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パラ開催の意義。 「アギト」って何?
パラ開催の意義。 「アギト」って何?【二宮清純スポーツの嵐】
2021/09/17 【ラブすぽ 】
1964年の東京大会では出場は53人だった
パラリンピック開幕の6時間前、都内上空を7機のブルーインパルスが飛行した。
夏空に描かれた赤、青、黄の3色のカラースモークは、パラリンピックのシンボルである「スリーアギト」にちなんだものだ。
アギトとはラテン語で「私が動く!」の意味。困難なことがあっても諦めず、前に進む――。そんな意味が込められていた。1964年の東京大会でもパラリンピックは開催されたが、日本からの出場選手は53人にとどまった。
<53人はほとんどが国立病院・療養所の患者や訓練生で、仕事をしていたのは自営の5人だけ。スポーツの経験もなく、この大会のために短い練習期間で間に合わせていた>(笹川スポーツ財団HP)
日本の選手たちが一番驚いたのは、外国の選手の多くが職を持ち、結婚し、人生を謳歌していたことである。というのも、当時、日本における障害者は病院や療養所の世話になる「患者」であり、すなわち行政的には「保護の対象」でしかなかったからだ。
日本における“障害者スポーツの父”と呼ばれる故・中村裕医師は、障害者にスポーツを薦めると「障害者をさらし者にするな!それでも医者か!」と周囲から随分、反発を受けたという。まだ、そんな時代だったのである。
2011年8月に施行された「スポーツ基本法」には、<スポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない>と明記されている。
しかし、現実はどうか。こんな話を聞いた。
「私も公園でつらい思いをしたことがあります。息子が公園で遊んでいると管理人さんに“危ないから遊んではダメだ”と注意されることが多かった。それ以上につらいのが、保護者たちの視線でた。“近付いてはダメ”“見てはダメ”。そんなささやき声が聞こえてくることがあり、親としても精神的に堪えます。それも障害のある子どもの“公園離れ”の一因です。“障害”に対する理解を深め、社会を変えていかなければいけないと思っています」(※一般社団法人日本車いすスポーツ協会代表理事・坂口剛)
今回のパラリンピックで、日本がいくらメダルを獲得したところで、障害者に対する理解が深まったり、スポーツをする環境が改善されないことには開催した意味がない。
問題があれば、「私が動く!」。その意識を国民全員が共有することが肝要だ。
初出=週刊漫画ゴラク2021年9月10日発売号
※<坂口剛(さかぐち・つよし)プロフィール>
一般社団法人日本車いすスポーツ協会代表理事。1975年、福岡県出身。2006年、長男が交通事故に遭い、車いす生活になったことを機に、車いす利用者に環境のいい土地に移り住む。2009年に浦安ジュニア車いすテニスクラブ(現・車いすスポーツクラブ ウラテク)を創設。パラスポーツ参加を推進すべく、さまざまな活動に関わる。2017年には日本車いすスポーツ協会を立ち上げた。好きなスポーツは、かつてサッカーとゴルフだったが、今はテニス。
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私が動く=アギト。パラシンボルに込められた思いが伝わります。思い出したのが、「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing About us without us)」でした。国際連合の人権条約、「障害者の権利に関する条約 2006 年」採択への原動力となった、世界中の当事者の合言葉でした。障害者やその関係者が自発的に動いてこそ理解は本物になるのだと思います。
「スポーツ基本法」の「障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進」する主語は行政ですが、地域の公園や広場で障害者がスポーツを日常に楽しむ姿がなければ、社会は動きません。発達障害に伴うDCD(発達性協調運動障害)を持つ子にもスポーツを楽しむ権利はあります。でも、DCDのない子どもと一緒にゲームをしてもスポーツの楽しさは味わいにくいです。
パラスポーツは、一つの種目でも何段階にも障害のレベルを分けて公平に競技ができるように設定されます。或いは、車いすバスケや車いすラグビーなどのチーム戦なら、個別の障害の重さでポイント数を決めて、チームの総合ポイント数が同じになるようにして対戦するルールとなっています。スポーツは戦う相手が同程度の条件でなければ勝っても面白くありません。トランスジェンダー選手の女子競技への参加問題がスポーツ界を賑わしていますが、そもそも性ホルモンの違いで筋力差があるもの同士が戦っても、試合をする人も見ている人も面白くないのと同じです。
DCDの子ども同士が、不器用を気にせずゲームができるコートがあったらきっとスポーツ好きになれるはずです。このパラリンピックを機に「私が動く!」必要があると思いました。サッカーでもラグビーでも、バレーボールやバスケットボールでもDCDや知的障害専用のコートとコーチが欲しいです。その前提として、放デイの子どもたちが公園に出てスポーツを楽しむ日常があり、それを普通に知っている地域の人たちの理解の広がりが大事だと思います。今日も公園でスポーツをみんなで「アギト」しよう。
「小6女子いじめ自殺」事件に向き合わなかった名物校長
「小6女子いじめ自殺」事件に向き合わなかった名物校長は、教育長に栄転した
保護者たちが校長の対応に憤るワケ
2021/09/16 【PRESIDENT Online】
昨年11月、東京都町田市の小学校で、小6の女の子がいじめを苦に自殺した。この学校はICT推進校で、全国に先駆けて「一人一台端末」を配り、校長はその旗振り役として有名だった。しかし、いじめの背景に端末の存在があったことから、校長は「いじめは解決していた」と事実を否認。保護者たちはその態度に憤るようになる。
死から2カ月半後に重大事態の発生を報告
1月19日、山根達彦さん(仮名)、山根弘美さん(仮名)夫妻は代表委員会に出席して、娘の詩織さん(仮名)がいじめを苦に自殺をしたことを学校関係者に伝えた。
参加者は、PTA役員とクラス委員を務める保護者たち。これまでさまざまな臆測が飛び交っていたが、初めて、亡くなった本当の理由を伝えることができた。それを聞いた保護者たちは学校の対応への不満を口にした。
「詩織さんはいじめられていたことを9月の心のアンケートに書いていたのに、それがいかされなかったことは残念でなりません。いまのままでは学校に不信感が募るばかりで、このまま学校に通わせていいのか大丈夫なのか、不安です」
「正直、学校側の対応には落胆しました。今回の山根さんのことは、絶対闇に葬られてはいけません。学校側はこのまま終わらせていこうとする姿勢としか思えません。山根さん親子の声、この出来事を、子どもたちを含め全世帯で共有してこそ、私たちも次に進める第一歩になるのではなかと思います」
「先日の代表委員会の場で、校長先生があの場を去ったことにとても違和感を覚えました。緊急事態宣言のなか、学校へ向かう意味がある、話し合いの場だと思い、足を運びました。これは一人のお子さまが亡くなっている、命の話なのに、一方的に漠然としたお話をされ、この話を代表委員の保護者にしか説明しない……というのは、どういうお考えのもとなのでしょうか。昨今は、先生方がとても忙しいように見て、ICTも大事だと思うのですが、もう少し本質的な学校の在り方を見直してほしいと思います。ぜひ、学校には形だけでなく、心の通った対応をお願いしたいです」
PTA会長はこうした声を「意見書」にまとめて、1月22日にA校長に提出した。1月27日という約束の期限から遅れて2月1日に返ってきたA校長の回答には、「遺族の意向に沿ってやってきた」という嘘が書かれていた。
山根夫妻は12月25日に「いじめの調査の第三者委員会を立ち上げてほしい」という要望を伝えている。しかし、A校長が「重大事態」が起きたことを町田市教育委員会に報告したのは、2月15日のこと。11月30日の詩織さんの死から2カ月半もの月日が経過していた。
2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」では、第28条第1項に「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認める」事態(自殺等重大事態と呼ばれる)を「重大事態」と定義。重大事態が起こった際には速やかに教育委員会などに報告し、第三者委員会を立ち上げて調査することを求めている。A校長の対応は、法律の趣旨を無視するものだ。
「いじめで自殺は間違った噂」と保護者に説明
2月20日には全校の保護者を対象にした臨時保護者会が開かれた。ここでも詩織さんが亡くなった理由は説明されなかった。むしろA校長は、「いじめで亡くなったという“間違った噂”が流れている」と話した。
「A校長は冒頭で、『いじめで亡くなったという間違った噂が流れているので臨時保護者会を開いた』と説明されました。そして、『遺書を見て、9月にはいじめがあったことを認識していたが、10月、11月の心のアンケートには何も書いていないので、解決した。いじめと自殺は関係ない』と話されました」(PTA会長)
そして、「タブレット端末の使い方とネットトラブルの防止について」というプリントが配られた。そこには「町田市の方針で2020年11月にチャットは使用不可設定になり、本校でも使えなくなったこと」「児童のIDパスワードは家庭と学校で管理すること」などが書かれていた。
学校では昨年12月中旬、唐突に子供たちの端末のアカウントを作り直させている。
そこでは従来の方針と変わって、個別にパスワードを設定させているが、なぜ、そのように変更したのか、理由の説明は一切ない。従来のやり方に問題があったから、アカウントを作り直したのではないのか。
A校長は、メディアでの取材でICTについて「あえてルールを設けず、子供の自主性に任せて、失敗のなかで学ばせる」という方針を語っている。だが、いじめについても、端末利用のトラブルについても、どこに問題があり、どんな解決策を採ったのかを説明していない。それは「失敗のなかで学ばせる」という言葉に反しているのではないだろうか。
死から3カ月後に、初めて弔問に訪れる
2月24日。山根夫妻は、突然、A校長が副校長と6年生の担任3人を引き連れて自宅へ弔問に訪れたので、心底驚いた。これまで自宅には一切来ようとしなかったからだ。
父親の達彦さん(仮名)は、思わず「一体、どういう風の吹きまわしだい?」と聞いてしまった。詩織さんの遺影の前に無言で座るA校長らに対し、母親の弘美さん(仮名)は、「3カ月もたったのに、これまでどうしてきてくださらなかったのですか? どうして、死んでまで何もしてくれなかったのですか? 卒業まで子供たちに何をしてあげるのですか?」と泣きながら、問いかけた。
父の達彦さん(仮名)と詩織さん(仮名)。父の日の思い出のスナップ父の達彦さん(仮名)と詩織さん(仮名)。父の日の思い出のスナップ(写真=母親提供)
A校長は「私たちが本当に至らなくて、申し訳ありません。失礼な対応がいろいろあったので、謝りにきました」と説明した。「失礼な対応」とは、詩織さんの机と椅子が片付けられてしまった件を指す。詩織さんが亡くなった後、詩織さんの席に勝手に座ってしまう子供がいたため、担任のB先生が机と椅子を片付けてしまったのだ。弘美さんは「卒業まで詩織をクラスの一員でいさせてほしかった」と泣いた。
この日は加害者のC子・D子とその親も弔問に来ていた。立て続けの訪問に「今日は何かあったのかな?」と山根夫婦は顔を見合わせた。
その日に何があったかは、あとで知ることになった。この日の午前中、A校長が東京都の自治体の教育長に任命されたのだ。山根夫妻は「正式に任命されて安堵したから、弔問に来られるようになったのではないか」と受け止めた。
子供たちの心に傷を残したまま卒業
3月11日の定例の6年生保護者会では、学校側が初めて「自殺の原因の一つに、いじめがあったこと」を認め、対応を謝罪した。
事件後、詩織さんの担任のB先生は精神的に追い詰められて、学校にいけない時期もあった。謝罪した際に、副校長や6年生の担任の先生たちは目に涙を浮かべながら、深々と頭を下げていたが、「A校長だけはうんざりした様子で、下を向いてうなだれるだけで、頭を下げることはなかった」と保護者は口をそろえる。
そしてA校長は3月末に定年退職し、この4月より教育長を務めている。
詩織さんと幼なじみだった娘を持つ保護者は言う。
「詩織ちゃんが亡くなったと知ったあと、娘は一人で夜寝ることができなくなりました。夜に何度も起きて、学校であったことを思い返し、メモを取っています。熟睡できなくなってしまったんです」(加藤和江さん/仮名)
詩織さんと同じクラブ活動をしていた同級生の女の子は、卒業式が終わってすぐに全身にじんましんが出た。医師は「精神的ストレスだろう」と診断したという。学校が怖くなってしまった子供や、部屋に引きこもるようになってしまった子供もいた。
「2月下旬に『命の授業』が開かれましたが、娘のクラスでは子供たちが『こんな授業をしたって意味がないじゃないか』『いじめだって、否定したくせに』と泣き怒りして大変だったと聞きました。結局、子供たちの心に向き合わず、深い傷を残したまま、卒業となってしまいました」(加藤さん)
詩織さんの母、弘美さんは訴える。
「私たちはかけがえのない娘を失って、何があったのか、本当のことを知りたかった。学校でいじめが起きてしまうこと、それ自体は、先生たちの責任ではないと思っています。ただ、解決に向けて子どもに寄り添ったり、原因究明に真摯に向き合ってくださらなかったことに絶望しています。学校ではいじめ自殺が起きたときに、いじめの事実を隠蔽するケースがあとを絶ちません。なぜなのでしょうか? A校長が教育長に栄転したように、学校はいじめを隠蔽した人が評価される組織なのでしょうか? ことなかれ主義を変えない限り、これからもたくさんの犠牲者が出てしまうのではないかと危惧しています」
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プレジデントオンラインの取材には、いじめの実態と自殺後の校長とのやりとりなどが詳細に報道されていました。ご両親が文部科学省にまで出向き記者会見をした背景には、学校側への不信感、学校だけに任せていたら本当のことがわからないままになるという思いが強かったのだと思います。児童が亡くなり学校に原因がなかったかどうか調べて欲しいと要請されているのに、その説明責任を怠っている時点で、行政のトップが、その対応のまずさについて詫び、責任者を処分するのが普通の社会常識です。
責任者である校長を処分もせずに満額の退職金を払い渋谷区教育長への就任を黙認する町田市長も、就任させる渋谷区長も、都の学校教育を指導する都教委や都知事も、社会的な影響を考えれば、元校長に踏みとどまるように促すのがトップに立つ者の責務であり社会的な常識だと思います。そして、前回も書きましたが、これはICT教育の指導に直接の原因があるのではありません。いじめ防止対策や人権教育がどの程度行われたのか明らかにし、学校はいじめ防止法にそって粛々と対応をしたかどうかを調査することが大事です。
ピントのズレた追及をメディアはまだしていますが、責任者たちの行動を取材することの方が先です。権力者は自分に火の粉がかかるのを嫌がります。メディアが騒ぐICT教育の問題にしてくれた方が助かるのです。渋谷区で特別公務員として区長から教育長を任命され、承認した議会がどういう対応をするのか、メディアの取材はそこに集中するべきです。そして、町田市長は関係者の責任を曖昧にせずトップの姿勢を市民に示すべきです。行政が招集する第三者委員会は時間ばかりかけて責任があいまいになる可能性があります。小学生の自殺原因だけでなく学校や行政対応の不適切さも法的に明確にしたほうが、全国で起こっている公的機関の不作為に歯止めをかけるものになると思います。
複数児童に差別的な発言や体罰 特別支援学級で
複数児童に差別的な発言や体罰 特別支援学級で長期間繰り返す姫路の小学校教諭
2021/9/21 【神戸新聞NEXT】
兵庫県姫路市立小学校で特別支援学級を担当していた男性教諭が、同学級の複数の児童に対し、差別的な発言や体罰を長期間繰り返していたことが20日、学校関係者への取材で分かった。学校側は17日に保護者向けの説明会を開いて謝罪。人事権を持つ兵庫県教育委員会が、厳しい処分を検討しているとみられる。
関係者によると、男性教諭は数年前に同校へ赴任し、特別支援学級を担当。受け持っている児童の障害や特徴をからかうような発言を長期間、繰り返していた。ほかにも、プール指導の際にいやがる児童の顔を無理やり水に漬けたり、羽交い締めにしたりする体罰も加えていたという。
一部の保護者から教諭の行為に対する苦情が寄せられ、学校に行きたがらない児童もいたという。学校側は別の担当者らから事情を聴き、事実関係を確認した。教諭は現在、担当から外れているという。
17日にあった保護者向け説明会では、校長が事例を挙げながら経緯を説明したという。出席者の一人は「悩みを抱える児童や親に追い打ちをかけるような言葉もあった。男性教諭の行為は許せない。もう教壇に立たせないでほしい」と憤りを隠さなかった。
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「生きてる価値ない」「二度と学校に来るな」と暴言 特別支援学級で体罰の教諭
2021/9/21 続報【神戸新聞NEXT】
兵庫県姫路市立小学校の特別支援学級を担当する男性教諭(39)が児童に暴言や体罰を繰り返していた問題で、男性教諭の暴言には「生きている価値がない」「二度と学校に来るな」など、児童の人格を否定するような内容が含まれていることが分かった。本来、児童の特性に合わせた指導が求められる特別支援学級で人権侵害といえる事態が継続していたとみられ、兵庫県教育委員会は事態を重くみて、21日付で男性教諭を懲戒免職処分にした。
姫路市教委などによると、男性教諭は2011年度に採用され、16年度に同校へ赴任。18年度から特別支援学級の担任になり、自閉症や情緒障害のある児童向けのクラスを受け持っていたという。
暴言や体罰は複数年にわたり、計6人が対象になった。児童が指導に従わない場合にみられたという。男性教諭は「なかなかうまく指導できず、かっとなった」と説明。現在、心身の不調を理由に休んでいる。
同校によると、今回の問題について同校が本格的に調査を始めたのは今年6月から。暴言や体罰により学校を休んだり不登校になったりした児童はいないという。
同校では21日、全児童に校内放送で今回の問題について説明した。今後はスクールカウンセラーの枠や人員を増やして、児童のケアに当たるという。校長は「子どもにはつらい嫌な思いをさせてしまった。安心して学校に通えるよう精いっぱい対応したい」と話した。
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「またか」です。それも二重の「またか」です。また特別支援学級・学校での体罰教員、また兵庫県での虐待事例です。少なくとも障害児への暴力や暴言は「体罰」というようなグレーな言葉をメディアは使うべきではないと思います。児童虐待、傷害罪、暴行罪、侮辱罪の容疑者扱いをすべきです。こうした教員の暴力等は「初犯」ではないことが多いです。指導力不足教員は通常学級ではすぐに破綻するので、特別支援学級の担任を任せるか、支援学校に異動を勧めるケースが少なくありません。
講師なら、辞めさせることもできますが、正規教員は犯罪を起こさない限り簡単には解雇できません。公務員の既得権限と労働組合に守られているからです。時が経つまでうつ病か適応障害の診断を受けて病気休暇をとらせ、時期を見て異動させるのです。不適切な指導を何度繰り返しても、結果的には組織が自分を守ってくれるのですから、不適切指導を繰り返している教員は、自分の問題として受け止めていません。問題が表面化しても子どもや保護者が悪いと思っています。反省しているなら同じことを繰り返すわけがないのです。
また、子どもが犠牲になっているのに自己保身を優先する管理職を目の前にする教員は、不良教員を注意するのも告発するのも馬鹿らしくなります。こうして、職場は腐っていきます。自分もこれくらいないなら、あいつよりましだと子どもへの指導の質も熱意も落ちていきます。子どもの未来を担う教員に、罰を課して襟を正させるなどは本当に残念ですが、一罰百戒しかないのだろうと思います。学校教員による児童虐待には、厳しい処分で臨むべきです。
今回は懲戒免職処分となりましたが、社会的制裁を受けたとして刑事告発は受けないのでしょうか。減給10分の1か月で1か月分(5万円程度)の処分を受けた校長は「精いっぱい対応したい」と言ったのですから、暴行について刑事告発するのが筋です。解雇しても法的な瑕疵は償われていないからです。何百の児童が正しい大人とはどう決着を付けるのか見ています。現在、県教職員人事課長のみのコメントしか報道されていません。市長が即座に見解を発表しないのは、発表するほどの人権事件ではないと考えているのでしょうか。教育長では身内を切りにくいので、職員不祥事の際は市民から選ばれた教育長の解任もできる市長が相応しいと思います。最後まで姫路市の動向を見届けようと思います。
パラリンピック ボッチャで金 杉村「勝ち続け 注目集めたい」
パラリンピック ボッチャで金 杉村「勝ち続け 注目集めたい」
2021年9月21日 【NHK】
東京パラリンピックの球技、ボッチャで日本初となる金メダルを獲得した杉村英孝選手がNHKの取材に応じ「盛り上がりを一過性に終わらせないためにも勝ち続けることで注目を集めたい」と今後の決意を述べました。
ボッチャは、赤と青のボールを投げ合って白い的球にどれだけ多く近づけるかを競うパラリンピックの球技で、杉村選手は東京パラリンピックの個人で金メダル、団体で銅メダルを獲得しました。
特に金メダルはこの競技では日本選手として初の快挙で、NHKのインタビューに応じた杉村選手は「過去の自分に打ち勝つこと、そして何よりも大好きなボッチャを思い切り楽しむことをテーマに臨んだが、弱かった自分に勝てたのが決勝の結果につながった」と振り返りました。
また、障害の有無や年齢、性別に関係なくプレーできるスポーツとしてボッチャが注目を集めていることについて「東京大会が競技を知ってもらうきっかけになったことはうれしいが、この盛り上がりや勢いを一過性に終わらせないためにも、選手としては勝ち続けることで注目を集めていきたい」として今後の決意を述べました。
そのうえで「競技者としてこれからも成長していきたいし、障害がある方々が自分もやってみようかなとか、頑張ろうかなというような前に一歩進むきっかけになることができたらいい。目の前の試合を一つ一つ大事に戦ったその先にパリパラリンピックがあると思っている」と3年後を見据えていました。
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ボッチャは、白玉(ジャックボール)に近い球が多い方が勝ちと言う単純なルールですが、相手の玉を弾き飛ばしたり相手の得点進路を妨害したりと、攻防の駆け引きがあり初心者から上級者まで楽しめるスポーツです。京都では京都市障害者スポーツセンターが来年の1月に23年目のボッチャ大会を開催します。京都府では特別支援学校が東京オリパラを迎えるために取組んできています。
ボッチャは、小学生から高齢者まで取組めるスポーツで、縦12.5m横6mで丁度テニスコートの半分の広さがあればゲームができます。放デイでもコートがあれば簡単にチームゲームができるのでコロナ騒ぎが静まれば、京都府のボッチャ協会などにお願いして教えてもらうのも良いと思います。京都ではトヨタ自動車の販売店が協力してくれています。ボッチャと言えば車いすの競技のようにイメージしますが、歩ける人でも楽しめる競技なので、子どもたちと一緒に取り組んでいけたらいいなと思います。
不安和らげる工夫を 障害者に「専用ワクチン会場」
不安和らげる工夫を 障害者に「専用ワクチン会場」
9/23(木) 【テレビ朝日】
新型コロナワクチンの接種率は21日時点で、全人口のうち67.2%が1回目を終えました。2回目は55.1%と、アメリカの接種率を超えました。
こうしたなか、神奈川県相模原市は今月、障害者専用の接種会場を設置しました。接種と受けるのは、知的障害や精神障害がある人たちです。
障害者対応の経験がある医師と看護師が対応し、ゆとりを持って打てるよう、予約の間隔も15分ほど空けられています。
付き添いの親:「病院だと狭かったりするので、車いすの利便性などを考えて打つのを考えちゃうんですけど」
付き添いの親:「他の方やスタッフに気を使って頂くこともあると思うし、この子がどういう状態かも分からないので、心配もされるかなとか」
付き添いの親:「暴れてしまう子は押さえつけるので、時間がかかってしまう。(接種を)先生の方から断られてしまうこともある。今まで、それでなかなか打てない。良かったです」
22日は約90人が、接種を受けることができました。
相模原市ワクチン接種推進課・成澤正成主査:「障害のある方や家族からすると、安心して接種をしたいという思いもある。一人ひとりに寄り添った、安心して受けられる環境を整備していくのが、我々には求められているのかな」
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私たちの事業所にも、知的障害児の親が安心して子どもに接種を受けさせることができる医療施設はないかという問い合わせがあります。小さな時期は押さえつけられたけれども小学生以上になると親の力では押さえつけるのは無理だと言うケースです。今回の新型コロナ予防接種で顕在化しただけで、他にも身体が大きくなってから必要なワクチンはあります。3年生から追加接種の日本脳炎や女子なら6年生からのHPV、任意だけどインフルエンザやおたふくかぜや髄膜炎ワクチン接種もあります。
今回は、蔓延防止の観点から障害のある人の予防接種がクローズアップされましたが、痛かった思い出のある病院や白衣を見るだけで診察室にも入らない子どももいます。注射針のあるものは受けられないと言うことで、点滴すら難しいのです。もちろん生命にかかわる場合は、ベットに拘束してでも接種します。子どもの新型コロナワクチンについては、基礎疾患がなければ小学生は軽微な風邪ひき程度なので接種の必要がないという医師もいますが、困っているのは中高生の知的障害の人たちですし、他の接種でも困っているのです。なんとかインシュリン注射針のような痛みのない注射針が標準仕様になってくれないものでしょうか。
神奈川・相模原市で障害者専用のワクチン接種会場
神奈川・相模原市で障害者専用のワクチン接種会場【新型コロナ】
2021/09/15【TBS】
新型コロナワクチンの集団接種会場に行くのが難しい障害者を対象に、神奈川県相模原市では専用の会場を設けて接種を行う取り組みを行っています。
記者
「相模原市では、障害者専用の接種会場が毎週水曜日、設けられています」
この取り組みは障害があり、多くの人が集まる会場では接種が難しい人に安心して接種を受けてもらおうと、相模原市が今月から始めたものです。車いすや知的障害のある人たちが、親に付き添われて接種を受けていました。
付き添いの親
「障害があって普通の接種会場ではできないので、こういうところがあってありがたい」
「スムーズに打ててよかった。障害があるので、落ち着いてできるほうがいいのかなと。親も気を遣わなくていい」
相模原市ワクチン接種推進課 成澤正成主査
「安心して受けられる接種会場はないかという声があったので、そういう経緯から会場を設けた」
相模原市では、専用の会場であわせて300人ほどの接種を予定しているということです。
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発達・知的障害者の接種イラスト、ご褒美…不安和らげる工夫を
2021/9/13【毎日新聞】
発達障害者や知的障害者の家族の中には、新型コロナウイルスのワクチンを本人にどう接種してもらえばいいのか悩んでいる人もいる。接種の意味や手順が分からず、気持ちが乗らなくて時間通り会場に行けなかったり、注射器の針を見てパニックになってしまったりする可能性もあるためだ。
静岡県在住のイラストレーター、むらまつしおりさん(28)は、重度の知的障害がある弟の裕樹さん(24)が8月までにワクチン接種を受けた様子を軽いタッチの漫画で描き、インスタグラムなどで紹介している。
裕樹さんは、行き慣れた通所施設やかかりつけ医ではワクチン接種を受け付けていなかったため、自治体の集団接種会場でワクチンを打つことになった。
会場に行けるか不安だったが、切り札になったのは紙のカタログ。無料で配布される冊子で、商品などが掲載されている。裕樹さんは紙の感触が好きで、接種会場へはカタログを手に出かけ、スムーズに接種が受けられた。
漫画では、医師の問診の間、カタログを見て心を落ち着かせた裕樹さんの様子を描いている。裕樹さんの接種当日に、しおりさんとともに付き添った母由美子さん(56)は「カタログが心の安定剤になった」と振り返る。
1回目の接種では、由美子さんが職員に障害があることを伝えると介助に加わってくれた。2回目では職員が対応を引き継いでくれて、接種の待ち時間から終了まで別室で対応してくれたという。待機中は、マスクをとろうとする裕樹さんを、しおりさんとともに制止する場面も。由美子さんは「1人で対応していたら大変だったので、娘や職員がいてくれて心強かった」と話す。
知的障害や発達障害のある人の中には、ワクチンを接種する意味や手順を理解できない人もいる。また、痛みに敏感で、感情を抑えられずにじっとしていられないこともある。言葉や文字よりも視覚で理解する方が得意な傾向があるため、接種の流れをイラストや写真など、目で見て分かりやすく説明する方が効果的な場合もある。
自閉スペクトラム症(ASD)の当事者の家族らでつくる埼玉県自閉症協会は、ワクチン接種の流れを示したイラストの表をホームページで公開している。
ASDの人は、自分がこれから何をするのか見通しが持てないと不安になることが多い。そこで、検温▽座って待つ▽問診▽注射――といった一連の接種の流れをイラストで分かりやすく表した。接種後の副反応の様子を指さしで自分から伝えられるよう、「肩が痛い」などの体調を表すイラストを並べたものもある。
表は会長の小材由美子さん(59)が、自閉症と重度の知的障害がある長男(35)向けに試行錯誤して作成したものだ。小材さんは「イラスト表はあくまで一例。伝わりやすいイラストや見せ方は一人一人違うので、これを参考にして本人に合った方法を見つけてほしい」と話す。
障害者専用の接種会場を設ける自治体もある。東大阪市では、マスクを着けられないなどの事情で一般の集団接種会場やかかりつけ医での接種が難しい障害者を対象に、市立障害児者支援センターで集団接種をしている。接種には、普段から障害者の治療や支援にあたる医師や看護師が携わる。担当者は「落ち着いた環境で安心して接種できるようにしたい」と話す。相模原市なども、障害者を対象とした臨時の接種会場を設けている。
予防接種に詳しい「はしもと小児科」(東京都八王子市)の看護師、伊藤舞美さんによると、発達障害や知的障害のある子どもは先の見通しがはっきりしないと不安になることが多いが、接種の手順をイラストで示してあげることで和らぐことが多いという。また、注射を打つ前で緊張しがちな時は、「お昼ご飯は何を食べたの」などと尋ねて気をそらす▽接種後に褒めたり、ご褒美をあげたりする――なども恐怖感を取り除くために有効になることが多いという。
逆に絶対にしてはいけないのは、何も説明しなかったりうそをついたりして接種を受けさせることだという。本人はだまされたと思い、保護者も医療者も信頼をなくすため、今後の受診などにも影響する場合がある。
接種部分の痛みを和らげるため、麻酔の効果があるシートを活用することも勧めている。伊藤さんは「痛みを我慢するのが当たり前になってしまっているが、工夫をすることで痛みを取る方法があることも知ってほしい」と話す。【中川友希】
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障害がある人も安心してワクチン接種を 専用会場設置 相模原市
2021年9月8日 【NHK】
障害がある人に安心して新型コロナウイルスのワクチンを接種してもらおうと、相模原市は8日から専用の会場を設けて接種を始めました。
相模原市は、障害がある人が大規模接種会場などふだんと違う環境になると混乱してしまうなど、ワクチン接種が難しいケースもあることから、安心して接種してもらうための専用の会場を設けました。
会場となった市立障害者支援センターには、予約をした人たちが保護者と一緒に訪れ、医師が接種を受ける人たちに体調などを尋ねたあと、次々とワクチンを接種していました。
対象となるのは療育手帳などを持つ相模原市の12歳以上のおよそ3000人で、市では今後、毎週水曜日にそれぞれ96人を限度にワクチン接種を行うことにしています。
子どもに付き添って予防接種に訪れた40代の母親は「息子は障害の特性で周囲に合わせるのが難しく、落ち着いた環境で接種ができるのは助かります」と話していました。
相模原市新型コロナウイルスワクチン接種推進課の成澤正成さんは「障害のある方も含め、希望する方全員に安心してワクチン接種を受けてもらえるよう取り組みたい」と話していました。
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9月24日に、9月23日のテレ朝の報道(不安和らげる工夫を 障害者に「専用ワクチン会場」09/24)を、注射が怖い子どもたちの事として掲載しました。ところが、9月27日にはテレ朝のホームページから動画も一緒に記事が消えていました。テレ朝が配信しているANN系メディア各社のホームページからも全て削除されていました。おそらく、視聴者が大勢クレームをつけたので取り消したと推測できます。けれども、何もコメントしないで記事そのものを削除するのは、人のことはあれこれ言うのに自分のことになると口を閉ざすようで潔く見えません。
相模原市の専用会場設置について記事に取り上げたのはNHKが最初です。それを見て、TBSやテレ朝の順序で取材をしたという事でしょう。おそらくASDと思われる男子が暴れるのを押さえつけて接種している場面に一部の視聴者が反応したのだと思います。同じ内容のTBS動画のコメントに、虐待だとか嫌がっているのにというコメントが散見されるので掲載後に問題の箇所をカットして編集し直したのかも知れませんが、これについてもTBSのコメントは何もありませんでした。
毎日新聞の報道のように視覚支援など様々な工夫をして支援者が努力することはとても大事です。だた、支援者の努力が必要ですと書けば解決するのかというと、それだけではすぐには上手くいかない人がいるのも現実です。押さえつけての接種はけしからんと言うのは簡単ですが、それを突き付けられた支援者や医師らからは、任意なのだから嫌がって暴れる人は接種しないという見解を引き出してしまうだけです。しかし、それでは障害のある人もない人も健康に暮らせる社会を作るという目標には到達できません。
クレームをつける人たちの中には、そもそも接種そのものが無意味だと思っている方や、ワクチンの副反応が危険だと考えている方もあり、ワクチン接種の不安を煽る目的でクレームをつけているのかも知れません。しかし、映像を見て純粋にひどいじゃないか、かわいそうじゃないかと思う方もいたと思います。以前にも書いたように、今回のワクチン接種の報道で障害者医療の課題が社会に顕在化しただけのことで、必要な接種や点滴、怪我の治療についての問題は、コミュニケーションに障害のある人たちと家族がずっと抱えている問題なのです。クレームをつける人たちはそれも虐待だとは言えないと思います。
本来は、テレ朝はそのことを端折らずに報道すべきでした。NHKやTBSも綺麗に建前だけ報道するだけでなく、当事者や家族が本当に困っていることを解決するために、取材を続けて欲しいと思います。そのうえで毎日新聞で報じたような知恵がみんなに広がればいいと思います。テレビは事実を切り取って報道するので、詳しく説明できない事もありますが、たくさんの人に訴える力は絶大なのですから、コミュニケーション障害を持った方と医療の問題を煽るだけの目的のクレームやバッシングの圧力に負けないで事実を取材してほしいと思います。
3歳虐待死 摂津市「暴力放置」判定も「緊急性低い」と判断変えず
3歳虐待死 摂津市「暴力放置」判定も「緊急性低い」と判断変えず
2021/9/28 【毎日新聞】
大阪府摂津市のマンションで8月、新村桜利斗(にいむらおりと)ちゃん(3)が熱湯をかけられて死亡した事件で、市は母親から交際相手の松原拓海(たくみ)容疑者(24)=殺人容疑で逮捕=に関する暴力相談を受けた5月、児童相談所と協議し、桜利斗ちゃんの家庭について「第三者の暴力を放置している」と判定していた。ただ、桜利斗ちゃんにけががないことなどを踏まえ、「緊急性は低い」との判断を変えなかったという。
森山一正市長は28日に記者会見し、「男児の命を救えなかったことを重く受け止めている。児相に『(一時保護を含め)担当してくれ』ともっと強く言えなかったかとの思いはある」と説明。大阪府に設置される検証部会に協力するとともに、市も対応の是非について内部で調査する考えを明らかにした。
市によると、母親から5月6日、松原容疑者について「子供のほおをたたいた」と相談を受けた。母親は以前から「育児放棄」の疑いがあるとして見守り支援を続けてきた経緯があり、大阪府吹田子ども家庭センター(児相)と協議し、暴力を止められない対応も育児放棄に当たると判定したという。
しかし、松原容疑者は家庭訪問した市の担当者に「もう手を出さない」と約束。桜利斗ちゃんの母親の知人らからは6月に虐待を疑わせる訴えがあったものの、母親との面談を重ねる中で桜利斗ちゃんにけがが確認されなかったことから、市と児相は一時保護などの対応は取らなかった。桜利斗ちゃんは8月31日、熱湯をかけられたことに伴う熱傷性ショックで死亡した。
今回の事件では、市と児相が「緊急性が低い」との判断を変えなかったことから府警と情報共有していなかった。森山市長は「警察との連携は避けて通れない」と述べ、情報共有のあり方を検討する方針も示した。【郡悠介、高橋昌紀】
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3歳虐待死「行政対応の検証必要」 大阪知事が第三者部会を設置意向
2021/9/24 【毎日新聞】
大阪府摂津市のマンションで3歳の男児が熱湯をかけられて殺害された事件を受け、吉村洋文知事は24日、医師、大学教授、弁護士ら5人による第三者部会を来週にも設置し、行政機関の対応が適切だったかどうか検証する考えを示した。
吉村知事は記者団に「事件には胸が痛み、言葉がない。児童相談所(児相)も情報を共有していた案件であり、悲惨な事件を防げなかったのか検証する必要がある」と述べ、部局に指示を出したことを明らかにした。
府内では、児童虐待に関する全件の情報を児相と警察が共有する「全件共有」を行っている。しかし、今回の事件では、児相ではなく、摂津市が対応する「市町村担当事案」になったため、全件共有の対象にはなっていなかった。吉村知事は「なぜ今回は児相(が担当する)案件にならなかったのか、市町村担当事案でも全件共有しなくていいのかについても検証する」と語った。【矢追健介】
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「たっくん、いや」虐待死3歳が再三SOS 悲劇防げず知人悔い
2021/9/23 06:30【毎日新聞】
大阪府摂津市のマンションで8月、交際相手の息子だった3歳の男児に熱湯をかけて殺害したとして、大阪府警は22日、同居していた無職の松原拓海容疑者(23)を殺人の疑いで逮捕した。
亡くなった新村桜利斗(にいむら・おりと)ちゃんは事件前、「SOSのシグナル」を幾度となく発していた。虐待を疑った周囲は行政に一時保護を求めていたが、悲劇を防ぐことはできなかった。母親の知人らは「桜利斗は何も悪くない。大人が幼い命を救ってあげられなかった」と悔やんでいる。
「たっくん、いや。たっくん、いや」。知人らによると、桜利斗ちゃんはよく、たどたどしい言葉でこう訴えていた。逮捕された松原拓海容疑者は「たっくん」と呼ばれていた。桜利斗ちゃんは帰宅することを拒むような仕草を見せたこともあったという。
桜利斗ちゃんの母親は夫と離婚後の2018年10月、桜利斗ちゃんとともに大阪府内の別の自治体から摂津市内に転居。20年秋ごろから松原容疑者と交際し、同居を始めたのは事件の約3カ月前だったとされる。
知人らはマンションに遊びに行った際、松原容疑者が桜利斗ちゃんを怒鳴ったり、物を投げつけたりしている姿を目撃。顔に不自然な傷を確認したこともあった。21年6月には「虐待の可能性がある」と考え、摂津市役所の家庭児童相談課に桜利斗ちゃんの一時保護を求めていた。
市によると、母親と桜利斗ちゃんは以前から「行政による継続的な見守りが必要な母子」とされていた経緯があり、支援担当者が毎月1~2回、母親と面会を重ねていた。
母親も5月初旬、「交際相手が子どもに手を出した」と相談していたが、松原容疑者が市側に「もう手を出さない」と約束していたという。市の担当者は「緊急的な危険があるとは考えていなかった。対応に問題はなかった」と話した。
人なつっこい性格で周囲の人気者だったという桜利斗ちゃん。母親は4月、自身の写真共有アプリ「インスタグラム」に、「プレゼントもめっちゃ喜んでくれてよかった」とのメッセージを投稿。3歳の誕生日を迎えた桜利斗ちゃんがケーキの前で手を広げ、笑顔をふりまく写真も添えられていた。知人の一人は「あんなにかわいい子を救えず、悔しい気持ちしかない」と語った。【木島諒子、清水晃平】
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森山市長はこの期に及んでも、当時の役人の判断を間違っていたとは言いません。子どもが一人死んでいるのに、周囲の住民は予測がついていたから通報しているのに、市長が役人を守ろうとする意味が分かりません。吉村知事は第三者委員会を持って責任を検証するという暢気なことを言っています。まずは、この時の責任者や関係者を行政の長として処分すべきだと思います。森山市長は、市の虐待担当の担当者と責任者を、吉村知事は児相の今回の担当者と責任者をまず更迭すべきです。
組織の長が直接できることは人事しかないのですから、まず、市民に対して責任ある態度をとるべきだと思うなら役人の更迭です。解雇せよと言っているのではなく、業務の失態を指摘し配置換えをすればいいのです。もちろん格下げは仕方がないことですが、それくらいの責任を果たすべき地位と給与を与えているはずです。その責務が結果的に果たせず市民の信頼を失っているのですから更迭は当然です。
おそらく府に見習って摂津市も第三者委員会をと言い出すかもしれませんが、それでは役人は痛くもかゆくもないのです。しかも、今回のような事件は、会議をするほどの中身ではないはずです。母親だけでなく知人も訴えてきた時点で、仮に児相が取り合わなくてもいくらでも方法はあったはずです。問題は摂津市の担当者の姿勢です。幼児への暴力は死に直結します。暴力の存在を認めた時点で、役所は警察に届けるべきでした。松原拓海容疑者が市の担当者に「もう手を出さない」と約束したから許したという、小学生並みの対応を容疑者にしています。
普通なら、この時点で担当者から報告を受けた責任者が通報を決断するべきですが、漫然と部下に任せていたのですから、更迭されて当たり前なのです。メスを獲得するため少なくない野生の大型動物は子殺しをします。松原拓海容疑者はそれと同等です。野生の衝動に突き動かされて理性など働いていないのです。理性のない人に約束など通じない、そんな基本的な判断もできなかった役人には、二度と同じ部署で働いてほしくないというのが普通の市民感情だと思います。
不登校の子は「タブレット貸与」対象外
不登校の子は「タブレット貸与」対象外の学校も オンライン授業に参加させない理由
2021/09/30 【AERA2021年10月4日号】
新型コロナウイルス感染を恐れて「自主休校」する子どもと、以前から不登校の子とで学校の対応が分かれるケースが見られるという。AERA 2021年10月4日号はその現状を取材した。
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不登校の子どもたちへの対応も学校によって違う。
小学4年の娘が3年前から不登校の女性(44)は9月中旬にツイッターで、「不登校児にはオンライン授業を提供してくれない」という書き込みを見かけた。そのときは「娘の学校はまだオンライン授業さえ始まっていない」と思ったが、その直後、自主休校の児童向けに授業のオンライン配信が始まっていたことを知った。担任に連絡すると、「タブレット貸与は不登校児は対象外。外部の機器からは個人情報の関係で授業は見られない」と言われた。
「担任とは信頼関係が築けていたと思っていたのに、見捨てられたのかとショックだった。娘にどう説明したらいいのか」
小中高校生の保護者らでつくる「全国学校ハラスメント被害者連絡会」(東京都)は、オンライン学習をめぐって一部の学校が特定の子どもに差別的対応をしていることについて9月末までネットアンケートを実施し、実態調査を進めている。同会共同代表の郡司真子さんはこう指摘する。
「排除のタイプは2種類あって、一つはタブレットを配布されないケース。もう一つは、通常級に通う軽度発達障害などで手のかかるお子さんが『タブレットを配布したので学校にこないでください』と言われたケースも。排除された子どもは『自分はダメなんだ』と思い、自死に追い込まれてしまう場合もあり、大きな問題です」
登校再開につながる
不登校の子どもをオンライン授業に参加させない理由は「ますます登校しなくなるから」といったものだという。一方で、オンライン授業が登校へとつながったというデータもある。
青森市では一斉休校中だった昨年4~5月にかけて市内全校でオンライン授業を実施したところ、中学では不登校の生徒の74.5%が参加し、このうち92.5%が登校再開の5月25日以降も登校した。同市教育委員会の担当者は言う。
「登校を再開した子どもへの聞き取りでは、新しい学習形態に興味を持ったことや、周りの子どもの目を気にせず参加できたこと、決して勉強が嫌いではないことがわかりました」
熊本市も、昨春のオンライン授業は特に不登校の児童生徒に対して有効だったという。そこで今年9月、登校が難しい児童生徒を対象にオンライン学習支援事業を始めた。「支援校」のオンライン授業に参加してもらい、必要な場合は支援校の教員から個別指導も受けられる。在籍校のオンライン授業で学ぶことも可能だが、勉強が遅れている場合などは支援校の授業のほうがより手厚い指導を受けられるという。同市の遠藤洋路教育長はこう語る。
「すべての子どもたちに教育の機会を提供することが私たちの使命。多様な選択肢があるということは、子どもたちが居場所をたくさん持てるということです」
(編集部・深澤友紀)
※AERA2021年10月4日号より抜粋
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自主休校の児童向けに授業のオンライン配信が不登校児は対象外と平気で言える教員の頭の中を覗いてみたいです。手のかかる児童にタブレットを配布してやるから学校に来るなというケースも、ホンマかいな?またメディアのでっち上げと違うか?と思うくらい超非常識な学校もあるようです。それってリアルにいじめです。
不登校児にリモート学習をさせたら、そのまま学校に来ないのではないかという理屈にはエビデンスがあるわけではなく、担当の教員の感覚でものを言っているだけです。科学的な根拠もないのに勝手にルールを作るのは、新型コロナの予防策でもわかるように、わが国固有の特性です。
そして、実施後検証もしないので、一度決めたことを延々と続けるのです。人流抑制や飲食店の営業制限と何の関係もなく感染者は増減しているから自粛策は効果があるのかねと言った麻生発言を、尾身会長も八割叔父さんも知らん顔です。
1億人を巻き込んでも、一度決めたことが正しいかどうか振り返ることもできないのです。緊急事態宣言に閣僚として関わったくせに、後出しジャンケンのような発言をする麻生さんもどうかとは思いますが、知らん顔して振り返りもしない専門家チームなら科学者とは言えないと思います。
リモート学習が登校再開につながればいいですが、それにはデータが少なすぎて楽観的な期待のようにも思えます。一番大事なのはリモート学習と対面学習でどんな違いが出るのか調査をきちんとしてほしいと思います。
学力はどう変わるのか。コミュニケーション力には違いが出るのかどうか、対面学習と学力結果が同じなら、それは教え方の問題なのかどうか。そろそろ、感覚だけで判断して人心を惑わすような話は、教育界からはなくしてほしいと思います。子どもが振り回されて可愛そうです。
「聴覚障害者だけの利用禁止」は差別? ロープウェイ対応
「聴覚障害者だけの利用禁止」は差別? ロープウェイ対応めぐり議論・・・運営会社「早急に対策を」
2021年09月30日【J-CASTニュース】
横浜・みなとみらい地区に誕生したロープウェイが、「聴覚障害者だけでは搭乗できない」と伝えているとして、対応を疑問視する投稿がSNS上に寄せられた。
ロープウェイの運営会社は、緊急時に音声で案内を伝えられないためだと、搭乗禁止の理由を説明した。差別とは考えておらず、障害者だけで乗る要望があるため早急に対策を行いたいとしている。
「スタッフが同乗することで搭乗はできる」とも説明
このロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」は、日本初の都市型循環式をうたい、2021年4月22日に開業した。JR根岸線・桜木町駅前と赤レンガ倉庫などがある新港地区の運河パークを結んでいる。
投稿は、2021年9月28日にツイッターなどに寄せられ、聴覚障害者がロープウェイに行ったとき、「耳の不自由なお客様へ」と題する資料があったとした。
この資料では、ロープウェイが緊急停止したときは、客が乗る各キャビンに音声のみで案内しているため、聴覚障害者だけでの搭乗は遠慮してもらっているとあった。ただ、スタッフが同乗することで搭乗はできるので、希望があれば窓口の筆談で応じるとして、理解を求めている。
これに対し、ツイッター上などでは、聴覚障害者とみられる人たちから、「こういうことを突然、でかけ先で知ることはショック」「スキー場のゴンドラやリフトは乗れるのに」「でも、これは差別だよね」などとロープウェイ側に疑問や批判が相次いだ。緊急時の案内についても、キャビン内に電光掲示板を設置したり、スマホなどで客に知らせたりできるのではないか、との意見も出ていた。
聴覚障害者用の資料について、ロープウェイを運営する泉陽興業(大阪市)は30日、東京支社の担当者がJ-CASTニュースの取材にこう説明した。
「何らかのアクシデントでロープウェイが途中で停止して救助に向かうとき、コントロールセンターの監視室と各キャビンとは無線による双方向通信でやり取りして、お客様の不安を取り除くことにしています。やり取りが伝わらなければいけませんので、スタッフが資料をお見せしてご案内しています」
「タブレットを貸し出して連絡する準備を進めている」
聴覚障害者がロープウェイに来たときは、付き添いがいるかどうか確認しており、いない場合、「もしよろしければ、スタッフが同乗します」などと伝えているという。事前の連絡なく、いきなり行っても同乗の対応はしているそうだ。スタッフは、手話を勉強中のため、筆談ボードを持って同乗するとしている。
「障害を持つ方に対しましては、搭乗を遠慮していただくという意識はなく、楽しんでいただきたいという気持ちは一緒です」として、障害者への差別であることは否定した。
聴覚障害者だけで乗りたいという要望もあるとして、対策を行う考えも明らかにした。
「タブレットを貸し出して、万一のときはそれで連絡するようにする準備を進めています。できるだけ早く、単独やグループで乗れる手はずを整え、ご案内したいと思っています。SNSやメールなどで客に知らせるとすれば、個人情報の取り扱いについて説明しなければいけませんので、あまり現実的ではないと考えています」
なお、ロープウェイの公式サイトでは、車椅子や歩行補助器具を使用している人も、安全のために1人以上の付き添いをお願いしている。こうした人たちにも、タブレットを貸し出すようにしたいという。
神奈川県内の聴覚障害者2団体から「話が聞きたい」との申し入れがあったため、10月1日に東京支社で会う予定だといい、今回の件についても話し合われる模様だ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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障害というくくりで差別かどうかと判断することは、話を難しくするだけです。障害のある子どもと外出すると、公共交通や遊園地で様々な「お断り」に出くわしますが、これは差別かどうかと言い始めるときりがなくなります。リフトだって子どもでも乗れますが、乗せるかどうかは保護者の責任です。事故があったときに乗せたほうが悪いなんて言い出すと「お子様単独の利用はお断り」となります。
今回問題になっているリフトは観光用の閉鎖型カプセルであって、仮に停止して救出が必要になれば、それなりの対応ができるはずです。地上と連絡が取れなければすぐさま支障が起こるとは考えにくいです。聴覚障害者はそういうリスクは理解しているし、乗せた会社が悪いなどとは言いません。当事者が差別だと感じ、第3者もそれに同意する人が少なくないなら、先回りした会社に差別の意図がなくても、障害を理由に差別をしたことになります。
ただ、知的障害や行動障害のある人たちの程度によっては、単独の乗車を断るこることは差別にはならないと思います。もちろん提訴される可能性はありますが、それは子どもやお年寄りなどその人の乗車能力を見て危険回避することは人権の侵害にはあたらないからです。しかし、障害と名がついているからと一律に断るのは差別です。当事者に障害ゆえのリスクが理解できているかどうか、ということも差別かどうかの判断にはなると思いますが、これを論じ始めるときりがなくなります。結局はその地域の文化にも左右されるのかもしれません。差別されたと感じたなら、声を上げるべきですが、そう簡単な問題でもないように思います。
店長、また話しに来たよ 河内長野の駄菓子店再開
店長、また話しに来たよ 河内長野の駄菓子店再開
2021/10/02 【読売新聞】
発達障害抱え経営 常連の子どもたちも笑顔
緊急事態宣言が解除され、行動制限が緩和された1日、休業していた河内長野市錦町の「駄菓子や ほうかご」が再開した。店は発達障害のある田仲 訓さとし さん(41)が、2年前から店長として切り盛りする。子どもたちが安心して過ごせる場所となっており、田仲さんが宿題や悩みなどの相談に乗ることも。店内は再び子どもたちの笑顔であふれている。(吉田誠一)
田仲さんは、中学生の時にぜんそくを発症して入院、病院の院内学級を卒業した。体調が回復した後、新聞配達やスーパーなどでアルバイトをしていた。
もともと人との会話が苦手で、24歳の時に発達障害の一つ、アスペルガー症候群と診断された。それでも就職しようと、何度も電器店の面接を受けたが、うまく返答できず採用されなかった。
その後定職には就いていなかったが、「雇ってもらえないのなら、自分で商売をしよう」と考えた。幼い頃、楽しみながら過ごせた駄菓子店が市内でなくなっているのに気づき、2019年6月、自宅近くの空き店舗を借りて、「ほうかご」を開店した。
店内は駄菓子を並べるだけでなく、子どもたちが遊べる場所として大型のゲーム機を置き、自宅からソファやテーブル、椅子を持ち込んだ。トランプや折り紙などもそろえた。販売する駄菓子はアメやチョコ、グミ、スナックなど約150品目。毎月、大阪市内まで仕入れに出向く。
店には放課後、近くの子どもたちが訪れる。〈常連〉は20~30人。「店長聞いてえな。今日学校でな」と話し始める子どもたちに笑顔で向き合い、宿題を教えることもある。
河内長野市内の女子児童(11)は「家から近く、気軽に立ち寄れる」。別の児童(11)も「お菓子を食べながら、店長に学校であったことをいっぱい聞いてもらえる」とうれしそうに話した。
コロナ禍だった昨年春は「子どもが感染しないように」と休業した。今年も5月と8月下旬から9月まで休んだ。店を再開した1日、店内にはたくさんの駄菓子が並び、訪れた子どもたちが田仲さんとの再会を喜んだ。今後も十分換気をするなどしっかりと感染対策をして営業する。
田仲さんは「子どもたちが大人になり、懐かしんで来店してくれるまで頑張って続けたい」と意気込む。
営業は平日午後3時~5時半、土日と祝日は午後1時~5時半。木曜定休。
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昭和の時代、駄菓子屋は子どもの社交の場でした。学校から帰ってきたら10円玉を握りしめて、タコせんべいにソースを塗ってもらい、くじ引きで一攫千金のプラモデルを狙ってギャンブラー気取りで毎日ハズレの紐を引いていました。店主の多くは高齢者で、めんどくさそうに応対し、時間を見計らって「あんたら大声で近所迷惑やから、公園に遊びに行き!」と金のなさそうな子どもは追い払われたものです。
若者の店主は見かけませんでしたが、そういう人がいても良いかもしれません。どれだけ収益が上がるのか気にはなりますが、安物のお菓子と玩具に引き付けられた子どもらが集まってくるなら、失われた地域コミュニティーの再生が期待できます。なんでもかんでも、何とかセンターや事業所でなくても、自然なコミュニケーションを子どもが学ぶ良い機会にもなると思います。
最近、チラホラと自宅の軒先に箱を並べて土日だけ店を開く様子を住宅街に見つける事があります。収益目的と言うよりは、子どもとのコミュニケーションを楽しむ趣味的なお店なのかと思います。昔はこの他にもミニカーを走らせているプラモデル屋さんや、自転車屋さん、手芸屋さん、卓球屋さん等子どもがたむろするお店がありましたが、採算が取れないのか後継者問題なのかほとんど見かけなくなりました。お店は地域再生のための大事な場所です。
「ゲームは学びの場」医師と考えるeスポーツ
「ゲームは学びの場」医師と考えるeスポーツとの上手な関わり方
10/3(日) 【毎日新聞】
世界で競技人口が1億人を超えるeスポーツはその人気の陰で、健康被害や依存症を懸念する声も少なくない。世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を国際疾病として認定するなど対策が求められている。2020年4月から、岡山県共生高校eスポーツ部のチームドクターを務める岡山大学医学部の神田秀幸教授(公衆衛生学)に、健康管理や依存症対策などへの取り組みについて聞いた。【聞き手・杉本修作】
――eスポーツの健康被害とはどんなものか?
神田教授◆体と心の健康への影響があります。実際のスポーツと同じように、使った部分の痛みが起こります。eスポーツでは目や手指、首、腰痛がみられます。小さい時から体を動かさないことによる体格への影響もあります。
また、ゲームに依存する心の問題があります。ゲーム障害は、WHOで国際疾病分類に採用されました。アルコールやギャンブルなど他の依存性とよく似ていて、本人は影響に気づかない。あるいは認めたくない様子が多くみられます。本人が自覚していなくても、家庭や学校生活に影響が出ていることがあります。
周囲の大人は本人が気づくよう導く必要があります。生活に支障がない範囲で、ゲームの内容や展開を大人と子どもが共有する場面も必要です。他方、ゲームが生活の主になってはならないと考えています。
――生徒たちの健康を守るため、チームドクターとして、どのような取り組みをしているのか。
◆共生高校は全日制の高校です。eスポーツ部の活動時間は授業を終えた後の午後3時半から午後6時と決められています。
プレーだけでなく、時間内に、戦略・戦術や役割分担についてのミーティングがあったり、顧問の先生やコーチの指導を受けたりと、他のスポーツ部と変わらない内容です。部活動の時間内、ゲームをずっとプレーしていることはありません。個人の技術力向上のため、家や寮で取り組む課題が出される場合がありますが、例えば、寮に住む生徒の場合、部活動の時間以外で、プレーできるのは2時間以内と決められています。
チームドクターとして毎月、部員と面談をして、体と心のコンディションの把握や調整を行っています。
腕の痛みや目の疲れなど体に関する相談を受けることがあります。ゲーム障害の防止の面から、学校の成績や友人関係、家庭生活などに変化はないかを部員たちに聞いてもいます。さらに、学校での様子などの情報を、先生から聞くこともあります。
高校生として、やるべきことに支障が出ていないか、医師の立場から把握しています。部員たちには、チームドクターとして「ドクターストップがある」と普段から伝えています。部員たちの健康を守るため、心身の両面からアドバイスを行っています。
――そのほか、体調管理についても指導していることはあるか。
◆部員の特徴として、極端に細いか、ぽっちゃりしているか、運動不足を反映した極端な体格がみられます。eスポーツ部の健康管理の取り組みとして、筋肉トレーニングを導入しました。ストレッチのような比較的、軽いメニューからスタートしました。腕立て伏せなど簡単な筋トレやランニングを取り入れたりもしています。
体づくりの取り組みをきっかけに、eスポーツ部の生徒たちは身体を動かす楽しさを知るようになり、その後、自発的にランニングや球技などに取り組む部員が現れてきました。約10キロ体重を落とした部員もいます。
――部員たちがeスポーツを通じて成長している点は?
◆高校までに学校になじめなかったり、いじめの被害を受けたりとさまざまな背景を持った生徒がいます。eスポーツ部の活動を通して学校や社会のルールを守り、協力や助け合いの大切さを知り、友情を育む生徒たちの姿を何人も見てきました。
共生高校が力を入れているゲームタイトルの一つである「リーグ・オブ・レジェンド」は、1チーム5人でプレーします。チームプレーですので、オフェンスやディフェンスなどチーム内で、各自は与えられた役割をこなすことが求められます。ゲームが彼らの学びや成長の場になっている光景をよく目にします。
――保護者の世代では、ゲームに対する懸念や批判が根強くあるのではないか。
◆読むのが害とされた漫画は今や我が国を代表する文化になりました。同様に、黎明(れいめい)期にあるeスポーツも、これから一つの文化として定着していく流れにあると思われます。大人も、子どももeスポーツとの上手な関わり方を一緒に考えていく必要があるのではないかと考えています。
◇かんだ・ひでゆき
1972年5月、島根県生まれ。2005年に滋賀医科大大学院修了。医学博士。米国のジョンス・ホプキンズ大客員研究員、島根大教授などを経て19年より現職。
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子どもに有害と親から言われた漫画は今や我が国を代表する文化になりました。同様に、eスポーツも、これから一つの文化として定着していくと記事は締めくくりました。ビデオゲームがeスポーツになるのは、様々な身体遊びが競技になっているのと全く同じです。走るのが好きな人、跳ぶのが好きな人、泳ぐのが好きな人、滑るのが好きな人、運転や操作するのが好きな人、的当てが好きな人。そして、電子デバイス操作でゲームが好きな人。
競技になれば、どんなものでもスポーツです。日常に趣味で楽しむ人がいて、そのトップに立つ人もいる。頂点を極めるには才能と努力の積み重ねが必要です。サッカーばかりで勉強しなければ大人から非難されますが、頂点を極めれば、プロになればリスペクトの対象です。ゲームだって同じです。そして、頂点を極めるには健康管理が必要になるし、自己管理やチームワークが求められます。勝つためには、一人では難しく、コーチや監督が必要となり、対戦キャリアを積むために、多様な大会へのエントリーも常時必要となります。
つまり、他のスポーツと何ら変わりがないのです。子どもが野球が好きだと、グローブとバットを買い与える親が約束をしたり褒めたり励ましたりするように、ゲームを買い与えた親は振舞えばいいのだと思います。ただ一つ違うのは、子どものゲーム仲間が見えにくいことです。野球やサッカーならチームがあるし、陸上や水泳でも練習場へ行けば仲間やライバルがわかります。ところがゲーム空間ではチャットの相手はハンドルネームだし同好の仲間の集まる練習場も仮想空間です。そういう意味では学校や施設のeスポーツの大会は子どもの頑張りが見えるし、それを支えるスタッフともつながれる良い機会でもあると思います。記事のようにチームドクターがいれば子どもの家族も相談できて理想的だと思います。
障害児通所支援の質向上 厚労省検討会が報告書素案
障害児通所支援の質向上 厚労省検討会が報告書素案
2021年10月4日【教育新聞】
厚労省の「障害児通所支援の在り方に関する検討会」はこのほど、第7回会合をオンラインで開き、これまでの議論を踏まえた報告書の素案について協議した。障害児通所支援を利用する障害児が増加し、今後は就学期以降も利用率が高まる見通しであることから、より質の向上を図る方針が示された。
児童発達支援や放課後等デイサービスを中心とする障害児通所支援は、ここ数年、事業所数や利用者数が飛躍的に増加し、適切な運営や支援の質の確保が課題となっている。特に就学期移行も利用するニーズが高まることも想定され、子どもの発達段階に応じて、適切な支援を提供していく必要性が指摘されている。
こうした観点から報告書素案では、障害児通所支援の役割として、障害児の自己肯定感を高め、多様性が尊重される中で本人らしさを発揮できるようにサポートしていくことが、障害児通所施設の重要な役割であると強調。児童発達支援センターや児童発達支援事業・放課後等デイサービスにおいて、制度的な見直しが求められる事項を挙げた。
児童発達支援センターについては、地域の中核的な支援機関として①幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能②地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能③地域のインクルージョン推進の中核としての機能④地域の障害児の発達支援の入口としての相談機能――を担うとし、福祉型と、肢体不自由児のみを対象としていた医療型については、定員に応じたスタッフの配置により、遊びを通したさまざまな領域の発達支援を行いやすい環境を整えるため、一元化することが望ましいとした。
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、見守りだけで適切な発達支援が行われていないケースや、実態として学習支援、ピアノ・絵画などの指導のみをしているなど、必ずしも障害特性に応じた専門性の高い発達支援を提供していると判断できない場合は、給付費の支給対象としない方向で運営基準を検討するなど、質の向上につながる対策を提言。
特に放課後等デイサービスは、小学生から高校生まで幅広い年代に応じた支援を行えるよう、ガイドラインの全体的な見直しを行うとともに、専門学校や各種学校に通学している場合でも、発達支援が必要だと自治体の首長が認める場合は、サービスの給付決定ができるように制度上の検討を行うよう求めた。
この日の会合では、素案の文言の加筆修正などが検討された。次回会合で報告書案が取りまとめられる見込み。
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おっしゃる通りですが、地域行政の認識は「見守り」が必要か否かで個別サポート加算を決めたり、学習障害を通所支援の圏外だと考えたりする役人がいるので、相談支援事業すらその認識に右になれをしてしまう現実があります。そういう意識で行政が対応するなら、児童発達支援・放課後等デイサービスも、預かり見守りだけなら、テニスやクライミング、筋トレや水泳指導、プログラミングやeスポーツを看板にして、うちの事業所は「見守り」だけじゃなくてこんなに充実していますと売り出すのはむしろ自明の理だと思います。
ASD児が多いのに、視覚支援も構造化支援もない事業所、ADHD児が多いからとオープンスペースで自由にさせ子どもの自律性が育たない事業所など、看板は大きいけど店の中に入ったら売るものがないような事業所も噂に聞きます。相談事業所は子どものニーズを環境調整からアプローチしないので、子どもの特性と環境や支援のミスマッチで行動問題が生じているのに、自尊感情の未成熟という結果を原因にすり替えてしまうので、支援の工夫が検討されず、誰にどれだけ見守ってもらうかという場所と回数の選択に矮小化されます。
これでは利用者の保護者も、問題が生じた学校や園の環境も支援も変わりません。まずは、事業所を管轄する行政が、利用者の障害と環境支援を量的に把握する事が大事です。お話の出来ない子どもへの代替コミュニケーション支援は何をどれくらい用いているのか、行動問題のある子どもがどの程度いて、どんな行動支援がどれくらいなされているのかを調査する必要があります。また、学習障害児へのアセスメントや学習支援はどのような方法が用いられているのかを調べれば、ただの塾なのか学習障害対応なのかすぐにわかります。民間はこうした調査には敏感ですから、すぐに同調してくるはずです。
そうした基本的な支援を定量的に実施したうえでそれぞれの事業所のアクセントをつけるのは構わないが、その逆はないということをガイドラインに示せばいいのです。結局は、行政がどれだけ真摯になって子どもの特性に応じた支援の有無を調査するかにかかっています。ガイドラインを示しているのは行政なのですから、そのガイドラインに沿って民間は仕事をしているのです。検討会報告には、事業者に問題があるというような表現をせず、行政の示したガイドラインが抽象的で分かりにくかったことを反省し、個々の特性に応じてどのような支援が基本なのか示すべきです。資格を持った専門家がいても有効な支援ができているのかどうかは運営主体によって左右されるので別問題です。事業所支援の最低ラインは何かを示すことが大事だと思います。
もう一つのやまゆり園で今も続く悲劇 1日20時間、個室に閉じ込め
もう一つのやまゆり園で今も続く悲劇 1日20時間、個室に閉じ込め
10/3(日) 【共同通信】
神奈川県の「やまゆり園」と聞いたら、多くの人は2016年に19人の障害者が殺害された相模原市の「津久井やまゆり園」のことを思い出すだろう。だが、今も悲劇が続いているもう一つのやまゆり園がある。(共同通信=市川亨)
▽県が直営
「とにかく、いろいろまずいことがあるんです」。こんな情報提供があったのは、数カ月前のことだ。神奈川県中井町にある県立の知的障害者入所施設「中井やまゆり園」の職員だという。
「入所者を1日20時間以上、外から鍵を掛けた個室に閉じ込めている」「入所者の不自然なけがが絶えない」「職員による暴行なのに、事故扱いにして隠蔽(いんぺい)した」などと、にわかには信じ難い話が次々と出てくる。
中井やまゆり園とは、どんな施設なのか。中井町は横浜から電車とバスで1時間ほどの神奈川県南西部にある。山林や農地、工業団地などが広がるのどかな風景の町だ。
施設の名前は県の花である「ヤマユリ」にちなむ。定員は122人。自閉症を含む重度の知的障害者を中心に、今年3月時点で94人が入所している。殺傷事件があった相模原市の津久井やまゆり園は県から委託を受けた社会福祉法人が運営するが、中井園は県の直営だ。
▽鉄の扉
施設には七つの「寮」があり、男女別に分かれている。共同通信が入手した園の内部資料によると、長時間の閉じ込めが行われているのは、自閉症で自傷行為や暴力などの強度行動障害があるとされた人向けの2寮が中心。男性用の「泉」寮と女性用の「秋」寮だ。
取材に応じた複数の職員によると、泉寮の部屋は鉄製扉。鍵が二つあり、一つは外から施錠できるようになっている。職員は各部屋にあるカメラの映像を職員室のモニターで見ており、短時間の散歩や活動、入浴などのときだけ入所者を連れ出すという。
個室施錠の状況を一覧にした内部資料では、今年2月時点で1日20時間以上施錠されている人が泉寮と秋寮で5人。8時間以上の施錠などに範囲を広げると、五つの寮で計22人に上る。
▽身内意識
神奈川県は今年5月、22人のうち泉寮と秋寮の男女各1人の長時間施錠について障害者虐待防止法に基づく「虐待」と発表している。
相模原の殺傷事件後、県立入所施設の支援の在り方が問われたことから、県は入所者の状況について住民票のある市町村に情報提供。男女各1人はたまたま住民票所在地が同じ市で、その市が虐待と認定した。
だが、発表資料には施錠時間は「8時間以上」としか書かれていない。園の職員は「県は時間を短く見せかけている。身体拘束が認められる一時性や切迫性などの要件を満たしていないのに、県立だから身内意識で県のチェックも働いてこなかった」と証言する。
▽独特の考え方
内部資料によれば、5月に虐待と認定された男性は8月になっても依然、月平均で1日20時間以上施錠されている。
菅野大史園長は取材に対し、9月時点でも3、4人について20時間以上施錠していることを認めた上で「行動障害があり、安全のためやむを得ない。身体拘束の要件は満たしていると考えているが、これでいいとは思っていない。短くするよう取り組んでいる」と話す。
ただ、職員らによると、実態はあまり変わっていないという。8時間以上連続して施錠しないよう数時間ごとに5~10分ほど解錠するようになったが、「声を掛けるわけではないので、入所者は気付かずその間も部屋にいる。これで『長時間の施錠はなくしました』と言うつもりだろうか」と職員の1人。
別の職員は「泉寮では『人と交わると入所者が不安定になる』などと独特の考え方が何十年も続いていて、変えようという気配はない」と証言する。
▽津久井園でも
長時間の閉じ込めは、殺傷事件が起きた津久井園でもあったとされ、事件の判決で横浜地裁は植松聖死刑囚(31)について「利用者を人として扱っていないように感じ、重度障害者は不幸で不要な存在と考えるようになった」と指摘した。
県の有識者会議は今年3月にまとめた県立入所施設全体に関する報告書で「津久井園を指導する県自身が権利擁護に対する認識が低かった」と批判。中井園の職員らは「障害者を人として扱わない体質が事件の背景にあったのに、変わっていない。事件後に県が掲げた『ともに生きる』というスローガンは言葉だけだ」と話した。
▽「仕方ない」は間違い
自傷行為や暴力などがある障害者を長時間閉じ込めるのは、やむを得ないことなのだろうか。強度行動障害の支援に詳しい鹿児島大の肥後祥治教授は「それは違う」と否定する。
「確かに元々の障害の特性がベースにはなっているが、周囲とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、置かれた環境が合っていなかったりしてひどくなった状態が強度行動障害だ。『仕方ない』という考え方は間違っている」と話す。
その上で「興奮状態になっても通常は10~20分程度で収まる。20時間以上の施錠は考えられない。他の施設でも聞いたことがない」と、異常性を指摘。「虐待であり、人権侵害と言っていいだろう。なぜ行動障害が起きるのか原因をきちんと調べ、ほかの方法を先に考えるべきだ」と考え方の転換を求める。
▽骨折「事故」
中井園の職員らによると、職員の暴力で入所者が骨折したケースを事故扱いにして隠蔽した疑いもある。
問題のケースがあったのは19年7月。男性寮の一つ「山」寮でのことだ。施設内の床に横になっていた20代の男性入所者が鎖骨を骨折。ある男性職員が洗濯物などを運ぶカートを肩にぶつけた疑いを指摘する声が他の職員から上がったが、園は「寝転がっていた入所者を、他の入所者が踏んだことが原因と推測される」と事故として処理したという。問題の職員は4カ月後の19年11月に別の入所者を踏みつけるなどの虐待をしたとして、今年1月に減給処分を受け、その後異動した。
同園は19年11月の虐待を受け、20年6月に「虐待防止マニュアル」を策定。入所者がけがをしているのを見つけた場合は「確認・情報共有シート」に記入することになっている。だが、職員たちによると「書類仕事が増えた」と不満が出ており、徹底されていない。
入所者が大けがをしたり、不自然なあざが体にできていたりすることもあったが、「転倒」「自分でぶつけた」「暴れたため押さえつけた」などとして報告されているという。
長時間の施錠などに関する報道を受け、同園と県は9月27日に記者会見を開き、改善に向け外部有識者を交えたプロジェクトチームを設置すると発表。年内に改革プログラムをまとめる方針だ。虐待の隠蔽疑いについても再調査する考えを示した。
このほか、県は中井園を含む県立入所施設の在り方について7月から有識者委員会で議論しており、不適切な支援を問題視する意見が委員からも出ている。委員会は10月に中間的な論点整理をする予定だ。
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読んでいてつらくなる記事です。30年ほど前に強度行動障害の成人入所施設の見学をした時の、施設長の言葉を思い出しました。「私たち施設職員は学校に足を向けて寝てはいけない。学校のおかげで私たち入所施設の職員の仕事がある」との皮肉を職員に語っているというのです。当時教員だった私には思い当たる節がいくつもあり、胸をえぐられるような思いでした。学校で、ASDの障害特性を無視した不適切な指導が行動障害の山を作っていたからです。
絵カードなんて社会にはないから学校で使う意味がない。間違った行動は叱らなければ治らない。行動療法なんて動物の調教と同じだ。言葉で何度も言えばわかる。言葉のシャワーが大事だ。言葉を育てる事が行動問題を解決する方法だなどと、視覚支援・構造化支援と聞くと敵のように嫌う人々がいました。研究者の中にも、過度な構造化支援は後に行動問題を悪化させると科学的な根拠も示さず、まことしやかに語った人もいました。
強度行動障害の問題は厚労省でも昭和の時代から調査研究が進められていますが、分かったことは障害の早期発見と早期支援です、そしてその支援は障害特性に応じた支援です。ASDの方の最も、オーソドックスな支援は構造化支援と表出コミュニケーション支援です。これを今否定する人はいませんが、上手くいかないからと視覚支援を使おうとしない教員はいます。どんな方法でも、教条主義的な理解やステレオタイプな用い方では上手くいかない場合はあります。しかし、それはメソッドが原因ではなく、それを使う人の質的な問題です。
やまゆり園で、行動障害の方の居室を施錠したかどうかという問題ではなく、ASDの方への対応方法や構造化支援や行動療法を理解し実施できる職員がどれほどいるのか、利用者のケースワークの時間をどれくらい保障しているのかを調査しない限りは、現場を追い込み、担当してくれる職員のなり手がいなくなるだけです。鍵をかけるのは、確かに簡単です、利用者と障害理解のない職員との摩擦も減らせるので、表面的には事故も起こりにくくなります。しかし、鍵をかけている限りは職員の支援力量も変わらないままです。神奈川県がどういう結論を出すのか見守りたいと思います。
<恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~>杉咲花が盲学校に通うヒロインに
<恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~>杉咲花が盲学校に通うヒロインに 勝ち気でポジティブ 「天然」な一面も
10/6(水) 【MANTANWEB】
女優の杉咲花さん主演の連続ドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖(はくじょう)ガール~」(日本テレビ系、水曜午後10時)が10月6日に始まる。原作はうおやまさんのマンガ「ヤンキー君と白杖ガール」(KADOKAWA)。勝ち気だが恋に臆病な盲学校生・赤座ユキコ(杉咲さん)と、ケンカっ早いが根は純粋なヤンキー・黒川森生(もりお、杉野遥亮さん)の繰り広げるラブコメディーだ。ユキコを紹介する。
◇実は数年前に母を亡くしていて…
ユキコは盲学校高等部3年生。色と光がぼんやり分かる程度の弱視で、外を歩く時は白杖を持つ。勝ち気でポジティブ。見かけによらず口が悪いが、気を許すと“天然”で可愛らしい一面も見せる。
ある日、森生と出会い、なぜかまとわりつかれるように。初めは森生に冷たい態度をとっていたが、次第に森生の真っすぐさに惹(ひ)かれるようになる。数年前に母を亡くしている。
◇初回ストーリーは…
ユキコは、カメラマンの父誠二(岸谷五朗さん)と心配性なネイリストの姉イズミ(奈緒さん)と3人暮らし。ある日、ユキコが遅刻しそうな時間に白杖をついて登校を急いでいると、点字ブロック上で話し込むヤンキーの森生たちに遭遇する。
どいてほしいと頼むユキコだが、白杖をつかまれる。反射的に蹴り上げたユキコの足が偶然、森生の股間にヒット。もだえ苦しむ森生を心配してユキコが顔をのぞき込んだ瞬間、彼女の顔の近さに驚いた森生は、恥ずかしさから思わず固まってしまう。
以来、森生は、話し掛けても心ここにあらず。異変に気付いた行きつけの喫茶店主・茜(ファーストサマーウイカさん)は「それが恋だよ」と森生に教える。その日の夕方、森生は下校するユキコを待ち伏せて……。
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障害者を描くドラマは、最近ではドラゴン桜のASDの健太役で細田佳央太が活躍していました。ただ、桜木先生役の阿部寛のASD説明が台詞ばかりでちょっとくどいなと感じました。今回はコメディータッチのドラマでプロローグはテンポよく、滑り出しは好調でした。視覚障害にも色々あることを映像で演出してくれるので分かりやすいです。主演の杉咲花は、昨年のNHK連続テレビ小説『おちょやん』で、浪花千栄子をモデルにしたヒロイン竹井千代役を演じてから、前向きイメージが定着したようです。
『ヤンキー君と白杖ガール』は、作者うおやまによる4コマ漫画です。2018年6月から漫画投稿サイトで自主掲載後一気に注目を集めました。顔に傷のあるヤンキー青年の黒川森生と、弱視の女子高生赤座ユキコの恋愛物語は、ふたりのラブコメを中心にしつつ、障害など社会で生きづらさを感じる人々の生き方も鋭く描いています。4コマ漫画として掲載されていますが、ほとんどの話が4コマでは完結せず連続する「ストーリー4コマ」の体裁をとっています。
これまでの障害者ドラマは、ドラゴン桜をはじめ、グッドドクター、ATARUと発達障害者、特にASD者を描いたものがヒットしましたが、視覚障害者では「君の名は」くらいしか思い浮かびません。おそらくドラマ展開に視覚障害を結び付けにくいという課題があったのかもしれません。今回のドラマがそれを打ち破っていくのかどうかが楽しみです。
「一緒にいれば分かりあえる」は幻想だ…
「一緒にいれば分かりあえる」は幻想だ・・・小山田氏「障がい者イジメ」発言で注目、知られざる「ダンピング」の実情
2021.10.07【文春オンライン】
『ロッキング・オン・ジャパン』等、複数の雑誌で小山田圭吾氏が過去の障害者いじめを語り、東京五輪開会式の演出チームを辞任した問題は広く報道された。その際に、彼個人よりも、背景にある障害児教育の問題に目を向けていたのが野口晃菜博士だ。
インクルーシブ教育の専門家として各種委員を務めるほか、学校・自治体・民間企業などと連携して共同研究、仕組み作り、助言等を行っている野口氏は「ダンピング(投げ捨て)」という問題が障害児へのいじめの背景にある可能性を指摘する。重度脳性麻痺と発達障害を持つライターのダブル手帳(@double_techou)が野口氏に「ダンピング」について伺った。
「ただ一緒にいるだけでわかりあえる」は幻想だ
▼ダンピングとは何ですか。
野口晃菜博士(以下、野口▽)ダンピングを説明するために、まず「インクルーシブ教育」の説明をしますね。
これは日本だと単に「障害のある子とない子が同じ場で学ぶ」という意味で使われがちです。しかし本来は「ただ一緒にいる」のみならず、「合理的配慮」の実施も含意する言葉で、それが為されて初めてインクルーシブ教育といえます。
多数派の人のみを中心とした教育でなく、「障害」を含む多様な子どもの存在を前提とした教育をつくっていくことがポイントです。
たとえば読み書きの困難や色々な障害など、学び辛さを抱える子がいたとしましょう。既存の方式を彼らに強いると学ぶ機会を奪ってしまう。眼鏡の子に裸眼で黒板を読めと言うのと同じです。
そこで一人一人に合わせ、音読の代わりに読み上げツールを使う、黒板を書き写す代わりに写真を撮る、タブレットで入力する等々、本人と相談しつつ他の子と同様に学びにアクセスするための工夫をすることが「合理的配慮」です。
そうした工夫もなくただ一緒にいるだけ、障害のある子どもを通常の学級に放り込んでいる状態がダンピングです。
▼このダンピングは、いつ頃から問題になっているのですか。
野口▽米国や英国では70年代以降、障害のある子も同じ場で学ぶことが重視され、その機会が増えていった。その中で「何の工夫もなくただ一緒にいるだけでは逆に学びからの排除が起こってしまう」という指摘が出始めたという経緯です。
日本の場合、障害のあるなしにかかわらず、積極的に一緒に学ばせようという地域と、障害のある子どもは基本的に特別支援学級に通わせる地域があるなどかなり差があって、「ダンピング」以前に、子どもたちが一緒に学ぶ環境が、全国的に実現できていません。
▼小山田圭吾氏が通っていた小中高一貫校は、障害を持つ生徒を積極的に受け入れ、一緒に学ばせていたといいます。「子どもは一緒にいれば何もせずとも自然と分かり合える」と言う人もいますが……。
野口▽幻想だと思います。社会には「障害」という言葉があり、偏見も蔓延していて、幼い子もその中で生きてますから。
子どもは大人の言動や態度を実によく見ています。私が気になるのは、学校でも、家庭でも、メディアでもはびこる能力主義です。その下で学級経営をしたら、障害のある子はどうしてもできないことが目立ってしまい、「なんでこんなこともできないんだ」という感情を他の子から向けられたり、本人の自己効力感もどんどん下がっていったりしかねない。
だから、「できる」「できない」が最重要のものさしにならないように学級経営する必要がある。特別な工夫もなくただ一緒にいれば分かり合える訳ではないと思います。
▼現実にはそうした配慮を受けられてない障害児も多くいるでしょう。ただそれを是とする意見もあります。曰く、障害児にとっても、虐められたり、皆できることが自分だけできなかったり、といった惨めな経験こそ、社会の何たるかを体感するまたとない授業になる、と。割と上の年代だとこうした教育観の人は珍しくないと感じます。どう思われますか?
野口▽あり得ないと思います。私は成人した障害のある人と接する機会もありますが、その中には学校で一生分の傷を負った方もいます。そんな形じゃない学び方で教えるのが学校でしょう。
▼暴力を使わず学ばせる。
野口▽そここそ教育の役割なのに、それを放棄して、いじめや排除を正当化するのは虐待です。
得意不得意や「どんな時助けてほしいか」を口に出す
▼国が出している「合理的配慮」の事例集(※1)を読んだら「児童間でのコミュニケーションを増やす」「トラブルを未然に防止する」などと書いてあったのですが、学校側からの働きかけでこうしたことを実現するのは実際に可能なのでしょうか。
野口▽私が学校に勧めるのは、自分の得意不得意や「どんな時助けてほしいか」「こう接してほしい」等を考える授業を全員に行うことです。その中に障害のある子どももいたりするでしょう。でも自分の特徴を周囲に喋る力は、障害の有無にかかわらず皆に必要です。
人との距離が近すぎる子もいれば、一方的に自分のことを喋る子もいますよね。互いの特徴や適した意思疎通の仕方を知ればトラブルの未然防止にもなる。障害のある子どもだけ助けが必要なのではなく「得手不得手は皆ある」前提での学級経営が重要です。
▼小山田氏の炎上の際に複数の障害者団体が声明を出す中で強調されていたのが、いじめの懸念を理由に「障害のある子と無い子とを分けて教育しよう」という流れに傾くことへの危惧です。「ダンピングが悪いから分離教育が良い」とはならないわけですよね。
野口▽はい。ただ「いじめを受けるリスクがあるのなら別の場に」と思わざるを得ない状況も理解できますし、そう考える保護者も多いでしょう。
▼分離教育について考えさせられたのが、東京都教委が企業就労率100%を目標に特別支援学校への導入を進める特別なカリキュラ厶が人気との記事です(※2)。企業が障害者枠で雇用する人のために切り出す仕事は事務や清掃などの間接業務が多いため、就労対策もそうした業務中心の訓練とのことでした。
野口▽大学に進む障害のある人も今後増えるでしょうが、高卒ですぐ働く方がまだ圧倒的に多いです。だから特別支援学校の高等部では「18歳で自立しなきゃ」という理由で作業学習ばかり詰め込まれている印象です。その中で「うちに来れば就労できる」と謳う学校も出てくる。
それが高校の果たすべき役割かは疑問です。そのぶん部活や他の高校生が青春時代を満喫している活動に割ける時間は短くなってしまっています。
※1……独立行政法人国立特別支援教育総合研究所インクルーシブ教育システム構築「合理的配慮」実践事例データベース
※2……障害児向け「エリート校」が生まれる根本理由(東洋経済、2018年6月13日)
▼大学も就職予備校と揶揄されますが18歳と22歳の差は大きいですね。社会的に不利な障害者の方が実質的に4年早く人生設計を迫られる。考えれば不思議です。
野口▽本来逆ですよね。米国で私が見た学校では、障害のある人は22歳まで公教育において就労移行支援、地域移行支援を無償で受けられるんですよ。
▼大学に行かずとも4年の猶予がある。米国の教育から学べる点は多そうです。
野口▽もちろん米国にも課題は多いですが、私自身、米国イリノイ州で教育を受けたことが今の活動の原点でもあります。
小6の時に米国に引っ越したのですが、同じクラスに様々な障害のある子がいたんです。脳性麻痺で車いすに乗っていて首を少し動かすことしか難しい同級生もいました。
それまでそういう人に会ったことがなかったので衝撃を受けたし、日本ではどこにいるんだろうと思いました。その子はセンサー式のボタンで意思疎通していて「こういう技術を使えばコミュニケーションができるんだ」と興味を持ちました。
▼その子達の周囲との関係はどうでしたか?
野口▽皆「ハーイ」みたいな感じでいつもカジュアルでした。コミュニケーションを積極的に取っている人が多かったです。
あと私が米国にいた90年代~2000年にかけてはADHDと診断される人が増えていた時期でした。あくまで私が通った学校の話ですが、クラスにもかなりそういう子がいて、彼らが実に抵抗なくそれを話すんです。
「俺、ADHDだからちょっと保健室行って薬飲んでくるわ」みたいな。私にはすごく新鮮でした。でも他の子も「へえ」みたいな反応なので、私も「へえ」みたいな感じで。
多動で机に座って勉強できないんだけど、バスケが得意でドリブルしながら本読んでる友達もいました。そのほうが覚えられるらしくて。
「タブレットを持っていくと『ズルい』と言われる」
▼懐の深い教室ですね。逆の意味で印象深かったのが、野口先生が以前あるシンポジウムで発言されていた日本の話です。タブレットを使えば学習できて、他の子どもたちと一緒に授業を受けられる子でも「これを通常学級に持っていくと皆に『ずるい』って言われるから」と嫌がるケースが多いと仰っていますね。
野口▽学級経営の方法を工夫せず急に「あなただけタブレットで勉強しよう」と言えば本人も嫌がって当然なんです。今の教育現場には皆と同じペースで同じことをするのが正しいという価値観があり、生徒自身もそれを内面化していますから。
まずは、学級に「学び方は一人一人違っていい」と浸透させることや、本人が自分に合った学び方を知ることが必要です。
▼理解を醸成して初めてタブレットが活きると。
野口▽ええ。テクノロジーをただ導入するだけでは解決しません。
▼関係者が一致して地道な努力を続けられるかが鍵になりそうです。
野口▽ただ、「通常学級を選んだら何の支援も受けないよう覚悟しなさい」などと言って自己責任にする人も未だにいるのが現状です。
▼何か改善を要望しても「好き好んで普通学級に来たんだろ」とダンピングの正当化に使われる?
野口▽はい。これは先生個人よりも構造に問題があると思います。そもそも障害を理由に普通学級と特別支援学級の選択を迫られること自体、酷でおかしいんです。障害のない子どもはそうした選択をしなくてもいいわけですから。
当然に地域の学校に通い適切な支援を受けられるのが前提であるべきです。その仕組みを国として整備していかねばなりません。
「特別扱いはしない」が正しいわけではない
▼インクルーシブ教育を語る上でリソースの話は避けて通れません。
野口▽ええ。時に異なる障害種同士によるパイの奪い合いになることがあります。しかしその根本にはそもそもの教育予算全体が少な過ぎるという問題がある。従って、一致団結して全体のパイを増やしていくのが大事だと思います。
▼実際の教育現場に着目するといかがですか。
野口▽個々の合理的配慮を具現化するにあたっては、本人も含めた関係者間で「今あるリソースの中でどれだけできるか」の合意形成を図らねばなりません。
しかし障害を持つ子どもやその保護者と学校・教育委員会とが対立するケースもあります。
▼普通学級への就学を断られたり?
野口▽それもあるし、普通学級へ就学した上で、プリントを他の子よりも拡大してルビをつけてほしい、別室で試験を受けたい、タブレットを持ち込みたい等様々です。こうしたことに学校側が初めから「無理です」と対応したことが引き金になったりするんです。
合理的配慮の紛争を調停する独立した公的第三者機関を設け、そこが間に入り一緒に解決していく仕組みだと相当違うでしょう。本人が最大限自分らしく学び過ごすために何ができるか、各々が知恵を出し合えばやれることは沢山あります。
▼「皆に合わせろ、特別扱いはしない」と言われて育ったので、教育と合意形成は対極にあると思っていました。
野口▽確かに教師という人がいて皆を指導する側面や、皆が同じ時に同じ事をせざるを得ない場面もあるでしょう。
しかし国の方針も教育現場も、主体性を育む方向に進みつつあるのもまた確かです。例えば、先生だけが勝手にルールを決めるのではなく、生徒達自らが話し合って校則を見直す動きも現れています。
▼ルールは皆で作ってもいいし、その過程も学びである、と。
野口▽ええ。だから合理的配慮にしても「ずるい」みたいなことがあれば皆で考えたらいいんですよ。むしろそれは子どもに人権や障害を教えるチャンスです。先生が全て正解を持ってて渡すのではなく、子どもとともに考える。
「そうか、なんでずるいと思うんだろうね」とか「じゃあなんで合理的配慮ってあるんだろうね」とか。子どもたちが主体的に学び先生が一緒に考えながら支える。そんな教育観を大切にしたいです。
◆ ◆ ◆
なぜインクルーシブ教育が必要なのか
野口氏はダンピングを入り口にインクルーシブ教育の何たるかを語った。つまり障害児と健常児のお互いにとって、同じ教室で机を並べることが幸せな体験になるようにする知恵だ。
ただそもそも何故両者が同じ教室で一緒に学ぶべきなのか。これは健常者の中にはピンとこない方もいるかもしれない。
私が考える最大の理由は、子供の頃から両者の接触機会を多く確保しておかないと、障害者の存在が忘れられたまま回っていく今の社会が続いてしまうからだ。
今回の問題にせよ、小山田氏の報道は過熱する一方、虐められる側の障害者の存在は置き去りにされた。
彼が自身のサイトで公式の謝罪文を掲載した数日前、私はヤフーニュースで彼のインタビュー記事を見つけ、コメント数の膨大さに圧倒された。それはさわりだけの無料記事で話の中身は殆ど不明にも関わらず、想像を絶するほどバズっていたのだ。
しかしメディアが彼への取材を熱心に試みたのとは対照的に、障害者の側の話はこの間ほとんど聞かれなかった。仮に当時の直接の関係者に当たれずとも、現在や過去に虐められた経験がある障害者、保護者、障害者団体、障害児教育に携わる教師など、この問題を語れる人は多い。彼らに発言の機会を与える努力がもっとあって良かった。
こうした報道姿勢と障害者への関心の低さは強力なサイクルを形成しており、メディアはあまねくこの構造に囚われている。大切なことでありつつもメディアを介して伝えるのはとてつもなく難しいメッセージは多い。それは私自身も、何かを発信する側に回った時に思い知らされることだ。ここでは特にそのうちの三つを挙げたい。
第一に、報道に登場していなくとも私達障害者は絶えずどこかに存在し続けていること。悲惨な事件や旬の話題が起きた時だけ瞬間的に現れて消える陽炎ではない。
第二に、私達は露悪的なキャラを作るためのアクセサリーではないし、人を社会的に抹殺するための武器でもない。つまり何かの目的のために作られた道具ではないということ。
第三に、私達は何らかの行為の対象や目的語になるだけでなく、行為の主体、動詞の主語にもなれるということ。
私達も人間である以上はどれも当然だ。しかし常に肌感覚として持てる人がどれだけいるか。そう簡単なことではないし、まして報道を介してやり取りできるたぐいの感覚ではない。
それを培うには同じ空間で一緒に長い時間を過ごす経験が必要であり、インクルーシブ教育への期待は大きい。幼少期の経験から私達を頭の片隅にでも置いてくれる人が増えていけば、報道が変わり、制度が変わり、社会が変わる時が来るだろう。
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※野口 晃菜
株式会社LITALICO執行役員 LITALICO研究所所長
1985年生まれ。小学校6年生の時にアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。高校卒業時に日本へ帰国、筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。その後小学校講師を経て、現在障害のある方の教育と就労支援に取り組む株式会社LITALICOの執行役員・LITALICO研究所所長として、障害のある子ども8,000名への一人ひとりに合わせた教育の実現のための仕組みづくり、公教育や児童養護施設との共同研究などに取り組む。共著に「インクルーシブ教育ってどんな教育?」や「地域共生社会の実現とインクルーシブ教育システムの構築―これからの特別支援教育の役割」などがある。博士(障害科学)。
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長い記事を引用したのは、記者のスタンスよりもインタビューに答える野口さんの明快さに惹かれたからです。彼女の話は5年程前にLITARICOの長谷川社長の話の前座?で聞きました。とにかく長谷川社長も野口さんと同年齢で、会社全体が若武者集団と言う感じでした。創業が2005年から就労移行支援事業を皮切りに、全国展開の障害者福祉の会社に急成長して、2000名を超える従業員を擁しているのがLITALICOです。日本の障害者福祉に新しい時代が来たなのと感じさせてくれました。
もっと、驚いたのが、こうした福祉や教育ベースの研究は大学研究者や政府関係の研究所所属の研究者が行うものという常識を覆し、会社の中にシンクタンクをもって自分たちの理念を企業ベースで進めようとしている事でした。もちろん、現在の福祉や教育関係の民間事業所でかつて研究者だった人が経営している法人はいくつかありますが、シンクタンクが持てるほどの資本力があるところはここだけです。
LITALICOの経営が全て上手くいっているわけではないし、マニュアル対応に傾きすぎてサービスに合わない利用者が離れていく傾向も耳にしますが、サービスコンセプトがはっきりしているので全体の療育や就労支援の方針がぶれる事はないと思います。野口さんが米国やイリノイ州の教育を正確に紹介してくれているので、インクルーシブを目指す我々には貴重な示唆を与えてくれています。若いと言うのはまっすぐで良いなと思います。
LITALICO研究所 facebook.comより
大津・男子生徒いじめ自殺から10年
遺族「子どもを取り巻く環境は変わっていない」大津・男子生徒いじめ自殺から10年
10/11(月) 【MBSニュース】
滋賀県大津市で、中学2年の男子生徒がいじめを受けて自殺してから10月11日で10年になります。男子生徒の自殺をきっかけに新たな法律もできましたが、遺族は、子どもを取り巻く環境は変わっていないと話します。
10月11日午前8時半ごろ、大津市役所では教育長や職員らが黙とうをささげました。
10年前の2011年10月11日に大津市の当時中学2年の男子生徒が自宅マンションから飛び降りて自殺しました。当初、市教委は『いじめと自殺の因果関係』を認めていませんでしたが、第三者委員会が「いじめが自殺の直接的な原因」と認定しました。
また、遺族が加害生徒らに損害賠償を求めた裁判は最高裁まで争われて、2021年1月にいじめと自殺の因果関係を認めた判決が確定しました。
亡くなった男子生徒の父親は10月11日の午後に会見を開き、父親は子どもを取り巻く環境は当時から変わっていないと話しました。
(亡くなった男子生徒の父親)
「とても10年前より子どもをとりまく環境が良くなっているとは考えられません」
生徒の自殺をきっかけにいじめの早期発見を学校に義務付ける「いじめ防止対策推進法」が成立しましたが、いじめは今も後を絶たないとして、父親は法律の実効性に疑問符を投げかけます。
(亡くなった男子生徒の父親)
「全ての学校、全ての教育委員会がそうだとは申しませんが、新しい法律ができても変われない学校、それを所管する変われない教育委員会があることは間違いありません」
一方、教育現場では新しい取り組みも始まっています。大津市教委は2020年からAI(人工知能)による数値化を始めました。市内の小中学校から報告される「いじめ事案報告書」について、いじめかどうかの判断が難しい事例をAIに分析させると、約5200件の過去のデータをもとに『深刻ないじめに発展する可能性が何%あるのか』を教えてくれます。
(大津市教育委員会児童生徒支援課古蒔順一朗指導主事)
「このAIを使った深刻度を学校にも提示することで、客観的な根拠を持って学校に指導助言しやすくなった。全ての子どもたちの笑顔を守っていくためのいじめ対策を進めていきたいと思っています」
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前向きにやろうとしていることに水はさしたくないのですが、このブログで一貫して主張していることは、市長がまずやるべきことは責任者の更迭です。一罰百戒で全てが解決するものではありませんが、管轄下で事故が起きたときは、責任者の職を解き降格するなどの懲戒を最高責任者が行うべきです。子ども同士の事件に公務員の業務の瑕疵を問えるのかという意見もあるでしょうが、管轄内で業務と因果関係のある事故が生じたなら、まずは綱紀粛正のために責任者降格は民間会社ならあたりまえです。
けれども市長は校長や学校責任者、役人の降格すらできていません。市長が腹をくくれないからです。第3者委員会では関係者を切る権限はないのですから、この委員会はどこまで行っても市民の不満のガス抜きでしかありません。市長は人事の一新で改革を訴えることもできません。そして、機械に任せたら公平に判断するだろうという、方向性がまるで違う答えを出してきます。大津事件や様々ないじめ死亡事件の怒りは、いじめた子どもへの怒り以上に、学校組織や教育委員会をはじめとした行政が真摯な対応しないという事への怒りです。
例え、校長や教育長が更迭されても遺族の怒りは収まらないとは思います。しかし、いじめの対応の瑕疵は明々白々なのですから、行政はAI導入などと小賢しいことをしてお茶を濁すのではなく、リアルに組織が組織としてけじめをつける事を断行すべきです。そうした上で予防策を講じない限り、その予防策ですらまともに動くことはありません。人が人にできることはそう多くはないです。詫びて人事で責任を取るのは最高責任者の最低限の仕事です。
“あかさたな”で研究者になる~天畠大輔 39歳~
「あかさたな」で研究者になる~天畠大輔 39歳~
2021年10月12日【Eテレ】
天畠大輔さん(39)は中学生の時、医療事故により脳が大きく損傷。話すことも、字を書くこともできなくなり、生きる希望もなくしかけた。やがて母親が見つけた「あかさたな話法」によってコミュニケーションを回復。多くの人の手を借りながら大学に進み、研究者となり、自らの25年の経験を世に伝えようと1冊の本を書いている。題名は『弱さを強みに』。そこにこめた思いとは。ノンフィクション作家柳田邦男さんと語り合う。
再放送 京都10月19日(火)午後1:05放送予定https://www.nhk.or.jp/heart-net/program/heart-net/1880/
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自己紹介
http://www.tennohatakenimihanarunoka.com/profile/index.html
天畠 大輔
14歳の時、医療ミスにより、四肢麻痺・発話障がい・視覚障がい・嚥下障がいを負い、重度の障がい者となり車椅子生活を余儀なくされる。 ルーテル学院大学を経て、立命館大学大学院先端総合学術研究科先端総合学術専攻一貫制博士課程修了【2019年3月博士号(学術)取得】。現在は、㈱Dai-job highを運営する傍ら、中央大学にて「『発話困難な重度身体障がい者』と『通訳者』間に生じるジレンマと新『事業体モデル』」の研究を行う。立命館大学生存学研究所客員研究員。日本で最も重い障害をもつ研究者。東京都武蔵野市在住。1981年生まれ。
研究テーマhttp://www.tennohatakenimihanarunoka.com/profile/dai.mp4
将来の夢
研究者として、「障がい者とコミュニケーション」を専門に研究し、 障がい者がよりよい生活を送れるようにすること。
ロックトインシンドロームの支援者の財団を立ち上げること。
(ロックトインシンドローム=閉じ込め症候群、頭のてっぺんからつま先まで、全身が麻痺状態だが意識や知能はまったくもとのまま。自分という人間の内側に閉じ込められてしまうといった状態。映画「潜水服は蝶の夢をみる」の主人公にもみられるもの。)
資格
相談支援専門員(2019年7月取得)
認定心理士(2011年6月取得)
趣味・特技
昔から映画が好きで、邦画はほとんど見ている。翻訳家の戸田奈津子に憧れて英語の勉強を始めた。
音楽鑑賞(サザンオールスターズ、Mr. Children、スピッツ、斉藤和義ほか)。オシャレすること。聴覚だけで英検準2級取得。
症状
14歳の時、急性糖尿病で倒れた際の医療ミスにより、それ以来四肢麻痺になった。
心停止の状態が20分以上続いたことにより、脳の運動野が破壊されたからである。
視力にも障害があるが、全く見えないわけではなく、立体や色、もちろん人の顔も認識できる。
ただし、紙面やパソコンの画面など、平面のものは見えにくい。知能における障がいはなく、情報を受けとる際は聴覚情報が中心。
発話が困難なためコミュニケーションには時間を要するが、本人の手を引いて一語一語を確認することでコミュニケーション可能。
コミュニケーション方法
介助者が私の手を持つ。介助者が「あ・か・さ・た・な・・・」と子音を言う。
私が伝えたい子音の所で手を引く。子音が決まる。
例えば「あ」で止まった場合、今度は介助者が「あ・い・う・え・お」と母音を言う。
「う」で止まったら、最初の言葉は「う」となる。
この繰り返しで会話していく。
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天畠さんは、他人の介助なしには何もできない自分の弱さがあるから、人間関係のありかたやコミュニケーションのあり方を深くとらえる強さになると言います。「弱さは強さだ」と言う考え方は、多様性社会を作る上で培われた考え方です。強いものや等質なものだけでの社会は持続しないし進歩もないと言われています。弱い者も異質な者も共生できる社会は懐深く賢い社会になるという事です。
天畠さんは、自分の意思と関係なく体が動く不随意運動があるほか、時々あごが外れて息ができなくなるため、24時間の見守りと介助が必要で、約20人が交代で介助に携わっています。天畠さんは、学者ですから論文を書くのにも介助者が必要です。その際には、介助者も天畠さんの研究に関わることになります。
彼の「あかさたな」話法で論文を書く場合は、それまでの文脈を介助者が理解し、彼が次に言わんとすることを予測して、最初の言葉から僅かな文字数で次の文章を予測完成させて、その是非を彼に確認する作業が必要になります。天畠さんにとってもこの話法は煩わしいのですが、文字が読めず不随意の筋緊張が激しい彼には、視線入力などの人工センサー入力は難しく、人の介助を要するこの話法以外のコミュニケーション方法は今のところ見つかっていないようです。
そこで、彼は研究論文に、「通訳者」と「介助者」の「分離二元システム」を提唱し、優秀な通訳者を養成すべきだと言う結論に達します。つまり、介助者に優れた「通訳」までを求めることには無理があり、彼のような学者レベルの通訳だけでなく、表出コミュニケーションの障害を持つ人たちの通訳は専門的にトレーニングした人が必要だと言うのです。この考え方は、実は私たちの仕事にも通ずるところがあります。
アウトプットに障害を持つ者は、自己の障害を説明することすら難しいため、社会的理解を得られにくいです。このような一方通行のコミュニケーションに陥ってしまった人々は、やりたいことを諦めて「妥協」生活を余儀なくされている現状があります。上野千鶴子氏は「ケアされる側の沈黙とケアする側のパターナリズム」(上野 2011:159)が両者のミスコミュニケーションを生むと言います。
表出性コミュニケーションの障害を持つ子どもたちの療育を考える時、その障害が身体的(麻痺等が原因)であれ、機能的(心理発達の障害が原因)であれ、その障害に基づき相手の心象を正確に読み取るスキルがないと、間違った代弁者となってしまいます。「~君は~したいと思っている」「~したくないと思っている」という生活欲求の理解ですら本人と介助者は全く違う事を考えている場合があることは、このブログで何度も紹介してきました。私たちは、そのレベルでは絵カードやICT機器などによる代替コミュニケーションを子どもに教えることを提案しています。
しかし、話が込み合ってくると長々と表現しないと伝わらないことはたくさんあります。それは年齢が増し、生活や対人関係が複雑になるにつれて、的確に通訳してくれる人はますます必要になります。わずか30分の放映ですべてが理解できたわけではないですが、彼と彼に関わる介助者の経験を無駄にしてはいけないと強く思いました。以前、「こんな夜更けにバナナかよ」という筋ジス・鹿野靖明さんとボランティアたちを描いた映画がありました。この話も、当事者と介助者の関係性を描きましたが、今回のドキュメンタリーはこの映画にも勝る強いメッセージが伝わってきました。ぜひご覧ください。
「ネットいじめ」5年で倍増 チャット悪用
「ネットいじめ」5年で倍増 チャット悪用
10/14(木) 【産経新聞】
文部科学省が13日に公表した令和2年度の問題行動・不登校調査では、パソコンやスマートフォンを通した誹謗(ひぼう)中傷といった「ネットいじめ」の認知件数が1万8870件と過去最多を更新した。東京都町田市立小学校に通っていた6年生の女子児童=当時(12)=が昨年11月に自殺した問題をめぐっては、文部科学省が進める「GIGA(ギガ)スクール構想」で児童に1人1台配備されたタブレット端末のチャット機能を悪用したいじめが行われた可能性が指摘されていて、対策が急務となっている。
「ネットいじめ」の認知件数は平成27年度が9187件。この5年で倍増した。また「ネットいじめ」は年齢が進むにつれ割合が増加する傾向にある。令和2年度でみると、小学校ではいじめ全体に占める割合の1・8%だが、中学校では10・7%、高校では19・8%だった。
今回の調査によると、「ネットいじめ」に関する啓発活動を実施したと回答したのは小中高校全体の約8割。しかし、急激な増加傾向を考えれば、効果が出ているとは言い難い。また匿名性が高いなどのネットの特性を踏まえると、認知件数と実数の乖離(かいり)も想定される。都内の女子高生(17)は、「授業中は学校で配られた端末が使い放題。先生に隠れて友達同士でチャットでやり取りをしている。中には悪口が書かれたという話を聞いたことがあるが、履歴を消してしまえば分からない」と話す。
町田市で小6が自殺した問題では、市教育委員会がいじめの詳細を調査中で、当初、端末の履歴からはチャットを悪用したいじめの痕跡を発見できなかった。その後、専門家に依頼して履歴の復元などを行っているが、当時の状況をどこまで把握できるかは不透明だ。
都内のベテラン小学教員は「パソコンやタブレットに関しては子供の飲み込みが早く、善しあしは別として教員にとって想定外の使用をするケースが出ている」と指摘。しかし、過度な利用制限を行うことは、教育現場のデジタル化の恩恵を大きくそぐことにもつながりかねず、ジレンマがあるという。ある都内自治体の教育長は「結局は学校でのネットリテラシー教育を徹底し、家庭でも指導をしっかりしてもらうしかない」と話していて、改善には時間がかかりそうだ。
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え?違いますよね。学校でのネットリテラシー教育の程度が「ネットいじめ」の多い少ないの原因ではありませんよね。思わず呟いてしまいました。いじめが人権問題だと言う人権教育の程度がネットいじめを含むいじめの増減の原因です。チャットで他者を貶めるのはダメで会話ではいいと言う問題ではないからです。どうしてメディアは事の本質からわざと外すような意見を流布するのかさっぱりわかりません。
昨今のいじめ件数が増えたと言うニュースも、もともと現場が教委に忖度して少なく見積もりすぎた自治体が昨今のいじめ事件から啓発されてこれまで認知していなかった案件を上げて修正しただけだと思います。その証拠に京都府は最初から些細ないじめ案件まで全てすくい取って集約しているので、調査開始時からずっと10名に1件と言う全国ワースト10のいじめ認知件数です。メディアは表面的な事だけを報道して内容を吟味するものがあまりにも少なく、逆に、感染症の報道などは憶測だけで事実が存在するかのように描く印象操作の報道が後を絶ちません。
おそらくこの記事のヘッドラインだけを読む人は、子どもへのICT機器の普及がネットいじめの原因なのだと思う人は少なくないでしょう。報道はもう一歩踏み込んで人権教育が教育内容にどう反映しているのか、何時間くらいが取組まれているのかを報道すべきです。都内の女子高生(17)の取材も、学校配布の端末のチャットで「悪口が書かれたという話を聞いたことがあるが、履歴を消してしまえば分からない」という発言をそのまま掲載していますが、履歴はメインサーバーに記録されていて端末で消去したつもりでも消去はできない(サーバー設定は必要)ということを付け加えるべきです。こういう中途半端な取材記事は不信感を煽るだけです。もう一歩踏み込んだ取材をメディアの方にはお願いしたいと思います。
中学生へのコロナワクチン保護者 75%「接種望む」
富山市中学生へのコロナワクチン保護者 75%「接種望む」
2021年10月15日 【中日新聞】
学校感染症対策会議アンケ 「情報量足りぬ」半数超
中学生の新型コロナウイルスワクチン接種を巡り、小児科医などでつくる「富山市立学校新型コロナウイルス感染症対策検討会議」は、市内の中学生の保護者向けに実施したアンケート結果を公表した。保護者の75%が子どもにワクチン接種を求める一方、ワクチンに関する情報量が「足りていない」と答えた保護者が5割を超えた。(広田和也)
アンケートは九月十~十七日に市内中学校の生徒約一万人の保護者向けに実施し、四千四十六人が回答した。検討会議がリーフレットで結果を公表した。
子どもにワクチン接種をさせる予定かの問いには、「すぐに接種させたい」が48%で最多、続いて「できれば接種させたい」が27%と、接種を希望する保護者が全体の四分の三を占めた。希望する理由には「病気が怖い」「周囲に感染させたくない」「学校行事に参加させたい」が挙がった。
ほかに「できれば接種させたくない」が5%、「絶対接種させたくない」が2%、「しばらく様子をみたい」が18%。希望しない理由には「副反応が怖い」「情報が不足」「効果が信用できない」などがあった。
子どもにおけるワクチンの安全性や副反応などの情報量については「ほぼ十分」が最多の41%、「十分」が7%だった一方、「やや不足」(37%)「不足」(15%)と不足を指摘する保護者が五割を超えた。子ども自身が接種をどう考えているかの問いには、接種を希望する子どもの回答が53%と半数を超えたが、保護者よりも22%ほど少ない結果となった。
検討会議の種市尋宙(たねいちひろみち)座長(富山大講師、小児科医)は「情報量が足りない状況でも、接種を求める保護者が多いという矛盾が生まれている。このワクチンが明確に副反応が出ることを納得した上で、接種するかを検討すべきだ」と強調。今月中旬にも、最新の医学的情報を踏まえ、接種する場合と接種しない場合の注意点をリーフレットで伝える方針で、「情報を提供することで、接種について家族で話し合えるようにしたい」と語った。回答結果を示したリーフレットは、富山市のホームページで入手できる。
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3回目の摂取と小児への接種が課題になるほどワクチン接種が進んできた証拠です。子どもの感染症状のほとんどは無症状か微熱程度なので、小児のワクチン接種は推奨する程度で良く、家族で決めればいいと個人的には考えています。ただ、情報提供と称して副反応をやたらに強調すると子宮頚がんワクチンの二の舞を演じることになるのではないかと危惧しています。
日本の子宮頸がんワクチンの接種率は先進国中最下位です。その結果、新たに毎年1000人以上の若い女性が亡くなり、がんを発見しても子宮を全摘出しなければならない女性も後を絶ちません。これは朝日新聞のワクチン副反応キャンペーンに他のメディアも同調した結果、厚労省が訴訟を恐れて任意接種に変更したからです。それまで70%あったワクチン接種率はみるみる落ちていき、イギリスの86%接種率にはるかに及ばない1%未満に激減したという特殊な反ワクチン事情が日本にはあります。
今回、メディアは新型コロナの感染者が重篤な症状ばかりを報道して煽りすぎた結果、さすがにワクチンの副反応キャンペーンは真逆の報道をすることになり控えたと言う経過もあって、瞬く間に世界のトップクラスに接種率が追い付きました。それなのに、隙あらばと、小児のワクチン接種をネタに副反応を強調し始めています。政府の役人も、医師も日本の反ワクチンキャンペーンの痛手を負い大変ナーバスになっています。
メディアの副反応キャンペーンで、さらに役人や医師の接種意欲が後退していくという、負のスパイラルを起こしはしないかと案じています。新型コロナの症状の多くは軽微なのでそう心配はしていませんが、子宮頸がんワクチンのように本当に必要なワクチンを、エビデンスもなく煽り報道で抑止して多数の子どもの健康が害されると言う結果が再び起こらないように注意が必要です。
東大阪 中学生自殺 いじめが直接原因と判断難しい 調査委
東大阪 中学生自殺 いじめが直接原因と判断難しい 調査委
10月15日 【NHK】
おととし、東大阪市の中学生が自殺を図りその後、死亡したことについて、市の教育委員会が設けた弁護士らでつくる調査委員会は、中学生がいじめを受けていたことを認めたものの、自殺の直接的な原因だと判断することは難しいとする報告書をまとめました。
そのうえで、委員会はこの生徒には発達障害があり、学校側の対応などが不十分だったと指摘しています。
おととし1月、東大阪市の中学校に通っていた当時2年生の女子生徒が自宅で自殺を図り、翌月、死亡しました。
その後、市の教育委員会は、女子生徒の両親からの要請を受けて、大学教授や弁護士らでつくる委員会を設置し、調査を進めてきました。
15日に公表された報告書では、女子生徒は、▼ほかの生徒が所持品を紛失した際に、教室や校門の付近でカバンの中身を見せるよう複数の生徒から迫られたことや、▼「うざい」、「不細工」などの悪口を言われたり、蹴られたりしたことがあったとしたうえで、これらの行為は「いじめ」に当たると判断しました。
ただ、こうした行為が執ようになされたものではなく、「著しく悪質ないじめとまでは言えない」としました。
さらに、女子生徒には発達障害があり、学校生活での友人関係などにストレスを抱え、その苦しみを周囲に理解されず孤独感を募らせていたのではないかと指摘しています。
そして、最終的な結論は「いじめが自殺の複合的な要因の1つであるとは言えるものの、直接的な原因であったと判断することは難しい」としています。
そのうえで、▼学校で発達障害に配慮した指導ができておらず、▼教員の間で生徒に関する情報の共有も十分でないなど、課題があったと指摘しています。
【市教委 課題受け止め再発防止を】。
報告書の公開を受けて、東大阪市教育委員会は会見を開き、諸角裕久 教育次長は、「このような事案が起きてしまったことは残念だ。報告書の中で指摘を受けた課題や提言を真摯(しんし)に受けとめ、再発の防止に努める」と述べました。
また、報告書をまとめた調査委員会の委員長で、京都教育大学の元教授の初田幸隆氏は、「いじめから自殺までに時間があり、直接の原因になったのかは判断が難しいが、亡くなった生徒の心理的な負担になったと思う。生徒の通っていた学校には、いじめについての解釈が限定的なところがあり、改善を求めたい」と話しています。
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小学6年生の利用者を前にして一番気になっているのが中学校でのいじめです。中学校と小学校の違いは担任の目の行届き方です。一日教室で児童を見ている小学校担任と1日にホームルームと担当教科でしか生徒を見ない中学校担任では目の行き届き方が違います。子どもにとっては四六時中同じ担任の目がないことで自立心を促す事にもつながりますが、担任教師の目が行き届かない場所でいじめが起こりやすくなることもあります。
特に、対人関係やコミュニケーションに課題を持つ生徒の場合、どうしても上手く集団に溶け込めなかったり、仲間からの誘いがあっても場にそぐわない反応をして、生徒間でのその異質感を共有確認する話題にあがりやすく、いじめの芽になっていくこともあります。ただ、だからと言って四六時中大人が見守れば良いと言うわけではないと思います。
障害のある人の理解は、車いすや白杖や補聴器などシンボルがあるものは理解しやすいです。しかし、発達障害は見えない障害なので説明しても子どもには理解しにくいし、本人自身も知らされていない場合も多いので、当事者にも周囲の子どもにも双方に誤解が生じます。多くは、たまたま関わったときに嫌な思いや大きな違和感を感じて「変な子」というレッテルが先に貼られてしまいます。
本人にしてみれば、周囲からの扱いは他の人とは違うことくらいは感じるけれども、どうすればいいかわかりません。相手の思いが読めないことや、そもそも交流している仲間が少ないかいないことから自分の誤解も修正できません。それでも、小学校は本人の事を保育所から知っている仲間や、入学当時から本人を知っている先生が、自然にサポートをしているのです。
中学では価値観の同調性に目覚める時期の生徒たちと、当事者を初めて知る教職員がサポートをすることになります。確かに当事者の事を良く知る生徒も入学していますが、まずは自分が安定した関係性を確保することで精一杯だというのが中学生の事情です。記事の生徒の場合、特支級だったのか通級支援があったのか、何もなかったのかが分からないので何とも言えませんが、不安定な彼らを見つけ出し支援する相談室や支援室があってよいと思います。そして、不十分ではあっても、早期発見と早期支援が彼らの命を支える担保にはなると思います。