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みんなちがってみんないい

ペアレント・トレーニングその2

以前にもペアトレの有効性について掲載しました。

発達障害のある子どもに限らず、保護者の子どもへの接し方や養育態度は、 子どもの心身の発育成長にとって、大きな影響を及ぼすことが知られています。 ペアレント・トレーニングとは、保護者や養育者の方を対象に、行動理論の技法の学習、ロールプレイ、ホームワークといったプログラムを通して、保護者や養育者のかかわり方や心理的なストレスの改善、子どもの発達促進や不適切な行動の改善を目ざす家族支援のアプローチの一つです。日本に普及しているものは三つほどの流派があります。取組効果は就学前か遅くとも小学校中学年までの親子に大きな効果が得られると言われています。

精研式・奈良式ペアレントトレーニング
このペアトレーニングは最初、ADHDの子ども向けに開発されましたが 広凡性発達障害とADHDの併用診断が主になったので、自閉症スペクトラム障がいの子どもにも適用できるプログラムに改良されました。開発当初の問題点としては、無視とほめる組み合わせをしていたのですが、子どもの情緒が不安定になったり、親子関係で悪化する事例が認められたため修正を加えました。
子どもの好ましい行動→ほめる
好ましくない行動→指示の工夫
許しがたい行動→ルールを作って一貫する
この3つに分けて対応を学んでいきます。 ほめ方などそれぞれに対する対応を、学んでいくことが特徴になります。この学びは、子どもの問題行動の改善も勿論ですが、親自身の育児に対して自信回復をすることが目的でもあります。

鳥取式ペアレントトレーニング
兵庫教育大学から生まれたトレーンングで、自閉症スペクトラムの子どもを対象としたトレーニング法です。今は、鳥取県だけではなく島根県、岡山県、兵庫県、埼玉県。沖縄県などの連携している、支援センターなどで受けることが出来ます。効果としては、子どもの特性や発達の状態の認知を知る。親子のコミュニケーションを楽しめるようになる。子どもが目標を達成しやすくするための、視覚支援や環境環境の方法を知る。子どもの支援法を他の人に伝える方法を知る。このような効果を目的にしています。グループワークでは
褒め上手・観察上手・整え上手・伝え上手・教え上手
などに分けて、説明していきます。子どもの問題行動を抑えるのではなく、適応行動を開発していくという発想です。環境調整と代替行動を中心に学び、最終は子どものサポートブックを作成し、家庭でも使える療育プログラムを一緒に作成して、家庭内療育をすすめていきます。このプログラムも、親の育児への不安の解消や憂鬱な気分の改善を目的としています。

肥前式ペアレントトレーニング
国立肥前療養所(現在の独立行政法人肥前精神医療センター)で開発された我が国初のプログラムです。もともとは、知的障害のある子ども向けに開発されたプログラムでしたが、現在は知的障害のない子どもにも提供されているプログラムです。親が子供に対して出来るようになってほしい行動を決めて、プログラムを通してそこへ向かうようにしていき、家庭内で取り組んだ行動を観察記録を行っていきます。効果としては発達障害をある子どもの問題行動の改善や、生活でのお困りごとの改善を行うと同時に、親が子どもの行動を理解することや、育児の自信の回復、親のストレス軽減がねらいです。

京都府では、何年も前から保健所などが提唱していますが、なかなか広がりません。小さな子の保護者の場合、保健所から声がかかる事イコール障害の宣告という誤解が多く、保健士さんたちも手をこまねいているのです。さらに、民間でやるには財政的な裏付けが弱く、指導者が少なすぎることも課題です。発達障害は知的遅れのない子どもも含めれば1割ほど存在します。グレーゾーンの子どもも含めれば3割が幼少期に行動の問題を抱えています。三人に一人なら決して珍しいことではありませんし、できれば全ての親に学んでほしいのです。ペアトレは親の変容をねらうもので、その変容が幼少期からの行動問題の予防に大きな効果をあげ、結果、子どもの自尊感情を育てることなのです。

このトレーニングは育児に対する自信もつき、発達障害の子どもを持つ保護者の方にはぜひ受けてほしいプログラムです。確かに、グループワークや家庭での実施など、大変そうに感じられるようですが、育児の考え方がかわると毎日がとても楽になります。療育とペアレントトレーニングは車の両輪です。育児で大変な保護者のかたの考えかたをほぐして、一緒に考えていき子どもの成長とともに、保護者のかたのストレス軽減にもなるので、必ず育児が楽しくなると思います。本事業所でも3人そろえば実施できますのでお声掛けください。