すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

行こうか行くまいか 揺れる心

Y君がゲームをしているときのことです。ゲームのルールにあれこれ注文を付けたり自分の順番を決めたり要求は多いのですが、はたと自分の順番が回って来るとしり込みして「アトニスルー」「ヤラナイ」と引いてしまいます。

子どもの価値観にも発達段階があり、「できる」「できない」に非常に過敏な時期があります。「できるようになりたい」「うまくなりたい」という願いが強くなる時期は、裏返せば周囲の注目が集まったりすると「できないかもしれない」という不安が大変高まる時期でもあります。やがて、小さな成功体験を積んでいくと「もうちょっと、もうちょっと」と自分を励ます力がついていきます。そうすると「まぁまぁ」という中間の評価が受け入れられるようになっていきます。

やってもやっても達成感がない高すぎる課題にさらされていくと、「できないかもしれない」思いが強くなります。「おしかった」「もう一息」の体験を重ねることで、「できるかもしれない」気持ちが育つと思います。

 

フラッシュバック

X君がしくしく泣いています。どうしたの?と聞くとPECSで「悲しい」「泣いています」と叙述のフェイズ6でしっかり応えてくれました。ただ、原因が思い当たりません。PECSのフェイズ6は叙述ですから、「なぜですか」にも対応はしていますが、ASDの彼にそこまで深掘りして叙述を求めることはないので応えてはくれません。

ただ、これと言った理由がないのかもしれません。感情のスリップ現象とかフラッシュバック現象などと表現されますが、言葉のある高機能の人でも昔感じた負の感情が何かの拍子にわっと押し寄せることがあるといいます。それは酷くいじめられたり、嫌な事や意味の分からないことを強く押し付けられた時の感情だと言います。従って、周囲の人は、そっとしておくしか方法がありません。

「悲しいです」とPECSで教えてくれたX君は、今日もやっぱりトイレで気持ちを切り替えてから、10分後鼻歌を歌いながら帰りの車に乗り込みました。

 

消費税電卓活躍中

本日は、祝日なので昼食をはさんでの休日活動です。お弁当を持ってくる子や、近所のコンビニでお弁当を買う子もいます。小学生は、ほぼ500円以内の1品で済むのですが、高校生となると良く食べるので、「1000円まででお願いします」と連絡帳に書いてあります。

W君は支援学校の高校生です。先日は、消費税分がわからなくて1000円オーバーだったので、今回は消費税電卓を練習して万全の態勢で臨みました。お弁当と200円おにぎり!!の価格を足して消費税ボタンを押して1000円以内で収まりました。

GO TOトラブル?

今年は、近隣に遊び場にできる水場がありません。昨年は重宝した、長岡京市のじゃぶじゃぶ池も閉鎖中です。Go To トラベルと山へ海へと政府が誘っているのに、各自治体の公園課の頭の中は感染源になったら困る、クラスター化したらどうしよう、ということばかり考えているのでしょうか。ちなみに亀岡市は亀岡市民のみ亀岡市立プールに入れるそうです。亀岡市長偉いです!

警戒が必要なのは70歳以上のお年寄りであって、0歳から30歳までの人の中では28歳の力士を除いてみな軽症で完治していますし、そもそも無症状の方がはるかに多いのです。感染のリスクは極めて低い子どもたちなのですから閉鎖することはないと思うのです。これでは遊び場のGO TOトラブルです。どこか涼しい水場はないものでしょうか?これでは子どもの楽しい夏の思い出が半減してしまいます。

 

リモートで勉強会

PECSについてレベル1の研修は受けたけど、それっきりマニュアルを開けて読んだことがないという人は少なくありまあせん。なにしろPECSのマニュアルはA4版で400ページ、厚さ2cm程あって2kgほどなので重くて持ち歩くのが苦痛な代物です。その結果、どうしても本棚の奥へ奥へと鎮座させてしまうことになります。できれば、PDF版とかkindle版になって、お見本の動画も添付されるマニュアルになってタブレットPCに収まればありがたいのですが、それはまぁピラミッド社にお任せするしかありません。

そんなわけで、マニュアルなんか最初から最後までまじめに読んだことがないという人も含めてzoom読書会をすることになりました。主催は京都PECSサークル、読書会の座長はPECSマニュアル監訳者の門眞一郎先生で、20人程度のメンバーで毎週月曜31週に分けてリモート研修で開催されます。すてっぷからも保護者の皆さんやスタッフが参加しています。読書会は、少しづつ読み進めて、切りのいいところで参加者の質問や意見を交流するというものです。機会を見てまた報告できたらと思います。

 

週間熱中症情報

今週は、明日明後日の厳重注意を除き全て危険域です。今も36度!!昨年の今頃も暑い暑いと書いていたのを思い出しました。さて明日から普通なら夏休みでしたが、長い春休みのために、学校は通常営業です。

ただ、京都市は明日で給食が終了ですから、残る10日間は短縮授業です。8月1日からは府立学校が夏季休業にはいり、続いて長岡京向日市が5日から大山崎町が8日からとばらばらと夏季休業入りです。そんなに地域によって勉強する量が違うのかなと思ったりもしますが、夏季休業の少ない学校は、冬季休業や春季休業を減らすのだろうと思います。

そんなわけで、昼間もばらばらと子どもが帰って来るので、これから10日間は遊ぶにも落ちつかない日程となります。熱中症には十分注意すると言っても、締め切った部屋でのエアコンは3密ですし、さすがにこの暑さでは窓を開けると暑いままだし、どーするかなーと思案中です。人のいない涼しいところありましたらご紹介ください。Go To 放デイ!

電池が切れて困っています。

V君が事業所のカウンターの中に入って頭を叩いて自傷しているのを見つけました。どうやら、大好きなメロディー絵本が見当たらないので探し疲れて頭を叩いているらしいので、メロディー絵本を一緒に探して見つけました。V君にっこり。ところが残念なことに電池が切れていたらしくボタンを押しても押しても音が出ません。失望したV君は再び頭を叩きだしました。

ここまで、ありきたりの文脈で書いたように、多くの人は、このV君の行動を見て疲れ果て失望して頭を叩いていると理解しますが、全然違うのです。頭を強く叩けば人が注目してくれます。そして、あれこれとV君の欲しいものを考えてあれかこれかと聞いてくれます。V君は欲しいものが見つかるまで頭を叩き続けます。音のなる絵本が欲しいと表現できなくても、せめて、「助けて」という機能的コミュニケーションが取れれば、頭は叩かなくて済むのです。V君はPECSのフェイズ3a「必要カードの選択」に取り組んでいますが、助けてカードが弁別できるようにトレーニングする必要があります。

トランジションカード

タブレットを見ていたU君がタイマーが鳴っても終わりの活動に動こうとしないので、「もう終わりだよ、タブレットをかばんにかたずけます」と指示したら、トイレに長く入ってしまったという報告がありました。このU君は以前「席をはずすのはいけない事か? 07/03」で紹介した人と同じ人です。

どうも、トイレに行くことがU君の切り替え場所(トランジットエリア)なのかなと推測しています。すてっぷは静かに(カームダウン)する場所が近くにはなく、行くとすれば目の前のトイレくらいなのです。前回は、終わりの会が彼にとっては意味なく感じてトイレに行ったという推測でしたが、以前から帰り際にスタッフに声をかけられるとトイレに行っている印象があるのです。

前回の掲載は、どうすればいいかは答えは一つではないので機会を見てまたエピソードを紹介したいと書きましたが、今回の場合は、比較的答えがはっきりしています。タイマーが鳴っても終わりとは思っていない事と、スタッフから声をかけられるのはむかつくのでトイレに行きたくなることだったのではないかと思います。

だとすれば、声をかけて終わらせるのではなく、トランジション(スケジュールを見ます)カードを渡して、「カバンにタブレットを入れて帰る準備」のスケジュールの絵を見せようと提案しました。うまくいくでしょうか。機会を見て結果を報告したいと思います。

家紋試験

S君のお迎えに学校に行くと、T先生が「こんなテストしたら100点でした」と引出の中からS君のテストファイルを取り出し、誇らしげに見せてくれました。「家紋テスト」でした。

実は以前、T先生にS君は戦国武将の事や軍事のことについてはものすごく興味があって大人も知らないほど知識が豊富なのでこれを使って、教科の工夫ができないか話していたのです。ディスグラフィアのS君は書くのが遅く文字もうまく書けないので、めんどくさがって文字を書こうとしません。

ところが家紋テストなら全て書いてしかも全問正解です。もちろんひらがなは歪んでおり読みにくいのですが、一生懸命書いたなとわかる筆跡でした。T先生お手柄です。あっぱれあっぱれ!この調子で読み書き算数の教科にアレンジして取り組んでくださいとお願いしました。

 

サービス担当者会議

相談事業所から○○さんのサービス担当(関係)者会議があるので集まってくださいと言われることがあります。この会議は下図の一連の流れでサービス計画を決めたり見直したりするのに最低限必要な会議ではなく、各事業所において利用者の行動問題などから支援が円滑に進まないという申し出があったときに、担当の相談事業所が利用者に聞き取りを行い、かつ関係者を集めて検討をする会議です。驚くべきことにこの会議に参加する関係者は無報酬であることや、相談事業所に支払われる加算は月1回まででたった100単位(一単位≒10円)ということです。

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サービス担当者会議実施加算 100 単位/月
継続サービス利用支援の実施時において、利用者の居宅等を訪問し利用者に面接することに加えて、サービス等利用計画に位置付けた福祉サービス等の担当者を招集して、利用者等の心身の状況等やサービスの提供状況について確認するとともに、計画の変更その他必要な便宜の提供について検討を行った場合に加算する。
※ 利用者1 人につき、1 月に 1 回を限度として加算。
※ サービス利用支援の一連の流れで行う担当者会議は加算に該当しない。
※ サービス担当者会議において検討した結果、サービス等利用計画の変更などを行った場合は、サービス利用支援費を算定することとなるため、算定不可。
※ サービス担当者会議の出席者や開催日時、検討した内容の要旨及びそれを踏まえた対応方針に関する記録を作成し、5 年間保存すること。

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日常的にコミュニケーションもしていない事業所同士が、課題が生じた時だけ集まって、成果が上がると考える方が無理があります。客観的に考えれば利用者の行動問題のほとんどは支援者側の問題です。そうしたデリケートな問題をよく話し合ったことのない支援者同士がちょっと集まって解決できると考えるのは無謀で、逆に支援者同士の感情的な行き違いを作る可能性のほうが大きいと思います。

どの事業所も同じ悩みを抱えているならまだしも、うまくいっている(と思っている)ところやそうでない事業所があれば、各事業所言いたいことだけを言い合ってお互いの違いを確認するのが精一杯です。こうした支援課題に関わる相談は、考え方の違う人を集めるよりも相談事業所がリードして専門家を入れてピンポイントで課題解決を図る方が合理的だと思います。

それにしてもこの会議開催の加算額はあまりにも低すぎます。逆に言えば、その単価程度の目的しか持たせていないというべきかもしれません。私たちが求めている目的を持たせるなら、最低この10倍は出すべきです。参加した事業所にも放デイの家庭連携加算を認めるべきです。また、行動問題の専門家(医師・心理士)を招聘してのカンファレンスをこの会議の内容として積極的に誘導するように、その経費も加算額に加えるべきです。

そうすれば、たとえ無報酬で参加を求められた事業所であっても、事業所のサービスの質を向上させられるというインセンティブが満たされれば積極的に参加しようとするはずです。勿論、そのためには相談事業所の行動問題への知見が確かであることは大前提です。

とにかく、巷ある関係者の『連携』会議は役に立たない、百害あって一利なしと相場が決まっています。まさに、船頭多くして船山登る状態と言わざるを得ません。船頭も決めず、行き先も決めずして船は進みようがないからです。