2021年12月の記事一覧
今年もご利用ありがとうございました!
「数年に1度」の強い寒気が流れ込んだ影響で、27日も日本海側を中心に雪が降り続きました。滋賀県彦根市では積雪が平年のこの時期の約36倍となる73センチを記録するなど、近畿北部や山陰で記録的大雪となって閉鎖していた名神高速道路は先ほどやっと解除されたそうです。事業所送迎車は冬はスタッドレスタイヤにいつも履き替えています。開設4年目でやっと日の目を見るかと思われましたが、本日まで雪はちらついたが積雪量はゼロということで空振りです。しかし、積雪があると、そもそも周囲の車がノーマルタイヤですから送迎車だけが雪タイヤを履いていても、衝突の危険率は高まりますので降らないに越したことはありません。
今年も無事に最終日を迎えました。今日は大掃除ですから子どもたちには早く帰宅してもらいます。昨年は、小学生卒業後の行き場がないのでじゃんぷを作ったけど、思うように利用者が増えないとぼやいていました。お陰様で1年たってやっと人件費と収入がバランスするようになってきました。新しい事業所の内容について理解してもらうには時間がかかります。高学年以降の学習障害のある子に自学自習ができるように支援していくためには、まず自分の力で通所してほしいというのが条件なのですが、「送迎があればいけるけど」という答えが返ってきます。自分で選び自分で決めるというのが高学年以降の子どもにとってはとても大事です。もちろん、選ぶものを紹介してあげたり背中を押してあげるのは家族や関係者の役割です。
低学年の時期は、行けば楽しいことがまず重要です。でも、その楽しさですら、長続きする楽しさや仲間で共有する楽しさを得ようとするなら、学びが必要です。それは暗黙の了解や常識という通常は見聞きできない約束事や、相手の心の動きが見えにくい子どもたちにとっては、前もって学んで取組んでみることが大事です。私たちが、子どもへの予告や約束、交渉や契約が大事だと言う所以です。そして、約束通りできたことは何度でも賞賛されたりご褒美があり、皆と楽しく過ごす体験を積み重ねていく中でこそ、本当の楽しさを知れるのです。その中で最も必要なスキルは表出コミュニケーションです。自分の欲しいものややりたい事が他者に表現できないと、交渉が成り立ちません。大人が決めつけたり押し付けたりしている約束は、自分の目的とリンクしていないので、約束はいつまでたっても本物にはなりません。交渉が成立して自分の目的も達成させる中でこそ約束=真の社会性は身に付きます。
そんなことを、あぁでもないこうでもないとブログに掲載し続けて、なんとホームページの閲覧者は、1千万ビューを超えた7月から半年で500万ビューを増やして、1千5百万ビューを超えました。これは、毎日3万回の閲覧を得ていることになります。兼好法師の徒然草の冒頭のように、「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」風なブログなので、読みづらいし論理が一貫していないものもあったかと思います。そこは徒然草の冒頭の最後「(思わず熱中して)異常なほど、狂ったような気持ち」になっているのだとご理解いただき笑っていただけたらと思います。2千万ビューはこのままいけば半年後の予定です。ではみなさん、良いお年をお過ごしください。
読み書きのアセスメント
先日AさんのKABCーⅡ検査と発達性読み書き障害をスクリーニングするSTRAW-R検査を終えました。KABCーⅡ検査をしたのは、ご家族から進路にむけて知能検査面から説明を受けたいというご要望があったからです。認知面だけ検査するWISCーⅣと違いKABC-Ⅱは学習到達の状況も把握できるので、学習状況が正確に把握できない学校以外の施設で実施する検査に向いています。
そこでわかったことは、【認知総合尺度】と【習得総合尺度】はどちらも通常レベルとの境界域にありバランスが取れていることでした。詳細に見ると法則性を掴んだり吟味して推理する計画尺度が本人の平均値より低いことや、一般知識が少ないことでした。認知力の割に、学校での学習が、よく言えば無理をしていない事なのですが、理解できそうな事が教えられていない事が気になりました。おそらく支援学級在籍で教えられなかった事が多かったのではないかと思われます。
或いは、読み書きを中心とする普通の学習アプローチでは教えにくいことがあったのかもしれないと思います。そこで考えられるのは、興味の限局やこだわりによって新しいことを受入れにくかったか、文章がすらすら流暢に読み書きできない事が学習性無力感を作ったか、またはその両方があったと思われます。これを探る必要があったので、STRAWーRでスクリーニングをしてみました。すると流暢性かなり低く、RAN(rapid automatized naming=音読の自動化速度)課題が低学年並みの速度しかないことがわかりました。
おそらく、Aさんは音読は辛うじてできるけど読む速度が遅く、自分で読むには相当のパワーを必要としているのかもしれません。つまり、読書をするととても疲れてしまい意味を掴んで興味を持つところまで行きついていなかったかもしれないのです。もちろん、特性によるこだわりの線も捨てきれませんが、読みに問題がありそうなことは分かってきました。特支級に入ると勉強できない理由が、知的な遅れが原因とされやすく、適切な学習アプローチが明らかにならないことが少なくありません。まだ、はっきりわかったわけではありませんが、丁寧に検査返しをしていこうと思います。
興味本位
小学生二名と公園からの帰り道、Xさんが「質問しあいながら帰ろう」という事になりました。おそらく、Xさんは新しい職員のY先生の身上を知りたかったのだろうと思います。「え~っと、好きな食べ物は?」「プリン」「焼肉」「もみじ饅頭」などと「へー」を繰り返しながら楽しく帰りました。ところが、Z君は聞かれてもいないのに、好きな漫画のキャラクターの話やらを延々とするのでXさんが「Z君!」とたしなめました。
「あのね、これはZ君の興味のあることを説明するんじゃないの。一人ひとりが質問に対して、簡単に応えていく場なの。わかる?」。Z君はそうですかと頷きながら、また自分の番が回ってくると「なんで好きかと言うと・・・」と説明を始めるのです。Z君は人の趣味にはほとんど興味がないのですが、自分の興味のあることはみんなに説明したくて仕方がないのです。
Z君は来年中学生です。彼の町では市内の公立中学校が選べます。彼は将棋クラブに入りたいのですが、近所の中学校二つには将棋クラブがないので困っているとのことです。だったら、地域の囲碁将棋クラブもあるから無理して将棋クラブだけのために遠くまで通学しなくてもいいよと伝えていますが、彼の関心は通学距離よりも将棋なのです。また、Xさんに「あのね」と説明してもらおうかな。
大縄跳び
子どもたちに大縄跳びを取り組んでいます。W君は跳べるには跳べるのですがどんどん右寄りになっていくので回し手の職員も右へ右へと移動することになり、それに気づかなかった後ろの子どもたちが引っかかてしまって、全員で回数が稼げない問題が生じています。どうすれば、W君の右傾化を修正することができるのか考えてみました。
W君は空間認知が悪いと言われています。乗ってきた車の位置を覚えられなかったり、大好きなPCのキーボード位置がなかなか覚えられないなどがあります。他にも、毎回送迎車の右から乗降するのに運転職員の動きにつられて左側に来てしまうことです。これは多分空間認知だけの問題と言うより、動くものに過剰に反応しやすくそちらを見てしまう癖が強いのだとも思います。
下手なスキーヤーは木や崖など行ってはいけない危ない方を見てしまうので、どんどん危険な方へ吸い寄せられるように進んでしまう現象と良く似ています。論理派のW君にはこの動きをビデオで見てもらい、自分が回る縄の方向を見ていることを確認してから、人は見たほうに体が向くのでそこに移動しやすいという理屈を教え、縄は見ないで正面を見ることで練習してみようと思います。乞うご期待。
冬休みに、良質の睡眠が得られるように
支援学校では冬休みが始まりました。多くの生活型放デイは冬休みの子どもたちの適度な運動保障や社会性が発揮できる場を用意するために朝から営業をします。今日も朝からお天気で子どもたちは西山や公園へ出かけました。風はすこしあるけれど、お日様が当たっている場所はそんなに寒くはありません。日光を浴びることで、体はセロトニンを作り出し、夜には睡眠ホルモンのメラトニンに変化させると言われています。夜中にぐっすり眠れるように子どもたちは昼間はしっかり活動するようにしていきたいと思います。
V君は睡眠がうまく取れなくて、昼夜が逆転しがちな子どもです。ASDの子どもの中には睡眠障害のある人が少なくありません。朝早く起き出しているので昼食後は眠くなり学校で眠ってしまったり、事業所への送迎車の中で眠ってしまったりします。そこで、V君を担当している職員によって眠ったV君を起こすべきか眠らせておくべきか意見が分かれます。今寝かしてしまうと、良質の睡眠ができず寝たり起きたりで生活リズムが作れないので起こそうとする人と、眠いのに起こすと機嫌が悪くなって指導者との関係性が崩れるので起こさないと言う人です。
どちらにも一理ありますが、現実は、昼寝れば夜寝るのは遅くなり家庭で明け方近くまで寝ていられるという家族のニーズがあります。ASDの睡眠障害は短時間しか眠れないという子どもも多いようです。そんな場合に家庭で早く寝かしてしまうと夜中起き出して、家族が眠れないという場合が少なくありません。睡眠不足は健康破壊の原因ですから、家族の健康を優先するには、短時間しか寝てくれないV君が真夜中に起きないように、遅くまで起きていて欲しいのです。
V君の家族の願いは、V君も同じように朝まで眠ってほしいことですから、昼間に眠らせておくのも、家庭全体の健康を守るという対症療法としては仕方がないのかもしれません。子どもが夜中に起きてしまう、眠ってくれないと言うのは保護者にとってはつらいものです。ただ、だからといって療育機関である放デイがV君の休憩所になっていいものかどうかは、とても迷います。私たちにできることは、できるだけ外に出て日光を浴びて体を動かしてセロトニンの産出を促し、それを原料にメラトニンを増やし、良質の睡眠が得られるように努めることしかないようです。それでも事業所で眠ったときは家族の健康も配慮してケースバイケースで考えて行こうと思います。