2022年10月の記事一覧
しんどいの伝え方
先日、支援学校高等部のWくんのおやつを食べる手が止まりました。見るからに元気がなくなっている表情のWくん。職員が「大丈夫?」と声をかけると、Wくんは「しんどい・・・。」と小さな声で答えました。職員が「どうしんどいの?何かあった?」と聞いても、Wくんは「うーん・・・。」と言葉にできないようです。まわりがうるさいのかな?と考えた職員が「別室で休憩しようか?」と提案すると、Wくんは「うるさいわけではないし、嫌なきもちでもない。」と始めは答えましたが、「先生も一緒に行く?」と職員に尋ねました。職員が「行くよ」と答えると、Wくんは「じゃあ行く」と別室に移動しました。
別室に行き、座って休憩を始めたとき、Wくんは「紙をください」と職員に伝えました。職員が紙を渡すと、紙に言葉を書きだしたWくん。書き終わると職員に渡してきました。そこには「うるさいわけではない。気持ちがしんどいわけでもない。しゃべるのがしんどいほど体がしんどいことをわかってほしい。」と書かれていました。読んだ職員が「うるさいわけじゃないんだね。体がしんどいんだね」とWくんの気持ちを受け止めると、Wくんは頷きました。そして職員が差し出したお茶を飲んで、リラックスして過ごしました。帰る前に、「気持ちをわかってくれてありがとう」と職員に伝えてから、送迎車に乗って帰りました。
送迎車の中でも「さっきよりはしんどくなくなってきた。」と職員に伝えたWくん。「声を出して話をするのが面倒なくらい、さっきは体がしんどかった。」と、紙に書いて伝えたことを、今度は言葉でも職員に伝えられました。そして、Wくんがふと、「今日、学校でもしんどい時間があったけど伝えられなかった。声を出すのがしんどい時は紙に書いて伝えるといいんかなぁ。学校でも使えるかなぁ。」と言いました。職員は、「そうだね。話をするのがしんどい時はその手もいいかもしれないね。」と伝えると、少しほっとしたようでした。
Wくんが「紙に書いてみたらよかったのでは。」と自分自身で使える伝え方(気持ちの表出方法)に気付くことができたことに、職員はWくんの成長を凄く感じました。アンガーマネジメントでも言える事ですが、子どもたちが興奮しているときや困ったときなど何かを伝えたいときに、自分自身で気持ちの表出方法を身に着けているのはとても重要なことだと思います。Wくんが自身で気づけたことに習い、年下の子どもたちも身に付けられるように支援していきたいと思います。