2025年3月の記事一覧
「太秦映画村へ行こう!」
すてっぷでは、もう一人の卒業生がいます。小学生のCくんはすてっぷに通い始めて3年半。中学校に進学するため、すてっぷは卒業になります。
通い始めた当時から言葉をたくさん知っていて、友だちや職員と関わることが好きだったCくん。うれしいことや楽しいことを友だちや職員によく話していました。一方でイライラした時や嫌なことがあった時のコミュニケーションが難しく、勝ち負けへのこだわりや他人からの言葉を勘違いしたり注意を受け入れづらいこともあり、パニックになる事がよくありました。
パニックになった時はカームダウンできるようにしながら、感情コントロールなどのコミュニケーション課題に取り組んできました。友だちと落ち着いてやり取りする経験も少しずつ積んできたCくん。学年が上がり、年下の友だちが増えてきたこともあって、次第にコミュニケーションが取れるようになり、受け入れられることが増えてきました!
そして今年度、Cくんは小学生グループの最高学年になりました。同級生はいませんでしたが、1つ年下の友だちが多く、みんなで相談する場になると、5年生の友だちから意見が出てきます。ただ、ときには出てくる意見が「これしたい」「あれしたい」と対立し、なかなか決められないことが。そんなときはCくんが「こうしたらいいんじゃない?」と提案! みんなのまとめ役として、友だちをリードしました。
先日は友だち3人とすてっぷ最後のお出かけに太秦映画村まで行ってきました。職員が先導するのではなく後ろから見守る形で、子どもたちだけで映画村まで行く取り組みです。3回の事前学習に取り組み、時間や予算を考えながら、公共交通機関を使って映画村まで行くルートを検索したり、映画村のアトラクションや食事場所はどこに行くかを相談したりして計画を作り上げました。当日はすてっぷから最寄り駅まで徒歩。「こっちやでー」とCくんがリードします。駅からは調べたルートの1つで電車を乗り継いで映画村まで無事到着できました! 映画村では「どこから回る?」「みんなで相談してから決めよう」と提案するCくん。友だちは「Cくんが後悔しないように決めよう」と答え、相談してアトラクションの順番を決めました。いくつもアトラクションを回った4人。お昼は事前に決めた近くのうどん屋さんへ行きました。帰り道ではCくんはこの日めぐったアトラクションやうどん屋を一つひとつ思い出しながら「楽しかった~」と何度も感想を伝えました。無事すてっぷまで帰ってきた4人。Cくん、友だちと楽しいお出かけができてよかったね。ご卒業おめでとうございます。
ご卒業おめでとうございます!
2024年度もあと少し。卒業のシーズンがやってきました。すてっぷの高等部生2名も先日、支援学校で卒業式を迎えました。
AくんもBさんも、すてっぷができた当初から7年近く通ってきました。初めの頃はボールでいっしょに遊ぶこともあり、Aくんがてんで違う方にボールを投げると、「Aくーん」とBさんがたしなめるように言いながらボールを拾いに行ったものでした。ただ課題自体はAくん、Bさんそれぞれ違い、次第にすてっぷでのグループも別になって、自分の課題にチャレンジしていくようになりました。
Aくんは歩くことや食べることからのチャレンジでした。補装具をつけ、学校や家庭でも運動や訓練を行う中、すてっぷでもさんぽや食事に取り組んできました。車いすの手すりを持って体を支えながら歩き、ミキサー食やとろみをつけたお茶から始めました。今ではある程度重い自分のカバンを持っても転ばないようしっかりと歩くようになり、かむ力や嚥下の力が付いたことで、普通食や普通のお茶を食べたり飲んだりできるようになり、外食も楽しめるようになりました! 絵カードも近くで見ることで見分けがつき、何のカードか分かってスケジュール理解ができたり、絵カードを渡して欲しいものを伝えたりするなど、コミュニケーションの力も向上しました!
Bさんは手指の操作の苦手さがあり、また気持ちが崩れると切り替えが難しくなるといったコミュニケーションの課題もありました。ですが、自立課題で補助道具(ジグ)などの工夫があることで、自分で分かって出来たという経験を積むことができました。仲のよい友だちとの協力作業にも取り組んできたこともあり、苦手な手指の操作がある課題でも自分で工夫して取り組めるようになりました! またすてっぷでの友だちも増え、楽しい時間が過ごせるようになることで、前向きに向かえる活動も増えてきました!
2人とも、卒業後の進路が決まっています。AくんもBさんもこれまでつけてきた力を発揮して、がんばってくれると思います。次に会う時はどんな立派な姿を見せてくれるかなと楽しみにしています。ご卒業おめでとうございます!
「じゃあ、こっちだね」
前回「どうやって行く?」(2025/2/22)で紹介した小学生のJくん、Kくん、Lくん、Mくんの4人。池田市にあるカップヌードルミュージアムへのお出かけを自分たちで調べて計画しました。
いざ当日。少し曇っていましたが、雨の心配はなさそうです。前回子どもたちが1人1つずつ、自分で作った自分用のしおりを職員が渡します。今日のお出かけでは、職員が作った予備のしおりも持っていきますが、自分で作ったしおりをまず確認するように言いました。子どもたちは自分で書いたしおりを見て、もう一度経路の確認。「西向日駅まではどうやって行くの?」「俺が分かるよ」と相談してから、さあ出発です。Jくんが先導して、西向日駅まで歩きます。西向日駅から電車に乗る前に「次はどの駅で降りる?」と確認すると、Kくんが手元のしおりを見ながら、「長岡天神駅。乗り換えるから」と答えます。長岡天神駅で特急に乗り換えたあと、Lくんは次に降りる十三駅にいつ着くか気が気でないようです。電車が次のアナウンスをするたびに、「次は十三駅?」と友だちに確認します。「(車内の)掲示板を見ればわかるよ」と教えてもらい、Lくんは掲示板で「次の次が十三駅だね」と確認しました。十三駅に着く前にJくんが「(掲示板を)見て。宝塚行は5番ホームだよ」とみんなに教えます。4人はしっかり十三駅で乗り換え、池田駅に着くことができました。
池田駅からカップヌードルミュージアムまでは徒歩で行きます。経路を調べる必要があるのですが、改札口から出ると「地図がある!」と気づいた4人。改札口のそばの大きな地図で、「カップヌードルミュージアムあるよ!」と道を確認します。そしてそのまま南出口へ。ところが南出口からカップヌードルミュージアムまでの道が、さっきの地図から思い出せません。ですが慌てず約束通り、「先生、iPad貸して」と、Jくんは職員に伝えます。職員からiPadを受け取ったJくんは、グーグルマップで道を調べました。「わかりやすい目印ないかな」「あっちにコンビニあるよ」「じゃああっちかな」と歩き出すと、Mくんが「あっ、看板あるよ」と一番に気づきました。「じゃあこっちだね」と4人は無事にカップヌードルミュージアムへ到着しました。
カップヌードルミュージアムに着くと、Kくんが手元のしおりを見ながら、「集合場所を決めよう」とみんなに提案します。これも事前に確認していた約束の1つでした。集合場所を決めた4人。思い思いに見学した後、みんなでカップヌードル作り体験へ。オリジナルの絵をカップに書き、メニューを見て決めたスープや具材をスタッフさんに伝えて、自分だけのカップヌードルを作りました。その後も昼食のためやよい軒に行くときはJくんが地図を見て、Mくんが飲食店の並びからやよい軒を見つけるなど、みんなが活躍しながらお出かけの行程を進めていきます。帰りの時間も意識して、予定よりも1つ早い電車に乗って帰ってくることができました!
じゃんぷに到着後、作ったカップヌードルを見せ合いながら振り返りをした4人。自分で道を調べたJくん。しおりをしっかり確認して提案できたKくん。次の場所を意識し友達と行動できたLくん。友だちと一緒に道を探しながら目印に気づけたMくん。4人ともが自分の力を発揮して協力しながら、自分たちだけで池田市までのお出かけをすることができました。4人とも、本当に素晴らしかったです!