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みんなちがってみんないい

「だいじょうぶ3組」 (2013配給:東宝)

5年3組の担任としてやってきたのは、生まれつき手足のない先生、赤尾慎之介。「フツーって何?」「1番を目指す意味は?」個性豊かな28人の子どもたちと先生は、様々な出来事を通して生きていくために本当に大切なことに気づいていきます。
「五体不満足」で多くの人の共感を呼んだ乙武洋匡さんの初の小説「だいじょうぶ3組」が映画化されたものです。赤尾先生役は実際に3年間の小学校教員経験もある乙武さん本人です。しかし、決してドキュメンタリー風ではなく、役者になりきって懸命に“演じている”ところがとてもいいです。赤尾先生の補助教員・白石優作にはTOKIOの国分太一さんです。教師の仕事を1度挫折したという役柄ですが、赤尾先生とともに子どもたちの問題に関わりながら、自分自身も成長していきます。

撮影場所が滋賀県にある豊郷小学校の旧校舎、ヴォーリスが設計した「東洋一の小学校」。京都アニメーション制作のアニメ「けいおん!」でも舞台なったモデルです。その美しさと格調の高さには目を見張ります。広い廊下、公園のような前庭、ウサギとカメのいる階段の手すり、教会のような講堂etc。そこで繰り広げられる、オーディションで選ばれた子どもたちの自然体の演技が、何ともほほえましく見る者の心を温めてくれます。

金子みすゞの詩「わたしと小鳥とすずと」の学習で、赤尾先生の配ったプリントにはこう書かれていた。「私は〔  〕だ(できない)けど、〔  〕なん(できるん)だよ。」自分はそれなりの能力とよい面を持った大切な存在なんだという自尊感情の確認。現代の日本の子どもたちはこの自尊感情がとても低い傾向にあるといいます。みんなちがって、みんないい。「感動ポルノ」に気をつかうより、このメッセージのほうが百倍説得力があります。

クラウドファンディング

最近、クラウドファンディングで資金調達をする個人や団体が多くなってきました。ちょっと古い話では、2016年お笑い芸人キングコングの西野さんの絵本展への資金調達が有名です。入館料を無料にして子どもにも見て欲しいと寄付を求めたのです。目標金額180万円に集まった資金は49日間で4600万円でした。他にもカヤックで石垣島まで行くからと投資を求めたり、新しい機器を開発するからとプロジェクトは多種多様です。銀行のような金融業では相手にしてくれない内容は、その目的に賛同してくれる人から資金調達するという個人に開かれたネット時代の発想です。

クラウドファンディングは、インターネットの普及に伴い2000年代の米国で始まります。先駆的なサービスが次々と誕生し、市場は急速に拡大していきました。代表的なサービスには、『Indiegogo』や『Kickstarter』などがあげられます。また、日本で初めてクラウドファンディングサービスが提供されたのは2011年。その年の3月に『Readyfor』がリリースされ、6月には『CAMPFIRE』がリリースされるなど、日本で本格的な展開がスタートしました。

2011年当初は東日本大震災の年だったこともあり、新たな資金調達の手段としてだけでなく寄付をする際の新たなチャネルとして急速に浸透しました。その後、IT企業サイバーエージェントの子会社が運営する『Makuake』が参入、2014年の東京都知事選に『ShootingStar』で約740万円の資金を集めた候補者が出て話題になるなど、サービス事業者も利用用途も多岐に渡り市場拡大は続いています。現在はさらに多くの事業者が存在しており、クラウドファンディングの形式も基本的な「寄付型」、「購入型」、「融資型」、「株式型」、「ファンド型」の5つと最近新たに生まれた「ふるさと納税型」を合わせて6つのタイプが存在しています。(2019年4月現在)

ちなみに、「クラウドファンディング」という言葉自体は比較的新しいですが、不特定多数の人から資金を募り何かを実現させるという手法自体は古くから存在していました。海外では美術品などのアート分野で寄付を募る取り組みや、日本では寺院や仏像などを造営・修復するために個人から寄付を求める「勧進(かんじん)」などがその例です。

クラウドファンディングといえば、購入型や寄付型が広く知られていると思いますが、市場規模という点では融資型クラウドファンディングが大半を占めています。2017年度(2017年4月~2018年3月)の国内クラウドファンディング市場規模は、新しく生まれたプロジェクトの支援額を元に見ると、前年度と比べて127.5%増の1,700億円と推計されます。このように、手軽に参加できる購入型・寄付型の認知の広がりが寄与し、前年度と比べて倍増した延べ137万人の支援者が、合計15,321プロジェクトに支援しました。こういった市場拡大の背景には、元々よく利用されていた融資型がさらに拡大したこと、株式型クラウドファンディングのサービス提供が2017年4月から始まったことなどがあげられます。今後も地方自治体でのクラウドファンディング活用の広がりに加え、大手メディアや運輸業、製造業、物販業などからの新規参入、事業者と金融機関との事業連携などが進むことが想定されています。クラウドファンディングは、様々な団体・個人にとって資金調達の新たな方法として定着しつつあります。

では、このクラウドファンディングは従来の借金や投資とどこが違うのでしょうか。起案者と支援者の立場から考えてみると以下のようなことが言えそうです。

起案者のメリットとしては、従来の手段では資金調達が難しかったものを、クラウドファンディングによる調達可能性が広がったことは大きなメリットと言えます。また、市場に製品が出回る前にユーザーの反応を知ることができるため、テストマーケティングの場として活用することもできます。
デメリットは、クラウドファンディングの実施方式によっては、目標金額に達成せず資金調達できない可能性があります。
クラウドファンディングを始める前に、プロジェクト成立確度はどれくらいか、成立させるためにはどれくらいの人から支援を見込めそうか、それ以外に資金を集める方法はないか、といった情報を事前に調べておくことが重要です。

支援者のメリットは、クラウドファンディングでは、プロジェクトの公開前にクラウドファンディングサービス提供サイトから審査を受けているため、透明性のある仕組みの上でプロジェクトが公開されています。起案者のプロジェクトページや活動報告、SNSの発信を見ることで、一般的な通販サービスなどの取引よりも、作り手の顔が見えることにより双方向のコミュニケーションに繋がることもあります。
デメリットは、プロジェクトが目標金額に達成した際も、予期せぬトラブルでリターンが提供されないという可能性があります。国内の事例においても、商品が届かないといった支援者の声があがるケースもあるそうです。このようなケースに対応するため、「クラウドファンディング保険」というサービスも提供されています。プロジェクト支援時の不安を減らすため、安心してプロジェクトを実行・支援できる環境が整備されていく必要があると言えます。

光明寺の梅が咲きました

先週は寒くて、縮こまった梅のつぼみが昨日の陽気で一気に開花です。梅と言えば天満宮、天満宮と言えば菅原道真、道真公と言えば飛梅伝説とその和歌です。

【和歌】東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ
【よみ】こちふかば においおこせよ うめのはな あるじなしとて はるはわすれそ
【意味】春風が吹いたら、香しい花を咲かせておくれ梅の花よ。主がいなくても、春を忘れてはいけないよ。

菅原道真が大宰府 (だざいふ) に左遷されるとき、大切にしていた庭の梅の木に上の一首をかけて去ったところ、その梅の木が道真を慕って、大宰府にまで飛んで行ったというのが飛梅伝説。また、その故事にちなんだ、太宰府市安楽寺の樹齢1000年の梅を飛梅といいます。

歌の威力を示す内容で、早くから『十訓抄(じっきんしょう)』などの説話集に取り上げられています。悲憤の死後、雷神となって天下を震撼(しんかん)させる道真の威力を、生前のできごとで印象づけるかっこうの材料となった伝説です。この伝説の背景には「飛び神信仰」があるといわれます。元来、神霊は空中を自由に飛び回り、人々の求めに応じて降臨すると考えられていました。その代表的なものが飛び神明(しんめい)です。伊勢(いせ)の神が各地に飛来してはその地の守護神となったという言い伝えがあります。このような飛び神信仰と道真の威光とが結び付いたのが飛梅伝説なのです。

城ガール

空前の大ブームを迎えている日本の城。各自治体が発表した2018年度の統計によると、有料入城者数が200万人を超えた城は、大阪城、名古屋城、二条城。これは統計を取り始めてから初めての数字で、その波に乗り遅れまいと、城を観光資源として観光客誘致を図る自治体も続々と名乗りを上げている模様です。

ここ数年、沸き起こっている世の中のブームをみると、その多くは女性たちが牽引しています。鉄道好きの“鉄子”や、広島カープが好きな“カープ女子”等々、元気があるジャンルには女性の大いなる関心が欠かせません。歴史関連のムーブメントをみると、いわゆる「歴女」、すなわち“歴史好きの女性たち”です。刀剣ブームは「刀剣女子」、神社仏閣の御朱印ブームは「御朱印ガール」と呼ばれますが、ついにこの流れが城にも及び、“城ガール”という呼び名が生まれるに至っています。実際、城でも若い女性の姿を見かけることが当たり前になりました。

昨年末に横浜で開催され、3日間で延べ約2万人が来場した城イベント「お城EXPO」。このイベントでトークショーを行った日本城郭協会理事の加藤理文氏も、「年々、会場に若い女性の姿が増えているような気がします。男性しか来なかった時代を考えると、隔世の感があります」と、女性ファンの増加に驚きを隠せません。

城をテーマにした、携帯アプリ「ニッポン城めぐり」はGPS(位置情報)を使い、訪ねた城を攻略していくソフトです。使用する16万人超が18年に訪れた城をランキング形式で発表しています。これによれば上位7城は、江戸時代までに建てられた天守が現存する城。冒頭の有料入城者数1位の大阪城はこちらでは19位に沈んでしまう。城好きになればなるほど、本物志向なのかもしれません。

戦国時代末期の日本には、およそ2万以上の城があり、柵で囲っただけの砦(とりで)のような城も含めればその数は4万~5万にも及んだともいわれています。なお、これらすべての城に、城の象徴である天守が築かれていたわけではありません。江戸時代には、幕府への遠慮から天守台を築きながらも天守は築かれなかった城も多く、実際に天守が築かれていたのは100城をわずかに超える程度でした。そんな日本の城ですが、現代までに大きくわけて3度の危機に瀕しています。

1度目は、江戸幕府を開いた徳川家康が1615年(慶長20年)に発した「一国一城令」。家康は諸大名に対して居城以外のすべての城の破却を命じました。これにより城の数は約170城に整理され、約60の天守だけが残されました。2度目の危機は、明治維新後の1873年(明治6年)に出された、「廃城令」。これにより、多くの城は天守などの建造物を売却し、城跡は官公庁用地や軍事施設に転用されてしまい、1891年(明治24年)までに40城の天守が破却されました。そして3度目が、太平洋戦争による戦禍です。開戦前には20城の天守が残されていましたが、空襲により水戸城、名古屋城、大垣城、和歌山城、岡山城、福山城、広島城の計7城の天守が焼失。戦後まで現存したのは13城、しかし、1949年(昭和24年)の失火延焼により、北海道の松前城天守が焼失してしまいます。戦後、松前城が焼失したことにより、江戸時代までに建てられた天守が現存するのは、わずか12城だけとなり、そこから、この12城を『現存十二天守』と呼ぶようになったのです。

今ではすべて「天守」とされていますが、江戸時代には弘前城や丸亀城は幕府への遠慮から天守とは呼ばず「御三階櫓」と呼んでいた。現存十二天守のなかで唯一の山城、岡山の備中松山城です。備中松山城は、大松山、天神の丸、小松山、前山、の四つの峰からなる臥牛(がぎゅう)山全域に築かれた城で、標高430メートルの小松山に二重二階の小ぶりな天守が建てられています。近年の城ブームの火付け役となった雲海に浮かぶ天空の城・竹田城と同じように、秋に気象条件(10月下旬~12月上旬の晴れた日の早朝がベスト)さえ整えば、備中松山城も天空の城となります。「日本のマチュピチュ」とも呼ばれる石垣しかない竹田城とは違い、備中松山城は天守が雲海に浮かぶ城となります。

この城ブームの土台を作ったのは、もっと細分化された門オタ垣オタ瓦オタ籠りオタという超マニアの方々です。彼らは、城そのものではなく曲輪と城門の構造や石垣の組み合わせぶりや、城瓦の発掘をしたり、日本中の城の籠城戦術を考えて城模型を組み立ててバーチャル籠城を楽しんでいます。全国各地に飛び回って、その城の構築の歴史的物理的バックボーンを含めて調べつくすなんてとても魅力的な趣味だと思います。

魅力的な声

表情豊かな歌声、深夜ラジオの心に染みる語り口……。ふと耳にした魅力的な声に、思わず耳をそばだてたことがあります。人の声は、私たちの心に思いのほか強く影響を与える。うっとりするような声に心が軽やかになったり、もっと聞いていたいと感じる一方、ゾワッとする声で不快感を覚えることもあります。影響するのは他人の声だけではありません。声は、自分の心とも密接につながっているといいます。

誰でも、その人本来のいい声を持っています。全身を使って深い呼吸をすると、体のゆがみや滞りが取れて、自然にいい声が出ます。そんな声が体の中に響くと、声を出すだけで全身が気持ちいいし、心も心地よさで満たされます。もちろん、いい声を聞いた相手にも心地よさが伝わります。

声は「体」「心」「呼吸」と直結します。いい声が出る体は凝りやゆがみがなく、呼吸も深いです。自分と相手を心地よくするので、人間関係のストレスも解消できます。しかし、実際にそんな声を出している人は少ないです。それは、私たちの体がいろいろなクセを抱えているからです。姿勢のクセ、動作のクセ……。体のどこかが常に緊張し、不自由にゆがんでいます。緊張を手放せない体は、それ自体がストレス源として知らず知らずのうちに気分を落ち込ませ、いらだたせます。
 
そして深く呼吸できない体が発する声は、詰まった感じで通りが悪いです。そんな声は、相手にも不快な感じを与えがち。会話は弾みにくいし、いい関係を築くのに余計な苦労がいります。いつも人間関係で悩むという人は、声の出し方の問題なのです。「声の響き」という実感をバロメーターにすれば、体の変化を自分で感じやすいです。今の声が普通と思っているから気づいていないけれども、滞りが取れて声がスコンと通れば気持ちいい事が実感できます。

いい声が出る体は、ベースに心地よさが宿り、気分が安定します。呼吸が深く、ストレスに強くなり、多少のことでは心が揺らぎにくいです。重要なのは深い呼吸とゆっくり吐く息です。そしてその声が、周りの人にも心地よさを広げます。まさにいいことずくめです。これが、子どもの支援には欠かせないのです。