みんなちがってみんないい
自分が欲しかった言葉や、してほしかったこと
障害児の保護者支援の必要性訴え 倉敷のNPO理事長が本発刊
【山陽新聞】(2020年06月30日 14時34分 更新)
倉敷市を拠点に障害児の保護者を支援する認定NPO法人「ペアレント・サポートすてっぷ」の安藤希代子理事長(50)が、これまでの活動をまとめた「ひとりじゃないよ 倉敷発・居場所づくりから始まる障がい児の保護者支援」(吉備人出版)を発刊した。自閉症の娘の育児経験などを織り交ぜながら、障害児への支援に比べて注目されることが少ない親へのサポートの必要性を訴える。
「すてっぷ」は、発達障害などを抱える子を持つ母親たちが、同じ立場の者同士で支え合おうと2012年に発足した。保護者が立ち寄れるスペースとして、市内の民家を改装して「うさぎカフェ」を開設。週2回開き、来所者の相談や交流の場になっており、年間延べ千人以上が訪れる。
「ひとりじゃないよ」は、「自分のまちでも同じような居場所をつくりたい」と多くの声が寄せられたのを受け、「グループ立ち上げのヒントになれば」と、全6章を書き下ろした。特別支援学級の保護者会で、行事参加者の顔触れがほぼ同じだった経験から、出てくる余裕がない人にも支援の手を差し伸べたいと活動を始めた経緯や、福祉サービスをまとめたガイドブック作製などこれまでの主要な活動を紹介。団体設立や運営の参考になればと、資金確保や効果的な広報活動など、実務面のアドバイスも盛り込んだ。
安藤理事長は「障害のある子を育てる保護者は多くの不安を感じているのに、支える手は本当に少ない。多くの人に支援の必要性について知ってもらい、保護者の『居場所』が増える助けになればうれしい」と話す。
四六判、254ページ。1650円。全国の書店やインターネット通販で販売している。
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著者は、専門職ではないので専門家の視点から書かれた本ではありません。娘さんの子育てを通じて経験した、「試行錯誤」「紆余曲折」「七転八倒」の日々を振り返って、困難な子育てをしている保護者(とくにお母さん)を支えるための活動がまとめられています。平成30年の西日本豪雨災害で感じた「被災した障がい児の家族」についても綴られています。
著者自身は、娘さんも成人されて「いまだから振り返ることができるんだ」「あのころ頑張っていた自分を、自分で認めてあげたいんだ」と、書かれています。子どもが小さいころ、ママ友さんたちに負けまいと、相当に背伸びをして頑張って、意地を張っていたことも赤裸々に書いておられます。そして、「まだまだ渦中にいる方には、それ(客観的に自分を見つめること)はとても困難なこと、だからこそ、誰かがそっと見えるところにいてあげることが大切」だと述べます。
これは、障がいの有無に関係ないことです。どんな人も、日々の子育てや介護、看護の中で躓いたり、心が折れそうになったことがあると思います。けれども、時間がたつと、「きれいな美しい思い出」しか残らなくなって、自分もつらかったはずなのに、真っ最中の人に、うっかり「励ましの言葉」や余計なお世話やアドバイスをしてしまったり、そういう場面に出くわすことは良くあります。でも、自分が欲しかった言葉や、してほしかったことはそうじゃない…。この本は、それをすっかり忘れていたことに、改めて気づかされます。