アセスメント
支援で最初に重要なものはアセスメントです。医療でも診断がまず大事です。どこが痛いのかまず調べます。頭が痛い人に消化薬を処方したり、腹痛の人に頭痛薬を出さないのは当たり前です。ところが、教育や福祉の現場ではそれがちょくちょくあって、悪意はないがいつまでも頭痛の人に消化薬を出し続けていることがあります。この間違いの多くの原因は教条主義とアセスメントを動的に捉えられないPDCAサイクルの欠如です。
K君は表出のコミュニケーションが弱いと言われてきました。ASDの人ならある程度言語がわかるのに不適切な行動をしている場合は、まず表出のコミュニケーションの弱さを疑います。それで大体の子どもはアセスメントOKですが、うまくいかない場合があります。表出を支援している場所なのに不適切行動が減らない時や、他の生活場面では不適切行動がないとするなら、表出以外に何かあるなと考えてこれまでのアセスメントを疑ってみます。
課題が難しい、生活がつまらない、褒められることが少ない等が考えられます。しかし、どんな子でもそんなに自分のことは分かってはいません。ですから、「自分はOK」と思える生活かどうか、「好きなことがある」のかどうか、「君なかなかやるね」と褒められる人がいるかどうか等をトータルに見直す必要があります。また、弱いところだけに着目した療育は必ず失敗します。必ず強みや得意なこと楽しいことと組み合わせて実施できているかも重要です。K君の生活を見渡せるほどの放デイの利用回数がないので分析は難しいのですが、定点観察をしながらアセスメントをすすめたいと思います。