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みんなちがってみんないい

慣れる?

うまくいかずに困っている子どもを見て、よく大人は「そのうち慣れるでしょう」と言います。慣れるとは、大辞林を引くと

①たびたび経験した結果、当たり前のこととして受けとめるようになる。なれっこになる。 
② 何度も経験してうまくできるようになる。習熟する。 
③ 接触する機会が多く、心理的な隔たり・距離感がなくなる。
④ 体になじんで具合がよくなる。
⑤ 動詞の連用形や名詞の下に付いて、何度も経験して具合がよくなる意を表す。 
⑥ なじんで打ち解ける。
⑦ 着物が着古されてよれよれになる。 

つまり時間が解決するということでしょうか。けれども時間をかければなんでも慣れるでしょうか。嫌なことが毎日毎日繰り返されたり、意味のわからないことが繰り返されたりすることに人は慣れるでしょうか。

仮に今努力が必要だとしても、将来の見通しがあれば頑張れます。でも慣れるというのは努力した結果とは少しニュアンスが違いませんか。慣れるというのは、自然にだんだんと適応していく意味合いが強い言葉です。でも、自然にと言うのはいずれ誰が説明しなくてもわかるとか、いずれ普通にできると言う意味合いで。いつまでたってもかなりの努力を必要とし、持てるパワーの半分以上を消費してしまう様子ならそれは普通の状態では無いです。

ここらを混同して使う大人が結構います。意味がわからなくて混乱状態の子どもを前にして慣れるだろうと根拠ないことを言ったり、かなりの努力をしていつバッテリー切れを起こすかわからない状態なのに、できているから「慣れてきただろう」と言うのです。要するに子どもの内面が見えていないのに、「慣れた」という言葉を使って子どもの内面に関する思考を停止してしまうのです。

子どもは子どもで、みんなは自分よりはるかに努力をしているからできるんだ、自分はダメな人間だと思ってしまうのです。他の子は自然にできていくだけなのです。すなわち慣れたのです。その子にとって特別な努力をしないとできないようなことに慣れるという言葉は使ってはいけないですね。