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ICT導入で学び広がる発達障害児の学習支援
ICT導入で学び広がる発達障害児の学習支援
2020年12月10日 05時00分 【中日新聞】
小中学生に一人一台ずつタブレット端末などを整備する「GIGAスクール構想」が加速する中、発達障害のある児童生徒らの学習支援に、情報通信技術(ICT)を活用する動きも少しずつ進んでいる。機器に少し頼るだけで、見違えるように学びを進める子も。障害のある子もない子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」の一助になると期待されている。(北村希)
十一月下旬、愛知県常滑市大野小の特別支援学級。一年の男子児童はタブレット端末のアプリで黙々と漢字や九九の問題を解き、満点を取るとガッツポーズを見せた。別の五年男児は、慣れた手つきで「音声ペン」を国語の教科書にタッチ。紙に特殊な加工がされており、ペンが文章を情感豊かに読み上げた。
この五年男児は文字を目で追うことが苦手。教員と一緒に音読をしても文章の理解が難しかったが、昨年、音声ペンを使い始めると、みるみる正しく読めるようになった。物語に入り込み「もっと読みたい」と本が大好きに。国語のテストで八十点以上を取るようになった。特別支援教育士で担任の公文(くもん)美貴教諭(57)は「自分で読みたい所を自分のペースで読めるのが大きい。音声ペンは『自分の意思で』がかなう」と話す。
大野小の特別支援学級には自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの十三人が在籍。紙とICT機器を併用し、それぞれに合った方法で学ぶ。タブレット端末は現在、学校のパソコン室に配備された端末の一部を使っている。公文教諭は「アプリ学習はすぐに正誤が分かり、点数も出るから、子どものやる気や集中力が持続する」と効果を語る。
音声ペンとそれに対応した教科書は茨城大が国の委託を受けて製作し、全国の申請者に提供している。一昨年に学会で知った公文教諭は学校から申請して導入。ペンの費用五千円が各家庭の負担となるが、現在特別支援学級で八人、通常学級で三人が活用し効果があるという。
自治体を挙げて取り組む京都市では、音声ペンや専用教科書、ノートと連動するアプリなど支援機器・グッズ四十四種類を市で所有し、試したい児童生徒に貸与。本年度は、延べ九十四の小中学校に貸し出している。
同市教育委員会によると、読み書きなどが困難な子の通常学級での使用も進む。特に音声ペンはイヤホンでつなげば音も漏れず見た目が自然で、周りの目を気にせず使う子が多い。「今後全員がタブレット端末を使う風景が普通になれば、より気にせず機器に頼れる子が増えるのでは。ほんの一歩だが、インクルーシブ教育につながる」と話す。
通級指導、20年で5倍に
障害のある子どもの学び場として、文部科学省は「特別支援学校」、一般の学校に設置される「特別支援学級」、一般の学校で通常学級に在籍しながら一部特別な指導を受ける「通級指導」、「通常学級」の四種類を挙げている。
二〇一三年の制度改正で、それまで「一定程度障害のある子は原則特別支援学校に就学」としていたのを、「本人・保護者の意見を最大限尊重し、総合的に決定する」ことになり、幅が広がった。
一九年度の特別支援学校の在学者は約十四万人。特別支援学級に在籍する児童生徒は約二十八万人、通級指導を受ける児童生徒は約十三万人。少子化の中、それぞれ二十年前と比べると一・六倍、三・九倍、五・一倍に増えている。
増え幅が大きい通級指導を受ける児童生徒のうち、言語障害が29%と一番多く、自閉症が19%、注意欠陥多動性障害(ADHD)が18%、学習障害(LD)が16%。
インクルーシブ教育障害のある子とない子が多様性を尊重し合い、共に学ぶ教育。2006年の国連総会で採択された障害者権利条約で示された考え方。日本では12年、中央教育審議会で推進がうたわれた。インクルーシブは「包括的」の意味。欧米などでは主流となっている。
音声教材の普及状況文科省は2014年度から大学やNPO法人に委託し、音声ペンなど教科書の理解を促す「音声教材」を製作し、一部を除き無償で希望者に提供。本年度は関連経費約1億700万円を計上し、茨城大を含む6団体が参加する。音声教材の全国の利用者は19年度で約1万3500人で、15年度(約4000人)の3倍超。ただ、通級指導を受けるLDの児童生徒だけでも約2万2000人。文科省の担当者は「必要な子に行き渡っていない。学校では教員の裁量が大きく、自治体単位でも温度差がある。普及に力を入れたい」と話す。
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インクルーシブ教育を進めるには工夫が必要です。ICT機器はその代表的なものです。人手だけでなんとかしようとしても、何ともならなかったわけですから、とりあえずは導入すればいいのです。しかし、学校は教師が良くわかってないとか、他の子どもと平等性が担保できないとか言ってサボタージュしてきました。
いくら共生を声高に主張しても、モノ・カネ・ヒトが投入されなければ絵にかいたもちです。このブログでは何度も主張しているように、自学自習がもっとも学習効果が上がるのです。ICT機器の導入に力を入れてほしいものです。