しんでやり取りしていますが、一人と話し合っているところに、もう一人がそれも別の話題を出してくると、もうパニック。なんとか苦労して、折り合いをつけていました。

 先日、公園からの帰り道、Aくんが支援学校中学部のBくんとでお話をしているところに、年下の子が話しかけてきました。Aくんがどう返事するか悩んでいたところ、Bくんが「今俺たち大事な話をしているんだから、話に入ってこないで」と答えました。年下の子が「俺も大事な話やし」と食い下がると、Bくんは「わかった、じゃあどうぞ」と返答し、二人で年下の子の話を聞くことに。ですがそばで聞いていた職員にも大事そうな話には聞こえない話です。二人もそう受け取ったようで、Bくんはきっぱりと「それは大事な話じゃないね」と年下の子に伝えました。そして二人で話を再開しました。

 Bくんは、以前は嫌なことがあった時は「やめてよ!」と甲高い声で制止することが多かったのですが、この日は割り込まれたことに怒りもせず、落ち着いた声で伝えられたことに、職員はBくんの成長を感じました。Aくん、すてっぷにはまだ頼れる先輩がいるよ。

アルファベットの小文字

じゃんぷに通う中1のZ君が「小文字が覚えられない~!」と悩んでいます。大文字は書くことが出来るようになりましたが,学校の授業で小文字に苦戦しているようです。

実はこのような子どもは少なくありません。大文字は,ABCの曲等と一緒に習得できる子どもが多いですが,小文字には苦手意識をもってしまうケースが多いといいます。その一方で実際に英字を読み書きする際には,大文字より小文字を使うことが圧倒的に多いです。

ではなぜ小文字を覚えることが難しいのでしょうか。小文字は大文字に比べ,英語が始まるまでに触れる機会が少ないです。また,大文字は左右対称ではっきりとした特徴をもった字形のものが多く,子どもでもその特徴を把握しやすいものとなっています。それに比べて小文字は,小さな点がついているなど繊細な字形のものが多く,大きさも大文字に比べて小さいため,字形の認識が難しくなります。

Z君には「順番に覚えなくていい」ことと,「大文字と同じ形のものから覚える」ことを勧めました。まず簡単な文字から覚え,少しずつハードルを下げ,覚えれた,書くことが出来た実感を持ちながら取り組むようにしています。

漢字の感じ!

じゃんぷでは夏休みに,子ども達が自分で課題を進めていく「ウォーミングアッププリント」に取り組もうと考えています。

その中の「漢字の書きプリント」は,プリントの中に「言葉による手がかり」を用意し,聴覚記憶が強い子どもが得意な認知を生かして学習が取り組める,というものです。

「言葉による手がかり」とは,例えば「女」という漢字を「くのいち」と覚えるように,漢字の組み立て方を言葉で示したものです。

視覚的に見て,書いて覚えることが苦手な子どもでもこの方法なら「漢字をちょっと書けるようになった!」「漢字の感じやな!」という子どももいます。じゃんぷで取り組んでいる漢字指導の一環として,紹介をします。

リリアン編みにチャレンジ

 支援学校高等部のRくんは、休憩中に過ごせることがなかなか見つかりません。昔はホワイトボードにオリジナル性豊かな絵を描いていましたが、今は見向きもせず、うろうろと立ち歩いているだけ。レタリングや塗り絵も試してみましたが、まるで課題やタスクのように、職員から提示されたものをこなすだけで終わってしまいます。

 そんなRくんが去年ようやく見つけた趣味がペーパークラフト。はさみでの作業が好きなことから、職員がRくんに提案したところ、自分から進んで作るようになりました。自分でできるところでも「手伝ってください」と職員を呼ぶのはご愛敬。出来ているところを見てもらうと、自分で次の作業に移っていきます。「大人の注目」がRくんにとって最大の強化子になっていることは、以前手伝ってください(2022/2/22)で紹介した通りです。

 ただRくん、できあがったペーパークラフトを「持って帰ります」と言って持ち帰るのはいいのですが、家でポイっと置きっぱなしになっているとのこと。せっかくなら作ったものを自分で使ったり、家族にプレゼントできたりと、実用的な製作に取り組めたらいいねと職員で話していました。そこでRくんにリリアンサークルでペットボトルカバーを作ることを提案することにしました。

 リリアンサークルは突起が複数ついたリング状の道具で、100均でも購入することができます。これに毛糸を巻き、専用の針で糸をすくって上からかぶせて編んでいきます。以前も他の利用者が取り組み、無事にペットボトルカバーを完成させました。さてこの編み物はRくんにヒットするのでしょうか。

マインドマップ

前回書いたアイデアいっぱい!マインドマップで整理しよう! ( 07/28 )で登場した「マインドマップ」について少し詳しく紹介をします。

「じゃんぷ」ではマインドマップという方法を使って読書感想文を書いたり,夏休みの思い出の作文を書いたりしています。マインドマップというのは頭の中で行っている思考プロセスを「見える化」して,思考の整理や今からしようとしていることを整理するのに役立つ方法です。一緒にホワイトボードに思いついたことを「話すだけ」,順番に話したことを「図にするだけ」,整理された内容を「書くだけ」と作業を一つにしぼって実行します。

そうすると,「こっちのことを先に書きたい」とか「ちょっと言い方(表現)を変えて書いといた」等自分なりの工夫やアイデアが浮かんできます。

「読むのがイヤ」「書くのがイヤ」「なんて書いたらいいか分からないからイヤ」と思いがちな宿題も,実は頭の中の思考を整理することの悩みだったといえます。

「わたしもできたよ」

 すてっぷでは、設定遊びとして室内の集団遊びに取り組むことがあります。多くは、順番交代で行いながら、得点を競います。ボールダーツや弓矢ダーツといった市販のおもちゃを使ったもののほか、段ボールで作ったゴールを狙うボールシュートなど、手作りのものもあります。中には得点を競うのではなく、ボールを当てたところに分割の絵を貼り、みんなで一枚絵を完成させる協力型のものもあります。これらの中から選んだり、新しく作ったりして、メンバーに合うものを準備して取り組んでいます。

 支援学校小学部のRさんは、この集団遊びに参加し始めたところ。今月は「ワニワニパニック」に取り組んでいます。「ワニワニパニック」は職員がワニを操作し、子どもは仕切りの穴から飛び出してくるワニにピコピコハンマーを当てる遊びです。やったことがある子は慣れた手つきで、ワニをピコピコ叩いていきます。初めての子でも、「ねらう」「たたく」といったシンプルな活動のため、初回から、笑顔でテンポよく叩ける子も少なくないです。ところがRさんは、何度も回数を重ねても、そっぽを向いて近づこうともしません。Rさんは初めてのことが苦手だから、少しずつ取り組めるようにしていこうと職員で話し合いました。

 そこでまず、参加するだけでいいというところから始めました。離れたところにいすを置き、そこに座って見ているだけでも、参加できてすごい!と褒めて、回数を重ねました。次第に友だちの活動の様子を見ることが出来ることが増えていったRさん。先日、他の子どもたちと一緒にいた職員がRさんに「こっち来る?」と誘ってみました。するとRさんは、みんなのところへ! いっしょに並んで座って参加することが出来ました。そして次のときも、みんなといっしょに座って待つRさんの姿が。そこで職員が、みんなと同じようにRさんの顔写真をホワイトボードに貼り、順番を示します。するとRさんは自分の番だとわかり、友だちから手渡されたピコピコハンマーを握ります。そして「用意スタート」の声で、飛び出してくるワニをしっかりとみて、ピコピコハンマーで叩けました!その瞬間にRさんの笑顔がこぼれました。「できたね!」の職員の声掛けにハイタッチを求めたRさんの顔は誇らしげでした。

 初めてのことが苦手なRさんに、最初から全部参加させようとしても、できなかったで終わり、失敗体験を積んでしまうことになります。そこで取り組みを細分化し、最初の課題は達成しやすいもの(今回で言えば見ているだけでOKにする)から始め、それができたら次の課題は少しずつ高めていくという「スモールステップ」で、Rさんは最終的に「ワニワニパニック」に参加できるようになりました。できることを増やすことと、成功体験を積み重ねていくことが、成長の両輪になると考えています。

アイデアいっぱい!マインドマップで整理しよう!

じゃんぷに通うP君が夏休みの宿題を持ってきました。先日持ってきたのは「絵日記」です。

P君は先日旅行に行った時のことを書く,ということでその時の出来事を次々と話してくれました。普段書くことが苦手なP君が鉛筆が止まらないようでした。ただ頭の中で浮かんだことを文章にすることはまだ苦手なようで,継ぎ接ぎな文章になってしまうようです。なので絵日記をじゃんぷに持ってきたとのことでした。

P君はたくさん出来事を話してくれるので,それをマインドマップにして時系列を整理し,文章の構成を組み立てました。そして文章を一緒に作り,それをP君が絵日記に書きました。

すごく達成感があったようで,「最後まで文章書けた(空白を作らず文章を埋めれたということ)の初めて!」と喜んでいました。