発達検査
Zさんが今日も漢字に苦しんでいます。見ると中学年の漢字のドリルです。1学期も半分が過ぎ、どんなに資料がなくても、もうそろそろ子どもの事がわかってきていいはずです。特に学力は認知面と連動しており、検査報告があればどんなにポンコツな検査報告でも出来不出来の報告で察しが付くはずです。
ブロックデザインと言って立方体の6面の色形が違う積み木を4つ組み合わせて平面モデルと同じ模様を作る課題で、斜めの構成が難しいと書かれています。ひし形模写も歪み、人物完成も片方に書かれている耳や頭髪を見落として描いていません。漢字は斜めの構成や左右のバランス、全体を見渡し細部までの模写力が問われる課題です。発達検査では例えばこのように学力が何故つかないかが推測できるのです。
また、漢字書字の困難の背景要因の8つのタイプに分けることができ、①視覚記銘力の困難 ②図形構成力の困難 ③書字の継次処理能力の困難 ④手指の不器用さ ⑤全般的な知的機能の困難 ⑥注意力の困難 ⑦発達性読み書き障害の症状 ⑧発達性Gerstmann症候群の症状と様々な原因がわかっています。
ところが学習は積み上げだと信じて疑わない教師は、こうした視空間認知のことが理解できないので、1年の漢字の次は2年と進めたがるのです。せっかく検査をしたのに実際の現場で何の役にも立っていない検査は少なくありません。通常学級の教師ならまだ仕方がないにしても(発達心理学は教員養成の必修ですが)特別支援教育についている教員がこれでは困ります。しかも、その検査が部署は違うにすれ、同じ学校で実施されているとすれば信用問題ですし、何よりZさんが検査で頑張った努力が水の泡です。