すてっぷ・じゃんぷ日記

大人から逃げ出す子

Pちゃんが、公園で最近大人の顔を見ながら逃げようとするそうです。Pちゃんは前にも行方不明になったことがあり、安全のために目が離せないのでマンツーマンの体制にしています。以前の事は、自分の行きたいところがあって勝手に出て行ったというのが理由ですが、今回は「逃げますよ」と大人の顔を見ながら気を引く注意喚起になっているところが違うと言います。

子どもがその場から逃げていくのは、その場が面白くない、飽きた、退屈だと言うのことでしょう。気を引きながら逃げていくと言うのは、追いかけ遊びの期待かも知れないし、大人が驚く顔が面白くて、やり続けているのかも知れません。そして、根本的な原因はPちゃんがいなくなるかもしれないと言う不安から、大人がべったりついてマンツーマンでいることがこうした注意喚起行動の原因ではないかと話し合いました。

もちろん、どこかに行ってしまっては危険なので目は離せませんが、そうなると職員とPちゃんだけの関係になってしまい、息が詰まりそうです。公園には他の仲間たちも来ており、この人たちもお話が出来ず障害の重い子ども達もいますが、別に一緒に遊ぶことが嫌いなわけではありません。お互いにボールを転がし合って遊んだり、手をつないでくるくる回ったり、パラバルーンを持ってきて遊んだり、ロープでつながって電車ごっこをしたり、遊具遊びでつながって遊んだりと一緒に遊ぶ中身はいくらでも考え付くはずです。

ところが、マンツーマンの体制を作ってしまうと、この子は私の担当だからと子どもとの距離が縮まって子どもの側からすれば息が詰まるような関係性になってしまいます。不思議なもので、そんなに息苦しいなら逃げだしてしまえばいいのに子どもはそうはしません。逃げるふりをしては追いかけて来いと誘うのです。つまり、閉じた関係性の中で遊ぼうとするのです。大人は「こらこら」と追いかけます。逃げるよと振り返る注意喚起行動はこうして強化されていきます。

マンツーマンが必要な子どもであればあるほど、子ども同士の関係性を意識して作り出す必要があります。皆と一緒にいれば楽しいことがある。この遊びはみんながいるから楽しい。という経験が蓄積される中で子どもの関心は大人よりも仲間に向いていきます。大人方逃げ出す子にはお友達が見えていないのです。楽しい遊びの経験ができるように、大人も担当の子どもの方ばかりを向くのではなく、他の職員と一緒にみんなで遊ぶ楽しさを演出することを大事にしていこうと話しています。