今日の活動
タイムタイマーは魔法の時計ではありません
ASDなどの発達障害の子どもの中には、次の行動にスムーズに移ることができず、無理に移行させようとしても頑なに拒否したり、時にはパニックに陥ったりしてしまう場合があります。そんな時有効なのが、ABA(応用行動分析)でもよく使われるカウント10予告の声掛けです。例えば、ゲームをなかなか止められない子どもに対し「あと10秒でゲームを止めれるかなあ? はあい。10 9 8 7・・・」と数を数え始めると、0になるまでに何とか終わらせようと結構必死になってくれる子が多いです。
数を理解し数えられる子どもですと、「10 9 8 7・・・」と自ら数を数えることができとても得意気になってやってくれるようになります。子どもが10秒以内に行動できたら、大人はすかさず「凄い!10秒で消せたね!」と思いっきり褒めてあげるのですが、これを何度も繰り返していると徐々に慣れ、カウント10方式を楽しみにしくれるようになってくれます。
また、普段からこのカウント10方式や、或いはタイムタイマーで時間の区切りを習慣化すると、より効果的に活用することができます。「10数えたらテレビを消します」「あと30秒でお風呂から上がります」などと言いながら一緒に、「1・2・3・4・5・・・」と数えていきます。数を一緒に数えることで、時間だけではなく数の概念まで理解する機会を提供することとなりますので、このカウント10は生活のあらゆる場面で利用できる支援方法の一つです。
ただ、タイムタイマーは魔法の時計ではありません。タイマーの使い方ではスタッフの間違いをよく見かけます。タイムタイマーは子どもに触らせてはいけません。時間を待つ概念がない子どもは、針を勝手に戻してしまうことがあるからです。これは悪気があるのではないです。針がここにきたらアラームが鳴って、次のことができると理解するからです。幼児のASDの子どもは必ずこれを注意しないと二度とタイムタイマーが使えなくなります。
まずは、数秒待つことから教え、少しづつ時間を伸ばして褒めていく取り組みが必要です。タイムタイマーが使えなくなったら、タブレットでもたくさんアプリが出ていますから触れないようにして教えていきます。タイマーがあるから子どもは時間を守るのではなく、時間が守れたら褒めてもらえ好きなことができるからタイマーを受け入れて学ぶのです。子どもを管理しようとして、安易に長い時間(幼児なら5分でも長いです)を設定したりしてはいけません。
遠回しの言い方
「あたし、ちょっと気分が悪くなってきたわ」とRさん。S君らとゲームをしていて、S君がズルばっかりするので「みんなが気分悪くなるよS君」と遠まわしに表現します。二人とも5年生ですが、S君にはちっとも通じません。この社会性の開きはいかんともしがたいです。はっきり言わないと通じない男子と、はっきり言うのは幼稚な人間という価値観が芽生える女子のコミュニケーションの食い違いは、苛めの原因にもなります。性差は身体だけではなく心の理論の発達にもあるということを男女で学ぶ必要があります。そして、いいところを学び合う集団生活にしたいものです。
コンビニ作戦
以前「コンビニでお買い物 03/19」 でワーキングメモリーの弱さを支援する必要性を書きました。今回はその決行日となりました。Zさんには、スマホでコンビニのホームページからお弁当のメニューを見てもらい、何を買うか選んでもらいました。選んだ「スパゲティーナポリタン」をメモ用紙に書き写し(本当は絵カードが良い)Zさんに渡しました。
メモを握りしめたZさんは、コンビニにスタスタ入ってわき目もふらずにお弁当棚のスパゲティーナポリタンを選びレジに向かいました。本人が選択することを大事にし、視覚支援を行うという二つのことのうち視覚支援は完全にはできませんでしたが、文字のメモを握りしめて行くことで選択時のエピソードが想起できたのだと思います。
後日談、本人はよほど自分で購入できたことがうれしかったのか、帰ってきてそのメモを家の人に誇らしげに見せて回ったそうです。
優しい気持ちは伝染する
以前、高学年のE君が仲立ちして、低学年に関心がないと言われていたRさんとP君をマイクラで仲良しにしてくれました。P君はRさんと遊びたくて仕方がありません。RさんもまんざらでもなくP君を目にかけてくれています。P君は今日初めての公園デビューです。Rさんを頼りにしていて遊びたくて仕方がありません。
同級生のO君が、Rさんを追いかけてきたので、P君はO君がRさんに危害を加えているかのように思っています。帰りの振り返りの時間に、Rさんが「あれは鬼ごっこだよ、誘えば一緒に遊べたのにね」。P君にやさしく説明するRさんの姿に感心しました。
やさしさは、伝染するものです。P君がぽつりと言いました。「O君、帰りに車の前席に僕が乗っていたからしょげていて、かわいそう」と言うのです。この優しさの伝染の始まりはE君でした。ミルクボーイ風に言うと、こうした伝染なら、「こんなん なんぼあっても良いですからね」。
公園から帰って来られたね
新入生は、まだ様子がわからないので、すぐに外に連れ出したりはしません。でも、今日も窓枠に登っているOちゃんを見て、狭い部屋では可哀そうと公園に遊びに行きました。Oちゃんはお帰りの時間にまっすぐ帰ってこれるかが心配でしたが、おやつだよと誘うとさっさと帰ってこれたようです。昨日は、これまでの療育支援がお弁当までだったからか、ここでもお昼帰りと誤解して大混乱でしたが、今日は一日スムースに過ごせご機嫌っだようです。
早く帰りたい!
ニューフェイスに新1年生のNさんOさんがやってきました。Nさんスプーンで自分でご飯食べるのとても上手です。Oさんが課題が終わってお昼になると自分のかばんからお弁当出して「いただきまーす」。グッドジョブ!自分でできることがたくさんあります。
でもNさんOさんにしてみれば、今日は、兄さん姉さんたちの騒がしい部屋でいきなり6時間も過ごすの大変だったと思います。せめて絵カードではなく写真スケジュールくらいは示せばよかったです。Oさん何度も脱出を企てたけど阻止されて玄関の前で怒っていました。療育施設ではお昼食べたら帰るルーティンですから、Oさん自分でかばん背負って「なんで帰れへんねん!」って怒るの無理ないです。なんとか視覚支援の方法考えてみます。
1年間ありがとう!そしてこれからも!
とうとう令和元年度最終日です。すてっぷは2歳を迎えました。皆さんの応援と信頼の上に成り立っているこの事業の初心に戻ってこれからも精進したいと思います。
ただ、人が作るものには誤りや間違いがつきものです。間違いのないモノなどありませんが、重要なのは、間違いに気付いて前を向けるか、子どもと保護者と、この地域のために貢献を持続させようとするかどうかです。
皆さんの叱咤激励を燃料にして3年目を踏み出します。
折り合い
L君は言葉のないM君が自分によって来るので、いつも「あっち行ってよ。俺は○○と遊んでるの!」と怒鳴っていました。そのたびに「自分がそんな風に言われたらどんな気持ちになる?」とスタッフにたしなめられるのですが、「だったら、俺の気持ちはM君に分かってもらえるの?」「俺だって気持ちよく遊びたい!」と反撃します。
様々な特性を持つ子どもたちが一緒に遊ぶのは、なかなか難しいものです。スタッフに忖度ができる子どもなら黙っていることを、L君は喋ったにすぎません。どうしたらうまく付き合えるかは、一緒に暮らす中で少しづつ学んでいくものです。
公園で遊んでいるとき、M君がボールを追いかけてL君たちのエリアに入ってきました。「M君!ボール向こうに転がすよー」とM君のボールをエリア外に転がしました。M君はそのボールを追いかけてエリア外に行きました。出て行けと怒鳴るのではなく、L君なりに折り合いをつけた行動だと思います。
ゴールボール遊び
盲人スポーツでもあり、ユニバーサル(誰でもできる)スポーツとしても普及しているゴールボール遊びをしました。
ゴールボールはご存じの方も多いように、最近オリンピックパラリンピックの風を受けて盛んになってきたスポーツです。ロンドン2012パラリンピック大会で女子チームが金メダルを獲得してから知られるようになりました(前回のリオでは5位)。すてっぷには盲学校に通っているKさんもいるので、鈴入りボールとアイマスクを買ってゴールボールもどきに取り組んでいます。Kさんもこの遊びは俄然元気に取り組みます。
と言っても、うしろにゴール用の段ボール箱を並べて、シューター一人VSキーパー一人で戦うチーム戦です。ちょっと部屋が狭いので、思う存分とは言えませんが、少しでもパラスポーツに親しんでくれたらと思っています。
友達に教える
J君、クッキーづくりで俄然張り切って友達に教えています。調理活動は基本的には手順書があるので自分で作るのが課題ですが、今日の手順書はレシピに文字情報が多くてみなさんてこずっていました。J君が特に文字が読めるわけではないのですが、写真情報を頼りにみんなに教えています。人に教えることなんかめったになかったのにすごいなーJ君。
でも甘いもの好きのJ君のお口には合わなかったようで、「一つでいいです」とのこと。代わりに甘いもの嫌いのK君が、最初は「甘いもんはいらん」と宣言してたのに、マイルドな甘さが気に入って全部食べてしまいました。