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eスポーツで引きこもり解決 

eスポーツで引きこもり解決 潔癖症の漫画家とスクールの出会い

2021/5/30 【毎日新聞】

引きこもりだった人が、ゲームで社会とつながっていく。金沢市のビジネススクールと潔癖症の漫画家の出会いで生まれた漫画がある。なぜ、ゲームなのか。生きづらさを感じる人らのためのスクールと、漫画の世界観を紹介する。【森野俊】

潔癖症、学ランを洗濯する日々
漫画「ケッペキゲーマー」は人と接するのが苦手な主人公が、ゲームを通じて人とつながり、変わっていく姿を描いた物語。極度の潔癖症で引きこもりだった少年は、関節リウマチで手足が不自由な車いすの少女の一言でゲームに触れる。ゲームの前では全ての人が対等であることに気づいた少年は、ゲームの腕前を競う「eスポーツ」の世界に足を踏み入れていく――。小学館の青年コミック誌「ビッグコミックスペリオール」で連載が始まり(現在は電子版のみ)、28日に単行本1巻が発売された。

「漫画の半分くらいが、自分の経験や考えからできています。同じ境遇の人だけでなく、支える家族など周りの人たちにこそ読んでほしい。どんなことを感じ、考えているのかを周りの人が理解してくれるだけで、問題の半分は解決すると思います」

そう話すのは、作者の「あまの」さん。中学時代は毎日欠かさず学ランを洗濯し、卒業する頃にはグレーにしたほどの潔癖症という。当時は「人が触ったものが黒いオーラをまとっているように感じていました」と振り返る。

あまのさんは、障害者とeスポーツ、自身が抱える潔癖症をそれぞれ漫画にしたいと考えていた。半身不随のプロゲーマーの記事を読んで、「三つがクロスした一つの漫画を描きたい」と思うようになった。障害とゲームが関係する取り組みを探して見つけたのが、金沢市のビジネススクール「カラフル・金沢」。ゲームを使い、引きこもりだった人を就労につなげる取り組みを進めていた。

カラフル・金沢では、障害がある人や引きこもっていた人、生きづらさを感じる人らが社会生活を送るための訓練をし、就労や起業を目指している。2016年に「ビジネス」「生活」「起業・経営」の3コースで設立され、19年4月にゲームコースが加わった。ゼネラルマネジャー(GM)の別宗(べっそう)利哉さんは「好きなこと、得意なことは、社会でいろいろな経験をするきっかけにできます」と力を込める。

「ゲーム漬けにさせて本末転倒」「ゲームをして仕事につながるのか」。ゲームコースの開設当初はメールなどで批判があった。別宗さんは「いつもは教室の隅にいる子が、ゲームの話になると輪の中心にいます。コミュニケーションを生み、自己肯定感も上がると思いました」と振り返る。ゲームコースは、他の3コースを受講するゲーム好きな生徒が議論を重ねてできたものだった。

自力と他力を合わせる
現在ゲームコースには、精神疾患や知的な障害、発達障害などがある10~30代の7人が通う。ほとんどの生徒がアルバイトを含めた社会経験がなく、両親の職業すら知らない人もいるという。

授業では、eスポーツ大会で採用される「ぷよぷよ」などのパズルゲーム、「ウイニングイレブン」といったスポーツゲーム、「エーペックスレジェンズ」など操作が複雑なシューティングゲームを用いる。主に対戦形式のゲームをプレーして攻略法を話し合う。

また、1カ月に1回程度、生徒が授業で取り組みたいことを話し合い、実行するプログラムが用意されている。既存のゲームを幅広い年齢やあらゆる心身状態の人が楽しんで対戦できるよう、ルールを修正して遊んだり、自作のカードゲームでの対戦を提案したり。ゲーム大会の開催も案に挙がり、企画書や参加申込用紙の作成、当日の運営まで役割を分担して実施した。

プログラムには、企画や提案、タイムマネジメントなど社会人に必要な能力の向上を図る狙いがある。別宗さんは「自力と他力を合わせることの大切さを知る機会になります」と強調する。

あまのさんは19年6月ごろから、カラフル・金沢の取材を始めた。暗い雰囲気をイメージして訪れたが、参加者の表情は明るく、雑談も途切れない。「その中心にあるのがゲームでした」と振り返る。「人の目を見るのが怖いとか、何を話していいか分からないなど、社会で出くわすものの対策や練習、突破口の一つになると感じました」と話す。

あまのさんは転校が多く、人間関係を一から作る上で相手が何を考えているか分からず想像して苦しんだ。「それが潔癖につながったと思います。はたから見える以上に自分たちは苦しんでいます。引きこもりも潔癖も、やめられるならやめたい。漫画にはその気持ちを込めました」と語る。

漫画「ケッペキゲーマー」には、カラフル・金沢の別宗さんも「ぱすてるの別所さん」として登場。読んだ生徒は「障害のある方が描かれた漫画ですか?」「どうしてこんなに自分たちの気持ちが分かるんですか?」と感想を寄せた。

ゲームコースは開設して2年が経過した。オンラインで4人対戦ができるオリジナルのカードゲームを作った生徒や、コンピューターグラフィックス(CG)やアニメのキャラクターを用いて動画配信、投稿を行うバーチャルユーチューバー(Vチューバー)に挑戦する生徒も出てきた。別宗さんは言う。

「今まで人を避けていた子たちが、ゲームを通じて人を喜ばせています。好きなことだから主体的に動ける。これが社会に出るスタートです」
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記事を読んでいて、高3生でプヨプヨ日本選手権で1位になり外車を買った、ドラマ「コントが始まる」の神木隆之介演じる瞬太を思い出しました。金髪の青年で焼き鳥屋でアルバイトをしています。趣味はスナック通いで、主食はポップコーンです。小学生の頃から1人で家にいることが多く、買い与えられたゲームで時間を潰して過ごし、中学生になるとゲームセンターに通い始め、対戦型ゲーム「ぷよぷよ」に熱中します。「ぷよぷよ」一色の生活を始め、高校3年生の頃には日本一を決める大会で頂点に立ちます。元々は社交的な人間ではなく、目立たない存在でしたが、文化祭での演技が話題となり一目おかれる存在になります。卒業後はプロゲーマーの道を歩むが、春斗と潤平に出会ったことで「マクベス」のメンバーになりドラマが展開していきます。

ゲーム会社のセガはeスポーツ大会として2か月に一回、プヨプヨ選手権の賞金に100万円を超える金額を出資して、ゲーマ人口のすそ野を広げようとしています。これは任天堂をはじめ世界中のゲーム開発会社も同じ立場です。そんなわけで世界的には賞金1000万円を超える大会も少なくありません。このブログでも以前、障害者雇用の一環としてeスポーツの選手養成のための就労支援事業が出てきたという記事を掲載しましたが、プロスポーツなら就労職種の一つではあると妙に納得した経緯がありました。どんなことであっても、人は好きなものに対しては熱心に努力するので、上達が早くモノになるのです。好きこそものの上手なれです。