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みんなちがってみんないい

仲間関係の発達

子どもがどのように発達し、それぞれの年代でどのような発達の特徴を示すのか、仲間関係の発達から考えてみます。

〈小学生のギャンググループ〉
・小学校高学年頃、親からの自立を始める時期に現れます。
・同じ遊びを一緒にすることがとても大切にされる集団です。
・だから、同じ遊びを一緒にできない子は、仲間外れにされてしまいます。
・子どもがよく、「皆持ってるもん」と、友達と同じゲームを持つことにこだわるのは、このためかもしれません。
・親よりも友だちが大切になり、親や教師の言うことを聞かず、友だちの中でのルールを優先させることも多くなります。
・どちらかというと、男の子に特徴的にみられます。
・同性の、同学年で構成されることが多いです。

〈中学生のチャム・グループ〉
・同じ興味や関心、クラブ活動などを通して関係ができるグループです。
・お互いの共通点(同じ芸能人が好き)を、「私たちは同じね」と確認するような会話多くみられます。
・「私たちは同じ」という一体感の強さから、仲間への絶対的な忠誠心が生れます。
・この一体感は、思春期の不安定な子どもたちにとって安心感をもたらす一方で、違うものを排除するいじめに繋がりやすい面もあります。
・仲間と違う行動をとることを恐れ、仲間の誘いを断れず、一緒になって悪いこと(喫煙、万引きなど)をしてしまうこともあります。
・どちらかというと、女の子に特徴的にみられます。

〈高校生のピア・グループ〉
・共通点だけでなく、互いの違いをぶつけ合うことができるグループです。
・他者と自分の違いを確認する中で、自分というものを確立していきます。
・それぞれが自立した個人として尊重し合える関係です。
・互いの違いを認められる関係であるため、男女混合のグループで、年齢に幅があることもあります。

学校や地域に仲間がいることは、生活を楽しく充実したものにさせてくれます。一人では難しいことも、一緒に頑張っている仲間がいることで、耐えることができます。親から自立していくことはとても不安なことです。その不安な時期に、家族以外の支えができることは、自立を支えてくれます。喧嘩をしたり、仲直りをすることで、人と繋がっていく方法を学んで行きます。

ただ、人は集団になると、圧力が働きます。特に、「同じ」ことを大切にする小学生のギャンググループや、中学生のチャム・グループでは、「違う」ものを排除しようとする力が働きやすくなります。それがいじめに繋がることも多いです。今は、メールやラインで家に帰っても友だちからの圧力から逃げられません。煩わしくても、きちんと答えないことは、友だちと「違う」行動を取ることになります。

この時期の子どもにとって大切な他者は、家族から友人に移っています。だから、その友人から排除されることは、とても恐ろしいことに思えるのです。周囲の大人は、このような子どもたちの心情を理解して関わる必要があります。大人から見て、「そんなこと」と思えることでも、子どもにとってはとても重要な事なのです。

そういうときは、子どものやることを頭ごなしに否定せず、まずは子どもの言い分をよく聞きます。その上で、大人から見た心配を伝え、どうしていったらよいかじっくり話し合います。なるべく、子どもの側からのアイディアを取り入れると、うまくいきます。

小学校高学年くらいになったら、子どもたち自身もこの仲間関係について知る機会があると良いと思います。この時期の、特に女の子は、友だち関係で苦労することが多いと思います。高校生くらいになれば、「違い」を楽しむ関係になれるので、仲間関係は少し楽になっていく、ということを知っていると、少し見通しが持てると思います。

大人になれば、割り切れることは多くなりますが、子どもの世界はとても狭く今いる場所が自分の全てと感じるのです。仲間関係も、自分自身のこと〈進路のことなど〉も大切にできるよう、仲間関係を自分でもコントロールできるよう、その特徴を知ることは良いことです。

そして、対人関係が本当に苦手なタイプの子どもで苦しみが激しいなら、無理をしないでも良いことを伝えます。今友達がなくても、学校で友達がなくても、いつか、どこかで気の合う友達が見つかるまで待てばいいと伝えます。友達百人作るなんて歌のファンタジー世界だと教えましょう。確かに友達が子どもの人格発達に与える影響は大きいですが、結局は友達が好きか嫌いかで判断すればいいと伝え、時間がたてば嫌いが好きになる場合があるかもしれないと教えましょう。