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知っていますか「特別児童扶養手当」

特別児童扶養手当は、20歳未満の精神または身体に障害のある子どもを育てる養育者が受けられる手当です。対象は 20歳未満で精神または身体に障害のある子どもを育てている養育者に支給されます。
・身体障害者手帳1~3級程度、および一部4級程度
・療育手帳AとBの一部(審査されます)
・精神障害者保健福祉手帳1級と2級の一部(審査されます)
・手帳をもたないが、障害・疾病等により日常生活に著しい困難がある場合(審査されます)
支給制限は、扶養義務者の前年の所得が600万円くらい(共働きや扶養者数、内容によって違います)を超えると手当は支給されません。京都府の特別児童扶養手当月額は1級認定の場合 52,200円、2級認定の場合 34,770円です。(※手当の月額は物価変動などにより改定されることがあります。)
問い合わせ窓口 各自治体の「子育て支援」の窓口。特別児童扶養手当は毎年8月に「現況届」を提出して更新する必要があります。「現況届」とは手当を引き続き受給する要件があるかどうかを確認するためのもので、その年の6月1日の状況を書くものです。前年の所得の状況と6月1日現在の児童の養育状況等を記載します。「現況届」の提出がない場合、手当が支給されません。
手帳がない発障障害の子どもも特別児童扶養手当を申請することは可能です。その際には、役所の子育て支援の窓口で渡される用紙に、かかりつけ医に診断を書いてもらって申請したうえで、指定の判定医の診断をうける必要があります。

障害児福祉手当は、20歳未満の精神または身体に重度の障害のある子どもを育てる養育者などが受けられる手当です。手当の判定基準に該当する方は特別児童扶養手当と併給することができますが、障害福祉手当のほうが審査条件が少し厳しいです。これは各自治体の「福祉の窓口」で申請します。

そもそも、手当や福祉関係の情報って病院や学校、事業所でも教えてくれないことがあります。自分で積極的に調べて聞いていかないと申請できません。また、お兄ちゃんは特児手当がもらえたけど、下は軽度だからもらえなかったという家庭もあります。時々施しは受けないという方がおられますが、生活費に使っても後ろめたいことは何もないし、家族とその子のために使えばいいのです。
住んでいる自治体ごとに制度が違うので、詳しくは役所の子育て支援の窓口と、福祉の窓口で申請手続きをする際によく確認してみることをおすすめします。
乙訓各自治体のHP
向日市
長岡京市
大山崎町

これらの制度は障害者手帳(特に療育手帳)があるとスムースに申請ができることから、手帳の申請がまだの方は各自治体の「福祉の窓口」でお聞きください。税控除や様々な助成を受けることができます。

そして、手当についての「使い方」について共通しているのは「何が正しいか」ではなく、その家庭にとって「何が必要か」ということです。家庭の必要に合わせて使うことが正しい使い方だということです。必要な人に、必要な手当が届くよう、お役立てください。

ビジョントレーニング

ビジョントレーニングとは視覚機能の力を高めるためのトレーニングです。ものを見る力(視覚機能)は生まれつき備わっているわけではありません。徐々に発達して就学前までにその基礎ができあがると言われています。通常は成長の過程の中で、見たり触れたり体を動かしたり、様々な経験を通じて必要な機能を身につけていきます。これには個人差があります。特に不器用等調整力の弱さと「見えにくさ(視覚機能の困難)」においては関係性が強いといわれています。見る力は一人ひとり違い、この見えにくさを抱えた状態を放置しておくと、努力をしても結果が伴わなくなるという場面も増えてきます。そうなると「どうせ勉強はできない」「運動は嫌いだ」と意欲を失い、自己肯定感の喪失につながっていきます。

もちろん、学習の困難についてはこれまでのブログで述べてきたとおり、音韻機能や他の認知機能の問題もあり、視機能だけに関係づけられるものではありませんので、ビジョントレーニングで学習困難が解決するかどうかは他の認知機能との問題がないかどうかのアセスメントが重要です。ビジョントレーニング自身はそう難しいトレーニングではないのでホームページを見ていると、放デイの療育内容の目玉のようにしているところがありますが、アセスメントをどのようにしているのか明示しているところが少ないのが気になります。2012年の文部科学省実施の調査では子どもの2.5%に読み書き困難があり、その子どもの1割弱が視知覚の弱さが原因ではないかと考えられます。

ビジョントレーニングをすすめる記述には、視機能の課題が学習の困難と結びついている人は次のような傾向があると、書かれています。
1書字:文字を崩さずに正しい形で書けない。ノートに書かれているマス目や行からはみ出す。図形の形を正しく描けない。2読字:行間の読み飛ばしや、読み間違いをする。文章の意味を理解する力が身につかない。3手指の作業:ハサミやカッターなどを使い曲線などを正確に切ることができない。定規等をつかって正確な図形を描いたり、正確な線を引くことができない。紙を折ったり、貼ったりする作業をすることが困難。4集中力:授業中、しっかりと勉強に集中することができない。長時間(30分程度)の読書が続かない。5記憶力:ひらがなや漢字等、正しい形で記憶することが困難。学習において記憶の積み重ねが増えない。約束したことを忘れたり、忘れ物をしたりすることが減らない。6イメージ力:模様を見ながら再現できない。図形を正確にイメージして形を思いうかべられない。方向、方角の認識を身につけることができない。7運動する力:ボールを上手く受け止められない。縄跳びなどの跳躍運動が苦手。ダンスや体操など、目の前のお手本通りに真似るのが苦手。
確かに、生活の80%は視覚からの情報ですので、視知覚入力に課題があれば様々な問題が起こるのは当然です。だからと言って全てを視知覚の問題として扱うのは大雑把すぎる気がします。

これまで、スタンダードな視知覚検査は「フロスティッグ視知覚発達検査(DTVP)」でしたが、ここ10年視知覚の検査はたくさん開発されています。学力の問題との相関性を統計処理したものも出ています。おすすめはWAVESです。WAVESは Wide-range Assessment of Vision-related Essential Skills の略で、日本語では「視覚関連基礎スキルの広範囲アセスメント」と言います。この検査では、視知覚・目と手の協応を総合した総合指数により同年齢の子どもとの比較ができ、また、下位検査の成績によって、形態認知や記憶、協応動作について個人内の得意不得意も把握でき、段階内容別のトレーニングプリントもついています。おそらく多くのビジョントレーニングで療育を行う放デイはこれを利用していると思います。ただ、アセスメントに重要なのはテストバッテリーと言って一つの検査だけで結論を得るのではなく二つ以上の検査等から多面的に分析することです。本事業所ではWAVESとKABC-2(心理・教育アセスメントバッテリー)、STRAW-R(標準読み書きスクリーニング検査)によるテストバッテリーを組むことができます。ご希望の方はスタッフまでご連絡ください。

パラリンピック

東京オリンピックのチケットが取れなかった倍率100倍だったとネット上をにぎわせていますが、パラリンピックはいまいち盛り上がりに欠けると関係者の間では言われています。東京パラリンピックでは22競技537種目が実施されますが、チケットは8000円以下で平均2~3000円だそうです。

実はこのパラリンピックのチケットが史上初で完売されたのが前々回のロンドン大会でした。大会準備にあたって、関係者がとにかく市民にパラスポーツを体験してもらう取り組みを粘り強く行ったそうです。誰だって競技がわからなければ観戦なんてしません。パラスポーツが健常者競技に勝るパワーとテクニックが必要なことは競技を知らないとわからないのです。この結果、ロンドン大会は大成功を収めました。

ところが前回のリオ大会はロンドン大会以前に逆戻り。チケットが余り、観戦席もまばらで選手にも申し訳ない状況がおこりました。リオ大会はそもそも政変のただ中での開催で、選手宿舎問題やオリンピックインフラ建設が追い付かない状況だったので全体の準備そのものが大変だったようです。だからこそ、GDP世界第3位の日本の首都東京で開催するパラリンピックは、ロンドン大会のレベルまでに戻すことが重要です。

世界一の車いすラグビーや世界2位のボッチャなどみどころもたくさんあります。チケット発売は日本国内では、東京2020組織委員会が直接販売し8月発売の予定です。

 

睡眠障害

人間をはじめとする多くの生物は、基本的なリズム(活動する・休む・眠る)および体内の働き(自律神経機能・内分泌機能・代謝機能などのさまざまな生体機能)が1日に約25時間を周期とするリズムで変動しています。そして、この変動のリズムをもたらしているものを生体時計(体内時計)と呼びます。ヒトの生体時計は実際の1日24時間より約1時間長いので、社会生活を維持していくためには、1日24時間を周期とする生活リズムに調整していかなければなりません。この生活リズムが狂ってしまうと、不眠症、うつ、不登校、全身倦怠感、注意集中困難、イライラ、学習困難などのさまざまな症状が出現します。不眠症は入眠困難という形で現れ、遅寝遅起きになります。近年、発達障害や夜型生活との関連で増加している睡眠相後退症候群は、子どもの身体・知能の発達、さらには不登校、神経症、自閉傾向を強めるとして注目されています。では、どのようにして生活リズムを24時間にリセットして規則正しい生活にすればよいのでしょうか?

生活リズムをリセットする因子として以下のものがあります。光による明暗(昼と夜)・社会的因子(家庭・学校・会社・仕事・遊びなど)・食事・身体的運動・環境(温度・湿度・騒音・振動など)。この中で、朝の光を浴びること、朝食、日中の運動がもっとも強い同調因子です。朝のジョギングや歩いて登校するなどの活動はこれらをすべて満たしてくれるといってもいいでしょう。特に、規則正しい生活リズムの獲得は身体にも心にも良い影響を与え、社会生活の様々なリスクを回避する礎となります。

睡眠を阻害する因子の中で、ストレスが占める割合は一番大きいのかもしれません。一般によく聞かれる不眠症とは、心身の健康を維持するために必要な夜間の睡眠が量的または質的に不足し、昼間の日常生活に支障をきたしたりストレスを抱え込んでいる状態のことをいいます。逆に、睡眠に問題がないということは、日中眠気がなく、心身共に健康に生活できる睡眠がとれるということです。ここで、睡眠障害の4つのタイプを見ると、入眠障害:布団に入ってもなかなか寝つけないタイプ。不眠の中ではもっとも訴えの多い症状です。中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまい、再び寝つくのが難しいタイプ。熟眠障害:睡眠時間のわりには、朝起きた時にぐっすり眠った感じがしないタイプ。早朝覚醒:朝早く目覚めてしまい、まだ眠りたいのに眠れなくなるタイプ。高齢者に多いのが特徴。睡眠相後退症候群:夜なかなか寝つけず、朝はなかなか起きることができない状態が極端に悪いもので、最も多いのが、通常夜中の2時から朝の6時頃まで眠れず、そのため朝はまったく起きられなくなるというパターンです。一旦眠ると普通に眠れますが、その眠る時間帯が社会のリズムとずれているため社会適応が困難になります。遅刻や欠席が多く、また日中に強い眠気に襲われたり、授業に集中できないといった障害がおこります。このように学校に適応できない状態が続くと二次的に抑うつ状態、不登校、ひきこもりになることも稀ではありません。

中高校生の不眠患者の約半数がDSPSといわれており、思春期での発病率がもっとも高く、典型的なDSPS患者は発病前から夜型人間の傾向が強く、感覚過敏のあるASDや、ゲーム・携帯電話などにはまっている場合に多く見られます。また、DSPSが不登校の原因かもしくは結果かについての判断は難しいですが、両者は深く関係しており、DSPSの治療をすることで不登校から立ち直ることができたケースも多く見られます。DSPSの病態生理は、睡眠相だけでなく、深部体温のリズムや脳のメラトニン(睡眠を制御するホルモン)の分泌リズムが遅れており、このため生体リズムが後退したまま固定され、外部環境に同調できない状態となることがわかっています。

DSPSを改善するための早寝早起きの工夫をみてみましょう。日当たりの良いベッド。朝にカーテンを開ける。朝は必ず起きる。起きたらすぐに着替える。朝に日光を浴びる。日中に身体を動かす。入眠3時間前から照明を落とす。昼寝をしない。メラトニン療法。高照度光療法。ビタミンB12。

寝る前にしたほうがいいことは、寝る1~2時間前から脳をリラックスさせることが大切です。一旦布団に入った後でも、眠れない時は無理に眠ろうとせず、布団を出て気分を変えるのも一つの方法です。できれば眠くなるまで布団には入らないようにしましょう。また、布団の中で、好きな本を読む、携帯電話、ゲームなどをしないようにしましょう。他には、ぬるめのお風呂にゆっくりつかる。カフェインが含まれていないハーブティを飲む。眠りを誘う音楽や心が落ち着くビデオを鑑賞。空腹の時はホットミルクを飲む。就眠3時間前から室内の照明をダウンさせる(真っ暗より薄暗い程度、蛍光灯より白熱灯、直接照明より間接照明)。寝袋、身体を強くしばる、マッサージなどの刺激がよいことも。就眠儀式はあったほうがいい (歯磨き、ストレッチ、ぬいぐるみなど)が挙げられます。

寝る前に避けたほうがよいことは、熱いお風呂に入ること。コーヒーや紅茶などカフェインを含む飲み物。寝る前のおやつや食事。勉強や激しい運動。テレビ、ゲーム、パソコンなど。明るすぎる室内照明(明るい蛍光灯など)。

障害の種類に関わらず、また、テレビやゲームのしすぎなどにより、生活リズムの乱れている子どもも多く見られます。子どもが衣食住に関わる基本的な行動・習慣を身に付けるためにも、約束を決めて子どもがしたいことをする「時間」を保障しながら、まずは親が子どもの生活リズムをコントロールすることが重要です。さらに、タイムスケジュールのような簡単な表などを使い、目に見える形で評価することでより意識しやすくなるでしょう。そして原因のはっきりした避けきれないストレスが子どもの生活リズムを乱しているなら、まずは、その原因から子どもを遠ざけ、健康な生活リズムを取り戻すことを優先した選択を行うべきだという考え方もあります。

その3:告知のタイミング

告知はとても個別性が高いものです。子どもの支援・親の支援・生活学習環境等を検討して方法を探ります。診断名告知に積極的に取り組んでいる専門家の中でも、どの時期が良いのかは様々です。幼児期からできるだけ早く診断名告知をしたほうがいいという専門家もいれば、問題が噴出しているときこそ診断名告知の好機だという専門家もいます。つまり、答えはなく、それぞれの対象の子どもの状況や環境、専門家のポジションやその背景によっても違うのです。これも必ずというわけではないないですが、前回述べたように支援の効果を子どもが知っていることは告知の理解には有利だという事です。だからといって、場合によっては詳しい告知から入った方が効果が上がる人もいます。

子どもへの診断名告知の判断を親だけが引き受けていくというのはとても荷の重い作業です。必ず医師や心理士、教育関係者等専門家のサポータを作ってから始めます。また文字情報を処理する能力が相応に高い子どもで、診断名に関してもしかしたら既に知っているのかもしれないと思われる場合や混乱なく受け止めるだろうと予測される場合には、ASDの子どもたちは自分のペースで文字情報を手がかりに情報処理をしたほうが理解も納得もしやすいので診断告知に関する書籍を与えて予習してもらうことも有効です。想像力の問題のために一度思い込んだ事柄を修正するのが苦手な子どもたちなので、その意味でもひとりでじっくりと情報で吟味することが有効な場合も多いからです。書籍を渡してもらう場合には、今、目の前で読めと迫ることはしないで、自分のペースで情報処理するようにゆったりと構えて取り組みましょう。また情報を渡す際には、後ろ向きな感想も含めいろいろのことを思ったり話し合ったりすることは大事だと必ず伝えていくことが必要です。

また、告知は1回で済むものではなく、サポーターが協力して少しづつ違う角度から複数回行います。また節目節目にバージョンアップもして伝えていくものです。ここまで読んでお分かりの方も多いかと思うのですが、子どもへの発達障害の告知とは、医師の特権行為というより子どもへの教育なのです。子どもが一つ一つ自分について知っていくプロセスを支援することが大事だからです。これを心理学的医学教育といいます。

ここまで書いたことは、日本のASD告知のオーソリティーでもある吉田友子医師のホームページを参照しています。書籍資料や講演会情報などアクセスしてみてください。http://i-pec.jp/