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みんなちがってみんないい

発達障害の男子高校生が、カードゲームを続ける理由…普段は、他人とのコミュニケーションが苦手

発達障害の男子高校生が、カードゲームを続ける理由…普段は、他人とのコミュニケーションが苦手

 

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引用記事元が長いので割愛させていただきます。

記事ではコミュニケーションが苦手な高校生がカードゲームの中だと相手の気持ちを読もうとしたり相手の反応を見て自分の出すカードを考え、苦手なことでも好きなことの中でなら出来ることもある、と書かれていました。

じゃんぷの中や同法人のすてっぷの中でもボードゲームを用いて子ども達が遊ぶことがあります。同じようにその中で子どもたち同士でワイワイとゲームをしながらコミュニケーションを取ります。遊びの中でSST(ソーシャルスキルトレーニング)に取り組んでいる訳ですね。ブログの中でもいくつか紹介していると思います。

さて、筆者も恥ずかしながらこの年でカードゲームをしています。そこで出会う人たちの中には「コミュニケーションが苦手なんだろうな」と感じることもあります。常に自分のことばかり話す人、ずっと黙っている人(SNS上では多弁)、醬油の染みがついた部屋着のままでも気にしない人…等々

お世辞にも「カードゲームをしたらコミュニケーションが上手になる!」とは言えませんが、一つの方法として良いのでしょう。それで友達の輪が広がり、外に出るようになった、といった事例もあります。あまり大っぴらにするような趣味ではないですが、プラスの影響を与えることもあります。ただ最近はポケモンカードやワンピースカードの大流行で普段カードゲームをやらないような層が入ってきました。普通に歓迎をすればよいのでしょうが、プライドなのか何なのか、それを排除しようとする動きがなぜかあります。所謂「陽キャ」を自分たちのテリトリーに入れたくないのでしょうが…これではまだコミュニケーションが出来るようになる、とは言えないですね。

「リエゾン」第6話「子どもにも見せたい」と反響 読み書きが苦手なSLDの子の問題に「すごく勉強...

「リエゾン」第6話「子どもにも見せたい」と反響 読み書きが苦手なSLDの子の問題に「すごく勉強になる」

山崎育三郎が主演するドラマ「リエゾン-こどものこころ診療所-」(テレビ朝日系)の第6話が、24日に放送された。(※以下、ネタバレあり)

 児童精神科医の佐山卓(山崎)は、共に働く言語聴覚士の堀凛(志田未来)から、いとこの宮内春香(山田真歩)のことを相談される。

 子連れ同士で再婚した春香は、夫の息子の優太(石塚陸翔)との接し方に悩んでいた。さらに、佐山が優太を診察し、検査をしたところ、読み書きが苦手なSLD・限局性学習症であることが分かる。

 凛から教わったトレーニングを始めた優太だったが、それでも学校の授業では苦労していたため、佐山はタブレットを使った学習方法を提案する。

 春香は、早速学校に相談するが、担任教師からは「優太くんだけが特別扱いとなると、『ずるい』と感じるお子さんが出てくるかもしれない。いじめにつながる可能性も否定できない」と言われ、許可は下りなかった。

 そんな中、優太は学校で散々なテストの結果を同級生にからかわれ、けんかになってしまう。

 放送終了後、SNS上には、「学校の対応にイライラした。SLDの子がタブレットを使うことが特別扱いにならないように、生徒に説明するのが担任の仕事だろう」「SLDの子がタブレットを使うのは、足の不自由な人が補助具を使ったり、目の悪い人が眼鏡をかけたりするのと同じなのだと思った」「ステップファミリーは難しいこともたくさんあるけれど、実の父よりも考えたり、悩んだりしている、いいお母さんだった。一緒に悩んで乗り越えて、親子になっていくんだね」などの感想が投稿された。

 このほか、「SLDについて、すごく勉強になった。深夜枠での放送はもったいない。たくさんの親と子に見てほしい」「『リエゾン』はゴールデンタイムに放送するべき。子どもにも見せて、凸凹がある子や多様性について、まずは理解してもらうことが大事だと思う」といった声も、多く寄せられた。

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先日紹介した「リエゾン」の最新話で学習障害について取り上げられていました。

作中では学校でのタブレットの使用を「いじめに繋がるかもしれない。」と断られています。確かにまだICTの導入が出来ていない学校もあるかもしれませんが、最近は多くの学校でICTを活用した学習が行われています。

1人1台のタブレットを使い、読み書きが苦手な子どもでもフリック入力や音声入力を使って自分の考えや意見をまとめ、それを交流することが出来ます。筆者が勤めていた自治体では「ロイロノート・スクール」を使用していましたが、授業中の子ども同士の交流によく活用していました。理科の実験の様子をリアルタイムで交流しながら子ども同士で学び合うなど、今までやりたかったけれど出来なかったことが出来るようになったと思っています。

全ての読み書き障害の子どもにICTが合うという訳ではありませんが、その子が自分にとってやりやすい一つの方法になりうると思います。またそれはこれからどんどん広がっていくでしょう。

ASDで会話が一方通行になる6歳 母娘の困難にどう寄り添う?『リエゾン』

ASDで会話が一方通行になる6歳 母娘の困難にどう寄り添う?『リエゾン』2023/02/03 06:30

引用元記事

俳優の山崎育三郎が主演を務めるテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』第3話がきょう3日(毎週金曜23:15~※一部地域除く)に放送される。

『リエゾン-こどものこころ診療所-』第3話より=テレビ朝日提供
今作は郊外の児童精神科クリニック「さやま・こどもクリニック」を舞台に、自らも発達障害=凸凹(でこぼこ)を抱える院長・佐山卓(山崎)と研修医・遠野志保(松本穂香)のコンビが、発達障害を抱える子どもとその家族に真っすぐに向き合い、寄り添っていく姿を描く医療ヒューマンドラマ。


「さやま・こどもクリニック」で研修を始めた志保は、診察する前に患者が来院した経緯などを聞き取る予診を任せてもらえることに。緊張しながらも張り切る志保が担当することになったのは、会話が一方通行になる6歳の女の子・柿崎希(沢田優乃)。小学校入学を前に母・柿崎貴子(黒川智花)は不安な様子だったが、診断の結果、ASD(自閉スペクトラム症)であることを伝えると大きく動揺する。そこで佐山は、まず療育を受けることを提案。その療育を担当するのが、志田未来演じるクリニックとリエゾン(=連携)の関係を敷いている言語聴覚士の堀凛だ。普段はロリータファッションに身を包んでいるが、話し方は男前で強気な性格。そのギャップに志保は一瞬怯むが、2人はタッグを組み、小競り合いを見せながらも共に真っ直ぐ全力で希の療育に向き合っていく。やがて希と貴子が直面してしまう困難にどう寄り添っていくのか。

第3話では「さやま・こどもクリニック」の庭に植えられている“スノードロップ”の花が度々登場し、物語の鍵となっていく。佐山の亡き叔母・佐山りえ(風吹ジュン)は生前にスノードロップの前で、あることを佐山に伝えていた。その言葉は佐山の胸に深く刻まれ、クリニックを継ぐことを決意するきっかけに。果たして「さやま・こどもクリニック」設立に隠された秘密とは。さらにスノードロップは、希や希の家族にもある影響を与えていく。

SNSでは毎回子役の演技も話題となっているが、第3話では6歳にして大河ドラマ『青天を衝け』(21年)や『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』、『NICE FLIGHT!』(22年)などの話題作に出演してきた沢田が登場。沢田演じる希はおしゃべりが大好きな女の子だが、誰彼構わず話しかけては会話が一方通行に。沢田がセリフ量の多い難役を全力で演じきる姿にも注目だ。

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発達障害をテーマにした漫画を原作にした実写ドラマです。(原作・原案など ヨンチャン、竹村優作 作画 ヨンチャン 出版社 講談社)

引用記事に載っている3話はもう放送終了しています。見よう見ようと思いつつ見れていなかったので筆者は昨夜『TVer』で1~3話まで一気見しました。主人公の一人はASD,もう一人はADHDを抱える児童精神科医で,相談に来る親子の悩みを少しずつ解いてく様子を描くヒューマンドラマです。

子ども達から「俺(私)って発達障害なん?アホなん?」と聞かれると「凸凹があるだけよ。」と伝えています。(以前ここのブログを書いていた先生からそう教えて頂きました。)このドラマの中でもそのように言っており,発達障害を抱える子ども,保護者の悩みを丁寧に描いていると感じました。

昨今,発達障害が社会に認知されつつありますが,作中で「『発達障害』という言葉だけが一人歩きしているのではないか。」というセリフがあったように発達障害という存在は認知されてもそれを理解,支援するというのはまだまだこれからなのではないか,と感じることもあります。こういったドラマきっかけでも,その本質を理解し支援しようとする方が少しでも増えれば,と思います。

発達障害学生の就職率は学生全体と比較して半数程度 支援乏しく苦労、ロールモデルも少ない実情〈A...

発達障害学生の就職率は学生全体と比較して半数程度 支援乏しく苦労、ロールモデルも少ない実情〈AERA〉

日本学生支援機構の調査によると、ここ10年で障害のある学生数は4倍になり、なかでも発達障害は6倍に増えた。各大学が発達障害学生への支援に取り組み始めているが、就職支援はまだ手探り。全学生の就職率と比べて、発達障害学生の就職率はかなり低い現実がある。2022年12月19日号の記事を紹介する。 【グラフ】発達障害のある学生の就職率は?
*  *  *  発達障害学生支援は全国の大学で広がっている。日本学生支援機構の調査でも、45.4%の大学が特性に応じた配慮依頼文書を配布していると回答。38.1%が専門家によるカウンセリングを実施するなど、授業や学生生活をサポートしている様子がわかる。  ところが、「進路・就職指導」になると数字が大きく下がるのが実情だ。就職支援情報を提供していると答えたのは、全体の20.3%。さらに、キャリア教育を実施しているのは17.6%にとどまった。  支援の乏しさは就職率にも影響している。大卒就職者の割合を見ると、2021年の大学生の就職率が76.2%だったのに対して、発達障害のある学生は41.5%。発達特性のない学生にとっても大きな負荷がかかる就活の場面で、発達障害学生の多くが苦労している現実がある。立命館大学衣笠キャリアオフィスの中原真さんはこう指摘する。 「授業や学生生活は環境配慮でうまく適応できても、自分が労働力を提供し、その対価として給料をもらうという雇用契約のなかで働くというイメージもわきづらい傾向にあります」  社会で自分が役立つのかや、向いている業界や企業がわからず働く姿が想像できない。マルチタスクが求められる就活で、そんな不安が募り、ストレスがかかってしまうという。  学生の不安を解消するために、立命館では個別相談などで企業の募集要項を一緒に見ながら、働き方への理解を深める支援も実施。就労時に希望する配慮や、その上で企業にどう貢献できそうかを整理し、最後には学生が自分の言葉で語れるようになることを目指してサポートする。

■診断名が「バイアス」へ

 キャリア支援のなかで重視するのは、困り事や特性を診断名のみで判断しないこと。カテゴリーを当てはめてしまうと、表層的な支援に陥るおそれがあるという。中原さんはこう話す。

「診断名に関わらず特性は重なり合うこともあり、単純なカテゴライズがバイアスになってしまう。個別相談では、本人が口に出すことはもちろん、背景にあるものまで目を向けて支援するように努めています」

 18年には、障害者雇用促進法が改正され、発達障害を含む精神障害者が雇用義務の対象になった。だが、課題もある。

「発達障害を持ちながら働いているロールモデルがまだ少ないと感じています」(中原さん)

 企業と障害者雇用について情報交換をしても、ホームページを見ても、紹介されているのは身体障害者の社員が多いのだという。同大障害学生支援室のヒューバート眞由美さんは言う。

「これまでは障害者雇用の大半が身体障害だったため、精神・発達の方を雇用するノウハウがまだ十分ではなく、企業にとっても大きなチャレンジになっているのだと思います。大学としては、学生と企業と一緒に成功体験を重ね、互いに成長できればと思っています」

■ファーストペンギンに

 その成功体験の第一歩になったのが、10年前に卒業した一人の女子学生との出会いだ。

 発達障害学生の就労支援に取り組みたい思いはあったが、まだ手探りの状態だったヒューバートさん。支援内容がその学生に合うかどうかもわからない。それでも一緒に頑張りたいと、思い切って学生に提案した。すると、学生は群れから最初に海に飛び込むペンギンになぞらえこう言った。

「私はファーストペンギンですね」

 学生はもちろん、大学にとっても先が見えない状況での取り組みだ。不安もあったが、一緒に就労支援事業所を訪ね歩き、学生は無事就職。以来、発達障害学生への支援も少しずつ整ってきた。(編集部・福井しほ)

※AERA 2022年12月19日号より抜粋

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じゃんぷに18時以降の子ども達と将来の話をすることがあります。「僕はプログラムの仕事してみたいな。」と明確なビジョンを持っている子もいれば「俺はどうせ働けへんわ…」と悲観的になっている子もいます。

今,社会の中で発達障害への理解が広まっています。ただ記事中にもあるように精神障害への理解はまだまだのようです。精神障害を持っている方は一見なんともないように見えるので専門の知識がないと適切な支援をするのが難しいのでしょう。

そういった中で手探りながらも意欲的に取り組んでいる企業があることは素晴らしいです。「スターバックス」や「ユニクロ」も障害者雇用に積極的な企業として有名です。

ユニクロといえば初任給が30万になるということで話題になっています。今度は障害者雇用の賃金問題が解決していくような動きがあるとよいですね。

公立の小中学生8.8%に発達障害の可能性 文科省調査

公立の小中学生8.8%に発達障害の可能性 文科省調査

 通常学級に通う公立小中学校の児童生徒の8・8%に発達障害の可能性があることが13日、文部科学省の調査で明らかになった。10年前の前回調査から2・3ポイント上昇し、35人学級なら1クラスに約3人が読み書き計算や対人関係などに困難があるとみられる。このうち約7割が各学校で「特別な教育的支援が必要」と判断されていなかった。文科省は「特別支援教育の知識がある教員が少なく、適切な支援ができていない可能性がある」としている。

 調査は今年1~2月、全国の公立小中高校の通常学級に在籍する子ども約8万8500人を抽出し、学級担任らが子どもの発達障害を診断するチェックシートに回答(回収率84・6%)。知的発達に遅れはなくても、学習面や行動面に著しい困難を示す子どもへの支援を検討するため、学習障害(LD)▽注意欠陥多動性障害(ADHD)▽高機能自閉症――の三つについて評価した。医師の診断や、専門家チームの判断によるものではない。

 三つのいずれかに該当する小中学生は8・8%。質問項目などが異なるため、単純比較できないが、初調査の2002年(6・3%)と前回調査の12年(6・5%)より比率が上がった。文科省は「保護者や教員の間で発達障害への理解が深まり、以前は『落ち着きがない子』と見過ごしてきたようなケースを認知できるようになった」と分析する。

 個別に見ると、LDに6・5%▽ADHDに4・0%▽高機能自閉症に1・7%――が該当し、障害が重複するケースもあった。

 学年別では、小1=12・0%▽小5=8・6%▽中1=6・2%▽中3=4・2%――など学年が上がるにつれて発達障害の可能性がある子どもの割合は減少する傾向があった。文科省は、「多動」など一部の症状は成長とともに落ち着く傾向があるためとみている。

 調査では、支援状況も聞いた。校長や教員らが支援体制を検討する「校内委員会」によって、「特別な支援が必要」と判断されている割合は28・7%(前回18・4%)だった。また、通常学級に在籍しつつ、別室などで一部だけ特別な授業を受ける「通級指導」を受けているのは10・6%(同3・9%)、個別の支援計画を作成しているのは18・1%(同7・9%)など前回より割合は上昇した。

 だが、この10年で広く一般でも発達障害への理解が深まったことを考えると、上昇率は「高くない」(文科省の担当者)という。

 高校生の調査は今回初めてで、三つのいずれかに該当したのは2・2%。高校進学などに伴い特別支援学校を選ぶ生徒がいることも割合が低い要因とみられる。

 調査に関わった有識者会議座長の宮崎英憲・東洋大名誉教授(全国特別支援教育推進連盟理事長)は「学校全体で支援の取り組みを進める必要があるが、校内委員会の検討自体がなされていない可能性がある。外部機関に教員が支援を相談しやすい体制づくりも必要だ」とした。

 ◇特別支援、精通した教員が不足

 発達障害の可能性がある公立小中学校の子どもに支援が届きづらいことの背景には、特別支援教育に精通した教員の不足がある。明治学院大の海津亜希子教授(障害科学)は「管理職の意識に温度差があり、校内委員会が形骸化している学校もある」とも指摘する。

 公立小中学校の8割に特別支援学級が設置されているが、校長の7割以上が特別支援教育に携わった経験がないまま学校運営を担っている。このため文科省は今年3月に都道府県教委などへの通知で、新規採用教員が10年以内に特別支援学級の担任などを複数年経験し、管理職登用の際にも経験を考慮するよう求めた。

 ただ、養成は一定の時間がかかる上に、特別支援教育を経験した人材が増えても、公立学校で慢性化している教員不足の課題は残る。

 40代の男性教諭が勤務する東京都内の公立小学校では、校内委員会が週1回開かれるなど管理職の理解はあるという。だが、発達障害に限らず、家庭での虐待やネグレクトなど配慮が必要な子どもは多く「クラスの4分の1ほどはいる。きめ細かく見守るには20人学級くらいでないと難しい」と話す。特別支援教育にも携わってきたが、「『発達障害』の支援に何が必要かの判断は、経験があっても簡単ではない」と語った。

 海津教授によると、読み書きなどの学習障害は、授業中に歩き回るといった行動面の困難よりも目立たないが、早期に見つけて授業を工夫したり、通級指導につなげたりすることで改善するケースは多いという。

 今回の調査結果から、全国に発達障害の可能性がある小中学生は約80万人と推定される。海津教授は「『通級指導』などを専門的に担える教員の免許制度を創設したり、支援の予算を増やしたりするなど、国や自治体は抜本的な対策をとるべきだ」と指摘した。【深津誠】

 ◇発達障害

 先天的な脳の働き方の違いにより、幼い頃から行動や情緒に特徴が表れる。読み書きや計算、推論などを苦手とする学習障害(LD)▽不注意や多動・多弁、衝動的な行動がある注意欠陥多動性障害(ADHD)▽対人関係が苦手で特定の事柄へのこだわりが強い高機能自閉症――などを含む。学校で周囲の適切なサポートがないと、不登校やいじめにつながる恐れがある。

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筆者の体感だと個別の指導計画や個に応じた支援計画のある子どもは小学校に10%いる感覚です。

記事内で指摘のあったように特別支援に詳しい教員の少ない学校だと形だけのものになってしまい,支援が行き届かないことがあります。また,それ以上にそれを作成しているのは学級の担任です。日々の授業の計画,校務分掌に加えこれも作成しなければなりません。中々しっかりと作成することも難しい場合もあります。

年々発達障害に対する理解が広まっています。それに対し,教員はどんどんと減っています。教員全体の母数が減る=意欲のある教員も減る,ということです。

せっかく発達障害への認知が広がり,理解がされてきたところなのにこれでは意味がありません。「教員」という仕事への悪いイメージがなくなるような改革を期待しています。

視覚障害者はどうやってゲームをするのか ― 「ポケモン」は泣き声で暗記し、ボヨンというSEでマ...

 

 

視覚障害者はどうやってゲームをするのか ― 「ポケモン」は泣き声で暗記し、ボヨンというSEでマップを把握。「無双」はシステムがバリアフリー

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今回は記事の部分が長いので引用せず,リンクを貼りました。興味のある方は読んでみてください。

11月18日(金)にポケモンシリーズ最新作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』が発売されます。筆者はバイオレット,最初のポケモンはクワッスを選ぼうかと思っています。子どもが「ポケモン欲しい!」と話している家庭もあるのではないでしょうか。

さて,上の記事では視覚障害者がゲームをどのように楽しんでいるのか,というものです。上の記事では「視覚障害者が遊べるゲームはまだまだ少ない」とありました。SE(効果音)で自分がどの場所にいるのかを把握し,ストーリーを進めているようです。近年流行している「スプラトゥーン」や「APEX」といったFPSゲームはさらに難しいかもしれません。

しかし任天堂は「障害のある方も楽しめるように」という努力や工夫をしている企業だと感じることがあります。映画館で聴覚障害者の方向けにポケモンの映画を字幕付きで上映をしたり,テレビの副音声で視覚障害のある方にも内容がわかるようアニメを放映するなどをしています。

筆者が小学校4年生の担任をしていた時,子ども達と話し合って1年間の総合的な学習の時間のテーマが「バリアフリー」に決まりました。調べ学習をする中で子ども達に「身近なバリアフリーを調べてくること」と宿題を出したことがあります。クラスの子どもの内一人が「先生!ポケモンの新しいゲーム(ソードシールド)がYoutubeで紹介されてたんやけどな、音無しでも内容分かるねん!これってバリアフリーなんかな?」と伝えてくれました。クラスで見て「あ~確かに~」となりましたが,真相はわかりません。しかしインクルーシブ社会に有名な企業が協力しようとしている姿勢が見えることはとても良いことです。さて,今回の紹介映像はどうでしょうか?映像のみ,音声のみでも理解できるでしょうか?

『silent』で話題!音声認識アプリ開発は「難聴の友人に自分の声を文字で伝えるため」

現在、放送中の木曜劇場『silent』(フジテレビ)で使用されている音声認識アプリ「UDトーク」が話題となっています。

若年発症型両側性感音難聴を発症し耳が聞こえなくなった想(目黒蓮)と会話をする際、紬(川口春奈)や湊斗(鈴鹿央士)が使用するアプリで、自分が話したことがスマホの画面に文字となって表示されるというもの。

第2話で、紬と想がカフェで会話をするシーンで初お目見えし、第3話、第4話でも登場。筆談やLINEでやりとりするよりスムーズに意思疎通ができるアプリへの反響は大きく、放送後、すぐさま「UDトーク」の公式Twitterも反応しました。

アプリは、開発者の青木秀仁氏が難聴の友人ができたことがきっかけで、「自分の声を文字で伝えるため」に作ったもので、今でも「本当にあんな(ドラマのような)感じで使っていますよ」とコメントしています。

使用上のポイントは「話し手が使うこと」。第2話で、紬が自分のスマホにダウンロードしたアプリを起動し自ら使う流れが「よかった」とも綴っています。

『silent』で取り上げられたことについて、「ドラマで取り上げられることで耳が聞こえない人に話を伝える手段として『手話』『筆談』に加えて『音声認識』が選択肢として加わった気がします。ベストではなくベター。どれか一つに決めるのではなく、自分が伝えたい相手に伝わる手段をそのつど自分で選んでいきたいですよね」(10月24日投稿Twitterより)と歓迎しました。

その後も第3話、第4話と「UDトーク」が効果的に使われ、さらに反響があったことで、10月30日には、「開発者が解説する!話題のドラマ『silent』UDトークのシーン別使い方解説」という動画を公開。

青木氏が劇中での使用について、シーンごとに丁寧に解説しています。

“話し手が相手に伝えたいことを伝えるため”のアプリ
動画の終盤では、青木氏が「耳が聞こえない人とのコミュニケーション・ツールは手話だけではない」と、その多様さについても解説。

耳が聞こえない人がみな手話ができると思うのは間違いで、手話ができず、(話し手の)口型を読んで理解する人、多少の聴力があり補聴器で音を頼りにしながら、口型を読み、さらに手話も取り入れるといった人もいるように、手段はさまざまなのだといいます。

さらに、障がいには「医学モデル」と「社会モデル」があるとも。

「医学モデル」は、実際に障がいのある目や耳といったところが原因で課題が浮上する、という考え方。一方の「社会モデル」は、「暮らす社会のほうに障がいがある」という考え方だと説明。

特に、聴覚障がいについては、「あらゆる動画に字幕があったり、話し手が伝えるために何か工夫をするとか、そういうことをいろいろやっていけば、聴覚障がいの課題はほとんど解決するんじゃないか、と僕は思っています」と主張。

「UDトーク」に関しても、「障がい者の方の役に立つ」「自立支援のためのアプリ」などと紹介されることには否定的で、「障がい者の人が頑張ることでもないんです」と強調します。

「『UDトーク』は、“話し手が相手に伝えたいことを伝えるため”のアプリ。まず、これを忘れないでいてほしいのと、その立場に立って使うと、めちゃめちゃ使いやすいと思います」と改めて「話し手が使う」ことが前提だと説いています。

今後も劇中での登場が予想される「UDトーク」。どんな会話が展開されるのか楽しみです。

「UDトーク」公式サイト:https://udtalk.jp/

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今期最も注目されているドラマ「silent」です。筆者は川口春奈目当てでドラマを見始めました。

このドラマの主要人物である想(目黒蓮)は後天的に聴覚障害者になり,主に手話を使ってコミュニケーションを取っています。ただ高校時代の友人たちは手話が使えないのでコミュニケーションが取れません。そこで音声認識アプリを使ってコミュニケーションを取ります。

劇中で使用していたアプリは実際にあるもので「UD(ユニバーサルデザイン)トーク」というアプリです。

前回のブログ(T先生とY先生のお茶の間話~国語編~ : 10/31)でも書きましたが筆者とY先生の間で「ユニバーサルデザイン」という単語が研究テーマのようなものになっており,今回これを取り上げました。

こういったアプリが広まり,様々な人がコミュニケーションを取れる時代がになってきていることを実感しています。

筆者が教員時代,難聴の子どもが在籍している学校に勤めていた時,交流学習で私の教室に来て一緒に学習したことを覚えています。その時は「視覚支援!」の意識をして授業を組み立てていました。しかし子ども同士で話し合いをする時などの場面でどうすればよいかを考えていましたが結局何もできなかった苦い記憶があります。「UDトーク」のようなアプリを使えば,もっと子ども同士の学び合いを深められたのでは,と当時の自分に教えたいですね。

eスポーツで障害の固定観念を打ち破れ

eスポーツで障害の固定観念を打ち破れ

【9月11日 AFP】

岩手県に住む畠山駿也(Shunya Hatakeyama)さん(28)は、対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター(Street Fighter)」のプレーヤーだ。キャラクターを自在に操り、複雑なコマンドを打ち込み必殺技を繰り出す。彼のために設計された特別なコントローラーを駆使して。

 体から筋肉が少しずつ奪われていく難病、筋ジストロフィーを患う畠山さんは、両手でコントローラーを握るかわりに顎でアナログスティックを動かす。eスポーツに身体的障害の有無は関係ないことを証明しているプレーヤーの一人だ。

 全盲の北村直也(Naoya Kitamura)さん(28)は、音を頼りに格闘ゲーム「鉄拳7(Tekken 7)」の闘いに挑んでいる。活況なeスポーツ界で才能を発揮することが、障害者に対する社会の偏見をなくす一助になればと願う。

 北村さんはAFPの取材中に「鉄拳7」のキャラクター、ラッキー・クロエ(Lucky Chloe)の目まぐるしい攻撃を実演して見せた。「どういう技が飛んできたかすべて音で聞いて判断して動いています」

 世界中で人気を博すeスポーツ界は年間10億ドル(約1420億円)を超える収益を生み出している。五輪競技の正式種目になる可能性があるとの見方も出ている。

 障害のあるプレーヤーが活躍する場を増やそうと、加藤大貴(Daiki Kato)さん(41)は2016年、eスポーツを通じた障害者支援事業を行う「ePara(イーパラ)」を設立した。

 同社は畠山さんや北村さんらプレーヤーを雇用し、ウェブサイト運営やゲームイベントの企画といった業務を任せる一方、ゲームのためのトレーニング時間を設けている。

 畠山さんは「ストリートファイターV」で、誰もがエントリー可能なオープン形式の大会に参加することが多い。格闘ゲームの魅力は「ハンディキャップやいろいろなハードルを越えて、いろんな相手と対戦できる」ことだと言う。

 大会に出る時に「障害があるかどうか」は関係がないと畠山さんは話す。「自分のプレーで人を感動させられるようにできればいい」

■特別仕様のコントローラー

 進行性筋ジストロフィー患者の畠山さんは、6歳のころから車いすで生活している。

 格闘ゲームはずっと好きだったが年を追うごとに筋力が低下し、ついにはコントローラーを握れなくなってしまった。

 打ちのめされた畠山さんは、一度は格闘ゲームを諦めた。6年がたった頃、顎で操作できる特別仕様のコントローラーを友人とともに設計した。昨年のことだ。動かせる指先でコンピューターのキーボードも使いながらゲームを始めると、すぐに感覚がよみがえったという。

 今では障害のある他のプレーヤーのコーチも務め、複雑なコンボや個々のキャラクター対策を教えている。

「もし格闘ゲームをやっていなかったら、困難にぶつかったときに解決策を探そうとしなかったと思う」と畠山さんは振り返る。

 普段は呼吸補助器を装着し、電動車いすで生活をしている畠山さん。「ゲームの中だけは本当に自由に動くことができて、格闘ゲームでキャラを操作するために不自由さを感じることはほぼない」と話す。

 eParaの加藤さんは、障害のあるゲーマー向け市場の拡大を確信している。「聴覚障害の人でも全盲の人でも遊べるように、プレーヤーが増えれば企業が対応するようになっていく」

■「一緒のルール、一緒の大会」

 加藤さんは、eスポーツを通じて障害のある人たちの才能を知ってもらいたいと思っている。日本では「障害者のことを知る機会が少ない」と感じている。

 小眼球症のために生まれつき目が見えない北村さんは、障害者は「助けなければいけない」存在だという考え方を変えるためにeスポーツが役立つと言う。

「パソコンを使うのはめっちゃ得意ですよ」と北村さん。「目が見える人よりできるところもある」

「支援されるだけじゃなく(中略)場合によっては協力できることもある。お互いに協力し合えるんだよ」

 五輪の正式な種目として導入されることが期待されるeスポーツ。しかし、オリンピックとパラリンピックとを分ける必要性について、加藤さんは首をかしげる。

「車いすであろうとなかろうと、一緒のルール、一緒の大会でプレーできる」

 そこがeスポーツの面白いところだと、力を込めた。

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近年eスポーツへの注目が日に日に増しています。

福祉業界でも「e-Sports」は大変注目されています。年齢性別を問わず参加でき,少しの操作でプレイできること。またリハビリや社会参加への観点からも医療や福祉業界にも浸透し始めているのです。ゲームを通じて社会に参加,コンピュータースキルの取得や向上というメリットも大きいといえます。

筋ジストロフィー患者でもあるパク・スンヒョン選手(韓国)に代表されるように,障害を持ったe-Sportsのプロ選手が、世界各国から続々と誕生しています。eSportsは、医療・福祉業界においても、ますます盛り上がりを見せているのです。 

発達障害の特性とeSportsは相性が良いと言われています。普段チームで物事に取り組んでいる時に周りを気にせず自分のしたいことをしてしまったり,寝てしまったりすることがある方でもゲーム,eSportsの分野になれば自分の得意を活かして大活躍することがあります。

 以下一部ディーキャリアより抜粋

〇「好きなこと」に対する集中力
発達障害の特性のひとつとして、興味を引かれたこと、好きなことへの集中力が
非常に高い傾向があります。集中力を発揮するまでの過程は特性によって
個人差があり異なりますが、ゲームスキルの向上やクリア目標達成に対して、
高い集中力を発揮するのです。

〇他者との難解なコミュニケーションが少ない
e-Sportsの選手は、競技以外の時でも「ゲーム」が仕事。スキルアップなどに多くの

時間を費やします。スポーツのアスリートでいうところの「トレーニング」です。
そのため、オフィスワークで必要な難解で複雑なコミュニケーションを
あまり必要としません。
このことは、発達障害の方にとって弱みが現れる場面が少なく、
とても良い環境といえるでしょう。

 〇勝敗、スコア、など結果や成果がはっきりしている
e-Sportsは、ほとんどのタイトル(種目)は、その場で勝敗やスコアなど
成果が明確になるものばかり。オフィスワークや営業といった業務のように、
自分の仕事に対しての不安感が少なく、また、成果が明確になるため、
すぐに飽きてしまう特性でも続けられるという利点があります。

〇スキルアップへのこだわり / 地道な作業への集中(ASD特性)
ASDの特性のひとつとして挙げられるのが、「特定の事柄に対して非常に強いこだわり」を
持つことです。e-Sportsにおいても、技術向上や戦略・攻略のために、探求力や努力が必要であり、
ASD特性の強みが遺憾なく発揮されます。

また、バトルサバイバルゲームのような、展開によっては我慢強さを
求められる場面の多いタイトルや、パズルゲームのような緻密さを
求められるタイトルに対しても、ASDの特性は非常に高い集中力を発揮するので、
とても相性が良いといえるのです。

〇クエストやバトルを優位に進める独特な発想 (ADHD・SLD特性)
ADHDの特性では、クリエイティブな感性が強く、誰も考えつかない発想を生み出しやすいと言われています。この特性はe-Sportsでも大いに活かすことができ、相手の予測を上回る戦略で相手の隙を突いたり、想像を超えたスキルフルなプレイで戦いを有利に進めたりと、
能力を発揮する可能性が高いのです。

(一部「ディーキャリア」より抜粋、引用)

もちろん中毒性や依存等,注意することも多々あります。しかし障害のある方も他の人と同じステージに立って活躍できる場があることはこれからのインクルーシブ社会で大事なことだと考えています。まだまだ日本は海外に比べるとeSportsは広まっていないですが,良い方向で広がっていくことを期待しています。

障害者ファッションでパリコレへ 福祉業界からのチャレンジ

障害者ファッションでパリコレへ 福祉業界からのチャレンジ

2022年05月30日(月曜日) 18:43 サンテレビNEWS

おしゃれのチカラで障害者と福祉業界のイメージを変えようと奮闘する男性が尼崎市にいます。
アパレル業界からではなく福祉業界から挑む、規格外の挑戦とは?

小浜英博アナウンサー「土曜日です。人手が多い梅田にやってきました。こちらである方が、記者会見を行うそうなんです。ある大きな夢に挑戦するというこちらの方。スカート姿という個性的なファッション。ラメが入ったキラキラの眉。一体何者なのでしょうか?」

平林景さん「これは必ず時代を動かす時代の扉を開くひとつのきっかけになる」

尼崎市の平林景さん。44才。尼崎市内で、発達障害の子などが通う放課後等デイサービスを4つ運営しています。

平林さん「自分の身近な人に発達障害を持った方がいらっしゃったので、そういう方たちが通えるように。長所を強烈に伸ばせるような」

元々美容師で、おしゃれが大好きだった平林さん。

人生をかけて取り組んでいるのが…。

平林さん「福祉におしゃれをかけあわせて世の中の障害や福祉業界に対するイメージを明るく華やかにする」

2019年、同じ志を持つ仲間と日本障がい者ファッション協会を設立。年齢・性別、障害の有無に関係なく、おしゃれを楽しめるブランド「ボトモール」を立ち上げました。

こちらの巻きスカートはマジックテープやゴムを使用。車いすでも脱ぎ着きしやすくなっています。

廃生地を利用したこちらのジャケットは、車いすに座ってもしわにならない、丈が短いものや、袖にチャックがついたもの。

開発した商品は、東京や大阪などの百貨店で期間限定販売を行った他、一部の商品は、障害者が働く施設で縫製を行い、働き甲斐や雇用を生み出しています。

平林さん「車いすユーザーだけではなくて、かなり性別も年齢もだいぶ幅広い形でご購入して頂いた」「(就労施設での取り組みは)1つの地域から日本全国にそういったものが広がってきたら世の中変わっていくと思う」

さらに、障害者などが働くレストランの制服や、兵庫教育大とコラボしたジェンダーレスの制服を制作。

また、SNSでは自らのファッションや思いを発信。では実際はどんな人なのでしょうか?

谷口藍さん「彼自身も公表しているがADHDの診断をうけていまして、衝動性が強い。やると決めたらやる。しかもすぐに。ただ、その分ワーキングメモリーっていって記憶できる容量が少ない。本人も自覚しているが。色々すぐ忘れてしまう。それを周りが色々サポートしたり、本人も努力しながらやっている」

平林さん「あくまで発達障害っていう部分は、その人の凸(長所)凹(短所)の部分が激しいだけの部分なので、得手もあれば不得手もある。得手を強みに変えていけば」

福祉の専門家として、発達障害の当事者として、仲間たちと発表した夢は…。

平林さん「誰もが心躍るファッションをパリから発信する」

その夢とは、車いすファッションでパリコレに出展するというもの。

パリコレには、有名ブランドだけでなく、新人デザイナーなどが行うショーもあり、費用や場所を用意できれば、誰でも出展が可能です。

しかし、見る目が厳しいファッションの本場で、多額の費用をかけてまでショーを行うことは、大きな挑戦となります。

平林さん「ショーのテーマはif(もしも)車いすが当たり前の世の中だったら、どんなファッションが生まれていたのか、流行っていたのか、その世界を表現したいを思っている」

ショーのコンセプトは、「ネクストUD(ユニバーサルデザイン)」「着やすく、おしゃれで、かっこいい」から新たな価値と流行を生み出すとして、9月27日、フランスのパリ日本文化会館で実施。

モデルは、障害の有無を問わず10人ほどになる見込みで、現地と日本で募集。

詳細は、6月1日にHPで発表です。

平林さん「僕はこれをやることによっていまの世の中の当たり前だったり、偏見だったり、この時代を子どもたちに引き継ぎたくない。このタイミングで1回けりをつけないといけない時期」

おしゃれが変える福祉の未来。アパレルではなく福祉の世界からパリコレへと挑みます。

平林さん「楽しさだったりワクワクだったり、明るいものが世の中を変えていく原動力になると思う」

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久しぶりの「みんなちがってみんないい」のコーナーです。こちらも不定期になると思いますが,よろしくお願いします。

さて,今までにも一度「ボトモール」について取り上げたことがありました。(「福祉×オシャレで世の中を変える」 身体障害者の声から生まれたブランド「ボトモール」: 02/03  )

この記事の中では「ネクストUD(ユニバーサルデザイン)」という言葉がありました。「もし車いすが当たり前の世の中だったらどんなファッションだったのか」「着やすく、おしゃれで、かっこいい」と話しています。

近年では男性がウィメンズのアイテムを着用する,女性がメンズのアイテムを着用する,ということが当たり前になってきました。ユニクロ,GU,無印良品等ではそのために女性用のボトムスもある程度男性が着用できる,またはその逆の想定で商品を作っていることもあります。初めから「男女兼用」といった商品もあります。筆者が服を調べていて「おっ、これいいな」と思ったものが男女兼用の商品,ということも少なくありません。このようにファッション業界では「ジェンダーレス」がどんどん広まっています。

 それの次に「様々な人が着れる服」という「ネクストユニバーサルデザイン」の服がファストファッションの店頭に並ぶ時代が来ればな,と思います。身体障害者の方以外にも触覚過敏の人でも着れるような素材で出来た服なども出てくるかもしれません。

発達障害・不登校… 中高生支える放課後デイ 佐賀市内に4月

発達障害・不登校... 中高生支える放課後デイ 佐賀市内に4月

2022年3月30日 【朝日新聞】

発達障害やメンタル不調がある中高生を支援する放課後等デイサービス「ユニスクさが」が4月1日、佐賀市栄町に開所する。学校に行きづらかったり、進学や就職に不安を持ったりする生徒が、コミュニケーション力を高める訓練などを通じて復学や進学、将来的には就職を目指す。

運営するのは一般社団法人ユニバーサル人材開発研究所。研究所代表理事で公認心理師、大野博之さん(58)によると、月~金曜日の原則午後3時半~同7時と土曜日の午後1時半~同3時に実施する。

利用するのは発達障害や適応障害などの診断を受けた中高生が対象で、定員は10人。大野さんらスタッフ計5人が子どもたちを支援する。

子どもたちは、学校などでの人間関係を円滑に進めるための「コミュニケーション訓練」や、調理や清掃、洗濯などを体験学習する「ライフスキルトレーニング」などを受講する。

放課後等デイサービス事業は、児童福祉法に基づく福祉サービスで6~18歳が対象となる。県障害福祉課によると、県内には約170カ所の施設がある。

大野さんによると、利用者を中高生に絞って、復学や進学、就職のいずれかを明確に目指すケースは珍しいという。

利用料は、居住する自治体に受給者証を発行してもらえば、原則自己負担は1割ですむ。大半が月額4600円になるという。

大野さんは「学校に行きづらさを感じる子に対し、社会で生き抜く力を身につけさせたい」と話している。問い合わせは、ユニスクさが(0952・37・7744)へ。(林国広)

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乙訓地域の小学校に通う子どもで社会性支援のニーズに応える放デイは収容数の上では足りてきたと感じます。これもカウントの仕方によるのですが、週2~3回程度の利用ニーズの子どもは受入れる放デイがあるようです。ただ、これも子どもによっては、学童保育などで適応できず毎日必要な子どもから、学童保育に徐々に移行するレベルの利用量や、スキルチェックで週1回程度の利用まで色々あります。

しかし、読み書き障害を含む学習障害がありそれが原因で学校に行きづらくなっている子どもへの認知特性に合わせた読み書きの支援を行うところは地域にはほとんどありません。読み書き障害だけの子どもの場合聡明な子どもも少なくないので、中学年くらいまでは丸暗記して理解しているとか、自分で書きの方略を編み出して満点は取れなくてもそこそこの点数をとっている子がいます。しかし、高学年になると自分で読まない事には理解ができない学習レベルになってきますし、新出漢字も大量に出てくるので授業で丁寧に教えることはなくなり、この子たちは足がかかりをなくして落ちていきます。

なんとか低空飛行でも中学レベルにたどり着いた子どもでも、中学の勉強は基本が「自学自習」です。授業だけで理解できると教師も思っていませんから、読み書きに問題を持つ子どもはどんどんドロップアウトします。残っているのは大容量の記憶だけで乗り越えてきた子です。そんな子でも高校レベルの英語になると流石に記憶容量がパンクします。そして、小さいころから告知もされず頑張ってきた彼らは思うのです。他の人はもっと頑張っているから自分より成績が良いのだと思っています。努力しても努力しても報われない中で彼らが学ぶものは「頑張っても無駄」という人生訓です。

読み書き障害も、早期発見が基本ですが、現状では「学びの遅い子」や「低学力児」としてしか見られておらずその原因まで遡及して障害を見つけられる子どもは多くはありません。学力が低くい理由を怠学のせいや家庭の事情として片づけられ、授業態度が悪いなど素行が不適切なら特支級へと勧められる場合が少なくありません。そして、いつの間にか特支級の子だから学力が低いのは当たり前と本末転倒の理由付けがなされます。その陰に潜んでいる学習障害をなかなか見つけてもらえないのです。

このようにして、中学まで頑張ってきた子も、特支級だから読み書きが遅いのは当たり前と思われてきた子も、通常の学習方法では不向きな認知特性を学校で見つけてもらえないのです。仮に見つけてもらっても、通級指導教室には知的遅れのない読み書き障害のリスク児は児童全体の1割以上もいるし、ASD等他の課題を持つ子の支援もあるので、発見しても毎日のフォローはできません。また、通級にたどり着くまでには「ゆっくりなら読み書きできるから問題ない」という担任や家族の誤解が障壁となることもあります。

地域で学習障害に対して中学高校も支援してくれるシステムも必要ですが、学習障害支援を正面から掲げているのは、当法人の「学びの広場じゃんぷ」くらいしか見当たりません。それも新年度を迎えるというのにほぼ満員の利用状況ですし、じゃんぷでも高校生までは手が伸ばせていません。本当は週2回程度の支援が必要でも出来ない状態の子どももたくさんいます。記事の放デイは、どちらか言うと生活型の支援です。しかし、今必要なのは、痒いところに手が届く認知特性にフィットした学習支援です。学校生活の7割以上の時間を占める学習に工夫して取組み、失敗しても諦めずにまた支援を得て工夫して前進して行くことは、成長の上で大きな意味があると思うからです。

療育型放デイは個別支援が多いので人手や手間がかかる割には収益が低く、確かな支援ができるという知名度が上がるまでは経営が難しいのでなかなか増えません。しかし、子どもたちのニーズに応える地域での療育を、学校・家庭と連携して実現しなければ「頑張っても無駄」と思う子どもたちを減らすことはできません。知能検査や読み書き検査ができ、読み書き障害にASDやADHDが合併している場合の対応もわかっている「じゃんぷ」タイプの療育型放デイが、地域にもっともっと欲しいです。じゃんぷが地域に切り拓いた細い道を、今度は太く広げる事業が必要だと感じています。

愛知県で初めて開校へ 知的障害と肢体不自由どちらも受け入れる特別支援学校 西尾市

愛知県で初めて開校へ 知的障害と肢体不自由どちらも受け入れる特別支援学校 西尾市

3/29(火) 【CBCテレビ】

知的障害者と体の不自由な子ども、どちらも受け入れる特別支援学校が、愛知県で初めて開校します。

愛知県西尾市の「愛知県立にしお特別支援学校」は、県内初となる、知的障害と肢体不自由、どちらの児童・生徒にも対応する特別支援学校です。

4月1日の開校を前に29日、内覧会が開かれ、愛知県の大村知事や関係者ら約30人が真新しい施設を見学しました。

校舎には愛知県産のヒノキやスギが使われ、壁には西尾市の名産品などの楽しいイラストも描かれています。

また、全ての児童・生徒が交流するための施設「ふれあいホール」も備えています。

(にしお特別支援学校 神本聡・校長)
「(障害の異なる児童・生徒が)授業や行事の交流を通して、お互いを理解しあうこと。すべての教職員がどの子に対しても、適切な指導を行えること(が“この学校”の意義)」

これまで安城市の特別支援学校は教室不足が、岡崎市の学校は長距離通学者が多いことが課題でしたが、今回の開校で、これらの解消にもつながると期待されています。

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京都の人たちにしてみれば、知・肢の総合は当たり前のことです。京都府は縦長に広く、肢体不自由校と知的障害校を分けるとそれぞれの校区が広すぎて通学に支障が大きいので、1979年の養護学校義務制頃から事実上総合化していました(正確には知的障害だけの桃山養護学校を閉じた2011年から)。京都市は総合養護学校と名称変更した2004年から知・肢総合となっています。

今頃、愛知で珍しそうに報道されてもなんだかなぁとも思います。愛知でも決して地の利の良い支援学校ばかりではないはずなのに、新設学校を作るまで事実上放置されていたという事です。今後既存の支援学校が総合化される可能性は報道されてないのでそのままだということです。ただ、知的障害と肢体障害の学校を分けるのが全国的には標準です。お隣の大阪府も兵庫県も滋賀県も別々です。その結果、長時間通学の問題や医療的ケアを必要とする子どもの課題が肢体不自由学校に集中します。

障害種で学校を分けるメリットは、身体の障害の重い子がゆったり過ごせたり、職員が専門的知識を獲得しやすいという面があります。ただ、知的障害学校のASD児対応などを見ていると専門的支援を御存知ないように見える教員もいて、学校を分けたことが専門性の担保にはならない気もします。

さらに通学時間は身体に障害のある人が不公平と言えるほどの通学時間をかけて登校しています。このことについて自治体はもっと考えるべきです。できれば、通常学校に専門性の高い教員が来て特別支援教育を実現し、皆が同じ学校で学ぶのが理想なのです。ですから、通学時間は長いし専門性も人それぞれでは困るのです。テレビ局は官制発表を右から左に流すような報道ではなく、こういう課題にも焦点を当てて取材し放送してほしいと思います。

 

【第94回アカデミー賞】作品賞は「コーダ あいのうた」 聴覚障害を抱える家族を支える少女を力強く描く

【第94回アカデミー賞】作品賞は「コーダ あいのうた」 聴覚障害を抱える家族を支える少女を力強く描く

3/28(月) 【映画.com】

第94回アカデミー賞授賞式が3月27日(現地時間)、米ロサンゼルスで開催され、シアン・ヘダー監督作「コーダ あいのうた」が作品賞に輝いた。Apple TV+によるオリジナル作品で、動画配信系の作品初の受賞作。男性のろう者の俳優でトロイ・コッツァーが初めて助演男優賞を受賞した。

【感動の瞬間】男性のろう者の俳優で初 助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァー

2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク作で、家族の中でただ1人の健聴者である少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。テレビシリーズ「ロック&キー」などで注目の集まるエミリア・ジョーンズが主人公ルビー役を演じ、「愛は静けさの中に」のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害を持つ俳優たちがルビーの家族を演じた。

かつて「キャバレー」(73)で主演女優賞を獲得している大女優ライザ・ミネリから作品賞タイトルが読み上げられると、キャストと製作陣は会場の観客から拍手を表現する手話で祝福された。

助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーらキャスト陣、手話通訳者とともに壇上に上がったプロデューサーのフィリップ・ルスレは「歴史を刻むことができました。候補となった他の作品も素晴らしいものでした。初日からキャストとクルーは大変でした。大きな問題が山積みでしたが、船は浮かび続けました。素晴らしい船長、素晴らしいプロデューサー、そしてキャスト。皆が愛する家族をスクリーンに作り上げてくれました」と、各方面への感謝の言葉と共に、数々の困難を乗り越え手にした栄冠に万感の思いを述べた。

海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえることから、家族の耳となり、家業も手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対する……。今回、第94回米アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門にノミネート。ルビーの父親フランク役を務めたトロイ・コッツァーは、男性のろう者の俳優で初めてオスカー候補になった。

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やっぱりアメリカ映画は直球勝負が最高です。前回、ドライブ・マイ・カー アカデミー賞4部門ノミネート: 03/08を掲載した後、最有力候補の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」と「ベルファスト」を観ましたが、今一つしっくりこない感があって、アカデミー賞発表の直前に第3候補の「コーダ あいのうた」を観に行きました。前回、「ドライブ・マイ・カー」のパク・ユリムの手話の語りが美しく温かいと書きましたが、今回の「コーダ あいのうた」の手話は力強く情熱的で、何よりカッコいいのです。アカデミー作品賞の受賞はとても納得のいくものでした。

役者本人も聴覚障害者である父役トロイ・コッツァーと家族で唯一の聴者である娘役エミリア・ジョーンズのハイライトシーンは障害を超越した親子愛を深く深く映し出します。いわゆるヤングケアラーの彼女は、ろう者漁師の漁業無線通訳者として家族のために午前3時から働いています。この家族から離れることはできないと、バークリー音楽大学への進路を諦めかけます。が、星空の下でのハイライトシーンで、父の思いの全てを受けとめた彼女は巣立ちを決意します。クライマックスは、試験会場に忍び込んできた家族に彼女は手話をつけて歌い出します。曲は「青春の光と影」(原題: Both Sides, Now)。ジョニ・ミッチェルが作詞作曲した大ヒット曲です。

この力強く情熱的な手話と歌がスクリーンから観客に直球で届く感覚は映画を観た人しかわからないものだと思います。「ドライブ・マイ・カー」の国際長編映画賞は嬉しいものでしたが、その感動をはるかに凌いだのが「コーダ あいのうた」の鑑賞後の気持ちでした。アメリカ映画は真っ直ぐなのがいいと久々に感じた映画でした。メディアは聴覚障害者の俳優を交えたダイバーシティな撮影経緯の素晴らしさを報じていますが、何よりも娘役エミリア・ジョーンズの歌声を聴いてほしいと思います。ちょっと日本映画では太刀打ちできないなぁと、ハリウッドの底力を見せつけられました。

 

NIPT 新出生前診断を全ての妊婦に知らせる新指針への不安 差別や排除が助長されないか

NIPT 新出生前診断を全ての妊婦に知らせる新指針への不安 差別や排除が助長されないか 細川暁子

2022年3月24日 【東京新聞】

NIPTは今 新出生前診断を考える(3)

陽性確定の9割が中絶を選んでいた
新出生前診断(NIPT=Noninvasive prenatal genetic testing)を受けた妊婦のうち、陽性が確定した人の9割が中絶―。日本医学会が認定した、検査の実施施設でつくるNIPTコンソーシアムが行った調査は、厳しい現実を浮き彫りにした。

NIPTは、妊婦の血液から、ダウン症など胎児の疾患の可能性を推定する検査だ。調査によると、2013年4月~2021年3月に検査を受けた10万1218人のうち、陽性だったのは1827人。羊水検査などで陽性が確定したのは1397人で、そのうち1261人が中絶を選んでいた。

「安易に受けていい検査ではない」
障害がある子どもを育てる親たちの思いは複雑だ。

ダウン症の息子(5つ)がいる名古屋市内の女性(35)は「検査を受ける人の気持ちは理解できる」と言う。生まれてすぐにダウン症と分かった息子には心臓の疾患があり、生後3カ月で手術をした。

「もし2人目も障害があったら、上の子の世話ができない」。現在、生後11カ月の次男の妊娠が分かった際、女性はうれしさとともに、大きな不安に襲われた。そこで、認定施設でNIPTを受けた。

結果が出るまでには約2週間かかる。その間も、おなかに宿った命は育っていく。陽性ならどうするか。胸がつぶれそうだった。わずか10ミリリットルの血液を腕から採取すれば終わるNIPT。認定施設だけでも年間約1万5000人に実施されているが「私と家族の心の負担は重かった。安易に受けていい検査ではない」と声を絞りだした。

「検査しなかったの?」に傷ついて
「娘さん、妊娠中に検査しなかったの?」。あるとき、名古屋市内の女性(44)の母親に、知人が問いかけたという。小学3年になる女性の長男(9つ)はダウン症だ。そのやりとりを母親から聞いた際は傷ついた。まるで長男の存在を否定されたように思えた。

これまでNIPTの経験はない。第2子となる長女(4つ)を妊娠したときも受けなかった。「もうダウン症の子がいるんだから、育て方は分かっている」と夫は言った。「どんな子でも育てよう」と二人で決めた。

「事情は一人一人違うし、NIPTを受ける、受けないに正解はない」。ただ、これだけは思う。「障害がある本人や家族が『肩身が狭い』と感じる世の中にしてはいけない」

障害児への支援とセットでなければ
NIPTについて、国や日本産科婦人科学会(日産婦)はこれまで、妊婦には積極的に知らせない姿勢を取ってきた。しかし、国も関わった日本医学会の運営委員会が2月に示した新指針では、母子手帳を配布する際、チラシで全ての妊婦に知らせる方針が示された。正確な情報を提供し、日産婦の指針を守らない無認定施設に妊婦が流れないようにするのが目的という。

一方で無認定施設への罰則はなく、新指針はむしろ検査を促進するとの見方も強い。「全妊婦に知らせる方向にかじを切ったことで、命の選別にもつながる検査に強い『お墨付き』が与えられた印象がある」。そう話すのは生命倫理を専門とする北里大の斎藤有紀子准教授(59)だ。その上で「障害や病気がある人への差別や排除が助長されるのではないか」と危惧する。

「NIPTの広がりと、障害がある子どもを支える制度や情報提供の充実はセットでないといけない」と強調。「具体的にNIPTの何を妊婦に伝えるのか。国と医学会には開かれた議論が求められる」
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がん予防のために、ガンマーカーで血液検査をし、がんの種類を見つけ画像診断で場所を特定しごく小さながん細胞のうちに取り除くがん治療と、出生前検診を同じようには比較できないですが、命を守るか命を間引くかに決定的な違いがあります。もちろん、一昔前は弱い胎児は流産して自然淘汰されていました。それを人類の英知で弱い胎児の命でも守ることができるようになりました。しかし、その子が健康に育つかどうかは医療が進歩すればするほど高いリスクがあります。

この記事ではダウン症など遺伝疾患の胎児の早期発見についての考え方を取り上げています。確かにダウン症や一部の染色体異常にも知的障害が生じたり、寿命が短かったりすることがあります。しかし、知的に遅れているから、命が短いから不幸だと言うのは当事者の意見ではありません。大昔、貧しい家族の食い扶持を減らすとして、子捨てや子殺し、姥捨て山で老人を捨てるのと大して変わらない話だと思えてなりません。NIPTの結果が陽性で子どもが可愛そうだから堕胎するという最も大きな背景には、家族が今の時代を暮らすうえで子育ては負担が大きいと感じているからだと思います。

障害のある子がいても、経済的余裕と豊かな社会的支援があれば堕胎を選択する人たちは減ると思います。もちろん母体が危険にさらされるような事態が予め分かっているなら出産は避けるべきですが、染色体異常の陽性反応だけで堕胎を選ぶような行為は個人の問題ではなく、社会体制全体の問題として議論すべきです。将来は、DNA検査によってIQや生存年齢、がんの罹患率や痴ほう率まで分かるようになると言います。ならば、数値的に思わしくない人は子どもを持たない方がよいというところまで行きつくかも知れません。どこかで歯止めになる大きな議論が必要だと思います。

校庭に住民も出入り自由 神戸唯一「学校公園」変わる姿 子どもの安全考慮、境界にフェンス設置

校庭に住民も出入り自由 神戸唯一「学校公園」変わる姿 子どもの安全考慮、境界にフェンス設置

2022/3/24 【神戸新聞NEXT】

神戸市内で唯一、校内グラウンドと校外の公園との境に仕切りがなく、保護者や住民が自由に校内に立ち入ることができた成徳小学校(神戸市灘区備後町1)で、敷地の境にフェンスが設置され、学校の内外が区切られた。これまでグラウンドは「学校公園」の愛称で住民に開放され、早朝や放課後は近隣住民が自由に出入りしていた。文字通り、地域に開かれた学校を象徴した光景が姿を消した。

■走り回る児童の横で…

平日の昼休み、グラウンドを走り回る児童のすぐ横で、住民が成徳公園の清掃や花壇の水やりを行う。本来はグラウンドも住民がジョギングなどで自由に利用できるが、登校から下校までは立ち入らないというマナーが地域で浸透した。

しかし、校内にいる児童の安全を守るため、校内外の敷地を区切るフェンスが設けられた。今後は3カ所の扉を教職員が開閉し、授業時間中は閉めるが、放課後や休日は開け放ち、これまでと同様に地域に開放する。

■「人の輪がフェンスの代わり」     

成徳小は1995年8月に新校舎が完成した。教員らから「フェンスがなければ公園も含めてグラウンドが広くなり、子どもがたくさん遊べる」と意見があり、当初は予定されたフェンスを設置しなかった。

同校によると、阪神・淡路大震災直後は、市内で高倉台小(同市須磨区)、若宮小(同)も敷地を区切るフェンスがない小学校だったが、現在は成徳小だけが残っていたという。

これまでも、2001年に大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件が起きた際などに防犯上の心配があったが、「人の輪がフェンスの代わりになる」として、住民の見守りで安全を支えてきた。しかし、衝動的に校外に飛び出してしまう児童などもいて、保護者と教職員の不安はぬぐえなかった。

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公園をめぐる問題はこれだけではないです。2019年、神戸祇園小学校の校庭の広さが児童数に見合っていなかったとして、市が近隣の公園を校庭として拡幅する工事を進めていたところ、公園を利用していた住民からの反発が記事になっていました。つまり統廃合で子どもが増えたからと公園を校庭にするのはけしからんという話です。開放は危険だと言ってはフェンスで仕切り、校庭が狭いからと言っては公園を潰しと、神戸だけではなく土地のない自治体は皆公営の空間問題で頭を悩ませています。

どこの自治体でも同じですが、高度経済成長期に住民が都市部やその周辺に移り住み、家屋を驚くべき速度で建てまくった結果、都市の区画整備などとても追いつかず、とにかくどんどん増える人口に対応して学校建設やごみ処理、上下水道の敷設で精いっぱいだったのが都市や衛星都市の実情です。ようやく都市の人口増加も一息つくと、今度は子どもの減少で学校の空き教室が目立ち始めて、統廃合して空いた学校跡地に文化施設や公園を作るフェイズに入ってきています。

そうなると、共有していた公園と校庭も少し余裕が出てくる中で、「何かあったらどうする」という「脅しと怯え」の中で、子どものいる空間はできるだけ区切るのが当たり前になってきます。近所のおばちやんおっちゃんと自然に交流する中で住民と子どもの双方が獲得する社会性より、何万分の1の学校襲撃の可能性の防御をフェンスに託します。

なんだかなぁと思いますが、校庭に花を植えに来た人たちも「何かあっても私たちでは何もできない」とフェンス仕切りを認めざるを得ません。襲撃の抑止には、個別の防備と集団的自衛の両方が効果的に働く時に抑止効果は高まるのですが、「何かあったら」の殺し文句には勝てません。

 

ロシア ウクライナ侵攻 子どもたちにどう教えるか 学校で模索

ロシア ウクライナ侵攻 子どもたちにどう教えるか 学校で模索

2022年3月22日 【NHK】

ロシアによるウクライナ侵攻が続く現状に、不安や疑問を抱く子どももいることから、学校現場でどう教えていくべきか、各地で模索が始まっています。

“意見を出し合う授業” 東京の小学校 
このうち、東京 日野市の日野第四小学校では、ウクライナ情勢に関する不安を抱え込まないよう、高学年を対象に意見を出し合う授業に取り組んでいます。

5年生の道徳の授業では、まず教員が、東京オリンピックで日野市はウクライナのホストタウンだったことや、地元企業の工場がロシアにあること、東日本大震災では両国から日本に支援があったことを紹介しました。

そのうえで、現状への思いや平和な社会に必要なことを話し合う時間が持たれ、児童からは「意見がぶつかっても戦争や暴力以外の方法がある」といった意見が出されていました。

男子児童は「子どもで力がないから助けられない。話し合いで解決すべきなのに戦争が起きてしまい悲しい」と話していたほか、別の男子児童は「交流のあるウクライナで多くの人が命を失っていて、自分のことのように思いました」と話していました。

閏井研司教諭は「認め合う大切さなど、日頃学んできたこととは逆の『戦争』が起きてしまい、子どもたちは漠然とした不安を感じているように思います。『戦争』について話してはいけないと思っている雰囲気も感じたので、まずは考えを出し合うことが大切だと思っています」と話していました。
“遠い国の遠いできごとでなく 私たちの問題として” 横浜の高校 
一方、さまざまな国にルーツがある生徒も学ぶ、横浜市の県立横浜国際高校では、生徒から「ウクライナのことを学びたい」という声が寄せられたことから、歴史の教員が授業を行いました。

この中では、両国の歴史を踏まえたうえで、日本にいるウクライナ人とロシア人の思いを伝える記事やウクライナ情勢に関する歴史の専門家の考察、情報の捉え方を考える資料を読み込み、議論しました。

各班では「いま苦しんでる人がいるのに、それを放置して無知のままでいるのがいちばん怖い」とか、「『国』と『個人』を同じように扱い誹謗中傷が起きているが、情報をうのみにせず自分で考えることが大事だ」といった意見が出ていました。

また、「国の指導者や歴史学者の意見も大事だが、SNSが普及したいまだからこそ、個人個人の声から考えることも大事」などと議論を深めていました。

女子生徒は「ウクライナの状況に無力感を持っていましたが、結論に至らなかったとしても自分の中で考えを持ち、情報を得て知識を深めて、友達と意見を共有することが私にできることだと思えました」と話していました。

徳原拓哉教諭は「ウクライナやロシアと大きな主語で語られますが、学校の友達にも関わることなので、遠い国の遠いできごとではなく、いま目の前で起きている私たちの問題として、迷いも含めて共有して一緒に考えていけたらと思っています」と話しています。

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今起こっていることを、子どもたちに理解できる程度に情報提供することは大事なことです。ただ、戦争はいけないことだという道徳的な話に終始すると、それが分からない人たちにはどう対応するのかという袋小路に陥ってしまいます。戦争の悲惨な事実を伝えるとともに、戦争は安全保障の同盟関係がないところで生じやすく、均衡した戦力や双方が同盟関係で守られている国同士は例え紛争が生じても戦争に拡大しにくいという事実を歴史教育や世界史教育の中で教える必要があります。

そして、残念ながら、世界には理性の通じない国もあり、国連の常任理事国なのに国際ルールも無視してしまう国が存在することを伝えなければなりません。そんな無法者が暴れ出すのを抑止するのはどいう方法があるのか、リアリティーのある柔軟な討議をすることで子どもたちの不戦の知恵は育てられていくのだと思います。そのことは、必ず自分たちの暮らしを守る政治への関心に繋がり、若者の選挙行動にも成果は表れてくるはずです。

戦火の下、自分と同じ世代の生身の子どもたちがミサイル攻撃に傷ついていることについての悲しさを交流することも重要ですが、どうすれば無法者を抑止できるのかというところに関心が向くようにしてこそ平和教育と言えます。武力も含む抑止力について子どもにも考えさせてみる事が未来の安全保障の一歩につながります。現実に生じている事なのに特定の内容については議論しないというタブーを作ると袋小路にはまって無力感や無関心を生み出だしてしまいます。世界は良き方向に変える事ができると子どもたちが信じられるようにするためには、まずは大人たちがタブーなしの議論を行う事が必要です。

京都駅に響いたウクライナ国歌 駅ピアノで「自由に魂ささげ」

京都駅に響いたウクライナ国歌 駅ピアノで「自由に魂ささげ」

2022/3/21【毎日新聞】

ロシア軍の侵攻が続くウクライナを応援しようと、プロやアマチュアの音楽家らが20日、京都駅ビル(京都市下京区)7階の東広場にあるグランドピアノの伴奏で、ウクライナ国歌とベートーベンの「交響曲第9番(第九)」の一部を合唱した。参加した約40人は、ウクライナへの一日も早い平和の訪れを願った。【福富智】

声楽家の山本昌代さん=奈良県平群町=らが呼び掛けた。山本さんは「音楽は人を励ますことができる。ウクライナの首都キエフと姉妹都市である京都市からの応援が伝わればうれしい」と話した。呼び掛けに対し大勢の人が参加を希望したが、新型コロナウイルス対策で多くを断わらざるを得なかったという。演奏は動画でも配信した。

ウクライナ国歌の「自由のために魂と身体をささげる」「私たちは私たちの土地を治めよう」との歌詞の内容を紹介した後、合唱が始まった。合唱にはウクライナ出身者も参加。京都市国際交流協会職員のオレーナ・シガルさんは「国歌を一緒に歌うことは励ましになる。戦争が始まりショックだ。一日も早く戦争が終わってほしい」と述べた。大阪市の会社員、マリヤ・ボドナルさんは「ウクライナは今、非常にひどい状況だ。みんなと一緒に歌えて感動した」と話した。

ピアノは2019年10月、山本さんが理事長を務める一般社団法人「まほろば芸術ラボ」(奈良県桜井市)が寄贈。ピアノ教室で多くの子どもたちが奏でたピアノで、駅ビルではコンサートやイベントなどで使われている。

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国歌を歌うことを、侵略戦争時の歌、天皇賛美の歌だと嫌う人がいます。中には、式場で自らの国歌ヘイトの表現として着席して歌わない教員もいます。教え子に、表現の自由こそ民主主義だと教えたいのだと思います。国旗や国歌をヘイト表現する人たちが参加する卒業式や入学式は、君が代を国歌と認めている人は、国が分断されているようで嫌な気分にさせられます。帝国主義者の歌と日本国歌をヘイトする人たちは、ウクライナ国家なら反戦の歌として侵略反対の歌として歌うのかもしれません。

ウクライナの人たちは祖国や故郷を破壊しないでほしいと国歌を歌います。同胞を殺さないでほしいと歌います。それに憤り立ち向かう人々や兵士を応援して歌います。国歌や国旗は祖国の象徴です。それを歌うだけで国民が一つになる記号です。その記号にあれこれの意味づけを始めれば国民は一つにはまとまれません。国旗や国歌に様々な理由をつけてヘイトする人たちはそれを目指しているのかもしれません。国が一つにまとまらず祖国の自衛すらできないようにしたいのかもしれません。

みんなでウクライナ国歌を一緒に歌ったマリヤさんの感動は、自国の国歌すら認めない人たちは得ることはできないと思います。BS・NHKで放送される「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」は静かな人気番組です。今回のウクライナ国歌が演奏された場所は、「京都駅ピアノ」としても放送がされた場所です。悲しい時、嬉しい時、ピアノが弾ける人は自分の好きな曲を弾いて表現できていいなと、ピアノが弾けない人も魅了する番組です。人は人の思いを音楽で共感することができる生き物です。

ウクライナの障害者へ「とにかく生き延びて」祈りの詩…日本の協議会代表がつむぐ

ウクライナの障害者へ「とにかく生き延びて」祈りの詩...日本の協議会代表がつむぐ

2022/03/18 【読売新聞】

ロシアの侵攻でウクライナにいる障害者の身を案じた日本障害者協議会代表で、視覚障害のある藤井克徳さん(72)=写真=が1編の詩を作った。「とにかく生き延びてほしい」との祈りを込めた詩は、ウクライナ語やロシア語にも翻訳され、知人らを通じて拡散。ウクライナの障害者団体から、藤井さんに感謝の言葉が届いたという。

詩のタイトルは「連帯と祈り ウクライナの障害のある 同胞はらから へ」。「戦争は、障害者を邪魔ものにする」で始まり、「戦争は、障害者の明日を真っ黒に塗りたくる」と言葉を紡いでいる。

藤井さんは、戦争下では障害者の存在が軽視されやすいと考え、ウクライナの障害者の状況を憂慮していた。同協議会のホームページに掲載したほか、多くの当事者に届けたいと、知人に拡散を依頼したところ、14日にウクライナの障害者団体でつくる「ウクライナ障害者国民会議」の関係者から、受け取ったことを伝える感謝のメールがあった。「日本の障害者団体が私たちとともにいることは、とても重要なこと」と書かれており、自分たちのホームページに詩を掲載するという。

藤井さんは「障害者は平和でないと生きづらい。侵攻がすぐにでも終わってほしい」と話している。

(以下、詩の全文)

連帯と祈り

ウクライナの障害のあるはらから へ
戦争は、障害者を邪魔ものにする
戦争は、障害者を置き去りにする
戦争は、優生思想をかきたてる
大量の障害者をつくり出す最大の悪、それが戦争
朝一番のニュースを恐る恐る
キエフの包囲網がまた狭まった
教会も文化財も悲鳴を上げて崩れ落ちる
禁じ手が ほご にされ原子力発電所から火の手
殺し合いでなく話し合いを
侵攻でなく停戦を
停戦でなく平和を
青い空と黄色の豊作に似合うのは平和
私たちは祈ります
西北西の方角をじっとみつめながら
心の中から希望が切り離されないように
とにかく生き延びてほしい
戦争は、障害をたちどころに重くする
戦争は、障害者の尊厳を軽々と奪い去る
戦争は、障害者の明日を真っ黒に塗りたくる
早いうちに、否、この瞬間に終わらせなければ
もう一度くり返す
とにかく生き延びてほしい
たとえ、食べ物を盗んでも
たとえ、敵兵に救いを乞うてでも
遠い遠い、でも魂はすぐ そば の日本より

 ふじいかつのり(NPO法人日本障害者協議会)

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ウクライナのマリウポリ市は「一日平均50~100個の爆弾が落ちている」として「約35万人が防空壕や地下室に避難している」と伝えています。ロシア軍は子どもを含む数百人の民間人が避難したマリウポリのある劇場を爆撃して国際的な非難を浴びました。特に、劇場の前と後ろにロシア語で「子どもたち(дети)」を意味する言葉が白色で大きく書かれてあったにもかかわらず、ロシア軍がこの建物を爆撃したことが明らかになっています。

殺人鬼プーチンに藤井さんの声は届くのかと言われれば大変困難だと言わざるを得ません。命を守るためには降参すればいい白旗を上げればいいという人もいます。特に日本人に降伏論が多いのは、日本が米軍に占領され悲惨な目にはあっていないからかもしれません。それも、北方領土を除く全土に米軍だけが進駐したからです。ドイツのように北海道と東日本がソ連軍に進駐されていれば、降伏論を言い出す人は少なかったのかも知れません。

旧東ドイツは言論の自由を奪われ、自由を唱える者はプーチンをはじめとするKGB秘密警察に暗殺されてきました。日本に進駐したGHQも言論の自由は奪いましたがそれは僅かな間だけでした。社会主義の看板を下ろしたはずのロシアやベラルーシは今も人権を抑圧しています。東欧の社会主義を経験した人たちは自由を奪われることがいかに恐ろしいか良く知っているのです。子どもの命すら何とも思わずに爆撃する殺人者プーチンに降伏すれば何が起こるのかウクライナ人は良く知っているのだと思います。

教員の腕次第、まるで「学校ガチャ」 オンライン活用、広がる学校格差 教育現場の課題は…

教員の腕次第、まるで「学校ガチャ」 オンライン活用、広がる学校格差 教育現場の課題は...

2022/3/18【神戸新聞NEX】

教育のオンライン化が急速に進む中、学校間で活用度合いが異なるという格差が行政課題として浮上している。兵庫県西宮市では全国に先駆けて教員へのパソコン配備や教室への大型テレビ設置などを進めてきたが、授業で使いこなせる教員はまだ少なく、市教育委員会は習熟度アップに向けた研修に苦慮。教員の腕次第で子どもの学びが変わるという意味で「学校ガチャ」との言葉も聞かれる。(村上貴浩)

「○○という文章があります。何を意味しているのでしょう」

西宮市内の市立小学校。黒板ではなく大型テレビ画面に国語の読解問題が示され、児童たちがタブレット端末に答えを書き込んでいく。クイズ番組さながらに全員の解答が画面上に映しだされると、担任の男性教員(50)が続けた。

「では、みんなの答えをもとに考えてみましょう」

新型コロナの感染拡大で2年前から学校の臨時休校が相次いだことを受け、文部科学省はICT(情報通信技術)を活用した家庭学習も視野に入れ、2025年度末を予定していたタブレット端末の配備を前倒しした。そんな中、西宮市教委は20年夏から準備を始め、21年3月までに配備を終えた。

「端末を使えば思考や答えを瞬時に共有することができる。算数や理科の授業でも計算の見直しがすぐにできるため深い学びにつながる」と男性教員は手応えを語る。

男性は2004年ごろから独自にパソコンでアニメーションを授業に取り入れるなど積極的にICTを活用。しかし、ここまで使いこなせる教員はまれだ。

市教委は、端末の活用法などについてまとめた「GIGAスクール・スタートパッケージ」を策定し、オンラインの指導例を示しているが、授業のやり方は学校に任せている。

男性は「実態は、どこも手探り状態。『他の学校ではタブレットを活用して授業をやっているのに、うちの学校ではしていない』という保護者の声も聞く」と話した。
     ◆   ◆
そんな状況を、子どもがどんな親の下に生まれるかは運次第で、その家庭環境に人生が左右されるといった新語「親ガチャ」に掛けて「学校ガチャ」と呼ぶ保護者もいる。

パソコン作業が苦手な教員にとっては、端末用の資料を作るだけで大きな負担だ。市内の教員からは「完全に仕事が上乗せされている」との嘆きも聞こえる。

西宮市教委は端末配備に合わせて教員向けの研修を本格化。担当者が各学校に出向き、教科書に載るQRコードを読み取って利用したり、ビデオ端末機能を使って学級会を開いたりと基本的な使い方を伝える。

「パソコン作業は教員によって得手不得手がある。学校、教師で『差』ができているという課題は認識している」と担当者。「どんな授業をするかという基準を先進的な教員に合わせることは難しい。研修を通じて全体の習熟度を底上げしていくしかない」と話す。

■校舎の改善着実に前進 必要度増す貧困世帯支援

西宮市の教育現場は「オンライン教育の推進」という新時代の対応に追われる一方で、ここ数年、「小中学校の校舎改善」と「教育機会の格差解消」という二つの課題解決にも力を注いできた。

市内の学校施設の多くは阪神・淡路大震災による財政的な影響から大規模改修などが遅れ、市は2018年度に「学校施設長寿命化計画」を策定した。

同市教育委員会によると、中でも遅れの目立った「洋式トイレ化」を本格化させると、整備率は17年の約41%から2021年には50%を超え、2年後の24年度には60%に達する見込みだ。

また18年から小中学校の体育館への空調設置を始めると、20年度には全中学校で整備。21年度からは小学校に取りかかり、25年度には完了する見通しという。

一方、西宮市は子育て世代の流入が多く、18年に三田市を抜いて「県内で最も若いまち」となる陰で、低所得世帯への教育支援が課題となっている。

西宮市は小中学生と高校生のそれぞれを対象にした給付奨学金について、他市に比べて申請できる基準所得のハードルを低く設定。高校生対象では追加申請をすれば「オンライン学習通信費給付金」も受けることができるようにした。

「文教住宅都市」を掲げ、民間調査の「住みたい街ランキング」で関西1位になるなど人気の高まる西宮市。市長選は20日に告示され、子どもの教育環境を巡る論戦にも注目が集まる。

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親も教師も「子どもの運次第」という表現が「親ガチャ」「学校ガチャ」です。学校は教師の力量で子どもの学力差がつくのは昔からです。そもそも学校での学力形成をあてにできないから塾が繁盛するのです。そして、塾にも善し悪しがあるので「塾ガチャ」です。月謝が高い塾の方が良い教師をそろえていますから、結局、ばらつきはあるものの、親の収入によって子どもの学力は決まるのです。ですから、学校教育の質がある程度平準化しない限りは「親ガチャ」によって学力は決まるということになります。

ただ、ICTを使った教育は下手な大人の指導より効果があると言われています。どんなものでも100%効果があるものはありませんが、ICTとAIを利用すればBIGデーターから解析してある程度の学習支援のタイプ分けができるので下手な教師より臨機応変な支援が実現すると思います。記事にあるのは、ICTを利用した教育技術の高い教員の話です。パソコンが使えるから、子どもの指導技術が全て高いという事ではありませんが、理解しやすい授業展開ができるのは間違いないです。

教育支援に尽力する西宮市ですが、その一方で6年生のクラスの9割が一人の児童をいじめ不登校になっているのに担任が事態に気づかないばかりか、秘密を条件に親からこの相談を受けた教委が、親の了解もなく情報を学校に伝えてしまうという失態がテレビ報道されていました。学校教育というのは統一性がなかなか担保できない事業です。学校は商店街のようなもので、教員は様々な店の店主と同じで、校長や管理職は商店街の役員のようにお願いに回る事しかできない仕組み、という例えがあります。デパートや大型店のように社員をコントロールできないのです。しかし、学習指導のICT導入は支援の格差を埋めていく大きな可能性を持っていることは間違いないと思います。

「辞書に見当たらない」から×? 先生によって大きく異なる漢字の採点基準

「辞書に見当たらない」からバツ? 先生によって大きく異なる漢字の採点基準

2022.03.16【朝日新聞】

SNSでたびたび話題になる漢字の「とめ・はね・はらい」の問題。実は気にする必要がないという〝ファイナルアンサー〟は文化庁の指針で出ているのに、学校現場では知られていません。なぜなのでしょうか。教員養成に携わる棚橋尚子・奈良教育大教授に聞きました。

たなはし・ひさこ/1959年生まれ。兵庫教育大大学院学校教育研究科教科・領域教育専攻言語系コース修士課程修了。公立中学校、国立大付属小学校の教員、奈良教育大教育学部助教授を経て現職。専門は国語科教育学。

「文化庁の字体・字形指針を理解」は教師の4割だけ
――漢字には様々な字形があり、細かな「とめ・はね・はらい」を気にする必要はないということは、2016年に文化庁が出した「常用漢字表の字体・字形に関する指針」で示されています。このことは、教育現場ではあまり知られていないようです。

日本漢字学会が昨年、小・中学校、高校などの教師587人に聞いた調査では、指針について内容を理解しているのは4割ほどで、存在を知らないという人も2割いました(図1)。思ったよりも知られていないという印象です。多くの先生にとって、指針はご自身の仕事とはかけ離れたところにあるという認識なのかもしれません。

先生たちはみんな、自分の中に理想の教育の姿を持っています。だからこそ外野の意見を受け付けないところもある。漢字学会には「学校の先生の厳しい指導が漢字嫌いを助長している」と憤っている研究者も少なくありませんが、現場の先生からすれば、ただ子どもたちに漢字の力をつけたいという善意からやっていることだと考えます。ベテランの先生ほど長年慣れた指導から脱却できないということもあるかもしれません。

私は小・中学校で教えた経験もあるので、どちらの立場も理解できます。自分自身の経験から言うと、指導は細かくてもかまいませんが、テストなどの採点は、だいたい書けていれば正解としていいのではないでしょうか。漢字の字形の柔軟な評価については、学習指導要領解説にも記載されています。入試の採点が厳しいから緩められないという声も聞きますが、2010年に出された「文部科学大臣政務官通知」は大学入試での漢字の評価は柔軟にするよう求めていることから、少なくとも大学入試はかなり緩くなっているはずです。漢字の字形の細かな正誤より、漢字を使うことの有用性や喜びを認識させられる漢字指導になってほしいものです。

――先生たちはテストで何を採点基準にしているのでしょうか。

漢字学会の同じ調査では、テストを採点する際に、何を正しい形の根拠としているかも聞いています。その結果、8割近くが「教科書の文字」でした。

教科書の文字は、中学校では少し前まで明朝体のフォントが使われていましたが、明朝体は手書きの文字とはかなり差があることから、現在は中学校でもほぼ教科書体フォントが使われています。ただ、ひと口に教科書体といっても出版社によって細部の形が異なります。

調査では様々な手書きの漢字について、どう採点するかも聞いていますが、正誤がかなり割れていました(図2)。「他の漢字と誤解する余地がない」漢字は○にするという意見もあれば、「辞書に見当たらない」漢字は×といった判断もありました。「丸をつけて、余白に正しいものを書く」「長短については指導をしているので、指導したところができていない場合は減点」というコメントもありました。先生によって採点基準がかなり異なることが分かります。

私は、かねてよりテストの採点基準について「緩いコース」と「厳しいコース」を作って、子ども自身にエントリーしてもらって採点してはどうかと提案しています。このアイデアは現場の先生たちには、あまり評判が良くありません。「公平」でないことが受け入れられないのかもしれません。しかし、子どもたちが自分で自分の漢字学習を振り返るためにもこの方法は有効なのではないでしょうか。

漢字は学力全般にかかわる
――漢字の指導のあり方についてはどう考えますか。漢字ドリル任せになっていませんか。

授業時数が限られているので、漢字は学年が上がるにつれて家庭学習で身につけていく傾向が強まります。1年生は学校で1字1字筆順から丁寧に教えますが、高学年になると字数が多く、授業だけでは扱いきれないのでドリル任せという先生が増えます。授業で教えて細かく注意したわけでもないのに、テストの評価ばかり厳しいのはおかしいですよね。

――漢字ドリルに加え、ノートに同じ漢字を繰り返し書くという宿題が多いようです。繰り返し書かせるという指導が「漢字嫌い」を増やしているのでは?

小学校中学年くらいまでは漢字を書けるようになること自体が子どもたちにとって、一種誇らしいことでもあることと、発達段階的にも繰り返し学習がさほど苦にならない傾向があることにより、それほど嫌がらないのですが、高学年ともなると、何度も書くのが無意味に思える子が増えるようです。ただ、高学年で学ぶ漢字は、ほとんどがそれまでに習った漢字や構成要素の組み合わせです。繰り返し書くことを嫌がらない中学年までに、基本的な漢字をしっかり身につけておくことが大事です。つまり、漢字学習の成否は小学校中学年までの漢字学習のあり方に連動しているのです。

学習障害があるお子さんなどには別の手立てを講じる必要がありますが、漢字はやはり手を動かして習得するのが基本。嫌がらないように仕向ける工夫が求められます。書店には様々な工夫がされた漢字教材が並んでいるので、試してみるのもいいかもしれません。また、「一つの漢字につき何回」と書く回数を提示する先生もいますが、自分で書けるようになったと思える回数を子どもに自ら決めさせることも漢字学習の主体性を保障する意味から大事かと思います。そのうえで、漢字の形声的要素や偏旁冠脚などの知識が動員できるといいと思います。

――これからの時代に漢字を学ぶ意味は何でしょうか。

漢字ができないと文章の読解ができず、学力全般にかかわってきます。公立の学校で定員割れしている高校での例ですが、「山月記」のような難解なテキストを回避する事態が常態化していたことがありました。文章を解釈する以前に、そもそも漢字が読めないのです。そこで、総ルビのテキストを使ったところ、教師の期待以上の深い解釈ができたと聞きました。この事例からは学習における漢字の読み書きの重要さがわかります。早い段階で「漢字嫌い」にさせないようにすることが大事です。

漢字学習が「書き」に偏りすぎていることにも問題があります。これからはもっと「読み」に力を入れるべきです。ふりがなも活用し、気軽に読ませてほしい。お勧めしたいのは、国語以外の教科の教科書を音読すること。すべての子どもの手にある教科書は子どもたちにとって最も身近な活字媒体です。国語の教科書には出てこない様々な単語に触れることができ、言葉に対する興味や関心を広げることにもつながります。

葉山 梢 EduA編集部 記者
1977年生まれ、北九州市出身。朝日新聞北海道支社、新潟総局、東京本社社会部などを経て現職。鉄道好きでマイペースな小5男子と、好奇心旺盛でしっかり者の小3女子の2児の母。ツイッターアカウントは @kzehym

漢字学習関連のシリーズ(3/4~ )
https://www.asahi.com/edua/author/11003210

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すてっぷで子どもたちの宿題を見ていると、漢字の繰り返し書きが宿題になっているのは定番で見ます。気になっているのは、繰り返し書きは良いけれども子どもたちは本が読めているのかが気になっています。記事にもあるように、漢字学習は書くことが重視されすぎていて、読んで意味を掴むことが等閑になっています。

しかも、放デイ利用の子どもの中には、読みに困難のある子が多いですから、書くことばかりトレーニングしても読みや意味を掴んでいなければ時間の無駄になるばかりか、やってもやっても効果が上がらないので、学習性無力感に苛まれることになります。まずは、正確な読みのアセスメント、特に速度・流暢性を見てあげて欲しいと思います。

読み書きが苦手な子に対して、この子は読めますと言う学校の先生方のコメントを良く聞きますが、それはゆっくりなら苦労しながら読めているだけであり、学習に生かせるようなレベルではない場合が多いのです。読めるというのは、つっかえずにすらすら読める、苦労せずにすらすら読める事を指します。人のエネルギーにも限りがあります。10ある力を読むことに8割以上使うと意味を理解する力が残ってない図式を思い浮かべて欲しいと思います。

書くことも同じです、書くことに8割もの力を使うと、論理を考えたり文を構成することにエネルギーが回せなくなります。書くことにもすらすら書ける流暢性が必要です。もしも、いくらトレーニングしても多くのパワーを使う苦労が軽減されていないなら、考えることにパワーを回すように仕向けるのが合理的配慮です。書く代わりにキーボードを使う、音声入力を使うなどして文字を書くことの苦役から解放してあげたほうが良い場合もあります。これは障害がなくても同じことが言えます。漢字の止め跳ねエネルギーと思考のエネルギーはトレードオフの関係なので調整が必要で子どもによって違うのです。

小1男児、トイレに連れられ児童8人から殴られ蹴られる…学校側は保護者に「ポピュラーな遊び」

小1男児、トイレに連れられ児童8人から殴られ蹴られる...学校側は保護者に「ポピュラーな遊び」

3/15(火)【読売新聞】

仙台市立小学校の男子児童がいじめを受けて不登校になったとして、市教育委員会は、いじめ防止対策推進法で定める「重大事態」と認定する方針を固めた。児童の欠席日数は認定の目安となる30日を超え、15日で連続50日に上る。市教委は「事実確認で時間がかかっている」として、対応の遅れを認めている。

保護者によると、小1の男子児童は昨年12月15日、時間内に食べ終わらなかった給食を昼休みに食べていた時、同級生にトイレへ連れて行かれ、児童8人から胸や背中などを殴ったり蹴られたりしたという。受診した小児科で「全身打撲」「急性ストレス反応疑い」で全治4週間と診断された。

学校に対して調査を求めた保護者によると、学校側からは「ポピュラーな遊びだった」「加害者側もたたかれた」などと回答され、いじめは否定されたという。男子児童は同16日から不登校が続いている。

保護者は市教委に話し合いを求め、今月4日に状況を説明した。これを受けて市教委は「いじめがあったという前提で、学校内で詳しい状況を確認している」として、重大事態として第三者を含む「いじめ調査委員会」を学校に設け、調査する。

事案の発生から3か月が経過し、保護者は「子どもが学校へ行けない日が続いている。市教委は実態を正しく確認して説明してほしい」と求める。学校側は14日、読売新聞の取材に対し、「個別案件には答えられない」としている。

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こんな杜撰なクレーム対応は民間ではあり得ません。最低限の機能を果たさないポンコツ商品にクレームを付けたら「商品の仕様です」と弁解されたら金返せと言われるのがオチです。子どもが教師の視界から外れたところでいじめられているのに、「ポピュラーな遊び」と弁明する事は、これが「わが校の仕様です」と言っているに等しいです。一言、「ご心配おかけして申し訳ありません。すぐに調査し指導します」と言えなかったのでしょうか。

「申し訳ない」この一言が言えない学校関係者は少なくありません。そして、子どもの行動は学校の責任ではないと思っているような言動が目立ちます。もちろん、学校には様々な子どもが通学していることは親も承知です。しかし、様々な子どももがいるからこそ、心身の安全の確保は大人の責任なのです。教員の指導が行き渡らなかった、学校の管理が行き渡らなかったという発想が出来ない人が少なくないような気がします。

結果として、校長も自分の責任だと言わないので「上の人出して」ということにつながります。教育委員会に親がクレームを言うのは、親がクレーマー化しているからではありません。クレーマーと言うのは、些細な事を捻じ曲げてクレームにして業務をしつこく中断させる行動をとる人を言います。「申し訳ありません」「すぐに改善します」の対応がなく、言い訳に終始するから教育委員会に持ち込まれるというケースがほとんどです。学校の常識は世の中の非常識といわれる所以を学校関係者は考えるべきだと思います。その非常識さが逆に本当のクレーマーの餌食にもなっているのです。教員は、苦情対応を含む教育サービスを売り物にし、その対価を報酬としてもらっていると考えて欲しいものです。