すてっぷ・じゃんぷ日記

タグ:体験

「え~! それだけの違いで?」

 夏休みに入り、すてっぷやじゃんぷではさまざまな場所に社会見学に行っています。先日もじゃんぷで防災センターにお出かけしてきました。

 最初はいろんな電話を使って通報体験ができるコーナー。今時はあまり見かけない公衆電話や、お家によってはないかもしれない固定電話があります。大事な勉強ではありますが、子ども達は一通り体験はしてみるものの興味なさげ。そこそこにして、次のエリアに行きました。

 次のエリアは実物大の防災ヘリコプターが中央にあり、四方にさまざまなコーナーがあります。その一つにゲームセンターにあるようなゲーム筐体が置いてありました。中身は消防士になって火を消すゲームや、防災に関わるアイテムを集めるゲームです。一人が遊び始めると自然と全員がそのコーナーに集まりました。他のコーナーに行ってほしいという大人心を少し抑え、「あと10分したら次のコーナーに行くからね」と予告し、順番交代で遊ぶ時間にしました。順番を待つ、次の人に譲るといった社会性の課題にもチャレンジ。1回ずつ遊べると、ほとんどの子は次のコーナーに移っていきました。

 それからは、防災ヘリや消火器、地震などさまざまなコーナーで体験してきた子ども達。子ども達が体験して驚いたことの一つが、水害時の自動車の中を再現したコーナーでした。そこでは車内からドアを開けようとしたときに、浸水時だとどれだけの力が必要か、実際にドアを押して体験できました。30cmの浸水だと、子どもの力でも軽く開けられます。ところが40cmになると力いっぱい入れてなんとか開きますが、50cmではまったく開きません。大人でも開けないほどでした。その後、ドアと比較できるように描かれている水の高さを見て、「え~! それだけの違いで??」と驚いた子ども達。実際にドアの重さを体験することで、少しの差でそんなに違うのか、と印象深く感じたようでした。

 子どものときの体験というのは、学習を始め、大人になっていく中でのさまざまな学びにとって、とても大事なものになります。例えば上記の体験でも、水圧という学習をする上では、とても重要な気付きになります。またそういった経験を大人がいっしょにしたり、別の場所で経験してきたことを話しておいたりすることで、子どもが学ぶ場面で思い出させたり共感することでより気づきを深めたりすることができます。体験や気づき、共感を大事にしながら、子どもの成長の機会をたくさん作っていきたいと思います。

「怖くないよ」

 すてっぷでは2月までに、ありがたいことに多くのお子さんが体験に来られました。今年は近隣の児童発達支援事業に通われている方にも来ていただき、グループ体験を学校時間中に行いました。普段過ごしている利用者がおらず、またいっしょに児発に通っている友だちもいる中で、比較的スムーズに体験に参加できたお子さんもいらっしゃったかと思います。
 一方で個別に体験を希望された方は、放課後の利用者が過ごしている時間に体験に来ていただきました。普段の施設内の様子も見ていただけるので、自分がその場で過ごす姿や環境をよりリアルに感じていただけると思います。ただ、自分の知らない子どもや大人が多いという状況は、体験されるお子さんによってはより緊張が増してしまうかもしれません。先日、体験に来ていただいたお子さんも、見てわかるほどに緊張されていました。そんなときに頼りになるのが、いっしょに体験に参加するすてっぷのメンバーたちです。
 この日、いっしょに体験に参加したのは、小学生グループのRくん、Sくん、Tくん。3人とも同じ学年で、すてっぷに来始めて2年ほど。この半年ほどで、それぞれ違う形ながらも、リーダーとして引っ張ったり、役割を果たそうとしたりするなど、上級生としてのがんばりを見せてくれるようになってきました。この日いっしょに取り組んだ遊びは「ワニワニパニック」。普段は職員がワニを出して、子どもがピコピコハンマーで出てきたワニを叩き、叩けた回数を競う遊びです。この日はワニを出す役、タイマーで時間を測る役をメンバーで役割交代することに。さっそくRくんがワニを出す役になり、Tくんがタイマーで測る中、見本を見せるSくんにワニを出します。するとRくんは自分から、ワニを出す時にワニの声を出したり、出す動きに変化をつけたりするなど、遊びをより盛り上げる働きかけをしたのです! 見本が終わり、次は体験の子が叩く番に。ですがやはり、とても緊張しているようです。それを見てRくんはSくんやTくんに「知らないとこに来たら緊張するよな」と共感を求めます。そして体験の子に「怖くないよ」と声をかけました。 それを聞いて体験の子も無事に遊びに加わることができました!
 その後、SくんがTくんに「ワニを早く出していい?」と遊びを盛り上げるなど、最後まで楽しみながらいっしょに遊んだ体験の子とメンバーたち。体験の子は笑顔で帰っていきました。もうすぐ新年度。最高学年のメンバーが卒業し、新1年生を含めた新規利用のメンバーが数名ほど入ってくることになります。この3人は次期高学年のリーダーとして、年下のメンバーたちを引っ張っていってくれることでしょう。メンバーたちが持ち前のリーダー力や優しさを発揮できるよう、普段の支援を積み重ねていきたいと思います。