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オンラインは苦痛…発達障害抱える学生の“コロナ禍の学び”守るには
オンラインは苦痛...発達障害抱える学生の''コロナ禍の学び''守るには
2021/12/9 【西日本新聞】
「雑音が多くて苦痛」「情報を整理できない」...。新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン授業が普及する中、感覚過敏などの特性から困難を感じている発達障害の学生は多い。大学側には障害者の生活上の障壁をなくす「合理的配慮」が求められるが、対応の格差は大きく、学ぶ権利を保障する取り組みは道半ばだ。 (斉藤幸奈)
「授業に付いていけなくて、昨年は1年間で8単位しか取れなかった」。そう肩を落とすのは福岡県内の私立大に通う注意欠陥多動性障害(ADHD)の20代の男子学生。好奇心旺盛でやる気はあるが、時間の管理が苦手。オンライン授業になってリポートによる評価が増え、授業ごとに締め切りも提出方法も異なるため混乱し、提出が間に合わないことが多かった。
対面授業では集中して話を聞くことができ、単位も取得してきた。オンラインだと、教科書とパソコン画面両方に目を向けるのが難しく、双方向性もないため内容がなかなか頭に入らない。大学の相談窓口に障害の特性を伝え、課題は授業中に口頭で知らせるだけでなく、メールでも伝えてほしいと要望したが「実行してくれた教員は少なかった」という。
こうした学生は各大学で目立つようになった。熊本大大学院教育学研究科の菊池哲平准教授らが3月に発表した全国の大学に対する調査(回答率31・5%)では、オンライン授業の影響で発達障害がある学生からの相談が例年より増加していると回答した大学は28・4%に上った。
「大学からのアナウンスに一貫性がなく情報の整理ができない」「画面に並ぶ友達の顔が気になって集中できない」などの相談があった。半面、必要な配慮について「全教員・職員に周知した」大学は13・9%にとどまる。
日本学生支援機構の調査(昨年度)によると、障害がある学生を支援する専門部署がある大学は全体の2割程度で、支援体制のばらつきも課題だ。福岡県の大学でこうした学生の相談に応じる公認心理師の入濱直美さんは「相談先が分からず支援につながっていない学生もいる。専用の窓口と専門知識がある担当者を置くことが望ましい」と話す。
一方、大教室での集団授業が苦手な学生らは、ストレスが減って成績が上がった事例もある。菊池准教授は「発達障害がある学生が抱える悩みは多岐にわたり、それぞれに応じた対応が必要だということがコロナ禍で改めて分かった。理解を深めるきっかけにしたい」としている。
合理的配慮 障害がある人にとっての社会的障壁を取り除くために、過度な負担にならない範囲で変更や調整を行うこと。障害者差別解消法で規定。国公立大では「義務」、私立大は「努力義務」だが、今年5月に法改正され、2024年までに私立大でも義務化される。公共交通機関や行政、災害時の避難所などでも提供が求められている。
授業録画を許可、提出期限延長…迅速だった九大の対応
発達障害がある学生への支援に力を入れるのが、九州大(福岡市)だ。「インクルージョン支援推進室」が専門窓口となって学内の調整や授業の担当教員との橋渡し役を担い、成果を上げている。
コロナ禍でも迅速に対応した。オンライン授業では集中力の持続が難しいという学生に、録画を許可、録画した教材の配布も行った。感染が拡大する以前から、授業内容の事前伝達▽視覚的に情報が取得しやすい掲示の工夫▽提出期限の延長-など、特性に応じた合理的配慮に取り組んできた。
コミュニケーションや雑談が苦手な学生は、友人や先輩からのアドバイスを受ける機会が少ないことから、学生による支援組織「ピア・サポーター」も活動。リポートを書くときの“力の抜き方”など、教員では教えられないことを助言している。
同推進室長の田中真理教授(教育心理学)は「合理的配慮に関する取り組みは『支援』と捉えられがちだが、教育の一環。共に学ぶことで他の学生も実体験として多様性を感じ、学びになる。こうした考えを学内に根付かせることが最も大事だ」と強調している。
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リモート学習は発達障害の人には教室講義より集中しやすいだろうと思っていたら、私たちには気にならない音声ノイズが気になって集中できない人もいると言う話から、そう言えば教室の蛍光灯のノイズが嫌だと言っている子がいた事を思い出しました。気になったのは、教科書と画面を見比べるのが苦痛と言う話ですが、教室で黒板やホワイトボードと手元の資料やノートを見るのはもっと大変です。おそらく、共有画面を使って巧みにプレゼンができない教授の教科書や資料だけを読んでいるような授業が頭に入らないと言っているのでしょう。それは、どんな人だって頭に入らないです。
他の学生の視線が気になると言うのも、学生PCからギャラリー画面をOFFにできないならわかりますが、通常のリモートソフトは発言している人だけを写すことは可能ですから、予めリモートソフトの使い方を教えていないのではないかと思います。発達障害の学生の相談やニーズに対応する、大学の支援室はこの10年でどんどん増えていますが、教員の頭が追い付ていないとも言われています。たしかに高齢になってからリモート操作がどうのこうのといわれても、助手が手伝ってくれないとリモート講義がうまくできないのは無理ないなとも思います。
ただ、大学には年間100万を超える授業料を納めているのですから、教授がPC操作が苦手だから我慢してほしいではすまされない話です。オンライン授業になってレポートが増えて書けない問題は発達障害の学生にとっては深刻です。好きな事ならいくらでも書けるけど、興味のないことについては全く欠けない人から、定型の設問に答えるテストは得意だが、持論もおりまぜて論じることは高校時代に教えてもらっていないので融通が利きにくい人は大変です。何から書いていいかわからないという理由で、書けないまま放置して最後に首が回らなくなって留年・退学という学生はこれまでも少なくありません。
九州大のように支援室が機動的に動いて、画一的でなく個性に合わせて支援を打ち出してくれると、発達障害学生にとっても心強いです。助けを求める事が苦手な彼らには、プッシュ型でオーダーメイドな支援が求められています。オーダーメイドとなると「合理的配慮」とは言えないという学校がありましたが、合理的かどうかは金銭的時間的な枠組はあるでしょうが、工夫の度合い、アイデアに枠組などありません。何がヒットするか当事者だってよくわかっていない場合も多いのですから、様々な工夫の手数が必要です。そして、発達障害の彼らに分かりやすい授業に工夫することは必ず学生全体の利益にもなります。診断がなくても段取の悪い学生や、不注意の多い学生はたくさんいます。大学教育のユニバーサルデザインはみんなの役に立つはずです。