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発達障害、オンラインで支援

発達障害、オンラインで支援

2020年11月26日【毎日新聞】

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、さまざまな分野でオンラインのサービスが広がってきた。発達障害のある子どもの支援サービスも、その一つだ。オンラインゆえのメリットもあるといい、サポートの新たな選択肢として定着していくのだろうか。

●感染防止対策から

子どもの発達支援などに取り組む「たすく」(本社・神奈川県鎌倉市)は、全国に緊急事態宣言が出されていた4月下旬、テレビ会議システムを使った無料のオンライン相談を始めた。本来は関東を中心に展開する専用の「教室」に集まってサービスを受ける形だが、感染防止策でオンラインの活用にも踏み切った。

札幌市の女性(37)は、長男(5)とのコミュニケーションが取りにくいことを相談した。医師から発達障害の診断が出るほどではない「グレーゾーン」にある。会話を理解するのが難しく、例えば「両足でジャンプしながら進む」と説明しても、どういう動きをすればいいのか理解できなかったという。たすくの担当者から「お母さんが見本を見せた方がいい」とアドバイスされた。やってみると、長男は動きをまねてできるように。女性は「ちょっとした工夫で、やり取りがスムーズになった」と笑顔で話した。

たすくでは発達障害などの診断はしないが、作業療法士らがテレビ会議システムを通して子どもの様子を観察したり保護者と話したりすることで支援につなげる。相談を担当する庄司薫さんは、「例えば自閉スペクトラム症と思われる子どもは見通しが立たないことがストレスになるので、1日のスケジュールを作ることを勧めている」と話す。

首都圏を中心に療育の教室などを展開するLITALICO(リタリコ、本社・東京都目黒区)も4月末、発達支援の情報サイトで、会員向けの情報提供や勉強会を始めた。臨床心理士や作業療法士、言語聴覚士などの専門家が、子どもの特性に応じて家庭で取り組めるプログラムや、子どもとの接し方などを伝える。

東京都杉並区の女性(42)は、長男(6)が今春、小学校に入学した。発達障害の診断は受けていないが、周囲とのコミュニケーションが取りにくいなど、自閉スペクトラム症の傾向があるという。仕事があり次男もいるため、これまでは講座に足を運ぶのは難しかったが、オンラインなので参加できるという。子どもの特性を学校に伝える「サポートブック」の書き方をアドバイスする講座では、「記入する内容が多いので学校の先生もすべて熟読するのは難しい。特に配慮してほしいことを伝えるといい――という話に納得した」と語った。

●どこからでも参加

サイト編集長の牟田暁子さんは「どこからでも参加できる。個別の相談と違い、一緒に参加している人が投げかける質問も参考になるという声がある」と手応えを語る。

サービスが始まった背景には、今春の緊急事態宣言の間、自治体の発達支援センターなどが対面での相談や支援を中断していた事情がある。横浜市は、緊急性が低いとみられる相談の受け付けを延期。東京都世田谷区は、保護者と電話で連絡を取って状況を把握する方法にとどめた。神戸市も宣言解除後まで、対面相談や発達検査は原則延期。相談先を探していた保護者にとって不安軽減の一助になったと言えそうだ。

発達障害に詳しい鳥取大の井上雅彦教授(応用行動分析学)は、オンラインの発達支援について「家庭教師のように1対1で接する形や保護者向けの勉強会などは、遠隔地の人でも参加しやすいメリットがある」と語る。ただ、発達障害の診断など、支援をすべてオンラインに置き換えることはできないと指摘。「専用のセラピールームと違い、自宅は気が散りやすい環境にある。保護者が子どものそばにいて参加を促す必要もある」と話す。【石田奈津子、五味香織】

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たすく」の創設者である斎藤さんと出会ったのは、はるか昔です。斎藤さんは、北海道で盲重複児童を担当しその後、国立久里浜養護学校で重度心身障害児の担任及び研究主任を務めた後、2001年10月から2008年3月まで国立特別支援教育総合研究所の研究員として、発達障がいのある子どもの教育について研究され全国を飛び回っておられました。

通常現職教員は現場に帰るのですが、案の定、彼は発達障害療育に特化した会社を立ち上げていました。学校現場の進化速度がとても遅く、トップダウンもままならない中で、ニーズのある子どもたちが置いてきぼりになっていることに心を痛めている現職は少なくありません。学校に見切りをつけて福祉現場や民間会社創設に立ち上がった若手の元祖が斎藤宇開さんだと思います。

今回の記事も、武漢風邪感染禍ですぐに動き出したリモート相談もさすがです。私たちも微力ながら「じゃんぷ」という発達障害に療育に特化した事業所を立ち上げたところです。従来の教育や福祉で手の届かなった子どもたちの役に立てればと思います。