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わいせつ教員対策法成立

わいせつ教員対策法成立 免許再取得、拒絶可能に

2021/5/29【毎日新聞】

教員による児童生徒へのわいせつ行為を防止するための新法が28日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。わいせつ行為で懲戒免職となった教員の免許再取得を都道府県教育委員会が拒絶できるようにする議員立法で、国がデータベースを整備することも規定。一部を除き公布から1年以内に施行される。

新法では、教員のわいせつ行為などを「児童生徒性暴力」と定義し、同意の有無にかかわらず禁止すると明記した。国や地方自治体、学校に防止や早期発見、調査などの対応を求める。


現行の教育職員免許法では、免職により免許を失効しても3年後に再取得が可能。処分歴を申告せずに他自治体に採用され、わいせつ行為を繰り返したケースがあり、規制を求める声が高まっていた。

新法は、免許授与権を持つ都道府県教委に「裁量権」を与え、更生状況などが「適当と認められる場合」に限定。第三者による審査会の意見を踏まえることで、教委の判断が恣意(しい)的にならないようにして公平性を担保する。

採用時の活用を想定し、わいせつで免職となった教員の氏名や処分理由などを国がデータベース化するとした。

付則には、子どもに関わる職業従事者の性犯罪歴を照会する制度を検討することを盛り込んだ。

文部科学省によると、2019年度にわいせつ行為やセクハラで懲戒処分や訓告を受けた公立小中高などの教員は過去2番目に多い273人。文科省も昨年、免許再取得の制限期間を延長する法改正を目指したが、「職業選択の自由」に抵触する恐れがあるなどとして断念した。

「大きな一歩」「実効性懸念」
わいせつ教員対策を強化する新法は、再び教壇に立たせないようにするだけでなく、教育委員会や学校に防止や調査を求めた。問題を訴えてきた人らは「子どもへの性暴力根絶に向けた大きな一歩」と評価する一方、「身内に厳しく対処できるのか」との疑問も抱いており、実効性のある対応が必要と指摘する。

「教員の性暴力に特化した法律ができるのは画期的」。全国学校ハラスメント被害者連絡会の共同代表を務め、対策を求める5万筆超の署名を文部科学省に提出した郡司真子さんは強調する。指導や恋愛と称した性暴力もあるとし「何が問題か先生が理解できるよう具体的な基準を国が作るなど実効性ある対応を」と注文した。

小学生の時に被害に遭った千葉県の女子生徒(14)の父親も「大きな一歩。良い流れだ」と評価。ただ、実際に法律を運用する学校や教委について「きちんと対応するのか不安」と明かす。被害を受けた当初、校長は教員を異動させず、女子生徒に転校を勧めたといい、「教委や学校の姿勢に誠実さが感じられなかった」と振り返る。女子生徒は今も大人を怖がり、自宅からほぼ出られない。父親は「被害に遭った子どもの目線に立った対策を」と話す。

教員の性暴力対策の必要性を訴えてきたフォトグラファーの石田郁子さん(43)も、実効性に懸念を口にする。自身も10代後半、通っていた札幌市立中の教員から被害を受けた。市教委に訴えたが取り合ってもらえず、市と教員を提訴。昨年12月の東京高裁判決が性暴力を認めた後、市教委はようやく懲戒免職にした。「加害者が否定すれば教委はかばい、なかったことにされる」とし、独立した第三者が調査する仕組みが必要だとした。

性暴力被害に詳しい上谷さくら弁護士は「教育現場は性暴力が起きやすい構造にある。新法は現場が対策を講じるための大きな後押しになるはずだ」と語った。
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今後は教育委員会が免許再申請者の提訴を恐れて怯まない限りは現実的な法制度が教員レベルでは完成したと言えます。付帯決議はされましたが、保育士や指導員など福祉現場の法制度改革がまだ残っています。また、痴漢事件でみられるような事実無根の虚偽の訴えについても、個人的な恨みなどが法制度化によって増えてくることは予測がつくので、これへの罰則(刑法では虚構申告罪・虚偽告訴等罪・偽計業務妨害罪がある)や名誉回復の行政手続きなども用意する必要はあります。

学校内のわいせつ行為を警察に通報し行政処分と並行させる義務は良いと思います。校長らは嫌がるのですが淫行の軽犯罪であっても通報を行う必要があると思います。校長は事件化を嫌がり被害者の気持ちをなだめようとしますが、これが校内セクハラの温床にもなってきました。しかし、今回の法律もどこからを通報対象にするのかは曖昧です。

公立学校は独立性が弱く、校長は上を向いて学校経営をしがちです。職員の人事や懲戒行為は、もしもの公判に耐える体制が必要ですから校長は行政組織に守られる分、権限は少なくなる仕組みです。しかし、逆に言えばこの仕組みは、校長の判断の間違いも曖昧にする仕組みです。学校の権限と責任を増やし強化することで子どもの人権は守られるという意見は一理あります。