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みんなちがってみんないい

不便を便利にするあゆみ

自閉症支援における構造化は、生活や学習のさまざまな場面で、その意味を理解し、自分に何が求められているのかをわかりやすく伝えるための方法です。「自閉症」は、「自閉症スペクトラム障害=ASD」を意味しており、知的障害の合併の有無は関係ありません。また、構造化のことを自立課題やスケジュールカードのこととしか理解していない方がいますが、構造化は机の上も、机の周りも、部屋の中も、生活の中で意味を説明しなければならないすべてのものに適用するのものです。構造化はカードや衝立などモノをさすものではなく、視覚による意味の伝え方です。

下図は、「必要な支援により成長を促すための一番の土台は、教育や療育の環境であり、その土台の上に特性に応じた工夫が、またその上に学習を支える学びがあり、この土台の上に学習内容が位置づくのだ」というものになります。このように、「視覚的に表現する」ことの効果は、わかりやすさにあるということです。ただし、視覚化は細かな情報を伝えにくい面もあり、何もかもを視覚化できるわけではありません。「自閉症教育の基本構造」は、自閉症教育というより「すべての教育や療育の基本構造」と考えても良いものです。
 
教育・療育における構造化の利点を言い換えれば、当事者にとって便利で快適だということです。
1) 支援を受ける側の方々が、理解しやすい、不必要な混乱をしなくてすむ
2) 効率的に学習するのを助ける
3) 安心して自信を持って学習、生活できる
4) 必要な情報に注意を集中しやすくする
5) 地域でできるだけ自立して生活する
6) 行動をマネジメントする
3)~6)で示していることは、構造化は教育や療育の場だけで利用するものではなく、家庭や地域社会、職場でも利用できる考え方と言えます。誰でも構造化された方が自立しやすいのは当たり前です。一人でも多く自立すればそれだけ生産量や消費量が向上します。だからこそ世の中はどんどん便利になっていくのです。人類の歴史は、いつも不便を便利にして新しい価値の創造や次の目標を見出してきたのです。