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ADHDの高校生が語る日常

ADHDの高校生が語る日常 集中するのが苦手「甘えではない、個性ととらえて」

2020.11.25【高校生新聞】

私は発達障害の一種である「ADHD」の当事者です。私がどのように生活しているのかや、ADHDについて思っていることなどを伝えます。(ばけ谷=3年)

珍しい障害ではない
皆さんはADHDを知っていますか?ADHDとは、注意欠陥多動性障害という発達障害の一種です。簡単に説明すると、落ち着きがなく一つのことに集中することが苦手な障害です。
忘れ物が多い、時間を守ることが苦手といった特徴もあります。100人に数人はADHDであるという統計もあり、今はそれほど珍しいものではないと言われています。

期日を守ったり集中するのが苦手
ADHD当事者にも、さまざまな特徴があります。私の場合、特に「時間や期日を守ることが苦手」「一つのことに集中することが苦手で、ソワソワしてしまう」という2つの特徴が大きいです。

多くの人は、やらなきゃいけないこととやりたいことがあったときに、やらなきゃいけないことを先にできると思います。でも、私は優先順位をつけるのが苦手。ついついやりたいことを先にやってしまったり、やらなきゃいけないことを先延ばしにしたりしてしまいます。

また、常にいろいろなものに興味が向いてしまい、集中することがとても苦手です。
例えば、授業中先生の話を聞いているときでも、窓の外に猫がいたり他のクラスの体育の授業が見えたりすると、ついついそっちの方が気になってしまいます。

私は中学校1年生のときに診断を受けてから、薬を服用しています。薬を飲み忘れると集中力が持たず、授業中に眠ってしまったり、そわそわしてしまったりします。

個性としてプラスに思う
確かに日常生活で困ることも多いけれど、私はADHDをマイナスには思っていません。むしろ、私を構成している個性の一つとしてプラスに思っています。

最近、たまにADHDの話題を見かけるようになりましたが、ADHDの話をすると、「甘えだ」「怠けている」「やる気がない」など否定的な意見を聞くことが多く、ふざけて「私もそうかもしれない」などという人もいます。

ですが、ADHDは怠けでも甘えでもないです。やる気がないわけではなく、他の人より極端に物事の優先順位をつけることが苦手だったり、時間の感覚がずれていたりするだけです。また、これらは努力でなんとかなるものではないのです。

伝えたのは先生と仲良しの友人だけ
私は、学校の先生方とごく一部の仲の良い友達にしか、ADHDであることを伝えていません。理由としては、うまく説明するのが難しく誤解を招きやすいということ、伝えてもそれをよく思わない人もいるからです。

仲のいい友達は、宿題の締め切りなどをLINEしてくれたり、授業変更などを教えてくれたりして、助けてくれます。先生方も気にかけてくださり、すごくありがたいです。

特別なことはしないで
皆さんの身近に、ADHDなどの発達障害を抱えている人がいるかもしれません。そういう人たちと自分たちを区別して、必要のないことまでわざわざ手伝ったり、ばかにしたりなど特別なことはせずに、みんなと変わらず接してほしいです。
個性の一つとして受け入れてくれる世の中になってほしいです。

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「高校生新聞」は、1993年の創刊以来、全国版で年6回発行(4月、6月、9月、11月、1月発行)している新聞です。高校生の生活や進路に中心に取材がされています。不登校や発達障害の当事者の記事はとても参考になります。他のメディアも興味本位の取材ではなく当事者の思いも取り上げてもらうとみんなの理解が進むと思います。