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みんなちがってみんないい

対人関係を調整することの難しさ

ASDの人たちに共通する特性の一つに対人関係を調整することの難しさがあります。特性の強さや現れ方は子どもによって違いがあり、ある特性が特に強い場合や、成長に従って特性が変化することもあります。

ASDの子どもは、他者との関わり方やコミュニケーションの取り方が変わっていることがあります。相手の気持ちや状況といったあいまいなことを理解するのが苦手で、字句どおりや状況に関係なく理屈だけで判断したり行動をとる傾向にあり、臨機応変な対人関係を築くことが難しく、誤解されたり相手を誤解したりすることが少なくありません。

表情や話しぶり、視線などから相手の気持ちをくみ取ることができにくいので「暗黙のルール」がわからず孤立しやすいです。受け身過ぎたり、一方的過ぎるなど、双方向の対人関係がうまくとれない人もいます。
表面的な会話だけでは問題はないのですが、場の空気を読めないなどの特徴のために周囲の人のひんしゅくを買ったりすることがあります。普通に話しているつもりなのに相手を不愉快にさせたり、怒らせてしまったりするので友達ができにくい人もいます。

この特性のために本人は「生きづらさ」を感じることもあります。一方で、「人の意見にぶれずに課題を遂行する」などの形で、特性がむしろその人の強みになることもあります。「高い記憶力」や「好きなことへのこだわり」といった特性を発揮して仕事や趣味で充実した生活を送っている方もたくさんいます。だから、その子がもって生まれた個性と理解して、「生きづらさ」を軽減しながら得意なことを伸ばす支援が大切です。

筆者がよく経験するのは、ASDの方が緊張をされている環境の中では対人理解に誤解がよく生じます。先生から、友達から、上司からひどいことを言われたというものです。また、誤解された相手は「そんなひどいことは言った覚えがない」と憤慨されます。相手方の言われた内容をよく聞いてみると、通常の関係なら善意の励ましや激励、正確な理解を促すための説明となるのですが、聞き言葉をうまく処理できにくい方や中心的な趣旨をつかみにくい方なら、誤解するかもしれないなと思うことはよくあります。

こんな時に言った言わないについて第3者が介入すると、水掛け論どころか火に油の場合もあります。言った言わないは保留して、あの環境下では誤解が生じやすかったのだという認識を双方が持つことが大事ではないかと思います。どちらも悪意はない。善意で話しあったけれども、双方の真意は届かなかった。届かなかったものは今届ければいい。今後はこういう解決方法を取ればいい。と未来志向で向かい合って話し合うことが必要です。第3者はどちらの肩も持たず、誤解があったこと、誤解ならば解く必要があること、次回はこうすればうまくいくという支援が大事だと思うのです。