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危険率

武漢ウィルスの感染率やら死亡率やらを考えていると様々な危険率が気になったので調べてみました。リスクに対して対策を打つためには、まず、リスクと向き合わなくてはなりません。その第一歩として、リスクの起こりやすさを「発生確率」という数字で表してみることが重要です。ところが、この確率はなかなかのくせものなのです。

かつて地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した報告書では、日本における自然災害や事故などの発生確率が参考として示されています。それによると、30年の間に災害、事故、事件で被害をこうむる確率をあげてみると、

【災害】
・大雨で罹災する確率は0.50%、死傷する確率は0.002%
・台風で罹災する確率は0.48%、死傷する確率は0.007%

【事故】
・火災で罹災する確率は1.9%、死傷する確率は0.24%
・交通事故で負傷する確率は24%、死亡する確率は0.20%
・航空機事故で死亡する確率は0.002%

【事件】
・空き巣ねらいに遭う確率は3.4%
・ひったくりに遭う確率は1.2%
・すりに遭う確率は0.58%
・強盗に遭う確率は0.16%
・殺人事件の被害者となる確率は、0.03%

もちろんこれらの確率は、日本中の誰でもどこに居ても同じではありません。例えば、大雨の場合、がけや急傾斜地では、がけ崩れ、地すべり、土石流による土砂災害が起こりやすいです。一度、大雨により地盤が緩くなっている地域は、再度の大雨で被害が起こりやすいとも言われます。

また台風の場合、海の沿岸部では高波や高潮、河川区域では氾濫(洪水)による浸水被害が発生しやすいです。このように、自然災害や事故などが発生する前提にはバラツキがあります。

いくつかの出来事が重なった複雑な出来事の発生確率を考える際には、それぞれの出来事はお互いに影響し合わないか、つまり無関係かどうかという点です。無関係であれば、それぞれの出来事の発生確率を掛け算したものが、それらの出来事すべてが発生する確率に等しくなります。

先ほどの災害や事故などの発生確率で、交通事故での負傷と、航空機事故での死亡が無関係な出来事であると仮定すれば、30年の間にその両方に遭遇してしまう確率は、0.00048%(=24%×0.002%)です。これは、約21万人に1人の確率であり、このようなことは、かなり小さな確率でしか起こらないと言えます。

しかし、それぞれの出来事が無関係でない場合には、単純に発生確率を掛け算しても正しい答えは得られません。例えば、交通事故での負傷と、交通事故での死亡とでは、この2つはどちらも交通事故を原因としていて、無関係な出来事とは言えないです。通常、交通事故による負傷の程度がひどい場合に、死亡に至ってしまうものと考えられます。

この場合、30年間で交通事故での負傷と、交通事故での死亡の両方をこうむる確率は、0.048%(=24%×0.20%)と計算してはいけません。死亡が負傷の延長線上にある、つまり死亡する人は負傷もしているとすれば、両方をこうむる確率は、死亡の確率と同じ0.20%と見るのが妥当だからです。これは500人に1人の確率です。交通事故での負傷と、航空機事故での死亡の両方に遭遇する確率に比べると、だいぶん高いと言えます。