みんなちがってみんないい
知的障害のある長男殺害 母に懲役3年執行猶予5年
知的障害のある長男殺害 母に懲役3年執行猶予5年 京都地裁
12月13日 【NHK】
去年7月、京都市で重い知的障害のある17歳の長男を殺害した罪に問われている母親に対し、京都地方裁判所は「長男の受け入れ施設が見つからず、将来に絶望を抱きかねない状況だった」として執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。
京都市左京区の無職、坂山文野被告(54)は、去年7月、自宅のマンションで重い知的障害があり、総合支援学校高等部に通う長男のりゅうさん(17)の首をベルトのようなもので絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われています。
裁判の中で、母親は長男を殺害したことを認めましたが、弁護側は当時、精神障害の影響で心神喪失の状態だったとして無罪を主張し、検察は懲役5年を求刑していました。
13日の判決で、京都地方裁判所の増田啓祐 裁判長は、「将来に大きな可能性のある17歳の尊い命を奪ったことはあまりに痛ましい結果だ。ノートに犯行をためらう内容を記すなど、限定的とはいえ、犯行を思いとどまる能力は残っていた」と述べ、心神喪失の状態ではなく、心神耗弱の状態だったと指摘しました。
そのうえで、「重い障害のある長男の介護に疲弊し、さまざまな手段を講じたが、卒業後の受け入れ施設が見つからず、将来に絶望を抱きかねない状況だった。動機の形成過程には同情の余地が大きく、自らも殺害を認めて反省している」として、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。
【事件の経緯】。
事件が起きたのは去年7月17日の夜、京都市の自宅マンションで、母親の坂山被告が17歳の長男に睡眠薬を飲ませ、ベルトのようなもので首を絞めて殺害したとされています。
検察や弁護側の陳述によると、被告はひとり親で、自らもうつ病を患いながら、重い知的障害のある長男に加え、認知症の兆候のある高齢の母の介護もしていたということです。
被告が事件の前に悩んでいたのが、総合支援学校高等部を卒業したあとの長男の進路です。事件の2週間前、卒業後の就職先を探すため、京都市内の就労支援施設を見学しましたが、1人でのトイレが難しいなどの理由で、受け入れは困難だと断られました。
事件前日には、支援学校の担任と進路について面談しましたが、具体的なアドバイスが得られなかったと感じ、将来への不安を募らせたといいます。事件当日にも別の就労支援施設を見学しましたが、送迎に対応していなかったため、利用を断念しました。
その日の夜、風呂を出たあとの着替えの際に、長男が服を破いたり、被告を抱えて放り投げようとしたことで将来への絶望感をさらに深め、犯行に至ったとみられています。事件のあと、自殺未遂を図った被告はノートに遺書を書き残していました。
そこには、「何かもう疲れてしまいました。将来のことを考えると、誰に託したらいいか答えが出ず、連れていきます。ごめんなさい。ちゃんと育ててあげられなくてごめんなさい。残ったお金は少しでも障害者のためになる何かに使ってください」と記されていました。
【同級生だった保護者は】。
裁判を傍聴した子どもが同じ支援学校の同級生だった竹口宏樹さんは、「事件は起こるべくして起きたのかも知れないし、なんとかできたのかなとも思うので、僕自身、後悔や反省があります。判決の中にもご家族ご友人の名前が出てきましたが、そういう人たちとなんとかつながって、今後の人生を、しょく罪もありながらも全うしてほしい」と話していました。
また、卒業を来年3月に控える竹口さんの息子の進路もいまだに決まっていません。竹口さんは、「大変な家はたくさんありますが、もう無理となったときに、安心して暮らせる体制がつくれる、何も情報が無い人にもアクセスできる福祉がどこでも行われることがいいのではないかと思います。進路について、どういう支援ができるか考え続けてほしい」と話していました。
【専門家“支援体制づくりを”】
今回の事件について、国の障害者支援施策の調査や研究に携わってきた社会福祉法人「横浜やまびこの里」の志賀利一 理事は、「命が失われた事実を重く受け止め、福祉、医療、教育の立場からしっかりと事件を振り返って検証し、予防策を考えていくことが大切だ」と指摘しています。
そのうえで、「障害者福祉の現場で専門的な支援が提供できる施設や事業所を増やすことが必要で、都道府県や政令指定都市単位で計画的に整備していくなどの体制づくりを進めていくことが求められている」と話していました。
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30年前社会福祉の基礎構造改革が議論されていたときに懸念されたことが起こっています。戦後、長い間続いていた措置制度を契約制度に転換し、国民の自助と事業所など民間のサービスを活用し、少子高齢社会の進展に伴う社会福祉の支出の増大を抑制し、民活導入によって社会福祉の制度を構造から改革しようとしたのがこの政策です。
確かに、財政的な問題も背景にありましたが、行政が全て引き受けてしまう事によって、既得権限の中にいて競争のない世界ではサービスの中身が良くならないと言う問題がありました。民間企業が参入しやすくすることによって利用者目線で経営が行われるようになり、サービスは量的にも質的にもかなりの改善がなされたのは事実です。児童通所についても放デイ利用者が爆発的に増えているのは、民間を参入しやすくした結果です。
ただ、その一方で、障害者も地域で暮らすというノーマライゼーションの名のもとに、障害者の入所施設を経営しても収入が増えないような傾斜政策で、家族では支えきれない重度の方たちの行き場がなくなる現象が起こっています。つまり、儲けの薄いところ、儲けが今後見込めなくなるところはサービスが減るという問題が起こるのです。もちろん措置制度の時代も重度の方の施設は恒常的に不足していました。民間が参入できるようになってから障害者サービスは量的に増えているのは事実です。しかし、市場原理が働いて障害の軽重によって格差が拡がっているのは事実です。
また、重度の方にはデイサービス事業がありますが、これは10時から16時までのサービスで、就学期のように放デイサービスがないので夕方や休日は家族が介護しなければならない問題があります。そして、儲けの薄いところ、つまり行動障害など重度の利用者の入所施設は公立経営をするとか補助金を出すなどの施策を政府がさぼってきた結果が今回のような事件の背景にはあります。
また、基礎構造改革の一番大きな間違いは、我が国の家族の自助力はどんどん核家族化によって低下しているのにこの政策を進めていることです。一人親家族や家族の高齢化、家族の収入の減少などにより、とても成人の障害者を扶養するような余裕がない家庭が増えているのです。児童一人当たり10万円を家庭に給付をするくらいで「分配した」などと言っている場合ではありません。必要なのは僅かな分配ではなく、児童がいてもいなくても、障害者が家族にいてもいなくても、同じように暮らせる公平な社会です。
28億円稼ぐ小学生ユーチューバー
【AFP=時事】米誌フォーブス(Forbes)は18日、動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」で今年最も稼いだクリエーターのランキングを発表した。1位は年収2600万ドル(約28億円)を稼いだ8歳のライアン・カジ(Ryan Kaji)君だった。ライアン君(本名:ライアン・グアン〈Ryan Guan〉)は、昨年すでに年収2200万ドル(約24億円)で最も稼ぐユーチューバーとして同誌に取り上げられていた。ライアン君のチャンネル「ライアンズ・ワールド(Ryan's World)」は、2015年にライアン君の両親が始めたもの。開設から3年ほどでチャンネル登録者は2290万人に上る。
当初は「ライアン・トイズレビュー(Ryan ToysReview)」というチャンネル名で、主にライアン君がおもちゃの包みを開けて遊ぶ「開封」動画を配信していた。ソーシャルメディアを分析するウェブサイト「ソーシャルブレード(Social Blade)」によると、いくつかの動画は10億回以上再生されており、チャンネル開設以降の合計再生回数は約350億回に上る。消費者擁護団体「Truth in Advertising」は、ライアン君のチャンネルがどの動画にスポンサーがついているのか明示しておらず、企業が自社商品を特集してもらうために資金提供しているのかわからないとして、米連邦取引委員会(FTC)に訴えていた。
フォーブス誌のユーチューバーランキングでは、ライアン君が米テキサス州出身のグループ「デュード・パーフェクト(Dude Perfect)」をしのいだ。デュード・パーフェクトは、ビルの最上階やヘリコプターからバスケットボールのシュートを決めるなど、一見不可能に見える技に挑む動画を配信している。 デュード・パーフェクトは、2018年6月1日~19年6月1日で2000万ドル(約22億円)を稼ぎ、昨年の3位から上昇して2位につけた。3位はロシアのアナスタシア・ラジンスカヤ(Anastasia Radzinskaya)ちゃん。わずか5歳で1800万ドル(約20億円)を稼いだ。アナスタシアちゃんは「ファニー・ステイシー(Funny Stacy)」などのチャンネルで計7000万人近くの登録者を抱え、ロシア語や英語、スペイン語で動画を配信している。
28億を稼ぎ出したのは、ライアン君ではなく彼の両親ですが、要するに父母のプロデュースの能力がそこらのプロダクションよりはるかに高いという事だと思います。ただ、環境問題のグレタさんも親が仕込んでいるそうですが、大人に踊らされている感がなんともひっかかります。子どもを金儲けや政争の具にしないでほしいと思うのです。
LINEで未就学児の相談
LINEで未就学児の親の悩み対応宇都宮市のNPO
2020.11.26 19:43ライフくらし【産経新聞】
不登校の子供を持つ親の相談窓口を運営するNPO法人「キーデザイン」(宇都宮市鶴田町、土橋優平代表)は、発達障害などを抱える未就学児の親からの相談を無料通信アプリ「LINE」で受け付ける「お母さんのほけんしつforKIDS」を新たに開設した。小児科医や子育て支援団体、発達障害支援員などと協力し、悩みに対応していく。
新型コロナウイルスの影響による長期休校が続き、学校生活への不安や不自由な日常生活へのストレスを親子で抱える中、キーデザインは今年5月、小中高校生の不登校に関する親を対象にした相談窓口「お母さんのほけんしつ」をLINEで開設。これまでに受け付けてきた相談では、親や学校とのコミュニケーションを苦手とする発達障害などを抱える子供が不登校につながるケースが多かったという。
このため、就学前の早い段階で、親子の支援が必要だと痛感。発達障害などの診断を受けたか、疑いがある未就学児を持つ親を専門にした相談窓口を開設した。未就学児向けの専門施設や医師、支援者と親をつなぐことで、子供にとって適切な対応を早い段階で取れるようにする。
新たな窓口には、児童発達支援事業所の運営会社「Crew」(同市)や、小児科医や助産師などで子育て支援などを行うNPO法人「そらいろコアラ」(小山市)が協力。10月の開設以来、「食べ物のこだわりがある」「保育園で困っている」などの相談が寄せられているという。土橋代表は「早い段階からの支援で学校に行きやすい環境が作れれば」と話している。
来年3月末までは試験期間として対象地域を宇都宮市在住に限定。試験期間での相談実績などを踏まえて、今後の支援のあり方を検討する。窓口はキーデザインのホームページ(https://www.npo-keydesign.org/)にあるQRコードから。問い合わせは土橋代表(080・1853・6296)。(松沢真美)
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先週は武漢風邪で滞っている子どものについての公的相談のカバーをしようと民間が素早い動きをしていることを掲載しましたが、小さな町で民間がネットワークを作って相談事業を開始しています。おそらく現段階では経費は無料で各事業所が持ち出しでしょうが、それが結果的には事業に結びつくという見通しの下に連携が進んでいるのだと思います。相談の敷居を低くするこれも発達障害支援には大事なことだと思います。このモデルを、将来的には相談事業の新たなジャンルにすれば、一人で不安を抱えている保護者には心強いのではないでしょうか。乙訓でも見習いたいモデルです。
チーム学校 独自予算でAI活用、学校で子供支援 神戸市が全国初
チーム学校 独自予算でAI活用、学校で子供支援 神戸市が全国初
12/14(火) 【産経新聞】
福祉的な支援が必要なのに見過ごされている子供の存在を人工知能(AI)を使って可視化し、具体的な支援につなげる取り組みが一部の自治体で始まっている。神戸市は全国で初めて独自に予算を付け、今月から本格的な活用をスタートした。鍵を握るのは、教員と教員以外の専門職が連携する「チーム学校」の取り組みだ。支援が必要とされた子供については専門職が集まる「チーム会議」で検討し、知恵を出し合う。
神戸市が活用するのは、大阪府立大の山野則子教授(児童福祉)らが開発した「AIスクリーニングシステム(YOSS)」。複数の教員が、欠席・遅刻▽身だしなみ▽健康▽いじめアンケート-など約40項目について、気になる程度を点数で入力する。データをもとに全員の状況を「スクリーニング会議」で確認し、チーム会議で検討するかを判断する。
AIはあらかじめ、全国の支援の成功例やうまくいかず事件化した事例の特徴を学習。会議での判断をサポートするとともに、必要な支援のレベルについて①学校内での支援②子供食堂など地域資源の活用③行政機関や福祉制度の活用-の3パターンから提案する。
神戸市ではYOSSを18の小中学校で試験導入し、今月から来月にかけて約7千人を対象にスクリーニング会議を実施する。教育委員会の担当者は「支援が届いていない子供がいるなら、きちんと把握すべきだ。まずは継続し、効果を検証したい」と話した。
背景には、学校で「ちょっと気になる」程度の子供が見過ごされがちだという現実がある。同府泉大津市立戎(えびす)小はAIは使わないものの、神戸市と同じ40項目のスクリーニングシートを活用し、教員の経験や勘に頼らない丁寧な検討が行われている。
「友人とのトラブルが多く、よく怒られている。無気力で自己肯定感も低く、『先生はいつもおれを悪者にする』と言っている」
今年7月に同校で行われたチーム会議。ある男子児童について担任が相談すると、教頭や生活指導担当の教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー(SSW)らが、よりよい関わり方の検討を始めた。
会議で決まったのは、児童に「頑張っているな」などのポジティブな声かけを学年の教員全員で意識的に行うこと。出席したSSWの神谷直子さんは「子供は『いろんな大人が自分を見てくれている』と感じることが重要。あいさつや声かけだけで、ガラッと変わることも多い」と話す。
同校では低めに設定された基準点を超える児童を幅広くチーム会議で取り上げ、問題が深刻化する前に「予防」することを目指している。同校の男性教員(34)は「しんどさが表に出ていなかった子供に目が向くようになった」と手応えを口にした。
■「チームで決定」へ意識改革を
山野教授らの研究によると、小中学生のうち約30%が虐待や非行、不登校などにつながる要因を持っている。だが実際に自治体の支援対象となっているのは10%ほど。問題はあっても深刻化はしていない「グレーゾーン」にいる残りの子供を発見し、最初に手をさしのべられるのは学校だけだ。
だがこうした支援を多忙な教員だけが担うのは困難で、スクールソーシャルワーカーら専門職と協力する体制が必要だ。しかし、多くの学校では専門職の配置が不十分で、山野氏は「対応をチームで決定する文化が学校組織にないことも問題だ」と指摘する。
一方政府では、自治体の教育・福祉・医療部門などが持つ子供たちの情報をデータベース(DB)で共有し、支援に生かすことを視野に、11月にデジタル庁など4府省庁によるプロジェクトチームが発足した。組織間の連携がないために虐待などが見過ごされた事例は後を絶たず、DBは子供の状況を可視化する「スクリーニング」の切り札として期待されている。
ただ、現場で支援を行う「人」が育っていなければ情報は生かせない。山野氏は「目の前の問題への対応だけでなく、10年後、トラブルを予防できる社会になるよう考えてほしい」と話し、まずは専門職と協力する「チーム学校」の意識を学校現場に根付かせることが不可欠だと訴えている。(西山瑞穂)
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学校の不祥事続きの神戸市は、学校の力だけに頼るのではなく機械も使って学校改革に立ち上がろうとしていることは、良いことだと思います。もちろん端末処理する教員の問題意識の持ち方には左右されるとは思いますが、それは今までも同じですし、記録が残ることで状況をどう見ていたかが記録に残って次に生かせます。また、現場が正しい評価をしている証拠も残るので、管理職や上層部が見落としたり隠蔽した場合も明らかになります。このデータ管理は、校内管理ではなく、教員のオンラインシステムにのせて教委が管理すべきかと思います。
ただ、一つだけ心配なのは、AIが判定していないが気になる子どもがいるとき、近未来ドラマのように人間以上にAIを信用してしまう事が起こらないかどうかです。もちろん、このAIの導入は、失敗事例データをプログラムに学習させて手作業のスクリーニングの穴を埋めるものですからより精密なものにはなるのでしょうが、精密に疑わしいものをピックアップするので、件数が増えてしまい再確認に手間取り、教員が直感的につかむ緊急性のあるものを見落としてしまうことになっては本末転倒です。
それでも、学校現場がAIを通じて専門家とチームを組んで、学校の風通しを良くしていくことにつながれば素晴らしいことです。機械の力を借りてでも、虐待や非行、不登校につながる子どもをあぶり出して支援しようとすれば、特別な事でなく日常に必要な支援として定着し、発達障害の特性を起因とした行動問題への支援にも生かされていくものと思います。
いじめ加害生徒への賠償金を命じる
【毎日新聞 2019/12/20 13:59】
佐賀県鳥栖市立中1年だった2012年に同級生から繰り返し暴行や恐喝などのいじめを受け、重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、同市の男性(20)と家族が、同級生8人と市などに計約1億2700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、佐賀地裁は20日、同級生らに賠償金の支払いを命じた。市への請求は棄却した。
訴状などによると、男性側は、12年4月の入学直後から約7カ月にわたり、被告8人を含む同級生十数人から殴られる、蹴られる、エアガンで撃たれるなどの暴行を受け、多額の現金を恐喝されたと主張。教師らが安全配慮義務に違反したなどと訴えていた。【樋口岳大】
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この事件は暴行恐喝事件ですが、たとえ凶悪な犯罪行為であっても、『14歳未満の場合は、犯罪として罰せられないし警察の強制捜査もできない』という少年法の規定があります。警察が捜査もできない現行の少年法では、加害行為がどれほど酷いものであっても、刑事事件化はもとより少年事件化すら不可能なのです。
それにしても、暴行恐喝の加害生徒を3日間だけ他の生徒から離して学校の別室で指導するだけでなく、鑑別所送致などは最低あってしかるべきでした。加害者に甘すぎる社会は他にもあります。神戸の教員による教員いじめも同じです、こちらは大人ですから厳罰が当然です。年休消化で加害教員を休ませている場合ではなく、刑事事件として学校は告発すべきです。こうした一つ一つの疑問を市民から行政にぶつけて学校を変えていくしかないのです。いじめを受ける子どもたちの中に発達障害の子どもたちは少なくありません。そして、彼らのサポーターである友人もいじめのターゲットにされる可能性が高いのです。発達障害支援関係者は注意深く敏感にいじめの問題に向き合う必要があります。
羽田空港のカームダウンスペース
羽田空港、障がい者が気持ちを落ち着かせるためのカームダウンスペース設置
配信日: 2020/12/02 10:55【FlyTeam ニュース】
羽田空港は2020年12月3日(木)から、第1・第2ターミナル国内線手荷物検査場通過後の保安区域内に「カームダウン・クールダウンスペース」を設置します。発達障がい、知的障がい、精神障がいを持つ旅行者が飛行機で移動する際、気持ちを落ち着かせるために利用できるスペースです。国際障害者デーの12月3日(木)にあわせ、運用を開始します。
このスペースは、他者からの視線を遮ることができ、非日常の場所や空間で気持ちを落ち着かせることに役立ちます。日本発達障害ネットワークによると、これらの障がいを持つ人々にパニックが生じた際、「特に声を掛けず、静かなところで、一人または二人で黙って15分から20分ほどすると落ち着く」ことが分かっています。成田空港にもボックス型のカームダウン・クールダウンスペースが設置されており、これも有効だと言われています。
羽田空港の設置場所は、第1ターミナル2階のA検査場付近、17番搭乗口とキッズコーナー付近の2カ所です。第2ターミナルでは2階のA検査場付近、C検査場付近の2カ所に設置しています。搭乗する航空会社に関わらず、誰でも利用できます。
なお、羽田空港では、サービス介助士の資格を持つエアポートコンシェルジュが無料で「介助サービス」を実施しています。事前にホームページから予約を受け付けており、障がい者や高齢者の空港内の移動を手助けしてくれます。
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「障害者の避難 11/25」でも掲載しましたが、パニックの強い子どもと出かけるとなると、周囲の目線が怖くてなかなか公共交通機関を使う気にはなりません。記事のように待合のロビーにパーソナルエリアを作ってくれるのは一歩前進で大変ありがたいです。待つのが大変なだけで、その先の航空機への搭乗やフライト中は結構ご機嫌な子どもも多いのです。とは言いつつも最初の搭乗は冒険です。ドキドキしながら早く現地についてくれと祈るばかりです。こんな時に非常用のコンパートメントと理解のあるキャビンクルーがいてくれればいざという時に心強いのになぁと思います。
障害者雇用した芽ネギ農園の気づき・驚き・感動…絵本に
障害者雇用した芽ネギ農園の気づき・驚き・感動…絵本に
12/16(木) 【日本農業新聞】
静岡県浜松市で障害者を積極的に雇用して芽ネギなどを生産する京丸園での実話を基に描いた絵本「めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!」が発売された。題名の「ガ・ガ・ガーン」とは、代表の鈴木厚志さん(57)が障害者と出会っての気付きや驚き、感動を表している。
京丸園は、高齢者や障害者など多様な人がそれぞれの役割を発揮できる「ユニバーサル農業」を実践する。従業員94人のうち、22人が障害者だ。
絵本は、特別支援学校の先生が、障害のある生徒を「働かせてほしい」と連れてくる場面から始まる。鈴木さんは障害者に農作業は難しいと考え、ある職人技を見せて断ろうとする。だが先生は、生徒でもできるようにする工夫を提案する。これが最初の「ガ・ガ・ガーン」で、その後も鈴木さんはさまざまな気付きや発見を基に、誰もが働きやすい農園を作り上げていく姿を描いている。
鈴木さんは「親子で障害について考えるきっかけになってほしい。農業者に向けてのメッセージも込められている」と話す。
著者は絵本作家の多屋光孫氏。合同出版、48ページ、1980円。17日に、鈴木さんや多屋氏が出席してのオンライントークイベントを開く。
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支援学校の作業場面では当たり前の課題分析を用いた支援方法ですが、伝統を重んじる農家には革命的なアイデアだったのでしょう。もともとはファーストフードなど熟練者でなくても言葉がわからない外国人労働者でも働けるように開発された手法です。仕事はいくつかの作業で構成されています。業務を構成する作業工程を明確にし、支援対象者がどの工程でつまずいているのかなどを把握、分析することを課題分析といいます。工程の分け方は、業務の複雑さや支援対象者の理解度により異なります。
鈴木さんは、支援学校の山田先生が二人の生徒を連れてきたことによって、自分の農場の合理化にも気づいていきます。障害者を雇用することが職場の効率を高める事と結びついているのです。この絵本は、障害者雇用とは何かを端的に表現して大変分かりやすい物だと思います。子どもと一緒に障害理解やノーマライゼーションを知る機会として読むのもいいし、個人経営者など自営業の方に読んでもらって障害者雇用を考えてもらうきっかけを作るにも良い本だと思います。
合同出版社のWEBにこの本のサンプルがあるので、お読みください。
めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!
多屋光孫 (著, イラスト)
出版社 : 合同出版 (2021/12/3)
発売日 : 2021/12/3
大型本 : 48ページ
寸法 : 18.2 x 0.5 x 23.7 cm
京丸園株式会社
〒435-0022 静岡県浜松市南区鶴見町380-1
『鬼滅の刃』
現在アニメ界爆走中の『鬼滅の刃』は、原作コミックが年間売り上げで11年連続首位だった『ONE PIECE』を超えました。主題歌『紅蓮華』(ぐれんげ)を歌うLiSAは紅白出場が決定しました。舞台は大正時代、夜の街にはびこる鬼を狩る少年たちを描いた『鬼滅の刃』は、吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)が「週刊少年ジャンプ」で2016年より連載中の漫画です。主人公の少年・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼と化してしまった妹・禰豆子(ねずこ)を人間の姿に戻そうと、「鬼殺隊」と呼ばれる鬼の殲滅部隊の仲間とともに激しい戦闘を繰り広げます。2019年4~9月にテレビ放映されるて大ブームが到来します。さらに2020年にはテレビシリーズに続く物語として、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開が決定しています。
とはいうものの、『ONE PIECE』は94巻、全世界で通算4億5千万部発行でダントツです。年季が違うとはいえ18巻2500万部の『鬼滅の刃』は足元にも及びません。第2位は『ドラゴンボール』42巻2億5千万部。同位『NARUTO』72巻2億5千万部。第3位『名探偵コナン』97巻2億部。同位に『ゴルゴ13』195巻2億部と続きます。漫画王国ニッポンの地位はゆるぎないです。
一斉臨時休業避けるべき
学校コロナ対策 一斉臨時休業避けるべき
学校コロナ対策 マニュアル改訂 換気提案
12/3(木) 2:59配信【日本テレビ系】
文部科学省が、学校でのコロナ感染防止対策をまとめた衛生管理マニュアルを改訂し、地域一斉の臨時休業は「避けるべき」として、寒さに応じた換気の仕方などを提案しています。
文部科学省の集計によりますと、学校が本格的に再開しはじめた今年6月から先月25日までで、新型コロナウイルスに感染した児童生徒は3303人、そのうち症状があったのはおよそ半数の1631人で、重症者はいなかったということです。
感染経路は、小学生の73%が「家庭内感染」である一方、高校生は「感染経路不明」が35%と最も多くなっていて、高校では生徒の生活圏が広がることから、学校外での活動でも感染症対策を意識できるように指導する必要があるとしています。
そして、「小・中学校では、家庭内感染が大部分であることを踏まえれば、地域一斉の臨時休業は当該地域の社会経済活動全体を停止するような場合に取るべき措置であり、学校のみを休業とすることは学びの保障や心身への影響の観点から避けるべき」としています。
また、9月に出した前回までのマニュアルでは、感染者が判明した時点で直ちに臨時休業を行う対応について示していましたが、10代以下の罹患率は他の年代に比べて低いことなどから、これを見直し、学校設置者が保健所と相談の上、判断することになりました。
実際に、感染者が発生した1996校のうち、臨時休業を実施しなかった学校が55%、学校全体の臨時休業を行った学校が26%、特定の学年や学級の臨時休業を行った学校が15%となっています。
冬場の感染症対策としては、引き続き基本的な感染症対策を徹底し、寒い環境でもできる限り常時換気に努めるよう求めていますが、難しい場合は、こまめな換気や二段階換気も有効だとしています。
文部科学省は改訂したマニュアルを3日午前にも全国の教育委員会などに発出する予定です。
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先日の、向日が丘支援学校、第4向陽小学校の武漢風邪感染による休校は物理的にも心理的にも大変な負担を感じたと言う保護者は少なくありませんでした。当事者でもないのに、PCR検査を受けてくださいと突然保健所から電話があり、結果がわかるまで家族全員が家庭内で身を潜めていなければならないような気分になるといいます。別に誰がとがめたわけでもないのですが、同調圧力を強く感じる人には耐えがたい苦痛だといいます。
未だにメディアは第3波流行と危機感を煽っていますが、記事の通りPCR検査陽性(記事では感染と記述)の子ども3千3百人のうち半分は無症状です。つまり、たまたま濃厚接触者だからと検査して半分が無症状・無自覚という結果は、検査をしなくても「陽性の子ども」はもっとたくさんいる可能性を示しています。つまり、誰が感染者かは症状がない限りは見当がつかないと言うのが事実なのです。
たまたま検査陽性と分かった人がいるから臨時休校はしていますが、おそらく他にも陽性者はいるはずなのが武漢風邪の実態です。それも心配だからと言って、全員陰性とわかるまで休校にするのは不可能ですし、半数が無症状、半数がかぜ程度の軽症で休校するのもおかしな話です。もちろん、学校保健安全法や感染法等の定めにおいて、臨時休校をしているので、そのおおもとの規定が変わらない限りこの事態は続きます。それでも、記事のように文科省のマニュアルを変えたのは一歩前進です。
指定感染症2類から5類に移すと医師の報告義務がなくなり実態がわからなくなるという人もいるようですが、5類の麻疹は全数把握ですから、全てをインフルエンザと同じにしなくても、今できる一番いい方法で決めればばいいのです。少なくとも、子どもも家庭も学校も困っている現在のやり方が実態とは合わないと分かってきているのに、「やむを得ない措置」のはずがありません。
特別支援教育の教職課程 コアカリ作成へ議論始まる
特別支援教育の教職課程 コアカリ作成へ議論始まる
2021年12月16日【教育新聞】
特別支援学校の教師の専門性向上のため導入が検討されている、特別支援学校教諭免許状の教職課程コアカリキュラムについて、文科省の「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議」の下に設置されたワーキングループ(WG)が12月16日、初会合を開き、コアカリキュラム作成に向けた議論を開始した。今後、障害種ごとに設けられたサブWGでの議論を踏まえ、来年3月をめどに素案を取りまとめる。
今回のコアカリキュラムは教育職員免許法・同施行規則に基づき、全国全ての大学の教職課程で共通的に履修すべき資質能力を示すもので、特別支援学校学習指導要領を根拠とする自立活動、知的障害のある子供のための各教科等、重複障害者に関する教育課程の取り扱い、発達障害を位置付ける。
その中では、「心理、生理及び病理」「教育課程及び指導法」といった内容について、障害の領域ごとに、学生が理解すべき内容を示した目標を設定する。その際、全国の大学で共通的に修得すべき資質能力を示すという目的に照らし、統一感のある表現とする、達成してほしい目標をできるだけ具体的に示すなどの工夫を行う。来年2月の第2回会合では、障害種ごとのサブWGが検討結果を報告し、意見交換や調整を行う方針。
樋口一宗委員(松本大学教育学部学校教育学科教授)は「特別支援教育制度が始まって10年以上がたつが、そもそも導入の背景には、障害の重度化、重複化、多様化が挙げられる。免許制度は障害種別に構成されており、各障害種についての専門性はもちろん必要だが、重複、多様の結果としての子供たちの困難に、臨機応変に対応できる教師の姿が求められている」と、これからの課題を述べた。
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今頃、特別支援学校教諭の共通カリキュラムを検討しているとはびっくりしました。だから、支援学校や支援学級の教員に、発達障害や構造化支援の基本的な中身を知らないような方が多いのだと思います。それにしても、特別支援学校教諭免許は存在するわけですから、これまでこの免許をとった方は大学でどんな授業を受けていたのかと思います。
教育とも免許とも関係ないですが、京都府で強度行動障害の研修会報告を見ていて感じたことがあります。報告している、京都ライフサポート協会は京都の中でも自閉症支援・構造化支援の老舗の拠点事業所とも言えます。福知山学園もそれを追いかけている入所を中心とした事業所です。この報告では、構造化支援や表出コミュニケーション支援(PECS)を重視しているのです。
行政と先進事業所がタイアップして、毎年こうした研修を重ねているのですが、一向に地域に広がる気配がありません。教育も同じです、行政と先進実践校がタイアップして、全国で毎年何百回と公開授業や研究会が開かれますが、構造化支援も表出コミュニケーション支援も広がる気配がありません。つまり、行政も教委も笛吹けど現場は踊らないという図式があるのです。
それぞれの職員が、科学的な根拠を知り、実践の常識だと考えられることが必要です。そういう意味では免許の基礎となるコアカリキュラムを検討することはとても重要です。今の香港は知りませんが、10年前までの香港の学習指導要領にはPECSに取組むことと書いてあったことを思い出します。結局、公的に必要な事として新しい支援が認められることが大事だと思います。現場で科学的な根拠のあることについて、その是非を再び問うようなことは子どものためになりません。