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発達障害のある生徒の自立支援 大阪府教委

発達障害のある生徒の自立支援 大阪府教委が指導書

2020/10/08 19:45【産経新聞】

発達障害のある生徒に適切な指導をするための教員向け指導書「高校で学ぶ発達障がいのある生徒のための社会参加をみすえた自己理解~『よさ』を活かす指導・支援~」(ジアース教育新社、税別1900円)を、大阪府教育委員会が出版した。大手書店でも購入できるが、府教委は全府立高校に配り、教員の指導力強化を目指すとしている。

発達障害を抱える生徒が高校卒業後の就職や大学進学といったそれぞれの進路先で、実際に直面した困り事の具体例から、在学中にどのような指導を行い、自立を手助けすればいいかを考える内容となっている。

たとえば、勤め先で机周りの整理整頓ができず、必要な書類が見つからないなど業務に支障をきたした事例を紹介。在学時にも保護者宛てのプリントを管理できなかったが、担任教師が保護者に内容を直接伝えるなどして配慮したため、トラブルにならずに済んでいたことが遠因と指摘した。

その上で、同様の傾向がある生徒には、生徒自身がプリントを管理できるようにすることや、整理整頓を意識づけることの方が有用としている。

府教委によると、府立高に在籍する生徒約12万人のうち、発達障害などで支援が必要な生徒は平成26年度の2266人から30年度には2861人に増えており、指導の充実が求められている。

ビール作って、多様性のある社会を

ビール作って、多様性のある社会をある精神科医の挑戦

2020年9月28日 14時44分【朝日新聞】大村治郎

京都・一乗寺ブリュワリー(京都市左京区)という地ビール醸造所を精神科医が経営している。会長の高木俊介さん(63)は20日、南区で開かれた研究会「嗜好品(しこうひん)文化フォーラム」で、「なぜ精神科医がビール醸造に挑むのか」と題して講演し、「ビールを通して、障害がある人もない人も、笑いながら多様性を認め合える世界をつくりたい」と夢をふくらませた。

高木さんは2004年、中京区に診療所を開いた。医師や看護師、ケースワーカーらの専門家でチームを組み、重度の精神障害者らの自宅を訪問してケアをする包括型地域生活支援プログラム(ACT)を導入。「症状が落ち着いた時、次に仕事があるとうまくいく」と気づいたという。

いろいろと模索した末、たどり着いたのがビール作りだった。「醸造のほかにも瓶詰め、ラベル貼りなど様々な仕事があり、将来的に精神障害者を雇用できるのではないかと思った」。ビールはいろいろな付加価値をつけることができ、社会や人とのつながりをつくれるとも考えた。

ビールは種類が豊富な酒で、世界中で作られている。原料は大麦やホップといった乾燥物で、すぐに運ぶことができる。さらに日本酒やワインに比べて醸造サイクルが速く、約1カ月でできる。高木さんによれば、職人の間にもあまり徒弟制度がなく、若い人が参入しやすい魅力もあった。


しかし、参入した11年当時、地ビールの評判は良くなかった。「高い」「まずい」と言われた。赤字経営が続いて苦労したが、職人たちが試行錯誤の中、腕を上げ、地ビールの国際大会で入賞するようになった。

比叡山のふもとに建設した醸造所では、スパイスを使ったエール、小麦を使ったビール、京都のユズの風味を生かしたビール、黒ビールのスタウトなどを作っている。高木さんの思いに共感した飲食店経営者のアイデアで16年、中京区御幸町通錦上ルに直営のビアパブ「ICHIYA」を開くと、人気店になった。

農業と福祉を結びつける「農福連携」にも取り組んでいる。自閉症の人たちの支援に取り組むNPO法人が運営する醸造所「西陣麦酒」(上京区)と協力。群馬県の障害者就労支援施設で作った大麦、ひきこもりの若者を支援する宮城県石巻市の農場で育てたホップを使ったビール「ふぞろいの麦たち」も作った。こうした取り組みを広げていきたいと高木さんは話す。

歴史をさかのぼれば、京都府内では明治の文明開化の中で、清水寺(東山区)の近くにあった京都舎密局(せいみきょく)麦酒製造所がビール醸造を始めた。京都舎密局の初代局長を務めたのが明石博高(ひろあきら)。京都の医者で、日本最初の公立の精神科病院の設立に携わった。精神科医の高木さんは、深い縁を感じるという。「ビールを通して、多様なものをつなげたい」と意気込んでいる。(大村治郎)

たかぎ・しゅんすけ広島県因島市(現・尾道市)生まれ。京都大医学部卒。京都大医学部付属病院勤務などを経て、2004年、重度の精神障害者の地域生活を医師、看護師、介護福祉士らの訪問で支援する包括型地域生活支援を始めるため、たかぎクリニックを設立。その活動の中で、精神障害者の就労支援の必要を感じ、11年には地ビールを醸造する京都・一乗寺ブリュワリーを創業した。

 

 

親を困らせる子どもの本当の気持ち

気づいてあげて!「わざと」親を困らせる子どもの本当の気持ち

10/6(火) 20:21【ベネッセ】配信

気付いていないのは自分だけ? わざと親を困らせる子どもの本当の気持ち
何度注意しても、保護者のかたを困らせる行動をとる。しかも、大人の顔色をうかがいながら「わざと」やっている。お子さまのそんな姿を見たら、イライラしてしまいますよね。でも、この行動の裏には「かまってほしい」というお子さまの気持ちが隠れている可能性もあります。

わざと親を困らせる「試し行動」
まだ小さいお子さまなら、いろんなことを学んでいる段階。注意されたことを繰り返すというのは、よくあることです。でも、大きくなってきて物事の良し悪しもわかってきているはずなのに、親をわざと困らせてくる子どももいます。たとえば、このような行動です。

・絵本や大事な本を破る
・飲み物をわざとこぼす
・クレヨンを折る
・弟や妹をいじめる

このように、わざと親を困らせようと行っている行動を「試し行動」といいます。これは、「自分は本当に愛されているのだろうか」ということを確かめる行動。もちろん、困った行動がすべて試し行動なわけではありません。発達障害などが原因であったり、不注意でやってしまったりすることもあります。

しかしそうではない場合は、「試し行動かもしれない」と思ってみることも必要。そうすることで、お子さまの気持ちに気付きながら、困った行動を解決できる可能性もあります。

「かまってほしい」「認めてほしい」試し行動の心理
試し行動をしている時、子どもはどんなことを思っているのでしょうか。

・「こっちを見て」「私をかまって」と気を引こうとしている
仕事が忙しかったり、きょうだいが生まれたりして、少しお子さまとの関わりが減ってしまった時。そんな時に子どもは、「自分をもっと見て!」と気を引こうとします。これが、親を困らせる時の子どもの気持ち。赤ちゃん返りとも似ていますよね。

でも、どうしてわざと「悪いこと」をするのでしょうか。それは、子どもにとってこの方法が一番効果を感じるからです。子どもが「良いこと」をしている時は、手がかかりませんよね。だから、つい放置してしまいがち。そうすると子どもは、保護者のかたの気を引くために「悪いこと」をしようと考えます。

悪いことをすれば、「ダメでしょ!」「いけません」とすぐに駆け付けてくれる。たとえ叱られたとしても、子どもにとっては「かまってもらった」ことになります。「良いこと」をするよりも「悪いこと」をした方が、お母さんやお父さんを簡単に独り占めできるからなのです。

・「どんなことをしても自分を見捨てないか」を試している
その名の通り保護者のかたを「試している」こともあります。「どんなに悪いことをしても、私のことを好きでいてくれるだろうか」ということを、保護者のかたの反応を見て確認しているのです。

これは、「自分が愛されているのか不安」だからしてしまう行動。保護者のかたに対して、何か不信感を抱いてしまっている可能性もあります。だから、愛情が確認できるまで何度も繰り返してしまうのです。


「困った行動」だけに注目しないで!意識して子どもとの関わりを増やそう
子どもの困った行動が「試し行動かも」と思った時は、どうしたらよいのでしょうか。

まず、試し行動そのものに対しては、きちんと注意をしてOKです。ダメなことはダメと注意してください。でもこの時、子どもを否定する言葉は言わないようにしましょう。「〇〇をして、あなたは悪い子ね」ではなく、「〇〇はしちゃいけないよ」と行動だけを叱るようにしてください。

そして叱った後は、「どんなことをしてもあなたのことが好き」だということを、言葉や態度で伝えてあげましょう。抱きしめてあげるだけでも、お子さまはホッとするかもしれません。

また、困った行動だけに着目していても問題は解決しません。子どもの「かまってほしい」「もっと見てほしい」という気持ちに答えてあげる必要があります。ですから、少し意識してスキンシップを増やしたり、「ほめる」ことを増やしたりしてあげましょう。困った行動をしている時ではなく、良いことをしている時や何でもない時こそ、愛情を伝えてあげるチャンスです。

まとめ & 実践 TIPS
試し行動をする相手というのは、子どもにとって大切な相手。「この人に愛されたい」と思うから、気を引こうとします。それだけ、子どもはお母さんやお父さんが大好きなのですね。

もしお子さまが「わざと親を困らせている」と感じたら、少し自分の行動を振り返ってみましょう。「最近遊ぶ時間が取れていない」「スキンシップが減ったかも」「怒り過ぎているかも」そんな心当たりがあれば、ちょっと意識してお子さまと向き合ってみてください。

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「靴ひも」を結ぶ

「靴ひも」を結ぶ=大治朋子

2020年10月13日【毎日新聞】

障害を抱える人々との交わりを難しくするものがあるとすれば、それは障害そのものなのか、それとも障害を持たない人々が心に宿す「壁」なのか。そんな問いに改めて向き合う機会をくれた映画だった。

日本で近日公開予定のイスラエル映画「靴ひも」(ヤコブ・ゴールドバッサー監督)を見た。約30年前に離婚した妻との間に生まれた発達障害を持つ中年の息子と、妻の急死を機に同居することになった父親の物語。

自動車整備会社を営む1人暮らしの父親は、職場にこの息子を同伴して新生活を始める。心の距離を縮めようとする息子と、なかなか壁を崩せない父親。それを見抜いたかのように息子が言う。「出来損ないの息子でごめんね。父さんは僕を恥じてる」

率直な言葉や行動で果敢に壁に挑む息子が求めているのは、一人の人間としての尊厳だろう。すれ違う二人の心は、ちょうど息子がなかなか結べない2本の「靴ひも」のようにも見える。描かれているのは障害をめぐる親子の心の葛藤から生まれる、成長の記録だ。

日本での上映を前に先日、記者会見した監督は、自分も発達障害を抱える息子を持つと語った。そして、かつて自ら「心の周りにセメントの壁を築いていた」と打ち明けた。映画のモデルになったのは実在の別の親子だが、障害児を持つ親としての思いと目線が映画の随所に見て取れる。

イスラエルで6年半を過ごした私にとって、この映画のもう一つの見どころはイスラエルならではの「関わる」文化だった。親子と病院で偶然知り合った人が、かなりプライバシーに立ち入って父親にアドバイスをする。レストランで歌いだした息子を歓迎したり、公然と差別的な言葉を発したりする「率直」な客。政敵とされるアラブ人の医師の熱意にイスラエル人ながらほだされる父親。

そこから浮かび上がるのは、障害をめぐり葛藤する親子を傍観せず、良くも悪くも関わろうとする市民の姿だ。リアルなイスラエルの日常そのものに見えた。車椅子の人がいると、イスラエルでは通行人らが文字通り「寄ってたかって」乗り物への乗降などを手助けする。それ一つをとっても傍観したりためらったりしがちな日本社会との違いは大きい。

だが監督によれば、イスラエルでもまだまだ差別は根強いという。「映画が障害を持つ人々に対する世間の見方を変えるきっかけになれば」。日本の傍観グセに問いかける作品でもある。17日から順次全国各地で上映。(専門記者)

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イスラエルは、いまアメリカの橋渡しでアラブ国家と国交を広げようとしています。イスラエルと言えば、パレスチナとのし烈なミサイル合戦で戦時国家のようなイメージですが、実は敬虔なユダヤ教徒の国です。そんな国民の障害者観に興味を覚えます。京都シネマでそろそろ封切です。席数が少ないので当日券で入れない方がいたと、「スペシャルズ!」09/18の情報がありました。ネット予約がおすすめです。発達障害の息子と父描く「靴ひも」

10歳くらいから要注意「思春期の入り口」

10歳くらいから要注意「思春期の入り口」で親が気をつけたい4つのこと〈AERA〉

10/9(金) 11:30【AERA】配信

急に口数が減った、話しかけてもうるさがる……。小学校4年生頃からこんな子どもの変化を感じる親御さんが多いようです。「なんか反抗的」「そっけなくて寂しい」などいろいろな思いにかられますが、「これって思春期?」と思ったとき、親はどのようなかかわり方をすればよいのでしょうか。『AERA with Kids秋号』(朝日新聞出版)では、「思春期の入り口の子ども」の接し方について、花まる学習会で小学校高学年から中学生を教える大塚剛史先生に取材をしています。

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「10歳ぐらいになって、親の言うことをうるさがったり反抗的になったりするのは、思春期の入り口に立ったサイン。喜んでいい」
大塚剛史先生はこう話します。反抗的な態度が喜ばしいとはどういうことでしょうか。
「そのような態度は順調に成長している証拠です。これまでちゃんと育ててきたから、お子さんがちゃんと反抗期に入れたんですよ」

そうはいっても子どもの変化に戸惑うもの。実際、子どもはどのように変化していくのでしょうか。
「一般的に、10歳ごろになると自我が芽生えます。それまでは親の言うとおりにしていればいいと思っていたけれど、自分はどうしたいのか考え、現実とのギャップに思い悩むようになる。これが思春期です。中学生くらいでこの葛藤を十分に経験すると、高校に入るころには“じゃあ自分はこうしていこう”と、見えてくる。そして自分の道を歩き出します」

葛藤したり思い悩んだりすることが思春期の姿となると、親子関係がぎくしゃくするのもうなずけます。
「しかし、ここで子どもの変化に親がうまく対応できないと、子どもが心を閉ざしたり、衝突したりすることが出てきてしまいます」

対応の失敗の一つが、親の過干渉だと大塚先生は話します。
「自分で解決しようとがんばっている最中に、親が以前と同様に手を貸し続ける。“うるさいな、自分でする”と反抗できる子はいいのですが、自分で解決する気力が奪われてしまう子も。親の言うとおりにしたほうがラクだからです」

では、親はどうしたらいいのでしょうか?
子育ては昆虫観察に似ている、と大塚先生は話します。思春期の子どもは繭(まゆ)の中にいて、中で何が起こっているかわからない。でも無理に知ろうとナイフを入れては、子どもが育たない。だから親は環境を整えて見守るしかない――。

「小学校高学年は、まさに繭の中で一生懸命『自分』をつくっている最中です。自分と向き合わせるためにはある程度そっとしておくことがこの時期大事ですが、すべて放っておいてほしいわけではなく、認めたりほめたりしてほしいときもたくさんある。それらは繭の中で成長の糧となるので、なるべく子どもの姿を受け止めて声をかけてほしいですね」

繭越しだから表現がトーンダウンして伝わることもあるので、親からすると戸惑うことも。
「例えば思春期の子がいう“普通”は、ほめ言葉です。“お父さんってどう?”と聞いて“普通”といったら、大好きということ(笑)。“別に”や“普通”の一言から、満足なのか不満なのかうれしいのか楽しいのか、親御さんが注意してみていたらわかります」

勉強して点が悪くても、それをどう変えていくかは自分次第。“〇点しかとれなかったの?”とネガティブな言葉とともに勉強のおぜん立てをするのではなく、横でそっと見守ってほしいと、大塚先生は話します。
放っておくことと認めることのさじ加減は毎日の関わりの中で少しずつ見えてくるもの。関係が悪化しないよう、関わり方の4つの注意点を見てみましょう。

1.根掘り葉掘り聞かないでそっとしておく
友だちと遊んできた子に「楽しかった?」と聞いても「別に」。もしかしたら友だちとトラブルがあって、自分で解決しようとしているのかもしれません。しつこく詮索せずに見守って。

2.本人が言いたそうなら受け止めて聞く
まだ甘えたいこともあるのが、この時期。本人から話してきたり、なんとなく質問してほしそうなそぶりを見せたら、話を聞いて。何か具体的なアドバイスをするより、聞くことに徹するのがおすすめ。

3.正面切って戦闘態勢にならない
親子で衝突すると、子どもが自分の葛藤に向き合いにくくなるうえ、イライラを外で発散しかねません。自分がどんな大人を目指せばいいのかわからなくなってしまう可能性も。

4.日によって気分のムラがあることを理解
昨日はいろいろ話してくれたのに、今日は質問しても「うざ」。そんなこともあるものだと受け流すことが大事。次に子どもから話しかけられて、「どうせうざいんでしょ!」の仕返しは禁物。

(取材・文=松田慶子)