みんなちがってみんないい
仮想現実で意思伝達学ぶ
悪くないのに先生に怒られたらどうする?発達障害ある子どもたちがVR=仮想現実で意思伝達学ぶ 静岡・島田市
4/29(木) 【静岡朝日テレビ】
発達障害のある子どもたちにコミュニケーション能力を高めてもらおうと、VR=仮想現実を活用した遠隔授業が静岡県島田市で行われました。
松田和佳アナウンサー:「こちらでは全国初の試みである授業が行われています。子どもたちはVRを装着し、自宅から画面越しでリモートの授業を受けています」
この取り組みは、福祉施設を展開する静岡県藤枝市の会社が新型コロナの感染拡大が続くなかでも、子どもたちが安心してコミュニケーション能力を高められるように始めました。
公開されたのは、東京のIT企業が開発した発達障害児向けの「ソーシャルスキルトレーニング」を用いた授業です。
株式会社ジョリーグッド竹内恭平さん:「もともとコミュニケーションが苦手で、相手の顔を見てしゃべることができないっていう子が、VRで何度もトレーニングすることによって、人の顔をきちんと見て、コミュニケーションを取れるようになったと」
対人関係や集団行動を疑似体験
子どもたちは特殊なゴーグルをつけて、プログラムを通し対人関係や集団行動をより実際に近い形で体験します。
〇VRの映像
(友達)きのう、TVで出てたラーメン特集見た?
(自分)こうたくん、今授業中だから
(先生)そこの2人、何やってるんだ、今授業中だぞ
(自分)え、なんで僕が怒られなきゃいけないの。ひどい、何かイライラしてきた
今回、体験するプログラムは「自分は悪くないのに、学校の先生に怒られた」という場面で、子どもたちは「深呼吸する」という対処方法を選びながら、自分の感情をコントロールする方法を学んでいました。
発達障害のある子どもたちは、初めてのことが苦手な場合が多く、失敗を繰り返すことで自己肯定感が低くなる傾向があります。こうしたマイナスの面がVRの授業では少ないと利用者は話します。
利用者仲田伊吹くん:「いつもだと机とかを蹴って選択しちゃうと、それで怒られて終わりだけど、VRだったら深呼吸するのも選択肢がたくさんあったから両方試してうれしかった」
株式会社リカバリー松浦妃佐子さん:「どっちもあることという、そういうことを体験することで、やっぱりこっちのほうがいいんだ、こっちのほうが安心するということを理解してもらうのでは凄い良いツールではないかとは感じています」
授業はワークシートに沿い「自己紹介」や「学校でおこられたこと」など、あわせて4つの項目に答えながら進みました。途中休憩をはさみながらオンラインの授業は1時間続きました。
株式会社リカバリー松浦妃佐子さん:「(授業に参加して)自信もついて、最終的には一歩勇気をもって踏み出すことが出来るようになったら、いいんじゃないかと考えています」
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確かに、上手に言えなくて事件の巻き添えを食らう発達障害の人は少なくありません。学校でのSSTはトレーニングをしたからと言って必ず同じ場面に遭遇するわけではないので、即効性があるわけではないです。しかし、「自分は怒りっぽいから誤解されやすい」とか「相手の気持ちが見えてないから誤解しやすい」という知識は持つことができます。そのことで、必要以上に落ち込んだり怒り続けたりする回数が結果的に減っていきます。大事なことは自分を客観的に知ることです。VRは言葉だけでなく情景で視覚的にリアルに伝えてくれるので理解がしやすいと思います。
同じようなことは10年以上前から通級指導教室では普通に取組まれてきています。しかし、トレーニング回数が週1回45分の通級の時間であれもこれもこなせるはずもなく、課題は分かっているけど指導の回数が稼げない問題が大きいです。優れた通級指導の先生も少なくないのに、何故目に見えた効果が上がりにくいのかという人もいます。多くは通級の需要が多すぎて、効果が上がる臨界点までトレーニングする回数が確保できないのです。これはSSTに限ったことではなく、読み書き障害や算数障害への支援回数でも同じです。
週1回45分の支援内容を、週3回にまで増やせないかというのが通級の先生方の思いのようです。しかし、そうなると通級の先生を3倍に増やす必要がありこの増員は近未来的には見通しがありません。じゃんぷのような発達障害支援に特化した放デイが、保護者も含め社会的に認知され利用が進めばかなりの効果が見込めると思います。