計算とワーキングメモリー
S君が朝から「俺、宿題するわー」と冬休みの宿題を始めました。分数の加算です。通分の意味は分かるのですが、分母を同じにする最小公倍数を見つけるのに時間がかかります。これはワーキングメモリーの問題です。頭の中で簡単な計算をしたり短時間記憶しておく機能をワーキングメモリーと言いますが、これは人によって計算回数の能力が違ったり記憶しておく単語量が違います。
小学校の場合、大きな数字は出さない代わり暗算で解を求めさせようとします。もちろん仕組みを教えるときに書き出して理解させようとしますが、実戦は暗算です。こうなるとワーキングメモリー量がものを言います。なので、暗算の苦手な子どももは書き出せばいいのです。
また、公倍数の意味さえ分かっていれば、たくさん課題を出さなくていいのです。課題をたくさん出すのは、トレーニングによって暗算が早くなるようにという訓練的な考え方からですが、ワーキングメモリーの少ない子どもは、やってもやっても早くならないし時間だけがかかり苦行でしかありません。学校の担任は、ワーキングメモリーの実態を把握してトレーニングで暗算が早くなる人かどうか調べてからにしてほしいものです。
S君には「ゆっくりやればいいよ。インターバルで少しづつやろう」とは言っていますが、量が多すぎます。意味が分かっていて暗算が弱いなら量は求めない配慮が大人には求められます。
公約数・最大公約数は『連除法』を用いれば楽に求められます。要は、連除法をして外側の数をすべてかければ最小公倍数となり、最大公約数は縦をかければいいのです。こうして書いて公倍数・公約数を見つけるのは時間がかかりますから、量を減らして意味をつかませながら計算をさせます。その方が、今後難しい問題に出会ったときに絶対に役に立つのです。